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番外編
ほのぼの日常編2 くもさんはともだち51(蜘蛛視点)
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幼い子供でも発動出来てしまう魔法というか、まじない。
魔力があるだけで魔法をまともに使えない人間でも使えるものかどうかまで分からないが、何だか蜘蛛は大事な事を忘れている気がする。
「蜘蛛何かあるか」
「ニール様、何か蜘蛛は……忘れている様な」
「忘れている?」
「少し考えさせて欲しい」
何だろう、何を忘れている? まじないに似た事を蜘蛛は体験している気がするんだが、それはいつだ。
「主、マチルディーダが本格的に魔法を勉強するのはいつからだ」
「……え、そうだな。まずはマチルディーダと子蜘蛛の繋がりを強めてからと考えていたが、ダニエラの幼い頃の話を聞く限り魔力の制御は少しでも早く覚えさせる必要があるかもしれない。使役の魔法を行えるだけの魔力があると分かっているのだから、その魔力で火や風の魔法が発動したら大変な事になる」
ぼんやりとしていた主は、蜘蛛の問いに答えた。
まて、今何て言った。
「使役の魔法」
「どうした、蜘蛛」
「くぅちゃんどうしたの?」
蜘蛛が忘れていた事、そうだあの時マチルディーダは使役の魔法の詠唱など行わなかった。『くもしゃんとおともだちになるのぉ!』と半分眠りながら叫んで、それだけで魔力がちぃに向かって流れて使役の契約をちぃは受け入れたのだ。
「主、蜘蛛達は暢気過ぎた。覚えているか、マチルディーダはちぃと使役の契約をする時に使役の魔法の詠唱は行っていない。マチルディーダはただ、ちぃと友達になりたいと願って魔力をちぃに向かって流した。それだけだ」
「そういえば、そうだ」
「どういうことだディーン」
あの時マチルディーダが詠唱を行える筈が無かった。何せ教えていないのだから。
使役の能力があるなら、何度か失敗しても詠唱を繰り返す事で使役契約が成立する場合がある。
それを使用しなくても、主と蜘蛛が契約した様に使役の魔法陣で契約することも出来る。
マチルディーダにその能力があるのか無いのか確認する、あの時は契約を成立させるよりその意味の方が強かったのだ。
だけどマチルディーダは契約成立させてしまった。
しっかりと詠唱を覚えて唱えたわけでも、魔法陣を使ったわけでもなく、半分眠った様な状態で「友達になる」その気持ちだけで契約を成立させてしまったのだ。
「そうかマチルディーダがあの年で使役獣を得られたのは、ディーンの魔法の才能を受け継いでいるからだと安易に考えていたが、まさかダニエラと同じ事をやっていたとは」
マチルディーダがどうやってちぃと契約したか話をして、幼い頃のダニエラが風の魔法を使った時とほぼ同じだったと知ったニール様は眉をひそめて考え込んでしまった。
「ダニエラは魔法使いの才能があったのではないか? 修行したら強い魔法使いになれたかもしれないぞ」
「そうかしら」
「才能はあると思います。まじないを自分で作ってしまう程なのですから」
蜘蛛と主がダニエラの魔法の才について話しても、ダニエラは首を傾げているだけだ。
「私、そういうのは無いと思うわ。そもそも魔法使いの才能があっても攻撃魔法は怖くて使えないもの。治癒魔法が皆を守る為に必要だというなら、無理をしてでも上手に使える様にした方が良いのかもしれないけれど」
貪欲に強さを求め続け魔法使いの才を磨き続けていた主とは違い、ダニエラは呑気なものだ。
「攻撃魔法を覚えようとは思ないのか」
「くぅちゃん、私に攻撃の力は必要ないのよディーンがいるもの。必要なのは守りと治癒だと思うの。例えばディーンと離れている時に賊に襲われたとして自分達を守る為の力、助けが来るまで守り続けられる力。そういう物は必要かもしれないわ。子供達を守る為に必要なら私だって努力するわ」
主と離れている時に襲われる。
そう言われて浮かぶのは、ダニエラが見た夢の話だ。
第一王子が差し向けた者に襲われて、ダニエラと娘は王家の森に捨てられた。
あの時のダニエラに自分を守る術があれば、蜘蛛がダニエラと娘を喰う未来は無かった筈だ。
もしかするとダニエラの頭の中にも、今の蜘蛛と同じものが浮かんでいるのだろうか。
第一王子から襲われても自分と子供達を守れる力、それは今後必要になるのかもしれない。
「お前自身が相手に攻撃して身を守ろうとは思わないのか」
「お義母様とイバンに襲われた時は指輪に雷の魔法が付与されていたから何とかなりましたけれど、あの時自分が雷の魔法を習得していたとしても実際に使えたとはとても思えないのです。仮に自分で攻撃魔法を使ったとしても、少し花びらを散らすだけのつもりが大袈裟な魔法になった様に、相手を攻撃するつもりで自分を巻きこむ未来しか思い浮かびません」
「おまえ、そういう時だけ冷静な判断になるのだな」
ニール様はとても嫌そうにしているが、ダニエラは呑気なものだ。
