侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里

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クロは優秀な従魔です

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なんとか国王様から逃れて、やっと魔力測定が始まった。

ドッジボールの球くらいの大きさの水晶?が埋め込まれている台に手を翳して、暫くそのまま待つ。

魔力測定はこれだけなんだって。


凄く簡単じゃーん!

私がビックリしていると、父様が私の顔を見て苦笑する。

「昔はもっと大変だったんだぞ?クリフォード様が魔力を測定できるこの魔法石を発明し、作ってくれたからこその今があるのだ。前までは、軽く1時間はかかっていたからな。」


おおっ!!

クリフォード様、スゴーイ!!

っていうか、私また顔に出てた!?
そんなに分かりやすいのかな……。


「さあ、アシュ。先ずはお前からやってみなさい。」

国王様に言われて、アシュが魔法石の前に立つ。

魔法石に手を翳し暫くすると、魔法石が金色に眩しく光った。

「王族はね、金色に光るんだって。僕もそうだったんだ。」

私の横でセディが説明をしてくれる。

「王太子様は目が開いていられないくらいの光でしたね。」


なるほど。
魔法石が強く輝く程、魔力が強いらしい。

「次はエリーヌの番だよ。」


国王様に手招きされて、私は魔法石の前に立った。


う~、ドキドキする。


そっと手を伸ばして、魔法石に翳す。


……すると、魔法石からオレンジ色、黄緑色、水色の光がブワッと溢れ出し、その強さを増していく。


おおっ?なんだこれ!?


「まずいっ!エリーヌ、手を離しなさいっ!!」

クリフォード様が慌てて私の手を掴むけど、その瞬間ピシッと魔法石にひびが入りバリンッと砕けた。


ヤバイッ!!


砕けた魔法石の破片が勢いよく飛び散る。
クリフォード様がそのまま私を抱き込み、魔法石に脊を向けて盾になってくれようとしていた。


私のせいで、みんなが怪我しちゃう!!
どうしよう!!


「大丈夫だ。」

テンパって青褪める私の耳元で、襟巻き化していたクロがそっと囁く。

その直後、部屋が赤く光り、空中に砕け散った魔法石の破片が勢いを無くしてバラバラと床に落ちていった。

呆然としながらも、なんとかクロに目を向けると、クロはニヤッと笑って私の頬に頭をスリスリと擦り付ける。

「俺はエリーヌの従魔だからな。役に立ったか?立っただろ?思う存分褒めていいんだぞ?」

「ク、クロ~!」


ありがとう!!
大好きだよー!!


私は大事にならなかったことに安堵して、泣きべそをかきながらクロをギュウギュウと抱き締め頬擦りをした。

「……それは?」

クリフォード様に声をかけられ、私がまだ背後からクリフォード様に抱き込まれたままだという事に気付いて慌てて離れようとするも……クリフォード様にガッシリと肩を掴まれ動けなくなってしまった。

「あの……。」

「それはなんだ?従魔なのか?何故こんな幼い子に従魔がいるんだ?それに、あの魔力の色はどういうことだ?」


こ、怖い!迫力があり過ぎて怖いから!
そんなに疑問形ばっかりぶつけてこないで!

「叔父上、少し落ち着いて下さい。エリーヌが怖がっています。」

セディが私の肩を掴んでいるクリフォード様の手を取ると、私を庇うようにクリフォード様から引き離してくれた。


「ねえ、私はエリーヌに従魔がいるなんて聞いて無いよ?」

「クロの事は今日言おうと思って連れて来たんだ。そもそも隠していない。城には連れて来ていなかっただけだ。」

「エリーヌのあの魔力は何?あんな3つの魔力色がある人間なんて初めて見たよ。…………ねえ、正直に言ってくれ。エリーヌは本当にお前の子か?」


ゴツンッ!!!

国王様と話していた父様が突然、思い切り国王様の頭を殴った。

「お前……本気で言っているのか?エリーヌは正真正銘、私とカトリーナの子だ!!」

「だって、有り得ないじゃないか!あの魔力色、魔族とエルフ族の色だろ!普通の人間ならば持ち合わせない魔力だ!」



……え……。

私、人間じゃないの?
父様の子供じゃないの?


体の内側から恐怖が湧き起こり、ガタガタと震えが止まらない。

「父上!やめて下さい!!ここにエリーヌがいるんですよ!!」

「そうよお父様!やめて!!」

震える私を必死に抱き留めて、セディが国王様に訴え、アシュが私に寄り添い泣いている。

ハッと我に返った国王様と父様が、私達の方に顔を向けた。


きっと、ガタガタと震える私はショックのあまり、顔面蒼白でとっても酷い顔をしていたんだと思う。

父様が目を見開き、悲痛な表情で私に手を伸ばすのを見たのを最後に、私の目の前は真っ暗になり…………私は意識を手放してしまった。



「「「エリーヌ!!!」」」

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