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妹の恋の始まり1
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「お、お姉様おかしくありませんか」
何度聞いたか分からないカレンの声に、私は大げさに息を吐きました。
艶のある長い髪は、二つの緩い三編みにした後、幅広のリボンで一つに纏めています。
普通の令嬢であれば地味な紙形も、愛らしいカレンがすると細い首がより華奢に見え儚げで見惚れてしまいます。
これは姉の欲目ではありません。
「よく似合っているわよ。安心なさいな」
「でも、何だか慣れなくて不安なんですもの」
「ドレスと髪型も合っているし、肌の手入れも十分よ。今朝薔薇の花から生まれた妖精だと言われても信じてしまいそうよ」
これが冗談でも大袈裟でも無いのですから、この子の美しさは本物です。
恐ろしいことに、お母様の隣にカレンが立つと姉妹にしか見えないのですがこれは神様の悪戯なのでしょうか。
私もお母様似で生まれたかったものです。
「もう、お姉様からかわないで下さいませ」
「ふふふ。落ち着かない気持ちも分かるけれど落ち着いて座っていないと出掛ける前に疲れてしまうわよ」
今日カレンは第三王子殿下と初めてのお出掛けです。
私とディアスが出掛けた植物園の喫茶室で買い求めた焼き菓子が美味しかったとカレンが殿下への手紙に綴り、それなら一緒に出掛けようと誘って下さったのだそうです。
顔合わせの後手紙の交換はしていたものの会う機会がなく、今日の誘いについて手紙を受け取ってから、カレンはずっとそわそわしっぱなしでした。
気持ちは良く分かります。
「そうですね、落ち着きます」
「匂い袋には上手くまじないが出来たのでしょう?」
「はい。怪我防止と少々の体力回復と解毒です」
カレンの言葉に私は目を見開きました。
三つも効果がついているお守り等、王都の神殿ですら扱ってはいないのではないでしょうか。
「あなた凄いものを作ったわね」
「はい、頑張りました。私の得意分野ですから」
得意そうな妹は幼い子供の様ですが、とても頼もしい笑顔です。
「あなた、治癒魔法だけでなくまじないも大得意なのね。知らなかったわ」
まじないは治療院で一緒に働く神官についでにと教えられたと聞いていましたが、まさかこんなに凄い物が出来るとは思っていませんでした。
「だって魔物討伐に向かうお父様達やお姉様に怪我等して欲しくなかったのですもの、沢山練習しましたのよ」
「まさか、私達のローブについているまじないもあなたが」
「勿論です。お姉様のローブはアラクネの糸で織った布で作られていますから、怪我、麻痺、毒防止に徐々に体力と魔力の回復、幸運向上をつけていますのよ。さすが上級魔物アラクネの糸ですね。魔力の通りが良くて沢山付けられました」
なんでもないことの様に言いますが、そんなまじないの重ね付け等聞いたことがありません。
私の妹は、もしかしたらとんでもない能力の持ち主なのではないでしょうか。
「知らなかったわ。私の為に無理したのではないの」
「いいえ。全然、攻撃魔法が使えない私はこんなことでしか領地に貢献できるものが無いのですもの。お姉様達が怪我無く帰ってきてくださるならいくらでも」
にっこりと笑う妹は、もしかしたら聖女なのではないでしょうか。
そう思いたくなる程妹は清らかな笑顔で私を見ていたのです。
何度聞いたか分からないカレンの声に、私は大げさに息を吐きました。
艶のある長い髪は、二つの緩い三編みにした後、幅広のリボンで一つに纏めています。
普通の令嬢であれば地味な紙形も、愛らしいカレンがすると細い首がより華奢に見え儚げで見惚れてしまいます。
これは姉の欲目ではありません。
「よく似合っているわよ。安心なさいな」
「でも、何だか慣れなくて不安なんですもの」
「ドレスと髪型も合っているし、肌の手入れも十分よ。今朝薔薇の花から生まれた妖精だと言われても信じてしまいそうよ」
これが冗談でも大袈裟でも無いのですから、この子の美しさは本物です。
恐ろしいことに、お母様の隣にカレンが立つと姉妹にしか見えないのですがこれは神様の悪戯なのでしょうか。
私もお母様似で生まれたかったものです。
「もう、お姉様からかわないで下さいませ」
「ふふふ。落ち着かない気持ちも分かるけれど落ち着いて座っていないと出掛ける前に疲れてしまうわよ」
今日カレンは第三王子殿下と初めてのお出掛けです。
私とディアスが出掛けた植物園の喫茶室で買い求めた焼き菓子が美味しかったとカレンが殿下への手紙に綴り、それなら一緒に出掛けようと誘って下さったのだそうです。
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気持ちは良く分かります。
「そうですね、落ち着きます」
「匂い袋には上手くまじないが出来たのでしょう?」
「はい。怪我防止と少々の体力回復と解毒です」
カレンの言葉に私は目を見開きました。
三つも効果がついているお守り等、王都の神殿ですら扱ってはいないのではないでしょうか。
「あなた凄いものを作ったわね」
「はい、頑張りました。私の得意分野ですから」
得意そうな妹は幼い子供の様ですが、とても頼もしい笑顔です。
「あなた、治癒魔法だけでなくまじないも大得意なのね。知らなかったわ」
まじないは治療院で一緒に働く神官についでにと教えられたと聞いていましたが、まさかこんなに凄い物が出来るとは思っていませんでした。
「だって魔物討伐に向かうお父様達やお姉様に怪我等して欲しくなかったのですもの、沢山練習しましたのよ」
「まさか、私達のローブについているまじないもあなたが」
「勿論です。お姉様のローブはアラクネの糸で織った布で作られていますから、怪我、麻痺、毒防止に徐々に体力と魔力の回復、幸運向上をつけていますのよ。さすが上級魔物アラクネの糸ですね。魔力の通りが良くて沢山付けられました」
なんでもないことの様に言いますが、そんなまじないの重ね付け等聞いたことがありません。
私の妹は、もしかしたらとんでもない能力の持ち主なのではないでしょうか。
「知らなかったわ。私の為に無理したのではないの」
「いいえ。全然、攻撃魔法が使えない私はこんなことでしか領地に貢献できるものが無いのですもの。お姉様達が怪我無く帰ってきてくださるならいくらでも」
にっこりと笑う妹は、もしかしたら聖女なのではないでしょうか。
そう思いたくなる程妹は清らかな笑顔で私を見ていたのです。
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