【完結済み】乙男な僕はモブらしく生きる

木嶋うめ香

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本編

やっぱり進行が早すぎる?

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「千晴様?」

 ゲームの記憶は全部思い出したと思っていたけれど、そうじゃないのかもしれない。
 実際舞がゲームに出てくるなんて、今気がついた位だから思い出していない事、実は多いのかもしれない。

「今日は外に行こうか。なんか雰囲気良くない感じだし」
「え、そうですね。そうしましょうか」

 主人公を取り巻く彼らが目立つせいか、食堂にいる皆の意識がそちらに向かい過ぎていてなんだか居心地が良くない。
 僕達はテイクアウトのコーナーでサンドセットというランチボックスを購入すると、大きな噴水がある中庭のベンチのところまで行く事にした。
 この学園の昼休みはなんと二時間もあるからのんびりと外まで歩き、ゆっくり食べてもまだ時間的に余裕がある。
 この学園の授業は一コマ一時間の授業が午前中に三つ、午後二つしかない。学園のレベルは高いけれど、主の目的は社交で勉強は授業に出なくても出来て当り前的なところがある。
 昼休みが二時間もあるのも交流を深める為というのが理由らしい。
 サロンと呼ばれる部屋が学園内にはいくつもあり、その部屋を使ってフルコースの昼食会や放課後のお茶会を開く人もいる。前世の学校にあった部活動というのもこの学園には無い。
 学生で部活動としてサッカーとかバスケとかそういうのをやりたい人はそもそもこの学園に来ない。
 乗馬とか弓道とか剣術とかをする人はいるけれどそれは趣味の範囲だし、その他のスポーツは体育の授業位だし、体を動かしたいという人は島の中にあるジムに行く。

「名前、ビックリだね」
「本当に。昨日噂が流れてきた時は僕のクラスに激震が走りました」

 攻略対象者だけあって、三人共人気がある。
 秋にあった『抱きたい抱かれたい男子生徒コンテスト』では攻略対象者の四人が抱かれたい一年部門の上位に入っていたし、先生を含めた学園全部部門でも三十位以内に入っていた。勿論もう一人の攻略対象者も上位に入っている。
 ちなみに舞も抱きたい可愛い一年部門で上位にいた。化粧もしていない顔で、お人形さん的に綺麗な顔立ちしてるから、当然と言えば当然。ちなみに僕の名前はどこにも出てこなかった。

「それはそうだよね」

 噴水を眺めながら、並んでベンチに腰を下ろすとランチボックスを開く。
 貴族の子息が食べる為のランチボックスは、サンドセットなんて名前で呼ぶのが申し訳無い程の豪華さだ。
 僕が選んだのはローストビーフのサンドのセット。舞が選んだのはサーモンとクリームチーズのサンドのセットでどちらも季節のサラダとフルーツタルトと紅茶が付いている。

「川島君は転校初日に学園の中を案内したり、次の日も一緒に登校したりしてたから分るけれど二人はいつそんな話になったのかな。休憩時間親しくしてる感じも無かったけれど」
「分りませんが。今朝は谷崎様と川島様と一緒に登校されていた様です」
「そうなんだ」

 名前呼びするのって、それぞれのイベントなんだよなあ。
 ローストビーフサンドをもぐもぐと噛みしめながら、ぼんやりと空を見上げる。
 川島君は学園の案内したのが切っ掛けで主人公と仲良くなり、一番最初にこのイベントが起きてこれはルート関係無く起きる。これはテスト前にあるイベントだ。
 森村様ルートになると、彼の名前をテスト結果発表後から呼ぶ様になる。
 佐々木様はその後で、テストが終わって春休みに入る少し前にこのイベントが起きる。
 ここで名前呼びイベントが起きないと佐々木様ルートはほぼ失敗なんだけど、それに気がつかずに攻略を続けても告白イベントが起きず、他の人のルートも確定されていない場合「気になる幼なじみがいる」と相談される。友達エンドの場合も同じ台詞とスチルになる。この辺り手抜き感がある。
 その後が谷崎様で、春休み中主人公が住む孤児院(主人公は孤児で、谷崎家が管理している孤児院に幼い頃引き取られたという設定がここで出てくる)に視察でやって来た谷崎様が幼い子供達と遊ぶ主人公と出会い、名前呼びイベントが発生する。
 雅が一番最後で、なんと主人公が告白する時だ。

「早すぎる」

 ゲームの進行を考えたら、転校して一週間も経っていないこの時期に三人を名前呼びしてるなんてありえない位の速度だ。これってどういう事?
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