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第50話 マナの森②
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「むう。なんか、治療院っぽい匂いがするのだ。」
「まあね……元々、そういう施設だもの。」
「う、うん。ちょっと、緊張するね……」
ロルフが受付で話を終えて戻ってくると、三人はどこか落ち着かない様子で、ホールの椅子に座っていた。
真ん中にいるスゥの手元には、シロの入った木箱が抱えられている。
実際は治療院というより研究施設に近いのだが、この白い壁と独特な薬品の香りには、つい気を張ってしまうものだ。
何となしに納得して、隣の長椅子に腰掛けると、一番近くにいたエトと目が合った。
「すぐ、呼んでくれるそうだ。」
「あ、はいっ。」
そう返事をすると、エトは一度三人で顔を合わせ、ほっと息を吐いた。
とはいえ、緊張は抜けきらない様子だ。
エトはそのままもう一度こちらを向いて、少し身を乗り出すような体制になった。
「……あの、ロルフさん。知り合いの方って、どんな人なんですか?」
「ん? あー……そうだな……」
恐らく、気を紛らせるために軽い会話をしたいのだろう。
それが故、思わず言葉に詰まる。
頭に浮かんだ言葉をそのまま並べると、むしろ不安にさせかねないと思ったからだ。
「治癒に関しては、とても優秀な……魔導士だ。」
「え?」
なるべく安心できそうな要素だけを並べた結果、何の情報もない感じの言葉になってしまった。
エトも目を点にして、首を傾けている。
「……あ、そうですよね。なんて言っても、Sランクギルドですもん。」
何とかフォローしてくれようとする、エトの優しさが心にしみる。
それに続いて、スゥも身を乗り出してきた。
「そう、凄いのだ。スゥはSランクのギルドハウスなんて、初めて来たのだ!」
「ちょっと、見学に来たんじゃないんだからね、スゥ。」
少し興奮気味にいうスゥの横顔を、リーシャがなだめるようにつつく。
わかっていると言わんばかりに、スゥは頬を膨らませた。
「でも、私も、ちょっと驚いてます。Sランクギルドって、凄く遠い存在だと思ってましたから……」
その二人を見て、少しだけ笑ってから、エトは受付の方へ視線を送った。
机から垂らされた布には、王冠と盾のエンブレムが描かれている。ギルドエンブレムと呼ばれ、Aランク以上のギルドになると設けられるようになるものだ。
エトはそれを、どこか遠くを見るような目で見ていた。
「そんなに遠い存在でも、ないさ。」
「あ……」
特に深く考えてのことではなかったが、思わず口からでたその言葉に、嘘はない。
トワイライトは、既にBランク。考え方によっては、もう目の前なのだ。
「――まあ、『最弱のS』だなんて、呼ばれてもいるからね。」
突然の女性の声に、全員の視線がそちらへ跳ねる。
ロルフは顔をしかめて、そのままゆっくりと背後へ振り向いた。
「……そういう意味で言ったんじゃないぞ、レイナ。」
低めの身長に、癖のある短めの髪。
二重に白衣を羽織っているのは、汚れたら脱皮のごとく外側を脱ぎ捨てるためらしい。今は汚れていないので、少なくとも今は実験中ではなかったのだろう。
もっとも、何かしているときに接客を優先するような奴でもないのだが。
「フフフ、もちろん分かってるさ。ちょっとしたお茶目だろう? ロルフ。」
流し目でいたずらっぽく笑い、ひらりと白衣をなびかせ、隣に座る。
……近い。
もはや指摘する気にもなれないが、こいつは昔から、距離感がおかしい。
「お前の冗談は分かりにくいんだよ……」
「硬いことを言うな、昔は一緒に色々した仲だろう?」
「誤解を招く言い方をするな。一緒のパーティーだっただけだろうが。」
「……ふむ、まあ、そういうことにしておくよ。」
レイナはこちらの体越しに奥の三人に視線を送って、にやりと笑った。
