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決断は、誰のため
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「フィリップ殿下を侯爵家に婿入りさせたいが為に、そこまで王妃様がされると、お父様達は考えておいでなのですね」
屋敷を出るときの二人の言葉の違和感はこれだったのだと、今更ながら気がつきました。
「お父様達は私を領地ではなく、どこか違う場所に?」
「門を出る時療養の為としたでしょう? ですから暫くはここに、そして療養の甲斐無く亡くなったと手続きをすると聞いているわ」
そう偽り侯爵家の鬼籍に入った私をどうするつもりでしょう。
いいえ、私はそんな事を望んではいないのです。
「私に家を捨てろと?そんなこと出来ません」
頭に浮かんだのは、第一門で対応してくれた門番の言葉でした。
私の作った教材で勉強して、王都で門番として働ける様になるまで頑張った彼の言葉。
「本当にそれでいいの?」
「お兄様が亡くなった理由が病でない可能性があると聞いて、自分だけ逃げようなど思いません。それに私の命を守るために殿下に領地を渡す等したら、私は祖先に顔向け出来ません」
私は勉強不足の次期当主として望む未来がありました。
領地を豊かにして、領民が皆幸せになる様に努力し続ける。豊かな領地を守り、さらに豊かになるように育てる。
現実の辛さを知らない、そう笑われても仕方がなくとも私は己の命が尽きるその日まで民のために生きると誓ったのです。
「そう。あなたはそう言うと思っていたけれどそれでいいのね」
私の答えに、おばあ様は深く息を付きました。
「あなたは知らないだろうけれど、侯爵は神聖契約をするそうよ」
「お父様が、何故ですか」
「フローリアが侯爵家を継ぎ、婚姻し子を生み育てる。それが侯爵が行う神聖契約だそうです。破ったときの代償は侯爵の命」
「それは、もし私が鬼籍に入る手続きをしたら?」
「侯爵は、その時点で命を失うでしょう。その場合侯爵の後はブライス伯爵が継ぐと」
「ケネス」
思わずケネスの名を呼ぶと、苦虫を潰した様な顔で「親父は領地を守るためならと」と答えました。
「侯爵が存命であればこそ、養女と殿下が婚姻して継ぐことは出来る。でもその前に命を落とせば侯爵が指名した人間が継ぐか爵位返上するしかないわ。誰を指名したかは神殿に届けてあるから、王家は介入出来ないわ。侯爵が指名しているのは弟であるブライス伯爵よ。ブライス家は伯爵の息子が三人、嫡男には既に子もある。流石にそれだけの命を儚くするなど出来ないでしょう」
私の命を守り、短絡的すぎる殿下と、自分だけが良ければいい王妃様、二人に侯爵家を好き勝手されないためにお父様が決断されたのだと理解できてしまいます。
「お父様、まさかもう」
「あなたが王都を出る日に契約を行うと聞いているわ」
「なんてことを」
すでに契約がなされたのだとしたら、私がそれを知らずに提案を受け入れていたら、お父様の命を縮めることになったのです。
「おばあ様お話しの途中で申し訳ありません。手紙を、お父様に手紙を書かせてください」
「あぁ、あなたは魔道具を持っていたのね。いいわ、隣に用意を……」
「いいえ、ここで。道具はあります」
おばあ様に許可を頂いてすぐ、私はいつも身に付けている送信の魔道具から予備の紙と羽ペンを取り出すとインクを付けて書き始めました。
予備の紙は掌程の大きさです。
私は逃げません。私はゾルーティア家の名を継ぐものとして生き、次代を生み育てます。
お願いですお父様、私を祖先に顔向けできない恥知らずの娘にしないで下さい。
そう記した私は、魔道具を発動させるとお父様の返事を待ったのです。
屋敷を出るときの二人の言葉の違和感はこれだったのだと、今更ながら気がつきました。
「お父様達は私を領地ではなく、どこか違う場所に?」
「門を出る時療養の為としたでしょう? ですから暫くはここに、そして療養の甲斐無く亡くなったと手続きをすると聞いているわ」
そう偽り侯爵家の鬼籍に入った私をどうするつもりでしょう。
いいえ、私はそんな事を望んではいないのです。
「私に家を捨てろと?そんなこと出来ません」
頭に浮かんだのは、第一門で対応してくれた門番の言葉でした。
私の作った教材で勉強して、王都で門番として働ける様になるまで頑張った彼の言葉。
「本当にそれでいいの?」
「お兄様が亡くなった理由が病でない可能性があると聞いて、自分だけ逃げようなど思いません。それに私の命を守るために殿下に領地を渡す等したら、私は祖先に顔向け出来ません」
私は勉強不足の次期当主として望む未来がありました。
領地を豊かにして、領民が皆幸せになる様に努力し続ける。豊かな領地を守り、さらに豊かになるように育てる。
現実の辛さを知らない、そう笑われても仕方がなくとも私は己の命が尽きるその日まで民のために生きると誓ったのです。
「そう。あなたはそう言うと思っていたけれどそれでいいのね」
私の答えに、おばあ様は深く息を付きました。
「あなたは知らないだろうけれど、侯爵は神聖契約をするそうよ」
「お父様が、何故ですか」
「フローリアが侯爵家を継ぎ、婚姻し子を生み育てる。それが侯爵が行う神聖契約だそうです。破ったときの代償は侯爵の命」
「それは、もし私が鬼籍に入る手続きをしたら?」
「侯爵は、その時点で命を失うでしょう。その場合侯爵の後はブライス伯爵が継ぐと」
「ケネス」
思わずケネスの名を呼ぶと、苦虫を潰した様な顔で「親父は領地を守るためならと」と答えました。
「侯爵が存命であればこそ、養女と殿下が婚姻して継ぐことは出来る。でもその前に命を落とせば侯爵が指名した人間が継ぐか爵位返上するしかないわ。誰を指名したかは神殿に届けてあるから、王家は介入出来ないわ。侯爵が指名しているのは弟であるブライス伯爵よ。ブライス家は伯爵の息子が三人、嫡男には既に子もある。流石にそれだけの命を儚くするなど出来ないでしょう」
私の命を守り、短絡的すぎる殿下と、自分だけが良ければいい王妃様、二人に侯爵家を好き勝手されないためにお父様が決断されたのだと理解できてしまいます。
「お父様、まさかもう」
「あなたが王都を出る日に契約を行うと聞いているわ」
「なんてことを」
すでに契約がなされたのだとしたら、私がそれを知らずに提案を受け入れていたら、お父様の命を縮めることになったのです。
「おばあ様お話しの途中で申し訳ありません。手紙を、お父様に手紙を書かせてください」
「あぁ、あなたは魔道具を持っていたのね。いいわ、隣に用意を……」
「いいえ、ここで。道具はあります」
おばあ様に許可を頂いてすぐ、私はいつも身に付けている送信の魔道具から予備の紙と羽ペンを取り出すとインクを付けて書き始めました。
予備の紙は掌程の大きさです。
私は逃げません。私はゾルーティア家の名を継ぐものとして生き、次代を生み育てます。
お願いですお父様、私を祖先に顔向けできない恥知らずの娘にしないで下さい。
そう記した私は、魔道具を発動させるとお父様の返事を待ったのです。
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