神隠し令嬢は騎士様と幸せになりたいんです

珂里

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王様に再会しました

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私がおじいさま達と話していると、ラッパの音が鳴り響いて広間が静まり返る。

一番奥の扉がゆっくりと開き、王様、王妃様、王子達がみんなに注目されながら入って来た。

一段高くなっている場所には玉座が置かれていて、その前に王様が立つ。
王様の少し離れた横に王妃様が立ち、王様と王妃様の脇に王子達がそれぞれ並び立った。

「今宵はこのように沢山の者が集まった事、有り難く思う。存分に楽しんでくれ。」

王様が声を上げて挨拶をすると辺りから歓声が起こり、再びざわめき立つ。

王様と王妃様が座り、その脇に王子達が立ち控えると、地方からの有権者や他国の外交官等が挨拶する為に列を作った。

私とリスターの婚約の報告は、後で落ち着いてからゆっくりとする事になっているから、広間の隅で家族みんなで話していた。
私はオルディスおじいさまに抱っこされたままで。

暫くすると、王様と王妃様に挨拶を済ませた人達が今度はこっちの方に列を作り始める。

なんでだ?

私が首を傾げて考えていると、下からリスターにクイクイッとドレスの裾を引っ張られた。

「アヤナ、不思議に思うのは僕も同感だけど……見た感じとっても軽くて、顔がとっても怖くて、無表情すぎて何考えてるか分からなくても、一応この国の重要なポジションにいる筈の人達だから覚えていてあげてね?」

「あーっ、そっかぁ!全然そんな感じがしないから、すっかり忘れてたよ!」

そう言えば偉い人達だったよね!

私はポンッと手を叩き、疑問が解けてスッキリした顔で頷く。

リスターも「全然そんな風には見えないよね」と言いながらウンウンと頷いたので、なんだか可笑しくて2人でクスクスと笑い合った。

「酷い!うちの孫達が酷過ぎる!!」

「……でも、見てみろこの笑顔。天使みたいに可愛いではないか。」

「可愛い!!うちの孫達が可愛過ぎる!!」

おじいさま達がジジバカ発言をしている横で、ラントおじさまが無表情で頷いていた。
周囲の人には、それを温かい目で見られていて、ちょっと恥ずかしい。

ふと顔を上げると王様達もこっちの人だかりを見ていて、目が合った。

王様への挨拶はみんな済んだらしい。だからこっちが混み混みなんだね。

王様久しぶり!何ヶ月ぶりだろう?元気でしたかー?

そう思いながら王様にニコッて満面の笑顔を向けると、王様はちょっと目を瞠ってから、フッと目を細めて笑ってくれた。

私はオルディスおじいさまの肩をトントンと叩いて降ろしてアピールをする。

「オルディスおじいさま。おうさまにリスターとほうこくをしてきます。」

私がそう言うと、おじいさまはチラリと王様を横目で見て頷いた。

「行っておいで。ここは祖父祖母ジジババに任せなさい。」

「はい。ありがとうございます。」

オルディスおじいさまに降ろしてもらいリスターと手を繋ぐ。

リスターに先導されて王様達の所まで行く。後ろから双方の両親がついて歩き、周りのみんなに注目されながら王様達の目の前まで辿り着いた。

久々に会う王様と王妃様は、やっぱりオーラが凄くて、カッコよくて、綺麗だった。

私がカーテシーをしてから2人にニッコリ微笑むと、王様は目尻を下げ、王妃様の目は潤んでいた。

「アヤナよ。久しぶりだな。」

「はい!おうさまにまたあえてうれしいです!」

「陛下、今宵はご報告が有り、アヤナとリスターを連れて参りました。」

とーさまが私とリスターに揃って前へ出るように指示する。
私とリスターは手を繋いで数歩、王様の前へ出た。

「我が娘アヤナと、侯爵家の次男リスターとの婚約が決まりました。リスターには将来婿養子に入ってもらい、伯爵家を継いでもらう予定です。」

「ほう。それは本人達の意思でもあるのか?」

王様が私とリスターをジッと見つめる。

「「はい!」」

私達は勢いよく返事をした。

もちろん、自分達の意思ですとも!!

王様は目を細め、私に向かって手招きをする。

え?もっと近くに来いって?

私が歩み寄ると王様がスッと立ち、私を抱き上げた。

周囲の人達からどよめきが起こる。

 
================

この国や他国の重要人物が何百人と集まるこの場で、国王が自ら進んで異国の少女を抱き上げたのだ。

広間からざわめきが絶えない。

この国王の行動を微笑ましく思う者が大勢いれば、そうではない者がまた多く集まっているのもこの会場なわけで。 

ヒソヒソと話す声、好奇の目、負の感情を隠さない人々の中で国王に抱き上げられている彩菜の表情は、見ているのが可哀想なくらいに恐怖で歪んでいたのだった。







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