三人は目を見開いて、ロルフとレイナを交互に見ている。
ロルフは眉間を抑えて、浅くため息をついた。
レイナはいつもこうだ。
悪い奴ではないのだが、からかい好きというか、おちゃらけているというか、とにかく常にペースを乱してくるので、やりにくいことこの上ない。
「しかし、キミも隅に置けないな。ちょっと目を離した隙に、こんなカワイイ女の子を三人もはべらせているとは。」
そう呟いて、フワリと立ち上がったかと思うと、今度は三人の後ろから、ぴょこりと飛び出した。
「えっ?! ふあっ!」
「きゃ、きゃあっ!」
「ふむ、エルフの子は形が良いし、竜人の子は意外と大き……あふっ」
エトとリーシャに抱きついたレイナに鉄拳を食らわせ、引きずり離す。
「すまん。コイツは何というか、ちょっと人間性に問題があるんだ。」
襟を掴んで猫のように持ち上げると、レイナは両手を上下に動かして抗議した。
「なんて事をするんだ、キミは。私はギルドマスターなんだぞ。敬意を払って体を差し出したまえ!」
「差し出すか! 魔王かお前は!」
その会話と同時に、三人が一斉に椅子から立ち上がり、がたっという音が響く。
それに少し驚いて、手元に捉えてるレイナと共にそちらを向くと、三人はぽかんと口を開けていた。
「えっ、今、何て……?」
「ギ、ギルドマスター……?」
「なのだ??」
そのまま宙に持ち上げられたレイナと、顔を合わせる。
「……なんだロルフ。キミ、言ってなかったのか?」
「いや、それは……そういえば、言ってなかったかもしれない。」
三人の抗議めいた視線が刺さり、思わず顔を逸らす。
レイナはふむ、と頷いて、ロルフに掴まれている方の白衣をするりと抜けると、衣服を正し、堂々とした佇まいで、三人の前に歩み出た。
「自己紹介が遅れたね。私の名はレイナ、ここ、クインシールドのギルドマスターだ。歓迎するよ、トワイライトの諸君。」
そう言って、ギルドエンブレムの前で両手を広げる姿は、まさにギルドマスターといった貫禄を感じさせるものだった。
最初からそうであってくれと、ロルフは声に出さずに呟いた。
「まあね……元々、そういう施設だもの。」
「う、うん。ちょっと、緊張するね……」
ロルフが受付で話を終えて戻ってくると、三人はどこか落ち着かない様子で、ホールの椅子に座っていた。
真ん中にいるスゥの手元には、シロの入った木箱が抱えられている。
実際は治療院というより研究施設に近いのだが、この白い壁と独特な薬品の香りには、つい気を張ってしまうものだ。
何となしに納得して、隣の長椅子に腰掛けると、一番近くにいたエトと目が合った。
「すぐ、呼んでくれるそうだ。」
「あ、はいっ。」
そう返事をすると、エトは一度三人で顔を合わせ、ほっと息を吐いた。
とはいえ、緊張は抜けきらない様子だ。
エトはそのままもう一度こちらを向いて、少し身を乗り出すような体制になった。
「……あの、ロルフさん。知り合いの方って、どんな人なんですか?」
「ん? あー……そうだな……」
恐らく、気を紛らせるために軽い会話をしたいのだろう。
それが故、思わず言葉に詰まる。
頭に浮かんだ言葉をそのまま並べると、むしろ不安にさせかねないと思ったからだ。
「治癒に関しては、とても優秀な……魔導士だ。」
「え?」
なるべく安心できそうな要素だけを並べた結果、何の情報もない感じの言葉になってしまった。
エトも目を点にして、首を傾けている。
「……あ、そうですよね。なんて言っても、Sランクギルドですもん。」
何とかフォローしてくれようとする、エトの優しさが心にしみる。
それに続いて、スゥも身を乗り出してきた。
「そう、凄いのだ。スゥはSランクのギルドハウスなんて、初めて来たのだ!」
「ちょっと、見学に来たんじゃないんだからね、スゥ。」
少し興奮気味にいうスゥの横顔を、リーシャがなだめるようにつつく。
わかっていると言わんばかりに、スゥは頬を膨らませた。
「でも、私も、ちょっと驚いてます。Sランクギルドって、凄く遠い存在だと思ってましたから……」
