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本編
なんか情緒不安定なんですが
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「ふうん?」
「なに」
「写真のデータ無くなってそんなに落ち込むなんて、余程大事にしてたのがあったのかと思ってさ」
言われてちょっと焦って立ち止まり下を向いてしまう。
どんな写真だったのとか、聞かれたらどうしよう。
さすがに雅の写真だったなんてバレたりしないだろうけれど、最近撮ったばかりで無くしてショックな写真とか思いつかないよ。
「あ、悪い。スマホ壊れて落ち込んでたところに無神経だったな。ゴメン」
止まって下向いて考えてたからなのか、雅が焦ったように謝ってきた。
「いいよ別に、気にしないで」
ちょっとキツメの言い方に驚きもしたけれど、この流れならなんの写真だったのか聞かれなさそうかな?ならばこのまま有耶無耶にしちゃおう。
「写真データ消えちゃったのより、これから設定しなきゃいけないのが憂鬱なだけだから。僕本当に苦手なんだよ」
写真はいいんだ、設定が大変そうで嫌なだけと大袈裟に言って部屋に早く戻ろう。
なんか落ち込みすぎて疲れてきちゃったよ。
「そんなに難しいか?」
「得意な人には簡単なんだろうねぇ。ショップの店員さんは僕のポンコツぶりを心配して、本当は駄目だけどどうしても出来なかったら、営業時間外に個人的にやってもいいとか言ってくれたけど。そんなの流石に頼めないし」
あの店員さん親切だったなあ。
あんなに丁寧に説明した上に、営業時間外にフォローしますなんて言ってくれるんだもん。
島の中にあるお店は貴族相手だからなのか、どこも無茶苦茶親切で丁寧な接客してくれるけど、あの店員さんは今までで断トツだと思う
「営業時間外に頼む?」
「頼んだりしないよ」
雅の眉間にまた皺がよってる。
雅、美形過ぎてそういう顔すると迫力ありすぎるんですが、ちょっと前髪が乱れたままなのも相まって色気もあるし、心臓バクバクで直視出来なくて視線を慌てて反らした。
「他にも何か言われてないのか?」
「え?店員さんに?名刺貰っただけだよ」
紙袋に入れてた名刺を、雅の顔を見ないように視線を反らしながら取り出すと、ショップの電話番号の下に手書きで携帯番号が書いてあった。
「これは預かる」
「え?」
「商業施設の人間と個人的な付き合いは基本禁止されてるんだよ」
「え、そうだっけ?」
そんな決まりあったかなと考えながら雅に名刺を手渡すけど、規則を思い出せない。
「商業施設の人間はほぼ平民だろ、だから貴族に無理を言われたら逆らえない。個人的な付き合いを禁止してるのは店の外で無茶な要求をしないように予防してるんだ」
「そうなんだ。知らなかった」
「学園の生徒は知らなくても、商業施設で働いてる人間は絶対に知ってる筈なんだが」
雅の顔がどんどん険しくなっていき、手の中の名刺をぐしゃりと握り潰してしまった。
「多分僕が本当に出来なそうに見えて心配だったんだと思う。凄く親切な人だったから」
「親切、ねぇ」
なんで僕怒られてる様な気持ちになってるんだろ。
怖い顔の雅に睨まれて、泣きそうになる。
「親切だったよ、僕だけじゃ何を基準に選んでいいのかすら分からなかったから、細かいとこまで説明してもらえて凄く助かったもん」
データ復旧も頑張ってくれたし、復旧出来ず申し訳ありませんと謝ってくれた。
悪いのはスマホを水没させた僕だし、面倒な客だと思われても仕方ないのに。最後まで笑顔で接してくれたんだ。
「下心……まあ、仕事熱心なんだろうな」
「え」
下心って聞こえたの、聞き違いかな?
