【本編完結済】夫が亡くなって、私は義母になりました

木嶋うめ香

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番外編

兄の寵愛弟の思惑129

「はい、王宮を出る際ボナクララ様は言伝を受けたため学校に戻ると言われたそうで、王宮の西門から外に出られたらしく、そこから四半刻も走らぬ間に襲われたと聞いております」

 いつも通り王宮からサデウス家に帰るなら正門か南門から出るが、学校に戻るなら西門から出た方がいい。
 南門からだとぐるりと遠回りして学校に向かうことになるから、王宮の敷地内を西門に向かい移動した方が早いのだ。

「西門から出てすぐということか、とすればその近くにある屋敷といえば……」

 王宮近くの貴族屋敷の配置図を思い浮かべる、学校は王宮の西側にある貴族街の門の近くにある。
 王宮から学校の位置は少し離れているが、市井の者や位の低い家格の者も通うことを考えると警備の関係で貴族街の門近くになったと聞いている。
 ちなみに学校の門は、高位貴族の令息令嬢が出入りする門と、それ以外の者が出入する門が分かれている。
 学校の敷地はそれなりに広く使っている校舎も分かれているため、警備と学生の利便性を考慮してのことらしい。
 何せ平民街と貴族街の境の門から学校に出入りする者にとってみれば、どちらかと言えば王宮側にある学校の正門は距離がありすぎる。
 馬車を使わず徒歩で貴族街の門から学校の正門まで行こうとすると、半刻以上かかるらしいから、それならば近い場所から出入りしたいということらしい。
 何せ正門から入っても、下位貴族や一部平民の生徒が使う教室は正門とは反対の位置にある。つまり、半刻以上掛けて正門にたどり着き、また同じ時間を掛けて戻る様なものなのだ。
 基本馬車で移動する私ではこんな仕組みは思いつかなかっただろうが、この仕組みは学校ができた当初からあったらしいから当時の方々はよく考えて学校を作っていたのだと思う。

「第三騎士団の事務所と寮、それから騎士団の鍛錬場と馬場がありますから、貴族屋敷は侯爵家と伯爵家が数軒ある程度です」
「第三騎士団、そうか……」

 第三騎士団は平民街を守るのが主な役割だから、貴族街の中でも比較的平民街に近い位置に寮等がある。そこから平民街の中に数カ所ある詰所へ出向く。
 騎士団の寮もあるから、あの辺りは騎士が夜昼関係なく姿を見せているが、寮の外で気楽に食事や買い物をする者も多いから、騎士向けの店が多く、貴族の屋敷が立ち並ぶ貴族街の中でも少し様子が異なる場所だ。
 だが、平民街の様に市場が立ち並ぶようなところはない。
 元々第三騎士団の騎士たちが良く出歩いている地域だし、貴族街を担当する第二騎士団の騎士も定期的に巡回し警備にあたっているのだから、馬車を襲うような者がいたらとても目立つ筈だろうに、なぜボナクララが乗った馬車が狙われたのだろう。
 
「……巡回の騎士は、この件について何も言っていないのか」
「騎士は二刻おきに見回りをしておりますが、馬車は見回りの隙間を縫うように襲われたようです」
「巡回の時間や、順序は毎日変更されていますから、部外者が見回りの騎士がいつどの辺りを巡回するか前もって知ることは出来ないかと」

 私の呟きに、護衛二人が次々と答えるが、それなら何処かで騎士の動きを見張っていたのではないだろうか。

「襲ってきた狼藉者達は、まだ牢に?」
「はい、王太子殿下のご指示で何度か尋問を行いましたが、サデウス公爵家の馬車を狙ったわけではなく、貴族の馬車を狙っただけだと言うばかりだそうです」
「具体的にどのように襲われたのか私は聞いていないのだが、走行中の馬車を襲ったのか?」

 貴族街は細い道でも、四頭立ての馬車同士が問題なくすれ違える程度の幅があり、一番広い道幅ところは馬車の両脇にそれぞれ馬に乗った騎士が並走できるし、馬車は道の中央を走ることはせずどちらか片方に寄り、片側はいつ対向の馬車や馬が来ても良いようにあけておく。
 だから、例えば馬車が故障した振りをして停車していたしても問題無く通ることは出来る。

「はい、御者の話によると、一台の馬車から馬が外された状態で停車しており、馬を見ている者の他二人が馬車の車輪を見ていたそうで、速度を落とし脇を通り抜けようとしたところ、相手の馬が急に暴れだしたとのことです」
「それで、馬車を停車して襲われた?」
「はい」

 それならば、相手はサデウス家の馬車だとは分からず襲ったように思えるが、何か引っかかる。

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