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愚かな行為だと知らなかった2(フィリップ殿下視点)
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「失礼致します。フィリップを連れて参りました」
「ご苦労」
父上は理由を話せば分かってくれる筈だ。
そう信じて執務室へと足を運んだ。
兄上はあの後は一度もこちらを見ることはなく、黙々と歩いていて声を掛けても返事すらない。
自分が母上に愛されていないと悲しんでいるのだろう。
常に横柄な態度の兄上が落ち込んでいる姿を見るのは気分が良かった。
「父上お時間を取ってくださりありが……侯爵!あなたを未来の義父と思い進言するが、フローリアの態度は目に余る。謝罪もないとはどういうつもりだ」
ソファーに座っているゾルティーア侯爵の姿を見つけて、執務机のところにいる父上に見せつけるように叱責する。
「王族から婚約破棄をするなら兎も角、一臣下の娘でしかないフローリアからの婚約破棄など常識はずれもいいところだ。お前はどんな教育をしている。だからあんな可愛げのない女に育つんだ」
これで父上への説明も出来た。
フローリアが勝手に婚約破棄をしたのだ、俺は認めていないんだから、こんなのは無効だ。
「フィリップ、お前は不貞の証明書に不貞の相手と共に署名しておるが、それは間違いだと?」
不機嫌そうな父上の声、そうだろう侯爵もフローリアも王家に不敬過ぎる。
父上がお怒りになって当然だ。
「署名は騙されてしてしまったのです」
「娘からは殿下は運命の相手を見つけた。婚約など運命の恋の前ではゴミ同然だと言われたと聞いておりますが、それもフローリアが殿下を騙して言わせたと?」
「そ、そうだ」
「フィリップ、嘘はないな?もし今の発言が嘘だった場合、どう責任を取る」
「嘘だと証明出来るなら、謹慎でも幽閉でも甘んじて受けましょう」
あの場にいたのは、フローリアとエミリアと俺の三人。
フローリアはここにいないし、エミリアが呼ばれたとしても俺に不利になる発言などする筈がない。
「そうか、せめて自分の口から過ちを反省していると言うならと考えていたのだが」
有利なのは自分だと信じていたのに、父上の言葉で不安になる。
父上が許可しないから、ソファーに座ることすら出来ない。
兄上はいつの間にか父上の背後に立っている。
まるで自分は父上に信用されていると言わんばかりの行動だ。
「生徒会室で一人仕事をするフローリア嬢のところに、フィリップ殿下と不貞の相手二人が入室、大事な話があると言い出したフィリップ殿下にフローリア嬢は急ぎの仕事だけ片付けさせて欲しいと願い出ると、大事な話だと言っているだろうとフローリア嬢を叱責」
「そうなのです!フローリアは私が大事な話だというのに仕事を優先させたのです!どちらが大事かの判断すら出来ないのですっ!あれ?」
いつもいつもフローリアは、私より生徒会の仕事を優先させる。
お茶を入れさせれば、生徒会室にいる全員に茶を入れご機嫌取りをする。
何故婚約者である俺だけにしない。
日頃の怒りに任せて捲し立て、気がついた。
どうして父上がそれを知っているのだ?
「なぜ生徒会役員でもないフローリア嬢が仕事をしているのか、その辺りの話しは後で聞く」
「父上、その書類は」
「これは、お前に付けている影からの報告だ。通常はお前に危機が無ければ細かい報告など聞かないが、こうして記録は残っている」
そ、それは。
そんなのが俺についているなんて知らなかった。
「記録には、先程侯爵が言った言葉そのまま記載があるぞ、書類についてもフローリア嬢はお前を騙していない。お前の目の前に書類を出し、お前自身に署名させて、その場で侯爵へ書類を送っているのだからな。お前は嘘を言ったのだな」
父上の顔がどんどん険しくなっていく。
父上は嘘や誤魔化しを何より嫌っている。
それは臣下に対してだけでなく、子供に対してもそうだ。
でもまだ大丈夫だ。
父上は母上に甘いのだ、母上に取りなして貰えばいいのだ。
「ですが、俺、私は」
俺と言ってから慌てて言い直す。
言葉使いが悪いとお叱りを受けたばかりだ。機嫌を悪くしている父上の前で気を抜いてはいけない。
「弁明などいらぬ。謹慎も幽閉も甘んじて受けると言ったな」
「父上っ、それは」
「それも嘘だと申すか」
「い、いえ。ですが、本当に?」
謹慎は兄上が大袈裟に言っているのだと思っていた。