なんでこんなに機嫌が悪くなって冷たい目で僕を見てるのか分からない。もしかしたら、禁止されてるのを知らずに番号渡されて来た僕に呆れたのかもしれない。
昨日も注意されたばかりなのに、こんな事しちゃったから本気で呆れて、怒っちゃったのかもしれない。
折角休日に雅に会えて、今朝逃げ帰って後悔してたから偶然会えたの嬉しかったのに、僕が馬鹿すぎて雅を怒らせちゃったんだ。
雅に嫌われちゃったのかな。
歩き始めた雅の隣を、僕は俯いて歩く。
怒らせて呆れさせて嫌われちゃったのかも、そう考えるだけで頭の中が真っ白になってしまう。
口開いたら泣きそうだ。
なんか情緒不安定な感じになってる。
最近の雅は特に優しかったし、僕の体調気にかけてくれて差し入れしてくれたり抱き上げて運んでくれたりしてたから、幸せすぎて夢か妄想かと思うくらいだった。
だから主人公が転校してきて諦めなきゃいけないって思いながら、諦められなかった。
雅に期待しちゃってたんだ、もしかしたらって。
もしかしたら、僕だけに優しいのかもって。
でも、諦める以前に雅に呆れられちゃった。
「ハル」
「はい」
本気で泣きそうになりながら、なんとか我慢して返事をする。
自分が馬鹿なことして好きな人に呆れられちゃうって、こんなに悲しくて辛いのか。
「キツイ言い方してしまったか」
「ううん。僕が規則をちゃんと覚えてなかったのが悪いんだよ」
反省してるから、だからせめて嫌いにならないでと心の中で願いながら雅の顔を見上げると、さっきよりも怖い顔で僕を見ていた。
雅の眉間の皺が怖い。
いつも優しい表情なのに、昨日からこんな顔ばかりさせてる。
「ハルは悪くない。心配でキツイ言い方になってしまったんだ。ゴメン。許してくれるか?」
まだ嫌われてない?
「許すなんて。雅、僕に呆れてないの?昨日から考えなしな事ばかりしてるって思ってないの?」
「呆れてないけど、心配してる」
雅は「頼むからあんまり心配させないでくれ」と言いながら、何故か頭をポンポンと撫でてくれて、僕は安堵のあまり我慢してた涙がポロッとこぼれてしまうのだった。
※※※※※※
ハルの周辺にいるのが美形&可愛い人ばかりな上、両親も兄も美形なので自分は目立たない平凡顔と思っていますが、ハルもそれなりに可愛い顔立ちをしていますし、小柄で華奢です。
自己評価が低いハルには全く自覚がありませんが、綺麗系の舞といつも一緒に食堂に来る小動物系の可愛い子としてそれなりに目立っていて、上級生から人気があったりします。
「なに」
「写真のデータ無くなってそんなに落ち込むなんて、余程大事にしてたのがあったのかと思ってさ」
言われてちょっと焦って立ち止まり下を向いてしまう。
どんな写真だったのとか、聞かれたらどうしよう。
さすがに雅の写真だったなんてバレたりしないだろうけれど、最近撮ったばかりで無くしてショックな写真とか思いつかないよ。
「あ、悪い。スマホ壊れて落ち込んでたところに無神経だったな。ゴメン」
止まって下向いて考えてたからなのか、雅が焦ったように謝ってきた。
「いいよ別に、気にしないで」
ちょっとキツメの言い方に驚きもしたけれど、この流れならなんの写真だったのか聞かれなさそうかな?ならばこのまま有耶無耶にしちゃおう。
「写真データ消えちゃったのより、これから設定しなきゃいけないのが憂鬱なだけだから。僕本当に苦手なんだよ」
写真はいいんだ、設定が大変そうで嫌なだけと大袈裟に言って部屋に早く戻ろう。
なんか落ち込みすぎて疲れてきちゃったよ。
「そんなに難しいか?」
「得意な人には簡単なんだろうねぇ。ショップの店員さんは僕のポンコツぶりを心配して、本当は駄目だけどどうしても出来なかったら、営業時間外に個人的にやってもいいとか言ってくれたけど。そんなの流石に頼めないし」
あの店員さん親切だったなあ。
あんなに丁寧に説明した上に、営業時間外にフォローしますなんて言ってくれるんだもん。
島の中にあるお店は貴族相手だからなのか、どこも無茶苦茶親切で丁寧な接客してくれるけど、あの店員さんは今までで断トツだと思う
「営業時間外に頼む?」
「頼んだりしないよ」
雅の眉間にまた皺がよってる。
