19 / 73
秘密なんです
しおりを挟む
「……う……ん。」
「アヤナ起きた?」
目が覚めると、私は自分のベッドの上だった。
目を擦りながら体を起こすと、ベッドの脇でリスターが座ってこっちを見ていた。
「わたし、ねちゃった……。いまなんじ?」
「お昼過ぎかな。お腹空いたでしょ?僕もまだ食べてないから一緒に食べよう?」
「待ってな。ここに運んであげるから。」
カールさんはソファーに座って待っていてくれたみたいで、立ち上がると素早く部屋から出て行った。
「せっかくきてくれたのに、ねちゃってごめんなさい。」
ペコリと頭を下げると、リスターが真剣な顔をして私を見つめる。
「昨日の夜はどうして眠れなかったの?」
「ちょっと、いろいろかんがえちゃって……。」
「何を?」
「う……、いや、あの、それは……。」
ヤバイ!!
なんて答えていいか分からないから、しどろもどろになってしまう!
「もしかして、盗賊のこと、知っているの?」
「……え!?」
なんでリスターこそ知ってるの!?
「昨日、カールさんをちょっと問い詰めて聞いたんだよ。なんだか様子が変だったからね。ほら、帰りに馬車までついて来てもらったでしょ?その時に少しだけ。」
「そ、そうなんだ。わたしは、たまたまきいちゃったの……。そしたらなんだかねれなくなって……。」
「アヤナ」
リスターが私の手を握って顔を覗き込んだ。
「ここには今、僕しかいない。アヤナが盗賊のことを知ってるのも、僕だけだよね?だから、僕にはなんでも言っていいんだよ。」
私が手を握り返すと、リスターは優しく微笑んでくれるから、私はポロポロと溢れる涙を止められなかった。
「……はなしをきいちゃってね、ほんとはこわかったの。なんでわたしのことしらべてるんだろうって。」
「うん。」
「とうぞくさんに、つかまっちゃったらどうしよう。そうかんがえてたら、こわくてねれなくなっちゃって……。」
「うん。」
「でもね、わたしがこわがってたら、みんなしんぱいするから……だから、だからね、こわくてもいえなかったの。」
「アヤナ」
泣き続ける私を、リスターがそっと抱き締めてくれる。
「大丈夫だよ。みんな、アヤナを守るから。僕も、ずっと側にいるから。」
「……ずっと?」
ずっとって、どういうこと?
「今日から、僕もアヤナの家に泊まるんだ。カールさんにちょっとお願いして、騎士団に行けなくなった代わりにカールさんとダナンさんにここで稽古をつけてもら事になったんだよ。」
私がキョトンとしていると、リスターは涙で濡れた私の頬を拭ってくれた。
「泊まるのは叔父上に頼み込んだら、割とあっさり了承してくれた。まあ、そこら辺の盗賊よりも剣の腕は立つからね。1人でも多くアヤナの側に護衛を付けておきたいんじゃないかな。」
「……うれしい。リスターがそばにいてくれるだけで、あんしんするから。……ずっとそばにいてくれるの?」
嬉しくて、またちょっと涙目になりながらリスターを見ると、リスターは顔を真っ赤にしてコクコクと頷いてくれた。
「か、可愛い!!……じゃなくて、勿論だよ!!寝る時以外は、ずっと側にいる。僕も全力でアヤナを守るからね。」
「はい!よろしくおねがいします!!」
私はベッドの上に正座してペコリと頭を下げる。
リスターが、私の頭をヨシヨシと優しく撫でてくれた。
「アヤナが盗賊のことを知っているのは、僕達だけの秘密ってことにしておく?」
「うん!ふたりだけのひみつね!」
私とリスターはクスクスと笑い合う。
丁度そこへ、カールさんがお昼を持って部屋へ戻って来た。
「あれ?なんだかとっても楽しそうだね。」
「わーい、おひるだー!カールさん、ありがとう!」
安心したら、とってもお腹が空いちゃったよ!!
この後、リスターと2人で少し遅めのお昼ご飯を、ペロリと美味しく頂いちゃいました。
「アヤナ起きた?」
目が覚めると、私は自分のベッドの上だった。
目を擦りながら体を起こすと、ベッドの脇でリスターが座ってこっちを見ていた。
「わたし、ねちゃった……。いまなんじ?」
「お昼過ぎかな。お腹空いたでしょ?僕もまだ食べてないから一緒に食べよう?」
「待ってな。ここに運んであげるから。」
カールさんはソファーに座って待っていてくれたみたいで、立ち上がると素早く部屋から出て行った。
「せっかくきてくれたのに、ねちゃってごめんなさい。」
ペコリと頭を下げると、リスターが真剣な顔をして私を見つめる。
「昨日の夜はどうして眠れなかったの?」
「ちょっと、いろいろかんがえちゃって……。」
「何を?」
「う……、いや、あの、それは……。」
ヤバイ!!
なんて答えていいか分からないから、しどろもどろになってしまう!
「もしかして、盗賊のこと、知っているの?」
「……え!?」
なんでリスターこそ知ってるの!?