だってそんな悪いことをしたわけじゃない。
悪いのは、私の気持ちを理解しないフローリアの方なんだ。
「ご苦労」
父上は理由を話せば分かってくれる筈だ。
そう信じて執務室へと足を運んだ。
兄上はあの後は一度もこちらを見ることはなく、黙々と歩いていて声を掛けても返事すらない。
自分が母上に愛されていないと悲しんでいるのだろう。
常に横柄な態度の兄上が落ち込んでいる姿を見るのは気分が良かった。
「父上お時間を取ってくださりありが……侯爵!あなたを未来の義父と思い進言するが、フローリアの態度は目に余る。謝罪もないとはどういうつもりだ」
ソファーに座っているゾルティーア侯爵の姿を見つけて、執務机のところにいる父上に見せつけるように叱責する。
「王族から婚約破棄をするなら兎も角、一臣下の娘でしかないフローリアからの婚約破棄など常識はずれもいいところだ。お前はどんな教育をしている。だからあんな可愛げのない女に育つんだ」
これで父上への説明も出来た。
フローリアが勝手に婚約破棄をしたのだ、俺は認めていないんだから、こんなのは無効だ。
「フィリップ、お前は不貞の証明書に不貞の相手と共に署名しておるが、それは間違いだと?」
不機嫌そうな父上の声、そうだろう侯爵もフローリアも王家に不敬過ぎる。
父上がお怒りになって当然だ。
「署名は騙されてしてしまったのです」
「娘からは殿下は運命の相手を見つけた。婚約など運命の恋の前ではゴミ同然だと言われたと聞いておりますが、それもフローリアが殿下を騙して言わせたと?」
「そ、そうだ」
「フィリップ、嘘はないな?もし今の発言が嘘だった場合、どう責任を取る」
「嘘だと証明出来るなら、謹慎でも幽閉でも甘んじて受けましょう」
あの場にいたのは、フローリアとエミリアと俺の三人。
フローリアはここにいないし、エミリアが呼ばれたとしても俺に不利になる発言などする筈がない。
「そうか、せめて自分の口から過ちを反省していると言うならと考えていたのだが」
有利なのは自分だと信じていたのに、父上の言葉で不安になる。
父上が許可しないから、ソファーに座ることすら出来ない。
兄上はいつの間にか父上の背後に立っている。
まるで自分は父上に信用されていると言わんばかりの行動だ。
「生徒会室で一人仕事をするフローリア嬢のところに、フィリップ殿下と不貞の相手二人が入室、大事な話があると言い出したフィリップ殿下にフローリア嬢は急ぎの仕事だけ片付けさせて欲しいと願い出ると、大事な話だと言っているだろうとフローリア嬢を叱責」
「そうなのです!フローリアは私が大事な話だというのに仕事を優先させたのです!どちらが大事かの判断すら出来ないのですっ!あれ?」
いつもいつもフローリアは、私より生徒会の仕事を優先させる。
お茶を入れさせれば、生徒会室にいる全員に茶を入れご機嫌取りをする。
何故婚約者である俺だけにしない。
日頃の怒りに任せて捲し立て、気がついた。
どうして父上がそれを知っているのだ?
「なぜ生徒会役員でもないフローリア嬢が仕事をしているのか、その辺りの話しは後で聞く」
「父上、その書類は」
「これは、お前に付けている影からの報告だ。通常はお前に危機が無ければ細かい報告など聞かないが、こうして記録は残っている」
そ、それは。
そんなのが俺についているなんて知らなかった。
「記録には、先程侯爵が言った言葉そのまま記載があるぞ、書類についてもフローリア嬢はお前を騙していない。お前の目の前に書類を出し、お前自身に署名させて、その場で侯爵へ書類を送っているのだからな。お前は嘘を言ったのだな」
父上の顔がどんどん険しくなっていく。
父上は嘘や誤魔化しを何より嫌っている。
それは臣下に対してだけでなく、子供に対してもそうだ。
でもまだ大丈夫だ。
父上は母上に甘いのだ、母上に取りなして貰えばいいのだ。
「ですが、俺、私は」
俺と言ってから慌てて言い直す。
言葉使いが悪いとお叱りを受けたばかりだ。機嫌を悪くしている父上の前で気を抜いてはいけない。
「弁明などいらぬ。謹慎も幽閉も甘んじて受けると言ったな」
「父上っ、それは」
「それも嘘だと申すか」
「い、いえ。ですが、本当に?」
謹慎は兄上が大袈裟に言っているのだと思っていた。
だってそんな悪いことをしたわけじゃない。
悪いのは、私の気持ちを理解しないフローリアの方なんだ。
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