雅、美形過ぎてそういう顔すると迫力ありすぎるんですが、ちょっと前髪が乱れたままなのも相まって色気もあるし、心臓バクバクで直視出来なくて視線を慌てて反らした。
「他にも何か言われてないのか?」
「え?店員さんに?名刺貰っただけだよ」
紙袋に入れてた名刺を、雅の顔を見ないように視線を反らしながら取り出すと、ショップの電話番号の下に手書きで携帯番号が書いてあった。
「これは預かる」
「え?」
「商業施設の人間と個人的な付き合いは基本禁止されてるんだよ」
「え、そうだっけ?」
そんな決まりあったかなと考えながら雅に名刺を手渡すけど、規則を思い出せない。
「商業施設の人間はほぼ平民だろ、だから貴族に無理を言われたら逆らえない。個人的な付き合いを禁止してるのは店の外で無茶な要求をしないように予防してるんだ」
「そうなんだ。知らなかった」
「学園の生徒は知らなくても、商業施設で働いてる人間は絶対に知ってる筈なんだが」
雅の顔がどんどん険しくなっていき、手の中の名刺をぐしゃりと握り潰してしまった。
「多分僕が本当に出来なそうに見えて心配だったんだと思う。凄く親切な人だったから」
「親切、ねぇ」
なんで僕怒られてる様な気持ちになってるんだろ。
怖い顔の雅に睨まれて、泣きそうになる。
「親切だったよ、僕だけじゃ何を基準に選んでいいのかすら分からなかったから、細かいとこまで説明してもらえて凄く助かったもん」
データ復旧も頑張ってくれたし、復旧出来ず申し訳ありませんと謝ってくれた。
悪いのはスマホを水没させた僕だし、面倒な客だと思われても仕方ないのに。最後まで笑顔で接してくれたんだ。
「下心……まあ、仕事熱心なんだろうな」
「え」
下心って聞こえたの、聞き違いかな?
なんでこんなに機嫌が悪くなって冷たい目で僕を見てるのか分からない。もしかしたら、禁止されてるのを知らずに番号渡されて来た僕に呆れたのかもしれない。
昨日も注意されたばかりなのに、こんな事しちゃったから本気で呆れて、怒っちゃったのかもしれない。
折角休日に雅に会えて、今朝逃げ帰って後悔してたから偶然会えたの嬉しかったのに、僕が馬鹿すぎて雅を怒らせちゃったんだ。
雅に嫌われちゃったのかな。
歩き始めた雅の隣を、僕は俯いて歩く。
怒らせて呆れさせて嫌われちゃったのかも、そう考えるだけで頭の中が真っ白になってしまう。
口開いたら泣きそうだ。
なんか情緒不安定な感じになってる。
最近の雅は特に優しかったし、僕の体調気にかけてくれて差し入れしてくれたり抱き上げて運んでくれたりしてたから、幸せすぎて夢か妄想かと思うくらいだった。
だから主人公が転校してきて諦めなきゃいけないって思いながら、諦められなかった。
雅に期待しちゃってたんだ、もしかしたらって。
もしかしたら、僕だけに優しいのかもって。
でも、諦める以前に雅に呆れられちゃった。
「ハル」
「はい」
本気で泣きそうになりながら、なんとか我慢して返事をする。
自分が馬鹿なことして好きな人に呆れられちゃうって、こんなに悲しくて辛いのか。
「キツイ言い方してしまったか」
「ううん。僕が規則をちゃんと覚えてなかったのが悪いんだよ」
反省してるから、だからせめて嫌いにならないでと心の中で願いながら雅の顔を見上げると、さっきよりも怖い顔で僕を見ていた。
雅の眉間の皺が怖い。
いつも優しい表情なのに、昨日からこんな顔ばかりさせてる。
「ハルは悪くない。心配でキツイ言い方になってしまったんだ。ゴメン。許してくれるか?」
まだ嫌われてない?
「許すなんて。雅、僕に呆れてないの?昨日から考えなしな事ばかりしてるって思ってないの?」
「呆れてないけど、心配してる」
雅は「頼むからあんまり心配させないでくれ」と言いながら、何故か頭をポンポンと撫でてくれて、僕は安堵のあまり我慢してた涙がポロッとこぼれてしまうのだった。
※※※※※※
ハルの周辺にいるのが美形&可愛い人ばかりな上、両親も兄も美形なので自分は目立たない平凡顔と思っていますが、ハルもそれなりに可愛い顔立ちをしていますし、小柄で華奢です。
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