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第70話 濃霧を漂う者⑤
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――森に霧がかかる、少し前。
ロルフは少し離れた位置から、スゥとマイアが蜂の魔物を討伐する様子を観察していた。
前後衛、二人一組に分けての戦闘。
定石で考えれば、戦闘に不慣れなマイアは、最も守護に長けたエトと組ませるべきだ。
あえてそうしなかったのは――エトとリーシャなら見ずとも安心、というのもあるが――スゥの盾役としての適性と、マイアの思考の柔軟性を確認したかったからだ。
「マイア、次はどっちなのだ!」
「最初に右、次に左です。その後、一度戻ってください、スゥ。」
「にゃっはー、了解なのだ!!」
マイアの指示に従って、撃ち落とされた魔物を次々と仕留めていくスゥ。
しかし、マイアから離れすぎない絶妙な距離を、常に保っている。
「ふむ……」
ロルフは、一人静かに唸った。
結果は、予想以上。
スゥは意欲的に攻めつつも、守りを意識できており、ことマイアに至っては、既に司令塔として機能している。
考えてみれば、医療現場ほど素早い現状把握と的確な指示が必要な環境はない。
マイアはそれを戦闘に転用しているのだ。
それだって簡単なことではないはずだが、出来てしまっているものはしょうがない。素直なスゥの性質とも相まって、それは強力な相乗効果を発揮していた。
「これなら、四人での行動でも、相当な数の戦略パターンを組めるな……」
ロルフは満足げに頷くと、二人に向かって歩き出した。
適性は十分に見れたし、戦果としても上々。
ここらで一度、合流して――
「おっと――待ってくださいよ?」
「?!」
突然、背後からの声。
驚いて振り向くと、そこには見覚えのある長身の男が一人、立っていた。
「お前は……どうして、ここに……?」
「はは、嫌だなぁ。そんなの決まってるじゃないですか。」
こちらが何かいう前に、男は音もなく近づくと、手を突き出してきた。
「一緒に、来てくださいよ。ねぇ?」
――チリン……。
「……ところで、マスターは、どこにいったんでしょう。」
「んー? エトとリーシャのトコに、行ってるんじゃ、ないのだー?」
不器用に魔石を取り出しながら、スゥがそう答える。
マイアは周囲をもう一度見回って、小さく頷いた。
「確かに、二組一度には……見れませんからね。」
そう翻した足元に、薄く霧が流れ込んだ。
+++
宙に離れては、角度を変えて襲い掛かる爪を、ただひたすらに迎え撃つ。
何度も見るうちに、その軌道の法則性や、攻撃の癖がわかってくる。
しかし、集中力も体力も、その慣れを上回る勢いで削られていく。
「――っ!」
いなし損ねた爪の一片が、顔をかすめる。
頬に、血の滴る感覚。
「エト、大丈夫?!」
「……うん、この程度、どうってことないよ……!」
肩で血をぬぐい、双剣を構え直す。
しかし、その瞬間、視界から亡霊の姿が消えた。
――チリン。
次に視界にとらえたのは、魔法を発動しているリーシャの、すぐ右隣。
今までの移動より、明らかに早い。まさか、ここにきて、まだ力を隠していたのだろうか。
リーシャを、守らなければ。
最悪、自分の身を盾にしてでも――!
