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王妃様を代償に
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「王妃様が私に手を出してくる可能性は高いと思います」
「侯爵家に殿下が婿入りするにはお嬢様がいなければならないのではありませんか、それを手を出すとは」
それは常識を持った人の考えです。
王妃様の性格を考えればそれはありえないと、考えつく筈です。
「私の命を奪い、フィリップ殿下に都合がいい者を侯爵家の跡継ぎにする。そう考えている筈です。ですが、私の父は私が侯爵家を継ぎ、婚姻し子を生み育てる。そういう神聖契約を行ったそうです。破ったときの代償は父の命として。そして私は王家の方と二度と縁を結ばないと神聖契約を行っています。私の代償も私の命です」
「な、なんてことを」
「父は自分の命を代償とした時は、自分の弟に跡を継がせる旨を提出しています。私だけが命を落とし父が存命であれば、縁者から養子をとることになりますが、父も命を落とした場合は提出済みの跡継ぎが家を継ぐことになります。父の弟にはすでに妻帯して子もいる息子がいますから、フィリップ殿下が婿入りすることは出来なくなります」
ただそれを王妃様がご存じかどうかは分かりません。
もしご存じだとしたら、フィリップ殿下の婿入りが出来なくなったことへの憤りで私の命を狙う可能性がありそうです。どちらにしても私の命は狙われているのでしょう。
「なんていうことを」
「王妃様は我が侯爵家に固執していらっしゃいます。フィリップ殿下が新しく家を興せるのは伯爵位まで、それ以上は望めません。そして私以外の年が合う侯爵家、公爵家の令嬢はいませんから王妃様の選択肢もないのです」
見事な程に侯爵家、公爵家の令嬢は婚約しています。
そもそも家を継ぐ侯爵家、公爵家の令嬢という条件があるのですから、もともと該当者が少ないのです。
「婚約者がいない侯爵家、公爵家を継ぐ予定の令嬢はたった二人です。おひとりはまだ二歳、もうお一方は先日生まれたばかりです。ご両親がお若いのでこれから男子が生まれる可能性もあります」
「そうですね。さすがの王妃様もそのお二人はお選びにならないでしょう」
「残りは伯爵家ですが。そうならご自分で自由にできる伯爵位をフィリップ殿下に与えるでしょう」
王妃様にはそれでは駄目なのですから、侯爵家はまだまだ狙われ続けるのでしょう。
「王妃様の動きを封じる為、私は神聖契約を私が行えないかと考えていました」
「お嬢様が王妃様を代償に神聖契約ということでしょうか」
「いいえ、王妃様の行動を神聖契約し、代償も王妃様にお支払い頂くのです」
それが私の計画でした。
もしそれが可能であるならと考えていたのです。
「王妃様に神聖契約を行えるのは陛下のみです」
「そうですね。では、神聖契約で行動の回数を制限し代償を小分けに支払うのはどうでしょうか」
「それは、どういうことでしょうか」
「過去に遡り、王妃様が侯爵家の者の命を奪おうと命令及び自分が行動した場合、王妃様の容姿が十年分を取る。その回数が十回に到達した場合、契約を破った証を額に受ける」
それが私が考えた神聖契約です。
王妃様はご自分の容姿に自信を持っておいでです。
それがあるから陛下からの寵愛を受けていると自覚されているのです。
「命を代償にせず、容姿だけが一度につき十年分の年を取る。十回で百年分の老いとなるということですね」
「そうです。命は代償にしません。それでは王妃様と同じになってしまいます。自分の目的の為命を狙うのではなく、王妃様の美貌を代償にします」
「つまり王妃様が侯爵家の方々を狙ってさえいなければ何の問題もない。遡ってということはお嬢様のお兄様のお命も含まれるのですね」
「はい。王妃様の年齢で仮に十年の年を急に容姿が衰えたとしたら、それだけで十分な衝撃になるでしょう」
お兄様の件、それ以外に何度か命を狙っていたかもしれません。
少なくともお兄様とエミリアさんの放火の二回、つまり二十年分の容姿の衰えが起きるはずです。
「それを陛下が了承下されば、少なくとも十年の老いが王妃様に起きるのですね」
「何度かわかりませんが、それで王妃様の動きは封じられるのではないかと思います。後は、私は私を囮に証拠をつかみたいと考えています」
「囮?」
「はい。王妃様の現在の侍医、多分彼は当時王妃様の懐妊を偽証した人の筈です。二十年近く王妃様の侍医を務めていると聞いたことがありますから」
つまり彼はお兄様の命を縮めた本人である可能性があるのです。
「私が体調を崩し王都の屋敷で寝込んでいるとしたら、王妃様は絶好の機会だと思うのではないでしょうか。そこにイオン様にいていただき、侍医の解呪をしていただくのです」
陛下が王妃様に精神操作の魔法を使われているのなら、侍医も同じように魔法を使われているのではないでしょうか。イオン様の解呪の魔法が本当に王妃様の魔法に対抗できるのなら、そこで侍医の魔法を解呪して、そして。
「そんな危ないこと、許可出来るわけないだろ」
「でもこれが最善だと思うの。もし王妃様に神聖契約が出来なくても。王妃様が侍医を私に派遣するように仕向けられたら、解呪の機会を得られるのよ」