「昨日、カールさんをちょっと問い詰めて聞いたんだよ。なんだか様子が変だったからね。ほら、帰りに馬車までついて来てもらったでしょ?その時に少しだけ。」
「そ、そうなんだ。わたしは、たまたまきいちゃったの……。そしたらなんだかねれなくなって……。」
「アヤナ」
リスターが私の手を握って顔を覗き込んだ。
「ここには今、僕しかいない。アヤナが盗賊のことを知ってるのも、僕だけだよね?だから、僕にはなんでも言っていいんだよ。」
私が手を握り返すと、リスターは優しく微笑んでくれるから、私はポロポロと溢れる涙を止められなかった。
「……はなしをきいちゃってね、ほんとはこわかったの。なんでわたしのことしらべてるんだろうって。」
「うん。」
「とうぞくさんに、つかまっちゃったらどうしよう。そうかんがえてたら、こわくてねれなくなっちゃって……。」
「うん。」
「でもね、わたしがこわがってたら、みんなしんぱいするから……だから、だからね、こわくてもいえなかったの。」
「アヤナ」
泣き続ける私を、リスターがそっと抱き締めてくれる。
「大丈夫だよ。みんな、アヤナを守るから。僕も、ずっと側にいるから。」
「……ずっと?」
ずっとって、どういうこと?
「今日から、僕もアヤナの家に泊まるんだ。カールさんにちょっとお願いして、騎士団に行けなくなった代わりにカールさんとダナンさんにここで稽古をつけてもら事になったんだよ。」
私がキョトンとしていると、リスターは涙で濡れた私の頬を拭ってくれた。
「泊まるのは叔父上に頼み込んだら、割とあっさり了承してくれた。まあ、そこら辺の盗賊よりも剣の腕は立つからね。1人でも多くアヤナの側に護衛を付けておきたいんじゃないかな。」
「……うれしい。リスターがそばにいてくれるだけで、あんしんするから。……ずっとそばにいてくれるの?」
嬉しくて、またちょっと涙目になりながらリスターを見ると、リスターは顔を真っ赤にしてコクコクと頷いてくれた。
「か、可愛い!!……じゃなくて、勿論だよ!!寝る時以外は、ずっと側にいる。僕も全力でアヤナを守るからね。」
「はい!よろしくおねがいします!!」
私はベッドの上に正座してペコリと頭を下げる。
リスターが、私の頭をヨシヨシと優しく撫でてくれた。
「アヤナが盗賊のことを知っているのは、僕達だけの秘密ってことにしておく?」
「うん!ふたりだけのひみつね!」
私とリスターはクスクスと笑い合う。
丁度そこへ、カールさんがお昼を持って部屋へ戻って来た。
「あれ?なんだかとっても楽しそうだね。」
「わーい、おひるだー!カールさん、ありがとう!」
安心したら、とってもお腹が空いちゃったよ!!
この後、リスターと2人で少し遅めのお昼ご飯を、ペロリと美味しく頂いちゃいました。
125
あなたにおすすめの小説
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】身勝手な旦那様と離縁したら、異国で我が子と幸せになれました
綾雅(りょうが)今年は7冊!
恋愛
腹を痛めて産んだ子を蔑ろにする身勝手な旦那様、離縁してくださいませ!
完璧な人生だと思っていた。優しい夫、大切にしてくれる義父母……待望の跡取り息子を産んだ私は、彼らの仕打ちに打ちのめされた。腹を痛めて産んだ我が子を取り戻すため、バレンティナは離縁を選ぶ。復讐する気のなかった彼女だが、新しく出会った隣国貴族に一目惚れで口説かれる。身勝手な元婚家は、嘘がバレて自業自得で没落していった。
崩壊する幸せ⇒異国での出会い⇒ハッピーエンド
元婚家の自業自得ざまぁ有りです。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/07……アルファポリス、女性向けHOT4位
2022/10/05……カクヨム、恋愛週間13位
2022/10/04……小説家になろう、恋愛日間63位
2022/09/30……エブリスタ、トレンド恋愛19位
2022/09/28……連載開始
モブで可哀相? いえ、幸せです!
みけの
ファンタジー
私のお姉さんは“恋愛ゲームのヒロイン”で、私はゲームの中で“モブ”だそうだ。
“あんたはモブで可哀相”。
お姉さんはそう、思ってくれているけど……私、可哀相なの?
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
Sランク冒険者の受付嬢
おすし
ファンタジー
王都の中心街にある冒険者ギルド《ラウト・ハーヴ》は、王国最大のギルドで登録冒険者数も依頼数もNo.1と実績のあるギルドだ。
だがそんなギルドには1つの噂があった。それは、『あのギルドにはとてつもなく強い受付嬢』がいる、と。
そんな噂を耳にしてギルドに行けば、受付には1人の綺麗な銀髪をもつ受付嬢がいてー。
「こんにちは、ご用件は何でしょうか?」
その受付嬢は、今日もギルドで静かに仕事をこなしているようです。
これは、最強冒険者でもあるギルドの受付嬢の物語。
※ほのぼので、日常:バトル=2:1くらいにするつもりです。
※前のやつの改訂版です
※一章あたり約10話です。文字数は1話につき1500〜2500くらい。
最強令嬢とは、1%のひらめきと99%の努力である
megane-san
ファンタジー
私クロエは、生まれてすぐに傷を負った母に抱かれてブラウン辺境伯城に転移しましたが、母はそのまま亡くなり、辺境伯夫妻の養子として育てていただきました。3歳になる頃には闇と光魔法を発現し、さらに暗黒魔法と膨大な魔力まで持っている事が分かりました。そしてなんと私、前世の記憶まで思い出し、前世の知識で辺境伯領はかなり大儲けしてしまいました。私の力は陰謀を企てる者達に狙われましたが、必〇仕事人バリの方々のおかげで悪者は一層され、無事に修行を共にした兄弟子と婚姻することが出来ました。……が、なんと私、魔王に任命されてしまい……。そんな波乱万丈に日々を送る私のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる