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失恋やけ酒
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もう最悪な夜だわっ。
こんな日は飲まなきゃやってられないよね。
泣きたいのを堪えて電車から降りて、コンビニに直行してお酒を買い込むと、人通りのない裏道を白ワインをらっぱ飲みしながら歩いた。
付き合ってた筈の会社の先輩鈴木透さんが昨日突然結婚発表して明けて金曜日、部内でお祝いの会をしようと急遽飲み会になった。
昨日一日は頭の中が真っ白で何も考えられない状態だった。
今日になって少しはマシになったけれど、現実を受け入れられないまま一日を過ごし、部内の友達松本美紀ちゃんに引きずられる様にお店に連れていかれて、辛い二時間を過ごした。
冗談じゃなく、本当に結婚するらしい。
相手は私じゃなく、受付業務の美人で有名な花村カレンさん。
彼女がいるだけで、ぱぁっと場が華やぐ感じがする凄い美人さんで、二人並んで座っているのを見て、私二股かけられていたのだと遅ればせながら気が付いた。
透先輩と並んで座る花村さんは、とても嬉しそうに「実は授かり婚なんですよ」と美紀ちゃんに打ち明けた。
「結婚式は三月末にする予定なの。運良く希望していたホテルに式の予約が取れたから、明日はその打ち合わせなの。美紀さんと由衣さんもご招待させてね」
にこやかに美紀と私の名前を呼んで、結婚式をするというホテルの名前を教えてくれた。
ローテローザクランツホテルは、二年ほど前に出来たところで最近ある女優がそのホテルの最上階にあるチャペルで結婚式を挙げて話題になったところだ。
もし透先輩と結婚式をするなら、なんて夢うつつでそこのチャペルと披露宴について調べたらビックリするくらい高くて、それなのに予約は一年先まで埋まっていて驚いた。
それなのに、三月。今は十二月なのに、三月の予約を一体いつ取ったというの。
本当はずっと前から結婚が決まっていたのかも、私が気がつかなかっただけなのねと、苛々しながらも悲しくて、やけ食いとばかりに飲み会の席で食べまくってしまった。
「ああ、もうやってらんない」
二次会はパスして、一人で電車に乗った。
日頃あんまり食べないのにむちゃ食いしたあげく、酒豪の美紀につられて飲み慣れないハイボールとかも飲んだせいでちょっと気持ちが悪くなりながら、電車に揺られていたら車窓に映る自分の顔が今にも泣きそうに見えてきて、ぐっと奥歯を噛みしめて涙を我慢した。
「もういいわ。今晩は飲もう」
電車を降りてすぐコンビニに向かい、白ワインとカップ酒と焼酎とウィスキーと炭酸とおつまみを買いこんだ。
「見る目が無かったのよ。私に見る目が無かったの」
ぐびっと白ワインをラッパ飲み。
明日記憶が残ってたら、即黒歴史決定しそうな飲み方をしてる。
まだ十時を少し過ぎたばかりなのに、珍しく人通りがないからいいけれど。
二十五の女がしていい行動じゃない。
「明日は二日酔いだろうなあ」
やけになって買い込んだ、コンビニの袋が重い。
肩掛けのバッグに七センチヒールの黒いパンプス。仕事用のちょっとおしゃれで、でもかっちり系のワンピースの上にはベージュのコート、そんな姿でワインをラッパ飲みして歩く、二十五歳の女。
もうすぐ来るクリスマスは、透先輩と過ごす初めてのクリスマスになる予定だった。
なのに失恋、まさかの二股。
「いいよ、二日酔いになるまで飲んでやる。吐いてもいいから飲んでやる」
失恋でやけ酒、二日酔い。安っぽいドラマみたいだ。
「お嬢さん、お嬢さん。酒のあてにお稲荷さんはどうかな」
酔っ払い過ぎて、幻覚を見ているんだろうか。
それとも気がつかなかっただけ?
薄ぼんやりとついた街灯の下、白い狐面を付け紺色のはっぴを着た人が赤い屋根の屋台の中から手招きをしていたのだ。
こんな日は飲まなきゃやってられないよね。
泣きたいのを堪えて電車から降りて、コンビニに直行してお酒を買い込むと、人通りのない裏道を白ワインをらっぱ飲みしながら歩いた。
付き合ってた筈の会社の先輩鈴木透さんが昨日突然結婚発表して明けて金曜日、部内でお祝いの会をしようと急遽飲み会になった。
昨日一日は頭の中が真っ白で何も考えられない状態だった。
今日になって少しはマシになったけれど、現実を受け入れられないまま一日を過ごし、部内の友達松本美紀ちゃんに引きずられる様にお店に連れていかれて、辛い二時間を過ごした。
冗談じゃなく、本当に結婚するらしい。
相手は私じゃなく、受付業務の美人で有名な花村カレンさん。
彼女がいるだけで、ぱぁっと場が華やぐ感じがする凄い美人さんで、二人並んで座っているのを見て、私二股かけられていたのだと遅ればせながら気が付いた。
透先輩と並んで座る花村さんは、とても嬉しそうに「実は授かり婚なんですよ」と美紀ちゃんに打ち明けた。
「結婚式は三月末にする予定なの。運良く希望していたホテルに式の予約が取れたから、明日はその打ち合わせなの。美紀さんと由衣さんもご招待させてね」
にこやかに美紀と私の名前を呼んで、結婚式をするというホテルの名前を教えてくれた。
ローテローザクランツホテルは、二年ほど前に出来たところで最近ある女優がそのホテルの最上階にあるチャペルで結婚式を挙げて話題になったところだ。
もし透先輩と結婚式をするなら、なんて夢うつつでそこのチャペルと披露宴について調べたらビックリするくらい高くて、それなのに予約は一年先まで埋まっていて驚いた。
それなのに、三月。今は十二月なのに、三月の予約を一体いつ取ったというの。
本当はずっと前から結婚が決まっていたのかも、私が気がつかなかっただけなのねと、苛々しながらも悲しくて、やけ食いとばかりに飲み会の席で食べまくってしまった。
「ああ、もうやってらんない」
二次会はパスして、一人で電車に乗った。
日頃あんまり食べないのにむちゃ食いしたあげく、酒豪の美紀につられて飲み慣れないハイボールとかも飲んだせいでちょっと気持ちが悪くなりながら、電車に揺られていたら車窓に映る自分の顔が今にも泣きそうに見えてきて、ぐっと奥歯を噛みしめて涙を我慢した。
「もういいわ。今晩は飲もう」
電車を降りてすぐコンビニに向かい、白ワインとカップ酒と焼酎とウィスキーと炭酸とおつまみを買いこんだ。
「見る目が無かったのよ。私に見る目が無かったの」
ぐびっと白ワインをラッパ飲み。
明日記憶が残ってたら、即黒歴史決定しそうな飲み方をしてる。
まだ十時を少し過ぎたばかりなのに、珍しく人通りがないからいいけれど。
二十五の女がしていい行動じゃない。
「明日は二日酔いだろうなあ」
やけになって買い込んだ、コンビニの袋が重い。
肩掛けのバッグに七センチヒールの黒いパンプス。仕事用のちょっとおしゃれで、でもかっちり系のワンピースの上にはベージュのコート、そんな姿でワインをラッパ飲みして歩く、二十五歳の女。
もうすぐ来るクリスマスは、透先輩と過ごす初めてのクリスマスになる予定だった。
なのに失恋、まさかの二股。
「いいよ、二日酔いになるまで飲んでやる。吐いてもいいから飲んでやる」
失恋でやけ酒、二日酔い。安っぽいドラマみたいだ。
「お嬢さん、お嬢さん。酒のあてにお稲荷さんはどうかな」
酔っ払い過ぎて、幻覚を見ているんだろうか。
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薄ぼんやりとついた街灯の下、白い狐面を付け紺色のはっぴを着た人が赤い屋根の屋台の中から手招きをしていたのだ。
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