逃げてばかりはいられません。
私は自分を囮に王妃様と戦うと決めたのです。
「侯爵家に殿下が婿入りするにはお嬢様がいなければならないのではありませんか、それを手を出すとは」
それは常識を持った人の考えです。
王妃様の性格を考えればそれはありえないと、考えつく筈です。
「私の命を奪い、フィリップ殿下に都合がいい者を侯爵家の跡継ぎにする。そう考えている筈です。ですが、私の父は私が侯爵家を継ぎ、婚姻し子を生み育てる。そういう神聖契約を行ったそうです。破ったときの代償は父の命として。そして私は王家の方と二度と縁を結ばないと神聖契約を行っています。私の代償も私の命です」
「な、なんてことを」
「父は自分の命を代償とした時は、自分の弟に跡を継がせる旨を提出しています。私だけが命を落とし父が存命であれば、縁者から養子をとることになりますが、父も命を落とした場合は提出済みの跡継ぎが家を継ぐことになります。父の弟にはすでに妻帯して子もいる息子がいますから、フィリップ殿下が婿入りすることは出来なくなります」
ただそれを王妃様がご存じかどうかは分かりません。
もしご存じだとしたら、フィリップ殿下の婿入りが出来なくなったことへの憤りで私の命を狙う可能性がありそうです。どちらにしても私の命は狙われているのでしょう。
「なんていうことを」
「王妃様は我が侯爵家に固執していらっしゃいます。フィリップ殿下が新しく家を興せるのは伯爵位まで、それ以上は望めません。そして私以外の年が合う侯爵家、公爵家の令嬢はいませんから王妃様の選択肢もないのです」
見事な程に侯爵家、公爵家の令嬢は婚約しています。
そもそも家を継ぐ侯爵家、公爵家の令嬢という条件があるのですから、もともと該当者が少ないのです。
「婚約者がいない侯爵家、公爵家を継ぐ予定の令嬢はたった二人です。おひとりはまだ二歳、もうお一方は先日生まれたばかりです。ご両親がお若いのでこれから男子が生まれる可能性もあります」
「そうですね。さすがの王妃様もそのお二人はお選びにならないでしょう」
「残りは伯爵家ですが。そうならご自分で自由にできる伯爵位をフィリップ殿下に与えるでしょう」
王妃様にはそれでは駄目なのですから、侯爵家はまだまだ狙われ続けるのでしょう。
「王妃様の動きを封じる為、私は神聖契約を私が行えないかと考えていました」
「お嬢様が王妃様を代償に神聖契約ということでしょうか」
「いいえ、王妃様の行動を神聖契約し、代償も王妃様にお支払い頂くのです」
それが私の計画でした。
もしそれが可能であるならと考えていたのです。
「王妃様に神聖契約を行えるのは陛下のみです」
「そうですね。では、神聖契約で行動の回数を制限し代償を小分けに支払うのはどうでしょうか」
「それは、どういうことでしょうか」
「過去に遡り、王妃様が侯爵家の者の命を奪おうと命令及び自分が行動した場合、王妃様の容姿が十年分を取る。その回数が十回に到達した場合、契約を破った証を額に受ける」
それが私が考えた神聖契約です。
王妃様はご自分の容姿に自信を持っておいでです。
それがあるから陛下からの寵愛を受けていると自覚されているのです。
「命を代償にせず、容姿だけが一度につき十年分の年を取る。十回で百年分の老いとなるということですね」
「そうです。命は代償にしません。それでは王妃様と同じになってしまいます。自分の目的の為命を狙うのではなく、王妃様の美貌を代償にします」
「つまり王妃様が侯爵家の方々を狙ってさえいなければ何の問題もない。遡ってということはお嬢様のお兄様のお命も含まれるのですね」
「はい。王妃様の年齢で仮に十年の年を急に容姿が衰えたとしたら、それだけで十分な衝撃になるでしょう」
お兄様の件、それ以外に何度か命を狙っていたかもしれません。
少なくともお兄様とエミリアさんの放火の二回、つまり二十年分の容姿の衰えが起きるはずです。
「それを陛下が了承下されば、少なくとも十年の老いが王妃様に起きるのですね」
「何度かわかりませんが、それで王妃様の動きは封じられるのではないかと思います。後は、私は私を囮に証拠をつかみたいと考えています」
「囮?」
「はい。王妃様の現在の侍医、多分彼は当時王妃様の懐妊を偽証した人の筈です。二十年近く王妃様の侍医を務めていると聞いたことがありますから」
つまり彼はお兄様の命を縮めた本人である可能性があるのです。
「私が体調を崩し王都の屋敷で寝込んでいるとしたら、王妃様は絶好の機会だと思うのではないでしょうか。そこにイオン様にいていただき、侍医の解呪をしていただくのです」
陛下が王妃様に精神操作の魔法を使われているのなら、侍医も同じように魔法を使われているのではないでしょうか。イオン様の解呪の魔法が本当に王妃様の魔法に対抗できるのなら、そこで侍医の魔法を解呪して、そして。
「そんな危ないこと、許可出来るわけないだろ」
「でもこれが最善だと思うの。もし王妃様に神聖契約が出来なくても。王妃様が侍医を私に派遣するように仕向けられたら、解呪の機会を得られるのよ」
逃げてばかりはいられません。
私は自分を囮に王妃様と戦うと決めたのです。
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