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番外編
おまけ 兄の寵愛弟の思惑12(デルロイ視点)
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「エマニュエラは今後自分がどれだけ好き勝手に出来るか確認のために、母上含め王宮の者達を試しているというわけか。それは必要かもしれないが、やり方がなぁ」
困惑したような兄上の声に、不安になる。
私にとって父上や兄上は、絶対的な存在だ。何物にも動じない、王者として存在する者。
その兄上がこんな風に困惑する姿を見ると不安になる。
それは、父上が倒れられた時にも感じた不安だ。
私にとって二人は無条件に頼れる存在で、安心の源だ。
強く、賢く、尊敬できる存在。何事があっても、二人がいれば大丈夫だと思える。
それが、父上が病がちになり、兄上が困惑し私の目の前にいるだけでこんなにも不安になってしまう。
私は無力だと思う。
この国の第二王子として生まれ育ち、兄上に愛され守れらて生きて来た。
私の教育は兄上が行ってきた。教師をつけるより兄上が教えた方が良いと、兄上が私を常に側に置きたいと思ったからという理由もあるが、私が何故か相手を魅了してしまうというのもあった。
私に関わった教師達は、私に関わるうちに最大限の忠誠を誓い、私をこの世のすべてだと思い込み崇拝するようになってしまうのだ。そして私こそが王太子になるに相応しいと騒ぎ立て始める。
私に伝説の魔法、魅了の力があるのではないかと疑われたほど、私は特定の人間を魅了してしまうらしい。
長時間一緒にいるとその傾向がより強くなるから、それを心配した兄上が私に勉強を教えてくれることになった。
そう考えると、私にはなんらかの人を惹きつける魔法があって、兄上もそれに囚われていると考えるべきなのだろうが、私のその心配を兄上は「兄が弟を愛して何が悪い」と笑って跳ねのけた。
兄が弟を愛すると言うなら、私達の可愛い弟ウーゴのことも同様に兄上は溺愛して当然だと思う。
だが兄上は、ウーゴには普通だ。ウーゴも私にべったりなところがあって、むしろ二人で私を取り合っている。
「どうしたデルロイ」
考え込んでいた私を兄上とボナクララが心配そうに見つめていた。
「いえ、エマニュエラが何を考えているのかと」
私に魅了の力が、なんて考えていたとは言えずに誤魔化す。
過去に何度も悩んだ事だから、今更だ。
魔法師団にも神殿にも調べてもらったけれど、私にそんな力はなかったのだから。
「そうか。お前も不安だろうが、私に任せておきなさい」
「はい、兄上にお任せすれば安心出来ます。ね、ボナクララ」
「はい、デルロイ様」
ボナクララは私の不安げな様子を心配しながらも頷いてくれた。
「この話は終わりだ。ボナクララも今日は一緒に帰って来ると思っていたから絵師を呼んでいた。二人の制服姿を絵に残したい」
「兄上、あの」
「私が制服を着るのは無しだ。お前の頼みでも聞けない」
兄上はこうと決めたら変えない人だから、私は渋々と頷く。
私の望みは聞いていたくせに、叶えてくれないのだからつまらない。
「ボナクララ、制服が良く似あっている。デルロイと並ぶととても良い」
「ありがとうございます。王太子殿下」
男子生徒用の制服と違って、女生徒の制服は少しだけ華やかだ。
成人前とはいえ貴族令嬢が着ることが前提の制服のスカートの裾はくるぶし丈まである。
丈の短い上着は大きな白い襟が着いていて、中に着るブラウスは大きなリボンタイを結ぶ。
男子生徒用の飾り気の何もないものに比べると、女子生徒用は意匠が凝っている様に見えるし華奢なボナクララに良く似あっていると思う。
「二人とも立って私に良く制服姿を見せてくれ」
「はい、兄上」
「はい、王太子殿下」
兄上に言われるがまま立ち上がり、二人並んで兄上の前に立つ。
「うむ、実にいいな。二人が並ぶととても愛らしい」
兄上は満足そうに目を細め私達を褒めた。
わざわざ制服姿をボナクララと並んで見せるのは気恥ずかしいが、何かと忙しい兄上が満足するなら良いかと思う程度には私もボナクララも兄上が好きだ。
兄上は私に我儘を言うが、それは私と共に居たいということだけだ。どれだけ贅沢をしても許される立場の人がそれ以外を望むことはほぼ無い。むしろ私の方がそういう意味では我儘だと思う。
「デルロイが学校に通っている間、王宮にそなたがいないと思うと寂しいが、お前は勉強熱心だしボナクララと共に学ぶというのは貴重な時間だからな。我慢しよう」
「ありがとうございます。兄上。兄上のお役に立てるよう精一杯学んで参ります」
兄上の役に立てるようになりたいと思う気持ちに嘘はない。そう言えば兄上は感極まった様に立ち上がり私を抱きしめた。
「デルロイのその気持ちだけで私は十分だ。私の可愛い弟愛しているよ」
「兄上、大袈裟です」
これは大袈裟でもなんでもなく、通常の兄上だ。
私は兄上を尊敬しているし、兄上は私を愛している。
これは王家の未来を背負う王子としては、理想的な形だ。父上の後を継ぐのは兄上ただ一人、それは約束された未来だ。
「大袈裟なものか、私はデルロイを愛しているよ。ボナクララ、デルロイを支えてやってくれ」
「畏まりました。王太子殿下、殿下の想いには遠く及びませんが私もデルロイ様を大切に思っておりますから、必ずお支えいたします」
