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安易に行ったことへの後悔1 (ルーシー視点)
「少しお時間を頂いても良いでしょうか」
私、ルーシー・ホーバスはただのメイドでしかないというのに、大変なことをしてしまったのではないかと、熱に魘されるミルフィーヌ様を見守りながら後悔していました。
ですから、その原因かもしれないキム先生にこっそりと声を掛け寝室を出て、誰もいないセドリック様の私室に移動したのです。
セドリック様は私と一緒に部屋を出るキム先生を見て小さく頷かれていましたから、私達が何をしたいのか多分理解されていることでしょう。
私の主であるセドリック様はとても頭が良い方でいらっしゃいますから、多分では無く絶対にそうだと思います。
寝室には旦那様と奥様とセドリック様、そしてミルフィーヌ様を治療されているガスパール先生がいらっしゃいますから、迂闊にキム先生と話せないことをセドリック様は理解されているのです。
「どうかされましたか」
「先程お預かりしたこの魔道具は、この魔道具のすぐ近くにいなければ影響は受けないというのは確かなのでしょうか」
「……ええ、それがこれの欠点ですから。先程説明した通り、肩が触れる位の距離が一番望ましく限界は片手を伸ばし相手に触れられる距離です」
そう言われて自分の手をまっすぐ前に出し、キム先生との距離を測りながら、先程どの程度ミルフィーヌ様と離れていたか考える。
ミルフィーヌ様とセドリック様がお休みになられている間、キム先生が奥様にメイドを一人借りたいと話をしてくれて、奥様は私と年が近い奥様付きのメイドのグレタ・ブラウンを選んでくれた。
彼女は私の実家と同じ伯爵位を持つ家の出身で年齢は私より二、三歳は上だと思う。
薄い金色の髪をきっちりと纏め、奥様付きのメイドで一番働き者の印象があるが、少し私に対してキツめな話し方をすることがあるのであまり親しく話をしたことは無かった。
キム先生は日頃ミルフィーヌお嬢様と関わりが無い人にあることをして欲しいと言って、私に首飾り型の魔道具を見せその使い方を説明した。
魔道具は、対象者が『気持ちを隠すこと無く言葉にする』という魔法が発動するものだ。
自白魔法という恐ろしいものが精神操作の魔法にはあるらしいが、その自白魔法の効力がかなり弱くなったものらしい。
魔道具に触れ魔力を流すと、魔道具の近くにいる者は魔法の影響を受け、会話している内容に関係あることを思いつくまま話し始める。そして、もう一度魔道具に触れながら魔力を流すことで魔法の効果が切れる。
魔道具に魔力を流した人にはその魔法は効かず、魔道具の近くにいる者だけがその影響を受け、影響を受けた者は自分がついうっかり話してしまったという気持ちになるらしい。
魔法が発動している間、魔道具にはその間の会話が記録される。会話の記録というのが初め理解出来なかったが、キム先生が会話の記録を実際に行い聞かせてくれた。
そしたら、まるで目の前にいるかの様に魔道具から声が聞こえてきたから驚いてしまった。
私はその魔道具を首から下げて服の下に隠し、奥様の指示でセドリック様の応接室に来ていたグレタに、その魔道具の魔法を発動させた。
それを行ったのがミルフィーヌ様をお連れした時だったのは、私が考え無し過ぎた。
魔道具の魔法の効果範囲が、魔道具を持つ私から片手を伸ばした距離程度しか無いと知っていたから焦ってしまったのだ。
私達使用人は、休憩室で休んでいる時以外あまり他の使用人の近くにいることが無い。
ミルフィーヌ様にお菓子を召し上がって頂いている間、私達二人がそのお近くにいたので今が魔道具を使う良い機会だと思い込んでしまったのだ。
「ルーシーさん、魔道具が何か」
「私、お嬢様の前で魔道具を使ったのです。お嬢様とは離れていました。お嬢様がソファーに座られていて、私は少し離れた場所でグレタに魔道具を発動したのです」
お嬢様はソファーの中央に座っていて、私はお嬢様から慎重に距離を取りグレタの側で魔道具を発動した。
魔道具の魔法はグレタに良く効いていたのだと思う、普通であれば主の部屋の隅で待機している時に私語は厳禁だし、奥様付きであればそれは徹底して指導されている筈のグレタがミルフィーヌ様がいらっしゃるのに話し続けていたのだから。
「グレタ、奥様付きのメイドの名前ですが、彼女はパティの事を色々話してくれました。私が少し誘導しただけで、こちらが驚く程に」
思い出すと心の奥が重苦しく感じる程、グレタは遠慮が無かった。
最初は声を低くしていたけれど、段々話に夢中になり声の大きさも気にしなくなってきていた。
ミルフィーヌ様に聞こえるのではと心配になりはしたけれど、私が知らない事をグレタは詳しく知っているようだったから魔道具を止めずにいたのだ。
「そうですか、それは後で聞かせて貰うとして、あなたは何を気にしているのですか?」
「魔道具のお嬢様への影響と、グレタの話をお嬢様が聞いていたかもしれないということです」
セドリック様でないにしても、ミルフィーヌ様も年齢より理解力があると思う。
だから心配なのだ、私がお嬢様の近くで魔道具を使ったことで、お嬢様を傷付けてしまったのではないかと。
