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まいた餌を食べる鼠
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「何故そんなことを?」
晩餐の席でイオン様を紹介し、今後の計画を話しました。
王妃様に私が体調を崩し屋敷に戻って来ていると、情報を流す。
フィリップ殿下にも同じ情報を流した上、離宮の警備を甘くしフィリップ殿下が望めば従う者を殿下の近くに置く。
この二つは陛下が神聖契約を行った上での計画です。
さすがに何の準備もせずに自分を囮に使う勇気はありません。
「何故とは?」
「王妃様へは分かる。陛下は例え王妃様の過去の行動で神聖契約後に十年以上のそれが見えても、陛下は許してしまうだろう。だから、王妃様がフローリアを実際に狙う事実は必要だ」
神聖契約は明後日、陛下と王太子殿下とお父様が揃った席で行うことが決まったそうです。
王妃様は体調不良で床についており、ここ数日は公務をすべて休み王妃様の宮から外へ出ていないそうです。
王太子殿下の協力の下魔封じの腕輪を王妃様につけており、それが体調不良の理由になっているのだろうとお父様が説明しれくれましたが、それを王妃様はどう感じているのか考えるのは少し怖いです。
「そうです。王妃様の行いを陛下に実際に見て頂くほかないと考えています。同じくフィリップ殿下の行いも」
フィリップ殿下は陛下に謹慎を命じられており、使用人すら傍に置かれず宮に閉じ込められているそうです。
常に誰かが傍にいて、フィリップ殿下が命じる前に殿下の気持ちを察して何事も準備していた環境とは異なり、今は食事こそ宮の部屋に準備されるものの、服の洗濯も宮の掃除も入浴の準備も行われず殿下がそれらを用意しなければならない(とは言っても、服の洗濯は着替えた物を専用の籠に入れ、新しい服や下着は自ら洗濯済みのものを棚から用意すればいいだけ、入浴も湯は浴槽にいつでも使える様に準備されており、自分だけで髪と体を洗えばよいだけなのですが)状況は、生まれてきてから今までずっと使用人達に世話され続けていた殿下には苦痛以外のなにものでもない環境です。
それがフィリップ殿下には不満で、宮を警備している騎士たちに愚痴を言い文句を言い、陛下に取り次げ、王妃様を呼べと喚き続けているそうです。
「フィリップ殿下はあんな愚かな手紙を私に送ってくるような方です。ですが、王妃様にとってそれは当たり前のことですし、陛下にとってもさほど変わりはしないでしょう」
そう、私達がどれほど呆れても、それが許されると陛下が思ってしまえばフィリップ殿下の愚行は愚行ではなくなります。
それは婚約者であった私がフィリップ殿下の愚行を叶える為の贄であったからです。
婚約者であった頃、私はフィリップ殿下の我儘も愚行もすべて黙認し、それが外に漏れない様になるべく叶えなければなりませんでした。
ですから、その必要は全くなかったと言うのに生徒会の仕事も第三王子としての公務もフィリップ殿下に命じられるまま行ってきたのです。私が行った生徒会での仕事や王子としての公務はすべてフィリップ殿下の功績となり、評価となりました。
私が睡眠時間や勉強時間、級友との交流の時間を削ってそれらを行うのは王妃様にとっては当然の事でした。
陛下も当然それらを把握されていた筈ですが、フィリップ殿下のその行動を知っていても窘めることは無かったのです。
「フィリップ殿下が己の行動を考え、反省し、エミリアさんへの思いを大切にするのなら私はフィリップ殿下に謝罪して欲しいとは望みません。私が婚約者としてフィリップ殿下に認められなかったそれがすべてだと思うからです。ですが、もしフィリップ殿下が私を害する為に宮を抜け出し何か行動をされたのだしたら、もしそこで罪を犯したとしたらそれは相応の罰を受けて欲しいと願います」
フィリップ殿下から最後に受け取った手紙は、私にとって悪夢になりかねないものでした。
あれがフィリップ殿下の本心だとしたら、私とは永遠に理解しあえない方なのだとしか言えません。
自分だけが大切で、自分は尊ばれる人間だと考えている方だとは思っていましたが、それでもあそこまで厚顔無恥な方だとは思っていなかったのです。
「王妃様が何か行動をされる前に、フィリップ殿下が何か行動をされてしまうだろう。お前はそれでいいのか」
「それは王太子殿下か陛下の配下に見張って頂くしかありません。私に囮としての価値があるのなら、その価値を私は発揮してフィリップ殿下と王妃様の愚行を誘発し、断罪の理由を陛下の前に差し出したいと考えます」
二人がそこで何も行動を起こさないのであれは、私自身から二人の罪を公にしようとは思いません。
でも二人はきっと何かしらの行動を起こすでしょう。
彼らがそういう人だからこそ、私とフィリップ殿下は婚約破棄をしたのですから。
「王妃様は私の命を狙うことで、自分で自分の首を絞めていくのです。神聖契約によって」
