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光ってフワフワ漂うのは蛍だけでいいんですけど?
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リアムパパに私の魔力の事を話すと、マリアの提案を快く了承してくれた。
「私達でエリーヌ様のお役に立てるのならば、どんな事でもさせていただきます。」
マリア家族が3人揃って頷く。
「ありがとう……!」
私が感極まって目をウルウルさせていると、リアムパパの周りにフワフワと漂っている淡い光が視界に入ってきた。
うん?と、目をゴシゴシと擦り、もう一度見るとその光はどこにもない。
ーーあれ?見間違い?
涙で視界がぼやけていたから気のせいかな?
私がキョロキョロと周りを見回していると、マリアが不思議そうに私を見た。
「エリーヌ様?どうかされましたか?」
「うん……さっきそこに蛍みたいな光がフワフワ~ッと……。」
「ホタル?」
マリアが首を傾げる。
お?この世界には蛍がいないのか?
「ん~……何でもない。」
私がエヘヘッと笑っていると、にぃにが手を私の方へ差し出して微笑んだ。
「エリーヌ様、ここから先の難しい話しは大人達に任せて、私達は散歩でもしましょうか。」
「うん、行くー!」
私はピョンと座っていたソファーから立ち上がって、にぃにの手を取る。
庭には、色とりどりの花が咲き、気持ち良さそうに風に揺られていた。
使用人は雇わずに男2人暮らしだと言っていたけれど、花壇はきちんと手入れされているようで、花々も生き生きとしている。
「お花の手入れは誰がしてるの?とっても綺麗だね。」
「ああ、それは父が……この花壇は母のお気に入りだったので、特にしっかりと世話をしているのでしょう。」
「そっかぁ。」
確かマリアのお母さんは、マリアが私の専属侍女になる1年くらい前に病気で亡くなったって聞いた。
リアムパパは容姿が原因で良い職に就けず、代わりにお母さんが働いて家計を支えていたんだって。
「幼馴染だった父と母はとても仲が良かったんです。唯一の理解者だった母を亡くした父は心身共に弱ってしまい……私達家族はドン底まで落ち、途方に暮れていました。」
「そんな私達家族に、侯爵様は手を差し伸べてくださったのです。このご恩は感謝しても仕切れません。」
庭を歩きながら話すマリアとにぃにはお母さんの事を思い出しているのか、花壇の花を悲しげに見つめている。
「じゃあ、私も父様に感謝しなくちゃね。父様のおかげで、大好きなマリアと、リアムパパと、にぃにに出会えたんだから!」
私がニッコリ笑うと、にぃには頬を染めて何やら悶えている。
「て、天使!!マリア!ここに天使がいるぞ!?」
「兄さん。エリーヌ様は侯爵家の天使ですから。」
マリアが自慢げにしているけど……可笑しいからね!?
どんな分厚い色眼鏡で私を見ているんだよ!
私は天使なんかじゃありませんから!!
私が2人の会話を聞いてげんなりしていると、どこからともなく、またさっきの淡い光がフワフワと漂いこちらに近づいてきた。
あれ?やっぱり見間違いじゃなかったんじゃん。
「ねえ、マリア。あの光ってなんだろう?」
「光ですか?」
私が指差す方を向いて、マリアが首を傾げる。
そうしている間にもどんどん近づいてきて、私達の周りをフワフワと漂っている。
「これだよ、これ!」
「……?私には何も見えませんが……。」
ーーマジか!?
私が驚いて見上げると、その淡い光はピタッと動きを止め、パンッと弾けるように消えてなくなってしまった。
ーーあれ絶対蛍じゃないヤツだ。
「……ハハッ……。この世界にも火の玉ってあるのかなぁ……。」
光が消えたのに呆然としている私を、にぃにとマリアが不思議そうに見つめる。
私にだけ見えてたとか、やっぱり1回死んだ記憶があるからですかね!?
父様達の話し合いが終わり、私は肩をガックリと落として帰りの馬車に揺られていた。
私は平穏に暮らしたいだけなのに……他の人に見えないモノまで見えちゃったら、ますます平穏に暮らせなくなっちゃうんじゃない?
