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みんなに愛されすぎて……幸せです!
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「はじめまして……。……クロ……第四王子と契約しているエリーヌです。よろしくお願い致します……。」
私は今、ズ~ンと落ち込みながら魔王の前に立ちグズグズな挨拶をしている。
一触即発だった先程の場面に、騒動を聞きつけた魔王の側近が駆け付けてなんとかその場は収まった。
側近の人の案内で魔王の待つ部屋へ来たのだけれど、第一王子との出会いで気分は最悪なまま魔王に挨拶する羽目になってしまったのだ。
そんな私の両脇には、クロとサミュエルさんが並んで立ち、手を繋いでくれている。
…………両手に第二王子と第四王子。私には荷が重いです。
シュンとしている私の後ろには、鬼の形相で怒りオーラが出まくっている面々がいて、魔王の顔が若干引き攣っていた。
「……久しぶりだな、クロフォードよ。」
「父上、ご無沙汰です。ずっと連絡せずにすみませんでした。」
「もうよい。お前はいつでも自由に各地を飛び回っていたからな。たまには連絡をよこすのだぞ。」
「はい。」
魔王はクロの返事に目を細め小さく頷くと、私達に目を移して苦笑する。
「……ところで、お前の連れ達は何故こんなに不機嫌なのだ?やり辛くてかなわん。」
「アイザック兄上のせいですよ。」
サミュエルさんが肩を竦めながら答え、「アイザック」と名前を聞いたクロの眉間に皺が寄った。
「アイザックの?」
「兄上がクロフォードの主を蔑める発言をしたんです。まったく、自分の魔力量がエリーヌに及ばないのも分からないのに何言ってんだって話ですけど。」
サミュエルさんが呆れ顔でそう言うと、今度は魔王の眉間に深い皺が寄る。
え?私はあの人より魔力が多いの?
目を丸くしている私にサミュエルさんは微笑んで優しく頭を撫でてくれた。
「兄上は自分が王位を継承すると思っているから昔から周りにもあんな横柄な態度をとるんだ。嫌な思いをさせて悪かったね。」
「……あの人、王太子じゃないの?」
「フフッ。第一王子だからって能無しが王になれる程、魔国は甘くないからね。そうでしょ?父上?」
サミュエルさんが魔王にニコッと笑うと、魔王は暫くクロとサミュエルさんを見つめ、やがて深く息を吐いた。
「そうだな。色々と思うところがあって今まで静観していたが……クロフォードも見つかった事だし、そろそろ頃合いかもしれん。次期国王を正式に決めよう。」
「遅いわ戯け者めが。お前がもっときちんとしていれば、エリーヌが嫌な思いをせずに済んだものを。」
「すまん。そう怒るな。キリナム殿は昔から手厳しい。」
ギロリと睨むキリナムさんに、魔王は眉尻を下げる。
……キリナムさんは誰にでも容赦ないんですね……。魔王を戯け者扱いって……。
「キリナム殿には、私が幼少の頃から世話になっているんだよ。」
私が複雑な表情をしているのに気づいて魔王が苦笑しながら教えてくれた。
「魔国とは先代の魔王からの付き合いがあるからな。コイツは子供の頃からよく泣く気の弱い奴だった。そのくせ魔力はどの兄弟よりも強大だったから、私が少し心身共に鍛えてやったのだ。」
「あれを少しと言うのなら、キリナム殿に本気を出されていれば私は死んでいたな。」
…………キリナムさん、恐るべし。
「父上。俺は後継者候補から外してください。この先もエリーヌと一緒にいるので魔国に戻るつもりはありませんから。」
クロが真剣な眼差しで魔王を見て言った。
魔王もジッとクロを見つめ返している。
「本気か?」
「はい。」
「お前が誰かの従魔になるなんてにわかには信じ難かったが……今のお前を見ていて納得したよ。今のお前は、此処にいる頃よりも目が生き生きとしている。」
魔王の表情が緩み笑顔になった。
そして魔王は笑顔のまま私に手招きをして近くに寄るよう促す。
私がおずおずと近づくと、魔王は私の手を取りそっと握った。
「先程は愚息が……アイザックがすまなかった。そしてこれからもクロフォードをよろしく頼む。」
「…………これからもずっとクロと一緒にいていいんですか?」
「勿論だ。」
魔王に力強く頷かれ、止まっていた私の涙がまたドバッと溢れ出す。
「わ、私、もっともっと頑張ってクロに相応しくなります~。」
うわ~んと大泣きする私に慌てる魔王そっちのけで、みんながサッと動いて私の周りを取り囲んだ。
「エリーヌ、今の言い方はどうかと思うよ?あれじゃあ恋人か婚約者のようなセリフになってしまうからね?エリーヌには僕がいるんだから。」
「僕は王太子も認めてませんけどね。ほらエリーヌ、もう泣き止んで?」
「エリーヌよ、心配ないぞ。あの馬鹿……アイザックは私が後で懲らしめておくからな。」
「キリナム様、その際は是非私にお供させてくださいませ。」
「こらクロ。どさくさに紛れて何エリーヌを抱っこしているんだ。それは父である私の役目だろう。離さんか。」
「ああ、悪い。エリーヌがあまりにも可愛いことを言うからついな。でも俺はエリーヌの従魔なんだから別にいいだろ。いつも首に巻き付いてるんだし。」
「「「よくない!!」」」
…………みんな落ち着いて。
みんなが一斉に喋ってギャイギャイと騒いでいるから、魔王もサミュエルさんも唖然としちゃってるじゃん。
「なんかすみません。」
クロに抱っこされたまま魔王とサミュエルさんに向かってペコリと謝罪すると、2人は首を横に振り笑顔を返してくれた。
