侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里

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兄VS兄

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ビックリしてクロのお兄さんとクロを何度も交互に見ていると、キョロキョロと動く私の頭をアーク兄様がガシッと掴んで抑えた。

「エリーヌ、さすがに見過ぎ。」


だってさあ、この厳つい顔の大男がこのクロのお兄さんなんだよ?誰が見てもビックリすると思わない?


私が不服そうにアーク兄様を見上げると、兄様は苦笑しながら頭を撫でてくれた。

「気持ちは分からなくはないけど。」

「本当にね。」

セディも、なんとも言えないといった表情で頷いている。


そうでしょ?やっぱりみんな思ってるんじゃん。
似てるのって金髪金眼なところくらいだもん。

「俺達は母親が違うんだ。国王には3人妃がいるからな。」

「え……」

「この第一王子と第三王子は同じ母親。あとはそれぞれ違う母親なんだよ。」


え~……。魔国って一夫多妻制なの?私的には嫌な制度だな……。


「魔族が皆そうじゃない。国王だけさ。人間の国王だってそうだったと思うぜ?」

「え?そうなの!?」

クロの言葉に思わずガバッと勢いよくセディの方を向いてしまった。
私の勢いに少し目を丸くしたセディは、すぐに私の目を真っ直ぐに見て柔らかく微笑んだ。

「そうだね。でも父上は死んだ母上一筋だし、僕も愛する妃は生涯にただ1人だけと決めているから。だからエリーヌは安心してね?」

ーーホッ。

そうなんだ。良かった。…………って、なんでホッとしてるんだ、私。


「今、明らかにホッとしたでしょ。」

「なっ!?し、してないもんっ!!」

アーク兄様にジト目でツッコまれ、私は顔を真っ赤にして思いっ切り動揺してしまった。

「フフッ。エリーヌ可愛い。」

セディが頬を染め、うっとりとした顔で見つめてくる。


もうやめて~!!


「おい。なに俺様を無視してそこで盛り上がってるんだよ。ふざけるな。」

ダンッ!と足を踏み鳴らす音がしてクロのお兄さんの怒声が響いた。

…………ヤバイ。忘れてた。

「これは失礼致しました。無礼をお許しください。我らは第四王子と従魔契約した者とその関係者です。早々に第一王子とお会いできました事、至極光栄に存じます。」

父様が深々と頭を下げてクロのお兄さんに挨拶をする。

けれどクロのお兄さんは再び鼻でフンと笑うと、私達を蔑むような目で見下した。

「で?どれがコイツの主なんだ?」

「……ハイ。私です。」

感じの悪い目つきで私達を見回すクロのお兄さんに、私は嫌悪感MAXながらも渋々手を上げて答える。

クロのお兄さんは私を上から下までジロジロと品定めしていたかと思うと、ハハッと呆れたと言わんばかりの笑い声を上げた。

「このチンチクリンが主だと?」


ううっ……。またチンチクリンって言われた。
でもキリナムさんに言われた時はなんとも思わなかったのに、今は凄くショック……。
あれだよね、きっと悪意がこもってるかの違いだよね。
今回の「チンチクリン」発言はクロのお兄さんの悪意がビシビシと伝わってくるもん。

「このチンチクリン、魔力も変じゃないか?色々混ざってるし、かなり不安定だ。見た目も駄目、魔力も駄目、そんな奴が主なんてな。まあ、お前にはピッタリの主か。」


…………ううっ。私のせいでクロまで馬鹿にされてる。……ヤバイ。涙が……。


「おい小僧。黙って聞いていれば言いたい放題言いおって。アイツは自分の息子にどのような教育をしているのだ。エリーヌを蔑めるような発言は私が許さないぞ。」

私の背後でキリナムさんがクロのお兄さんを鋭く睨んで怒りを露わにしている。
周りのみんなからも怒りオーラが溢れ出ているのを感じた。


ああ、私のせいで魔国に着いて早々にクロのお兄さんと険悪なムードになっちゃったよ。

そう思ったら目から涙が溢れちゃって、溢れ出てしまった涙はもう自分の意思では止められなくなってしまった。

「うう~……。」

ポロポロと涙を流す私の姿に、その場の空気がピキッと固まる。

ヤバイ。涙を止めないとっ……。

後から後から流れ出てくる涙を止めようと手でゴシゴシ目を擦る。
そこへ何処からかフワリと良い匂いが香ってきたかと思うと、私の手に温かいモノが優しく触れた。

「そんなに強く擦っては駄目だよ。」

突然の出来事に、私は驚いてゴシゴシと目を擦っていた手を止めて顔を上げる。

私の目の前には、スラリと背の高い金髪金眼の美人さんが柔らかく微笑んで立っていた。

「サミュエル兄上。」

ホッとした表情のクロを見て、私は瞬時にこの人は敵じゃないと認識する。

でも、今のこのダメダメな私の姿を見て、この人にまでクロの主として認めてもらえないかもしれないという不安から、驚いて少し止まっていた涙が再びドバッと溢れ出した。

「ふ、ふえ~ん。」

「おやおや。そんなに泣いてしまったら、せっかくの可愛い顔が台無しだよ。」


再度泣き出した私をみんなが心配して取り囲む。
その誰よりも早く私に手を差し出してヒョイっと抱き上げてくれたのは、クロにサミュエルと呼ばれたお兄さんだった。

グスングスンとなかなか泣き止むことが出来ない私の背中をポンポンと優しく叩いて、サミュエルさんは私を落ち着かせようとしてくれている。


……この人、とってもいい人だ。

サミュエルさんの温もりに心が少し落ち着いてきた私は、初対面だというのに泣きながらサミュエルさんの肩に頭をスリスリと擦り付けてギュッと抱き付いてしまった。

サミュエルさんは、そんな私を嫌な顔もせずに……むしろ嬉しそうに頬を染めてギュッと抱き締めてくれる。

「は~、可愛い……。僕ずっとこんな可愛い妹が欲しかったんだよね。こんな可愛い子を泣かせるなんて、全く馬鹿な奴がいたもんだ。」

私を抱き締めたままサミュエルさんは厳つい方のお兄さんをギロリと睨んだ。

クロのお兄さん達の間にバチバチと火花が散る。


「フッ、面白い。お前らとは、いつかケリを付けようと思っていたんだ。」


バトル勃発!?







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