気落ちして帰った私は、屋敷に到着後、目に映った光景に更に肩をガックリと落としたのだった。
「……あぁ。嫌な予感しかしない。」
門の前に止められた、王家の紋章の付いた煌びやかな馬車を見て、私は深く溜め息を吐いた。
「私達でエリーヌ様のお役に立てるのならば、どんな事でもさせていただきます。」
マリア家族が3人揃って頷く。
「ありがとう……!」
私が感極まって目をウルウルさせていると、リアムパパの周りにフワフワと漂っている淡い光が視界に入ってきた。
うん?と、目をゴシゴシと擦り、もう一度見るとその光はどこにもない。
ーーあれ?見間違い?
涙で視界がぼやけていたから気のせいかな?
私がキョロキョロと周りを見回していると、マリアが不思議そうに私を見た。
「エリーヌ様?どうかされましたか?」
「うん……さっきそこに蛍みたいな光がフワフワ~ッと……。」
「ホタル?」
マリアが首を傾げる。
お?この世界には蛍がいないのか?
「ん~……何でもない。」
私がエヘヘッと笑っていると、にぃにが手を私の方へ差し出して微笑んだ。
「エリーヌ様、ここから先の難しい話しは大人達に任せて、私達は散歩でもしましょうか。」
「うん、行くー!」
私はピョンと座っていたソファーから立ち上がって、にぃにの手を取る。
庭には、色とりどりの花が咲き、気持ち良さそうに風に揺られていた。
使用人は雇わずに男2人暮らしだと言っていたけれど、花壇はきちんと手入れされているようで、花々も生き生きとしている。
「お花の手入れは誰がしてるの?とっても綺麗だね。」
「ああ、それは父が……この花壇は母のお気に入りだったので、特にしっかりと世話をしているのでしょう。」
「そっかぁ。」
確かマリアのお母さんは、マリアが私の専属侍女になる1年くらい前に病気で亡くなったって聞いた。
リアムパパは容姿が原因で良い職に就けず、代わりにお母さんが働いて家計を支えていたんだって。
「幼馴染だった父と母はとても仲が良かったんです。唯一の理解者だった母を亡くした父は心身共に弱ってしまい……私達家族はドン底まで落ち、途方に暮れていました。」
「そんな私達家族に、侯爵様は手を差し伸べてくださったのです。このご恩は感謝しても仕切れません。」
庭を歩きながら話すマリアとにぃにはお母さんの事を思い出しているのか、花壇の花を悲しげに見つめている。
「じゃあ、私も父様に感謝しなくちゃね。父様のおかげで、大好きなマリアと、リアムパパと、にぃにに出会えたんだから!」
私がニッコリ笑うと、にぃには頬を染めて何やら悶えている。
「て、天使!!マリア!ここに天使がいるぞ!?」
「兄さん。エリーヌ様は侯爵家の天使ですから。」
マリアが自慢げにしているけど……可笑しいからね!?
どんな分厚い色眼鏡で私を見ているんだよ!
私は天使なんかじゃありませんから!!
私が2人の会話を聞いてげんなりしていると、どこからともなく、またさっきの淡い光がフワフワと漂いこちらに近づいてきた。
あれ?やっぱり見間違いじゃなかったんじゃん。
「ねえ、マリア。あの光ってなんだろう?」
「光ですか?」
私が指差す方を向いて、マリアが首を傾げる。
そうしている間にもどんどん近づいてきて、私達の周りをフワフワと漂っている。
「これだよ、これ!」
「……?私には何も見えませんが……。」
ーーマジか!?
私が驚いて見上げると、その淡い光はピタッと動きを止め、パンッと弾けるように消えてなくなってしまった。
ーーあれ絶対蛍じゃないヤツだ。
「……ハハッ……。この世界にも火の玉ってあるのかなぁ……。」
光が消えたのに呆然としている私を、にぃにとマリアが不思議そうに見つめる。
私にだけ見えてたとか、やっぱり1回死んだ記憶があるからですかね!?
父様達の話し合いが終わり、私は肩をガックリと落として帰りの馬車に揺られていた。
私は平穏に暮らしたいだけなのに……他の人に見えないモノまで見えちゃったら、ますます平穏に暮らせなくなっちゃうんじゃない?
気落ちして帰った私は、屋敷に到着後、目に映った光景に更に肩をガックリと落としたのだった。
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