「そうか、それなら安心だ」
ボナクララの返事に笑顔になる兄上それを見つめる私、そんな光景はいつものもので当たり前にある光景でもあったのだ。
困惑したような兄上の声に、不安になる。
私にとって父上や兄上は、絶対的な存在だ。何物にも動じない、王者として存在する者。
その兄上がこんな風に困惑する姿を見ると不安になる。
それは、父上が倒れられた時にも感じた不安だ。
私にとって二人は無条件に頼れる存在で、安心の源だ。
強く、賢く、尊敬できる存在。何事があっても、二人がいれば大丈夫だと思える。
それが、父上が病がちになり、兄上が困惑し私の目の前にいるだけでこんなにも不安になってしまう。
私は無力だと思う。
この国の第二王子として生まれ育ち、兄上に愛され守れらて生きて来た。
私の教育は兄上が行ってきた。教師をつけるより兄上が教えた方が良いと、兄上が私を常に側に置きたいと思ったからという理由もあるが、私が何故か相手を魅了してしまうというのもあった。
私に関わった教師達は、私に関わるうちに最大限の忠誠を誓い、私をこの世のすべてだと思い込み崇拝するようになってしまうのだ。そして私こそが王太子になるに相応しいと騒ぎ立て始める。
私に伝説の魔法、魅了の力があるのではないかと疑われたほど、私は特定の人間を魅了してしまうらしい。
長時間一緒にいるとその傾向がより強くなるから、それを心配した兄上が私に勉強を教えてくれることになった。
そう考えると、私にはなんらかの人を惹きつける魔法があって、兄上もそれに囚われていると考えるべきなのだろうが、私のその心配を兄上は「兄が弟を愛して何が悪い」と笑って跳ねのけた。
兄が弟を愛すると言うなら、私達の可愛い弟ウーゴのことも同様に兄上は溺愛して当然だと思う。
だが兄上は、ウーゴには普通だ。ウーゴも私にべったりなところがあって、むしろ二人で私を取り合っている。
「どうしたデルロイ」
考え込んでいた私を兄上とボナクララが心配そうに見つめていた。
「いえ、エマニュエラが何を考えているのかと」
私に魅了の力が、なんて考えていたとは言えずに誤魔化す。
過去に何度も悩んだ事だから、今更だ。
魔法師団にも神殿にも調べてもらったけれど、私にそんな力はなかったのだから。
「そうか。お前も不安だろうが、私に任せておきなさい」
「はい、兄上にお任せすれば安心出来ます。ね、ボナクララ」
「はい、デルロイ様」
ボナクララは私の不安げな様子を心配しながらも頷いてくれた。
「この話は終わりだ。ボナクララも今日は一緒に帰って来ると思っていたから絵師を呼んでいた。二人の制服姿を絵に残したい」
「兄上、あの」
「私が制服を着るのは無しだ。お前の頼みでも聞けない」
兄上はこうと決めたら変えない人だから、私は渋々と頷く。
私の望みは聞いていたくせに、叶えてくれないのだからつまらない。
「ボナクララ、制服が良く似あっている。デルロイと並ぶととても良い」
「ありがとうございます。王太子殿下」
男子生徒用の制服と違って、女生徒の制服は少しだけ華やかだ。
成人前とはいえ貴族令嬢が着ることが前提の制服のスカートの裾はくるぶし丈まである。
丈の短い上着は大きな白い襟が着いていて、中に着るブラウスは大きなリボンタイを結ぶ。
男子生徒用の飾り気の何もないものに比べると、女子生徒用は意匠が凝っている様に見えるし華奢なボナクララに良く似あっていると思う。
「二人とも立って私に良く制服姿を見せてくれ」
「はい、兄上」
「はい、王太子殿下」
兄上に言われるがまま立ち上がり、二人並んで兄上の前に立つ。
「うむ、実にいいな。二人が並ぶととても愛らしい」
兄上は満足そうに目を細め私達を褒めた。
わざわざ制服姿をボナクララと並んで見せるのは気恥ずかしいが、何かと忙しい兄上が満足するなら良いかと思う程度には私もボナクララも兄上が好きだ。
兄上は私に我儘を言うが、それは私と共に居たいということだけだ。どれだけ贅沢をしても許される立場の人がそれ以外を望むことはほぼ無い。むしろ私の方がそういう意味では我儘だと思う。
「デルロイが学校に通っている間、王宮にそなたがいないと思うと寂しいが、お前は勉強熱心だしボナクララと共に学ぶというのは貴重な時間だからな。我慢しよう」
「ありがとうございます。兄上。兄上のお役に立てるよう精一杯学んで参ります」
兄上の役に立てるようになりたいと思う気持ちに嘘はない。そう言えば兄上は感極まった様に立ち上がり私を抱きしめた。
「デルロイのその気持ちだけで私は十分だ。私の可愛い弟愛しているよ」
「兄上、大袈裟です」
これは大袈裟でもなんでもなく、通常の兄上だ。
私は兄上を尊敬しているし、兄上は私を愛している。
これは王家の未来を背負う王子としては、理想的な形だ。父上の後を継ぐのは兄上ただ一人、それは約束された未来だ。
「大袈裟なものか、私はデルロイを愛しているよ。ボナクララ、デルロイを支えてやってくれ」
「畏まりました。王太子殿下、殿下の想いには遠く及びませんが私もデルロイ様を大切に思っておりますから、必ずお支えいたします」
「そうか、それなら安心だ」
ボナクララの返事に笑顔になる兄上それを見つめる私、そんな光景はいつものもので当たり前にある光景でもあったのだ。
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