「私はあまり賢くはありませんけれど、自分の出来る事と出来ない事位判断出来ますわ」
「おまえに今更攻撃魔法を覚えろとは言わないが、マチルディーダは何とかしないといけない。おまえより遥かに魔力が多い上、治癒魔法より難しいとされる使役の魔法まで「友達になりたい」という思いだけで契約成立させてしまうなんて前代未聞だからな。おまけにアデライザだ、頭が痛いよ」
それを考えると、蜘蛛も体験した事が無い頭痛を感じてきそうだ。
「マチルディーダは魔力の制御を早めに覚えさせましょう。あの子は賢い子ですからきっとすぐに覚えると思いますわ。大丈夫です」
「言うのは簡単だが、そう上手くいくものか」
ニール様はダニエラが魔力の制御を覚えた時に何か嫌な記憶でもあるのだろうか、どうもニール様とダニエラの間には温度差の様な物がある様に見える。
「少なくとも記憶力はかなり優秀だと思います。だって私がマチルディーダにこのまじないをしたのは、一年近く前なんですよ」
「そうなのか」
「ええ、それを覚えていて、使い時も間違っていないのですから、あの子は記憶力もあれば考える力もあると思います。だから基礎をしっかり教えさえすれば大丈夫だと思います」
自信満々に言い切るダニエラを主が尊敬の目で見ていたなんて、蜘蛛は気が付きたくなかった。
※※※※※※
おまけ
「主、どうした」
「いや、先程ダニエラとニール兄上が私にまじないをしてくれただろう」
先程主は何度もナイフで自らの腕に傷をつけ、その度にニール様やダニエラがまじないを掛けてくれていた。
『痛いの痛いの、遠くの山へ飛んでいけ』
何とも気が抜けるまじないの言葉をダニエラが言うのは兎も角、日頃冗談すら言わないニール様が真面目な顔をして主に向かっていうのは、何て言うかあれだった。
「そのまじないがどうした」
「まじないの度に、二人の魔力が私に流れて来て、とても幸せだった」
うっとり。
見たくない、気が付きたくない。
主がまじないを掛けられて、幸せそうだなんて蜘蛛は知らない知りたくない。
「それは、良かったな」
気が付きたくは無かったが、主が幸せならそれでいいじゃないか。
蜘蛛は主の使役獣なんだから、主の幸せは蜘蛛の幸せだ。
だから、否定も指摘もしない。
「ダニエラは、聖女の生まれ変わりなのかもしれない。ニール兄上は神の御使いだと思う」
これを本気で言っているのだから、蜘蛛はどうしたらいいのだろう。
うっとりとしていて、ちょっと怪しすぎるんだが。
「主、二人は人間だ」
「本当にそうだろうか、聖女でないなら女神かもしれない。だとしたらニール様は何だろう、神。そうかお二人は神が人の姿になって私の前に現れて下さったのか」
駄目だ、主がおかしい。
これは暫くそっとしておくしかないな。
賢く蜘蛛は黙って見ている。主、蜘蛛は主が変でも見捨てたりしないからな。
(ちぃは、蜘蛛と主を見てため息ついてます)
ディーンがぼんやりしていたのは、何て幸せな時間だったんだと余韻に浸っていたのです。
魔力があるだけで魔法をまともに使えない人間でも使えるものかどうかまで分からないが、何だか蜘蛛は大事な事を忘れている気がする。
「蜘蛛何かあるか」
「ニール様、何か蜘蛛は……忘れている様な」
「忘れている?」
「少し考えさせて欲しい」
何だろう、何を忘れている? まじないに似た事を蜘蛛は体験している気がするんだが、それはいつだ。
「主、マチルディーダが本格的に魔法を勉強するのはいつからだ」
「……え、そうだな。まずはマチルディーダと子蜘蛛の繋がりを強めてからと考えていたが、ダニエラの幼い頃の話を聞く限り魔力の制御は少しでも早く覚えさせる必要があるかもしれない。使役の魔法を行えるだけの魔力があると分かっているのだから、その魔力で火や風の魔法が発動したら大変な事になる」
ぼんやりとしていた主は、蜘蛛の問いに答えた。
まて、今何て言った。
「使役の魔法」
「どうした、蜘蛛」
「くぅちゃんどうしたの?」
蜘蛛が忘れていた事、そうだあの時マチルディーダは使役の魔法の詠唱など行わなかった。『くもしゃんとおともだちになるのぉ!』と半分眠りながら叫んで、それだけで魔力がちぃに向かって流れて使役の契約をちぃは受け入れたのだ。
「主、蜘蛛達は暢気過ぎた。覚えているか、マチルディーダはちぃと使役の契約をする時に使役の魔法の詠唱は行っていない。マチルディーダはただ、ちぃと友達になりたいと願って魔力をちぃに向かって流した。それだけだ」
「そういえば、そうだ」
「どういうことだディーン」
あの時マチルディーダが詠唱を行える筈が無かった。何せ教えていないのだから。
使役の能力があるなら、何度か失敗しても詠唱を繰り返す事で使役契約が成立する場合がある。
それを使用しなくても、主と蜘蛛が契約した様に使役の魔法陣で契約することも出来る。
マチルディーダにその能力があるのか無いのか確認する、あの時は契約を成立させるよりその意味の方が強かったのだ。
だけどマチルディーダは契約成立させてしまった。
