君と出逢えて (Meeting you)

若村しおん(Sion wakamura)

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第6章

私たち(We are)

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美里は美咲と教室で話し合った。
「ねえ、どういうこと・・?」
みさきはうつむいていた。
「私達、このコンペで優勝するために今までやってきた、そうだよね?」
「・・・ごめん」
「もしかしてワトク?」
みさきは俯きながら震えていた。
美咲とワトクは幼稚園からの幼馴染だった。
「ワトクに頼まれたの?・・・コンペの内容教えろって・・」
「違うの!ワトクはなにも悪くない、私が勝手に全部したことなの」
「あんたたち、ただの幼馴染でしょ?」
みさきは何も言わなかった。
「ただの幼馴染なのに、なんであいつにそこまでするわけ?・・あいつのグループには松井がいるじゃん」美里はため息を激しくついて机の上に腰を下ろした。
「美里には、美里にはどうせわからないよ、私の気持ちなんて」
まるで何かが噴火したように美咲は突然その言葉を言い放ち教室を出ていった。
美里は呆然として立ち尽くした。
美里の家は大正7年から続く画廊を営んでいる。美里の母方の父、私の祖父の代から続いている。母が大学を卒業してウィーンに美術の勉強をしにウィーンに留学していた頃、同じように絵の勉強をしにきていた父と出会い、二人は結婚をした。
そのころ画廊を経営していた私の祖父はひどく二人の結婚を反対していた。理由の一つは父はそのころお金がほとんどなく、勉強していた大学でも奨学金を背負って無理をして学生をしていたからである。ゆくゆくこの画廊経営を引き渡していくためには、父ではなく別の相手と一緒になってほしかったと考えていた。
しかし祖父は父に母と結婚をする条件として
祖父が代表を務めていた広島の商工会議所が主催する美術コンクールで入賞をしたら、母と結婚をすることを認めるという条件をだした。父は変に負けず嫌いなところがあったみたいで、二人が留学から帰国した7年後、父は、大学の講師と複数のアルバイトをしながらこつこつと奨学金をほとんど返済し、同時にその夏に開催された絵画コンクールで特別新人賞を受賞した。父と母はその後祖父の約束を果たして結婚をした。
私は母みたいに強く好きな人を信じられる強さとそして父のように今となっては死語のような言葉かもしれないがハングリー精神をもって祖父を見返してやりたいという気持ちで懸命に約束を叶えた父を尊敬していた。二人は結婚してからは私を産むまで画廊経営に精を出して活動し、その後二人の留学中に出会ったときにお世話になったという美術家の師匠と呼べる人のつてで、アメリカのこの場所にある大きな一つの画廊を父に譲りたいと言ってくれる人が現れた。その師匠の知り合いは大変父の書いた絵が好きだといっていたらしい。
二人は広島の画廊を軌道に乗らしてからという条件で7年間必死に祖父の画廊で働き、祖父の厳しい言葉がありながらも、約束通りアメリカにある師匠の画廊を引き継ぎ、経営するために当初は日本とアメリカを行き来しながらやりぬけていたのだが、やがてアメリカに腰を下ろすこととなった。

美里が画廊で絵の前でボーっとしていたとき
「美里?美里?」
「えっああなに?」
「ちょっとこっちにきてSINJYO先生にお茶入れてあげて?私今から新しい作品の仕入れのチェックしにいかないと、お父さん今いないから」
「うん、わかった」
画廊では毎月、この画廊と仲良くしている画家の先生を招き、展覧会、販売を行っている。
お茶出しなどは古いイメージのすることだが、未だにお客様としてしっかりと芸術家を尊敬することを教えられてきた。母は祖父の画廊を日本で引き継いでいくことが一番の望みだったと思うけれど父のこの画廊をやっていきたいという決意と情熱には勝らなかったのかもしれないと思った。

そのころ美咲はバイト先から帰宅して、夜21時半頃、携帯からなる呼び出し音に気づく、
美咲の母親だ。「お母さん?うん元気にしてる、今ね、バイトだったんだ。」「そんなことないよ、疲れてないよ、うん、だよね、やっと教育実習、終わって、ホッとしてる、うん」
美咲は両親が小学校5年の冬に離婚してから母親一つで育てられてきた。母は無理せずに高校卒業してから私が小さいころからなりたいといっていた保育士になるために、短大までの学費は免除できるからと母が美咲のためにためておいた貯金があった。美咲は子供が大好きで将来仕事にするなら保育士だと小学校時代から思ってきた。けれども両親が離婚してから、私はどこか心にポカリと穴が開いたようになり、母や友達に自分の気持ちがうまく言えないようになった。もちろん母は私がさみしくないようにいろいろと面倒を見てくれていたし、母には一番感謝している。中学二年の冬、母に勧められて昔私たちが暮らしていた街に帰省をした。そこでは母と弟と4人で暮らしていた思い出の町が変わらずに残っていた。そこで母の祖父にひさしぶりに会って私は心が和んだのをよく覚えている。
その時祖父は私にその日近くでやっている地元の劇団があるから行かないかと言ってくれた。その時に見た劇団の催しの中で行われていた人形劇の舞台を見たことがきっかけで私は、その時初めて自分の手で何かを作って人を感動させたいと感じるようになった。小さなころに祖父が誕生日に買ってくれた絵本が懐かしくなり、こっちに帰ってからは、趣味でよく書いていた絵をたくさん描くようになった。
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