その二人を見て、少しだけ笑ってから、エトは受付の方へ視線を送った。
机から垂らされた布には、王冠と盾のエンブレムが描かれている。ギルドエンブレムと呼ばれ、Aランク以上のギルドになると設けられるようになるものだ。
エトはそれを、どこか遠くを見るような目で見ていた。
「そんなに遠い存在でも、ないさ。」
「あ……」
特に深く考えてのことではなかったが、思わず口からでたその言葉に、嘘はない。
トワイライトは、既にBランク。考え方によっては、もう目の前なのだ。
「――まあ、『最弱のS』だなんて、呼ばれてもいるからね。」
突然の女性の声に、全員の視線がそちらへ跳ねる。
ロルフは顔をしかめて、そのままゆっくりと背後へ振り向いた。
「……そういう意味で言ったんじゃないぞ、レイナ。」
低めの身長に、癖のある短めの髪。
二重に白衣を羽織っているのは、汚れたら脱皮のごとく外側を脱ぎ捨てるためらしい。今は汚れていないので、少なくとも今は実験中ではなかったのだろう。
もっとも、何かしているときに接客を優先するような奴でもないのだが。
「フフフ、もちろん分かってるさ。ちょっとしたお茶目だろう? ロルフ。」
流し目でいたずらっぽく笑い、ひらりと白衣をなびかせ、隣に座る。
……近い。
もはや指摘する気にもなれないが、こいつは昔から、距離感がおかしい。
「お前の冗談は分かりにくいんだよ……」
「硬いことを言うな、昔は一緒に色々した仲だろう?」
「誤解を招く言い方をするな。一緒のパーティーだっただけだろうが。」
「……ふむ、まあ、そういうことにしておくよ。」
レイナはこちらの体越しに奥の三人に視線を送って、にやりと笑った。
三人は目を見開いて、ロルフとレイナを交互に見ている。
ロルフは眉間を抑えて、浅くため息をついた。
レイナはいつもこうだ。
悪い奴ではないのだが、からかい好きというか、おちゃらけているというか、とにかく常にペースを乱してくるので、やりにくいことこの上ない。
「しかし、キミも隅に置けないな。ちょっと目を離した隙に、こんなカワイイ女の子を三人もはべらせているとは。」
そう呟いて、フワリと立ち上がったかと思うと、今度は三人の後ろから、ぴょこりと飛び出した。
「えっ?! ふあっ!」
「きゃ、きゃあっ!」
「ふむ、エルフの子は形が良いし、竜人の子は意外と大き……あふっ」
エトとリーシャに抱きついたレイナに鉄拳を食らわせ、引きずり離す。
「すまん。コイツは何というか、ちょっと人間性に問題があるんだ。」
襟を掴んで猫のように持ち上げると、レイナは両手を上下に動かして抗議した。
「なんて事をするんだ、キミは。私はギルドマスターなんだぞ。敬意を払って体を差し出したまえ!」
「差し出すか! 魔王かお前は!」
その会話と同時に、三人が一斉に椅子から立ち上がり、がたっという音が響く。
それに少し驚いて、手元に捉えてるレイナと共にそちらを向くと、三人はぽかんと口を開けていた。
「えっ、今、何て……?」
「ギ、ギルドマスター……?」
「なのだ??」
そのまま宙に持ち上げられたレイナと、顔を合わせる。
「……なんだロルフ。キミ、言ってなかったのか?」
「いや、それは……そういえば、言ってなかったかもしれない。」
三人の抗議めいた視線が刺さり、思わず顔を逸らす。
レイナはふむ、と頷いて、ロルフに掴まれている方の白衣をするりと抜けると、衣服を正し、堂々とした佇まいで、三人の前に歩み出た。
「自己紹介が遅れたね。私の名はレイナ、ここ、クインシールドのギルドマスターだ。歓迎するよ、トワイライトの諸君。」
そう言って、ギルドエンブレムの前で両手を広げる姿は、まさにギルドマスターといった貫禄を感じさせるものだった。
最初からそうであってくれと、ロルフは声に出さずに呟いた。
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