しっかりと詠唱を覚えて唱えたわけでも、魔法陣を使ったわけでもなく、半分眠った様な状態で「友達になる」その気持ちだけで契約を成立させてしまったのだ。
「そうかマチルディーダがあの年で使役獣を得られたのは、ディーンの魔法の才能を受け継いでいるからだと安易に考えていたが、まさかダニエラと同じ事をやっていたとは」
マチルディーダがどうやってちぃと契約したか話をして、幼い頃のダニエラが風の魔法を使った時とほぼ同じだったと知ったニール様は眉をひそめて考え込んでしまった。
「ダニエラは魔法使いの才能があったのではないか? 修行したら強い魔法使いになれたかもしれないぞ」
「そうかしら」
「才能はあると思います。まじないを自分で作ってしまう程なのですから」
蜘蛛と主がダニエラの魔法の才について話しても、ダニエラは首を傾げているだけだ。
「私、そういうのは無いと思うわ。そもそも魔法使いの才能があっても攻撃魔法は怖くて使えないもの。治癒魔法が皆を守る為に必要だというなら、無理をしてでも上手に使える様にした方が良いのかもしれないけれど」
貪欲に強さを求め続け魔法使いの才を磨き続けていた主とは違い、ダニエラは呑気なものだ。
「攻撃魔法を覚えようとは思ないのか」
「くぅちゃん、私に攻撃の力は必要ないのよディーンがいるもの。必要なのは守りと治癒だと思うの。例えばディーンと離れている時に賊に襲われたとして自分達を守る為の力、助けが来るまで守り続けられる力。そういう物は必要かもしれないわ。子供達を守る為に必要なら私だって努力するわ」
主と離れている時に襲われる。
そう言われて浮かぶのは、ダニエラが見た夢の話だ。
第一王子が差し向けた者に襲われて、ダニエラと娘は王家の森に捨てられた。
あの時のダニエラに自分を守る術があれば、蜘蛛がダニエラと娘を喰う未来は無かった筈だ。
もしかするとダニエラの頭の中にも、今の蜘蛛と同じものが浮かんでいるのだろうか。
第一王子から襲われても自分と子供達を守れる力、それは今後必要になるのかもしれない。
「お前自身が相手に攻撃して身を守ろうとは思わないのか」
「お義母様とイバンに襲われた時は指輪に雷の魔法が付与されていたから何とかなりましたけれど、あの時自分が雷の魔法を習得していたとしても実際に使えたとはとても思えないのです。仮に自分で攻撃魔法を使ったとしても、少し花びらを散らすだけのつもりが大袈裟な魔法になった様に、相手を攻撃するつもりで自分を巻きこむ未来しか思い浮かびません」
「おまえ、そういう時だけ冷静な判断になるのだな」
ニール様はとても嫌そうにしているが、ダニエラは呑気なものだ。
「私はあまり賢くはありませんけれど、自分の出来る事と出来ない事位判断出来ますわ」
「おまえに今更攻撃魔法を覚えろとは言わないが、マチルディーダは何とかしないといけない。おまえより遥かに魔力が多い上、治癒魔法より難しいとされる使役の魔法まで「友達になりたい」という思いだけで契約成立させてしまうなんて前代未聞だからな。おまけにアデライザだ、頭が痛いよ」
それを考えると、蜘蛛も体験した事が無い頭痛を感じてきそうだ。
「マチルディーダは魔力の制御を早めに覚えさせましょう。あの子は賢い子ですからきっとすぐに覚えると思いますわ。大丈夫です」
「言うのは簡単だが、そう上手くいくものか」
ニール様はダニエラが魔力の制御を覚えた時に何か嫌な記憶でもあるのだろうか、どうもニール様とダニエラの間には温度差の様な物がある様に見える。
「少なくとも記憶力はかなり優秀だと思います。だって私がマチルディーダにこのまじないをしたのは、一年近く前なんですよ」
「そうなのか」
「ええ、それを覚えていて、使い時も間違っていないのですから、あの子は記憶力もあれば考える力もあると思います。だから基礎をしっかり教えさえすれば大丈夫だと思います」
自信満々に言い切るダニエラを主が尊敬の目で見ていたなんて、蜘蛛は気が付きたくなかった。
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おまけ
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「それは、良かったな」
気が付きたくは無かったが、主が幸せならそれでいいじゃないか。
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だから、否定も指摘もしない。
「ダニエラは、聖女の生まれ変わりなのかもしれない。ニール兄上は神の御使いだと思う」
これを本気で言っているのだから、蜘蛛はどうしたらいいのだろう。
うっとりとしていて、ちょっと怪しすぎるんだが。
「主、二人は人間だ」
「本当にそうだろうか、聖女でないなら女神かもしれない。だとしたらニール様は何だろう、神。そうかお二人は神が人の姿になって私の前に現れて下さったのか」
駄目だ、主がおかしい。
これは暫くそっとしておくしかないな。
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