王妃様の罪は、王妃様の行動で公になるかどうか決まります。
それが私なりの王妃様への断罪なのです。
晩餐の席でイオン様を紹介し、今後の計画を話しました。
王妃様に私が体調を崩し屋敷に戻って来ていると、情報を流す。
フィリップ殿下にも同じ情報を流した上、離宮の警備を甘くしフィリップ殿下が望めば従う者を殿下の近くに置く。
この二つは陛下が神聖契約を行った上での計画です。
さすがに何の準備もせずに自分を囮に使う勇気はありません。
「何故とは?」
「王妃様へは分かる。陛下は例え王妃様の過去の行動で神聖契約後に十年以上のそれが見えても、陛下は許してしまうだろう。だから、王妃様がフローリアを実際に狙う事実は必要だ」
神聖契約は明後日、陛下と王太子殿下とお父様が揃った席で行うことが決まったそうです。
王妃様は体調不良で床についており、ここ数日は公務をすべて休み王妃様の宮から外へ出ていないそうです。
王太子殿下の協力の下魔封じの腕輪を王妃様につけており、それが体調不良の理由になっているのだろうとお父様が説明しれくれましたが、それを王妃様はどう感じているのか考えるのは少し怖いです。
「そうです。王妃様の行いを陛下に実際に見て頂くほかないと考えています。同じくフィリップ殿下の行いも」
フィリップ殿下は陛下に謹慎を命じられており、使用人すら傍に置かれず宮に閉じ込められているそうです。
常に誰かが傍にいて、フィリップ殿下が命じる前に殿下の気持ちを察して何事も準備していた環境とは異なり、今は食事こそ宮の部屋に準備されるものの、服の洗濯も宮の掃除も入浴の準備も行われず殿下がそれらを用意しなければならない(とは言っても、服の洗濯は着替えた物を専用の籠に入れ、新しい服や下着は自ら洗濯済みのものを棚から用意すればいいだけ、入浴も湯は浴槽にいつでも使える様に準備されており、自分だけで髪と体を洗えばよいだけなのですが)状況は、生まれてきてから今までずっと使用人達に世話され続けていた殿下には苦痛以外のなにものでもない環境です。
それがフィリップ殿下には不満で、宮を警備している騎士たちに愚痴を言い文句を言い、陛下に取り次げ、王妃様を呼べと喚き続けているそうです。
「フィリップ殿下はあんな愚かな手紙を私に送ってくるような方です。ですが、王妃様にとってそれは当たり前のことですし、陛下にとってもさほど変わりはしないでしょう」
そう、私達がどれほど呆れても、それが許されると陛下が思ってしまえばフィリップ殿下の愚行は愚行ではなくなります。
それは婚約者であった私がフィリップ殿下の愚行を叶える為の贄であったからです。
婚約者であった頃、私はフィリップ殿下の我儘も愚行もすべて黙認し、それが外に漏れない様になるべく叶えなければなりませんでした。
ですから、その必要は全くなかったと言うのに生徒会の仕事も第三王子としての公務もフィリップ殿下に命じられるまま行ってきたのです。私が行った生徒会での仕事や王子としての公務はすべてフィリップ殿下の功績となり、評価となりました。
私が睡眠時間や勉強時間、級友との交流の時間を削ってそれらを行うのは王妃様にとっては当然の事でした。
陛下も当然それらを把握されていた筈ですが、フィリップ殿下のその行動を知っていても窘めることは無かったのです。
「フィリップ殿下が己の行動を考え、反省し、エミリアさんへの思いを大切にするのなら私はフィリップ殿下に謝罪して欲しいとは望みません。私が婚約者としてフィリップ殿下に認められなかったそれがすべてだと思うからです。ですが、もしフィリップ殿下が私を害する為に宮を抜け出し何か行動をされたのだしたら、もしそこで罪を犯したとしたらそれは相応の罰を受けて欲しいと願います」
フィリップ殿下から最後に受け取った手紙は、私にとって悪夢になりかねないものでした。
あれがフィリップ殿下の本心だとしたら、私とは永遠に理解しあえない方なのだとしか言えません。
自分だけが大切で、自分は尊ばれる人間だと考えている方だとは思っていましたが、それでもあそこまで厚顔無恥な方だとは思っていなかったのです。
「王妃様が何か行動をされる前に、フィリップ殿下が何か行動をされてしまうだろう。お前はそれでいいのか」
「それは王太子殿下か陛下の配下に見張って頂くしかありません。私に囮としての価値があるのなら、その価値を私は発揮してフィリップ殿下と王妃様の愚行を誘発し、断罪の理由を陛下の前に差し出したいと考えます」
二人がそこで何も行動を起こさないのであれは、私自身から二人の罪を公にしようとは思いません。
でも二人はきっと何かしらの行動を起こすでしょう。
彼らがそういう人だからこそ、私とフィリップ殿下は婚約破棄をしたのですから。
「王妃様は私の命を狙うことで、自分で自分の首を絞めていくのです。神聖契約によって」
王妃様の罪は、王妃様の行動で公になるかどうか決まります。
それが私なりの王妃様への断罪なのです。
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