「エリーヌは愛されているね。」
「はいっ!」
サミュエルさんに言われ、私は満面の笑みを浮かべて答えたのだった。
私は今、ズ~ンと落ち込みながら魔王の前に立ちグズグズな挨拶をしている。
一触即発だった先程の場面に、騒動を聞きつけた魔王の側近が駆け付けてなんとかその場は収まった。
側近の人の案内で魔王の待つ部屋へ来たのだけれど、第一王子との出会いで気分は最悪なまま魔王に挨拶する羽目になってしまったのだ。
そんな私の両脇には、クロとサミュエルさんが並んで立ち、手を繋いでくれている。
…………両手に第二王子と第四王子。私には荷が重いです。
シュンとしている私の後ろには、鬼の形相で怒りオーラが出まくっている面々がいて、魔王の顔が若干引き攣っていた。
「……久しぶりだな、クロフォードよ。」
「父上、ご無沙汰です。ずっと連絡せずにすみませんでした。」
「もうよい。お前はいつでも自由に各地を飛び回っていたからな。たまには連絡をよこすのだぞ。」
「はい。」
魔王はクロの返事に目を細め小さく頷くと、私達に目を移して苦笑する。
「……ところで、お前の連れ達は何故こんなに不機嫌なのだ?やり辛くてかなわん。」
「アイザック兄上のせいですよ。」
サミュエルさんが肩を竦めながら答え、「アイザック」と名前を聞いたクロの眉間に皺が寄った。
「アイザックの?」
「兄上がクロフォードの主を蔑める発言をしたんです。まったく、自分の魔力量がエリーヌに及ばないのも分からないのに何言ってんだって話ですけど。」
サミュエルさんが呆れ顔でそう言うと、今度は魔王の眉間に深い皺が寄る。
え?私はあの人より魔力が多いの?
目を丸くしている私にサミュエルさんは微笑んで優しく頭を撫でてくれた。
「兄上は自分が王位を継承すると思っているから昔から周りにもあんな横柄な態度をとるんだ。嫌な思いをさせて悪かったね。」
「……あの人、王太子じゃないの?」
「フフッ。第一王子だからって能無しが王になれる程、魔国は甘くないからね。そうでしょ?父上?」
サミュエルさんが魔王にニコッと笑うと、魔王は暫くクロとサミュエルさんを見つめ、やがて深く息を吐いた。
「そうだな。色々と思うところがあって今まで静観していたが……クロフォードも見つかった事だし、そろそろ頃合いかもしれん。次期国王を正式に決めよう。」
「遅いわ戯け者めが。お前がもっときちんとしていれば、エリーヌが嫌な思いをせずに済んだものを。」
「すまん。そう怒るな。キリナム殿は昔から手厳しい。」
ギロリと睨むキリナムさんに、魔王は眉尻を下げる。
……キリナムさんは誰にでも容赦ないんですね……。魔王を戯け者扱いって……。
「キリナム殿には、私が幼少の頃から世話になっているんだよ。」
私が複雑な表情をしているのに気づいて魔王が苦笑しながら教えてくれた。
「魔国とは先代の魔王からの付き合いがあるからな。コイツは子供の頃からよく泣く気の弱い奴だった。そのくせ魔力はどの兄弟よりも強大だったから、私が少し心身共に鍛えてやったのだ。」
「あれを少しと言うのなら、キリナム殿に本気を出されていれば私は死んでいたな。」
…………キリナムさん、恐るべし。
「父上。俺は後継者候補から外してください。この先もエリーヌと一緒にいるので魔国に戻るつもりはありませんから。」
クロが真剣な眼差しで魔王を見て言った。
魔王もジッとクロを見つめ返している。
「本気か?」
「はい。」
「お前が誰かの従魔になるなんてにわかには信じ難かったが……今のお前を見ていて納得したよ。今のお前は、此処にいる頃よりも目が生き生きとしている。」
魔王の表情が緩み笑顔になった。
そして魔王は笑顔のまま私に手招きをして近くに寄るよう促す。
私がおずおずと近づくと、魔王は私の手を取りそっと握った。
「先程は愚息が……アイザックがすまなかった。そしてこれからもクロフォードをよろしく頼む。」
「…………これからもずっとクロと一緒にいていいんですか?」
「勿論だ。」
魔王に力強く頷かれ、止まっていた私の涙がまたドバッと溢れ出す。
「わ、私、もっともっと頑張ってクロに相応しくなります~。」
うわ~んと大泣きする私に慌てる魔王そっちのけで、みんながサッと動いて私の周りを取り囲んだ。
「エリーヌ、今の言い方はどうかと思うよ?あれじゃあ恋人か婚約者のようなセリフになってしまうからね?エリーヌには僕がいるんだから。」
「僕は王太子も認めてませんけどね。ほらエリーヌ、もう泣き止んで?」
「エリーヌよ、心配ないぞ。あの馬鹿……アイザックは私が後で懲らしめておくからな。」
「キリナム様、その際は是非私にお供させてくださいませ。」
「こらクロ。どさくさに紛れて何エリーヌを抱っこしているんだ。それは父である私の役目だろう。離さんか。」
「ああ、悪い。エリーヌがあまりにも可愛いことを言うからついな。でも俺はエリーヌの従魔なんだから別にいいだろ。いつも首に巻き付いてるんだし。」
「「「よくない!!」」」
…………みんな落ち着いて。
みんなが一斉に喋ってギャイギャイと騒いでいるから、魔王もサミュエルさんも唖然としちゃってるじゃん。
「なんかすみません。」
クロに抱っこされたまま魔王とサミュエルさんに向かってペコリと謝罪すると、2人は首を横に振り笑顔を返してくれた。
「エリーヌは愛されているね。」
「はいっ!」
サミュエルさんに言われ、私は満面の笑みを浮かべて答えたのだった。
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