私、ルーシー・ホーバスはただのメイドでしかないというのに、大変なことをしてしまったのではないかと、熱に魘されるミルフィーヌ様を見守りながら後悔していました。
ですから、その原因かもしれないキム先生にこっそりと声を掛け寝室を出て、誰もいないセドリック様の私室に移動したのです。
セドリック様は私と一緒に部屋を出るキム先生を見て小さく頷かれていましたから、私達が何をしたいのか多分理解されていることでしょう。
私の主であるセドリック様はとても頭が良い方でいらっしゃいますから、多分では無く絶対にそうだと思います。
寝室には旦那様と奥様とセドリック様、そしてミルフィーヌ様を治療されているガスパール先生がいらっしゃいますから、迂闊にキム先生と話せないことをセドリック様は理解されているのです。
「どうかされましたか」
「先程お預かりしたこの魔道具は、この魔道具のすぐ近くにいなければ影響は受けないというのは確かなのでしょうか」
「……ええ、それがこれの欠点ですから。先程説明した通り、肩が触れる位の距離が一番望ましく限界は片手を伸ばし相手に触れられる距離です」
そう言われて自分の手をまっすぐ前に出し、キム先生との距離を測りながら、先程どの程度ミルフィーヌ様と離れていたか考える。
ミルフィーヌ様とセドリック様がお休みになられている間、キム先生が奥様にメイドを一人借りたいと話をしてくれて、奥様は私と年が近い奥様付きのメイドのグレタ・ブラウンを選んでくれた。
彼女は私の実家と同じ伯爵位を持つ家の出身で年齢は私より二、三歳は上だと思う。
薄い金色の髪をきっちりと纏め、奥様付きのメイドで一番働き者の印象があるが、少し私に対してキツめな話し方をすることがあるのであまり親しく話をしたことは無かった。
キム先生は日頃ミルフィーヌお嬢様と関わりが無い人にあることをして欲しいと言って、私に首飾り型の魔道具を見せその使い方を説明した。
魔道具は、対象者が『気持ちを隠すこと無く言葉にする』という魔法が発動するものだ。
自白魔法という恐ろしいものが精神操作の魔法にはあるらしいが、その自白魔法の効力がかなり弱くなったものらしい。
魔道具に触れ魔力を流すと、魔道具の近くにいる者は魔法の影響を受け、会話している内容に関係あることを思いつくまま話し始める。そして、もう一度魔道具に触れながら魔力を流すことで魔法の効果が切れる。
魔道具に魔力を流した人にはその魔法は効かず、魔道具の近くにいる者だけがその影響を受け、影響を受けた者は自分がついうっかり話してしまったという気持ちになるらしい。
魔法が発動している間、魔道具にはその間の会話が記録される。会話の記録というのが初め理解出来なかったが、キム先生が会話の記録を実際に行い聞かせてくれた。
そしたら、まるで目の前にいるかの様に魔道具から声が聞こえてきたから驚いてしまった。
私はその魔道具を首から下げて服の下に隠し、奥様の指示でセドリック様の応接室に来ていたグレタに、その魔道具の魔法を発動させた。
それを行ったのがミルフィーヌ様をお連れした時だったのは、私が考え無し過ぎた。
魔道具の魔法の効果範囲が、魔道具を持つ私から片手を伸ばした距離程度しか無いと知っていたから焦ってしまったのだ。
私達使用人は、休憩室で休んでいる時以外あまり他の使用人の近くにいることが無い。
ミルフィーヌ様にお菓子を召し上がって頂いている間、私達二人がそのお近くにいたので今が魔道具を使う良い機会だと思い込んでしまったのだ。
「ルーシーさん、魔道具が何か」
「私、お嬢様の前で魔道具を使ったのです。お嬢様とは離れていました。お嬢様がソファーに座られていて、私は少し離れた場所でグレタに魔道具を発動したのです」
お嬢様はソファーの中央に座っていて、私はお嬢様から慎重に距離を取りグレタの側で魔道具を発動した。
魔道具の魔法はグレタに良く効いていたのだと思う、普通であれば主の部屋の隅で待機している時に私語は厳禁だし、奥様付きであればそれは徹底して指導されている筈のグレタがミルフィーヌ様がいらっしゃるのに話し続けていたのだから。
「グレタ、奥様付きのメイドの名前ですが、彼女はパティの事を色々話してくれました。私が少し誘導しただけで、こちらが驚く程に」
思い出すと心の奥が重苦しく感じる程、グレタは遠慮が無かった。
最初は声を低くしていたけれど、段々話に夢中になり声の大きさも気にしなくなってきていた。
ミルフィーヌ様に聞こえるのではと心配になりはしたけれど、私が知らない事をグレタは詳しく知っているようだったから魔道具を止めずにいたのだ。
「そうですか、それは後で聞かせて貰うとして、あなたは何を気にしているのですか?」
「魔道具のお嬢様への影響と、グレタの話をお嬢様が聞いていたかもしれないということです」
セドリック様でないにしても、ミルフィーヌ様も年齢より理解力があると思う。
だから心配なのだ、私がお嬢様の近くで魔道具を使ったことで、お嬢様を傷付けてしまったのではないかと。
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