「にゃっはー!!」
回転するように飛び込んできた巨大な斧が、その爪を叩き折った。
キラキラと宙を舞うその破片越しに、エトはその姿を見た。
「――スゥちゃん!」
「……間に、合った、わね……」
リーシャは魔法を解除すると同時に、膝をついた。
エトは慌てて、その体を抱きとめる。
「って、ことは……」
「エト、その位置を、動かないで。」
その声を追うように、複数の矢が走る。
襲い掛かる準備をしていた亡霊は、それを躱すために上空へ逃げた。
「マイアちゃん……!」
マイアは弓を構えながら、素早い身のこなしで、二人の傍に滑り込んだ。
「……良く、気づいてくれたわ。マイア。」
「リーシャの広域魔法があっての事です。流石、なのですよ。」
エトの助力で、どうにか立ち上がったリーシャは、マイアと笑顔を交わした。
リーシャが地上スレスレに放ったのは、威力度外視の、超広範囲な風魔法。
それをマイアの目で感知し、発生源を辿り、合流する。
『魔力の消費が激しい上、リーシャからマイアに対してしか使えない。まず使うことはないと思うが、今回の相手は魔物の群れだ。音も光も使わずに、確実に合流したいケースがあるかもしれないからな。』
それが、ロルフからの提案。
まさか、こんな状況で使うとは、本人も思ってもみなかっただろう。
そうした四人が息をつく暇もなく、二体の亡霊が横並びに現れる。
「どえええ?! よく見たら、二匹いるのだ?!」
「……なんとなく、予想はしてたわ。そっちにも居たのね。」
「はい。こちらは一体、氷の針を飛ばす遠距離攻撃が主体のようです。」
「こっちも一体、氷の爪での近接攻撃主体よ。タイプが違うわね。」
「れ、冷静だね、二人とも……あはは。」
リーシャとマイアは背を合わせ、杖と弓を構えた。
その一歩手前で、エトとスゥは左右に立ち、双剣と戦斧を構える。
「まあ、向こうは二匹で、こっちは四人だから……こっちのが強いのだ!」
「いや、あのね、比率は変わってない――」
そう言いかけて、リーシャは口を止め、代わりにふっと笑った。
「いいえ、そうね。私たちのほうが――強いわ。」
武器を構えて立つ四人は、それぞれの心の底から湧き上がる力を、確かに感じていた。
ロルフは少し離れた位置から、スゥとマイアが蜂の魔物を討伐する様子を観察していた。
前後衛、二人一組に分けての戦闘。
定石で考えれば、戦闘に不慣れなマイアは、最も守護に長けたエトと組ませるべきだ。
あえてそうしなかったのは――エトとリーシャなら見ずとも安心、というのもあるが――スゥの盾役としての適性と、マイアの思考の柔軟性を確認したかったからだ。
「マイア、次はどっちなのだ!」
「最初に右、次に左です。その後、一度戻ってください、スゥ。」
「にゃっはー、了解なのだ!!」
マイアの指示に従って、撃ち落とされた魔物を次々と仕留めていくスゥ。
しかし、マイアから離れすぎない絶妙な距離を、常に保っている。
「ふむ……」
ロルフは、一人静かに唸った。
結果は、予想以上。
スゥは意欲的に攻めつつも、守りを意識できており、ことマイアに至っては、既に司令塔として機能している。
考えてみれば、医療現場ほど素早い現状把握と的確な指示が必要な環境はない。
マイアはそれを戦闘に転用しているのだ。
それだって簡単なことではないはずだが、出来てしまっているものはしょうがない。素直なスゥの性質とも相まって、それは強力な相乗効果を発揮していた。
「これなら、四人での行動でも、相当な数の戦略パターンを組めるな……」
ロルフは満足げに頷くと、二人に向かって歩き出した。
適性は十分に見れたし、戦果としても上々。
ここらで一度、合流して――
「おっと――待ってくださいよ?」
「?!」
突然、背後からの声。
驚いて振り向くと、そこには見覚えのある長身の男が一人、立っていた。
「お前は……どうして、ここに……?」
「はは、嫌だなぁ。そんなの決まってるじゃないですか。」
こちらが何かいう前に、男は音もなく近づくと、手を突き出してきた。
「一緒に、来てくださいよ。ねぇ?」
――チリン……。
「……ところで、マスターは、どこにいったんでしょう。」
「んー? エトとリーシャのトコに、行ってるんじゃ、ないのだー?」
不器用に魔石を取り出しながら、スゥがそう答える。
マイアは周囲をもう一度見回って、小さく頷いた。
「確かに、二組一度には……見れませんからね。」
そう翻した足元に、薄く霧が流れ込んだ。
+++
宙に離れては、角度を変えて襲い掛かる爪を、ただひたすらに迎え撃つ。
何度も見るうちに、その軌道の法則性や、攻撃の癖がわかってくる。
しかし、集中力も体力も、その慣れを上回る勢いで削られていく。
「――っ!」
いなし損ねた爪の一片が、顔をかすめる。
頬に、血の滴る感覚。
「エト、大丈夫?!」
「……うん、この程度、どうってことないよ……!」
肩で血をぬぐい、双剣を構え直す。
しかし、その瞬間、視界から亡霊の姿が消えた。
――チリン。
次に視界にとらえたのは、魔法を発動しているリーシャの、すぐ右隣。
今までの移動より、明らかに早い。まさか、ここにきて、まだ力を隠していたのだろうか。
リーシャを、守らなければ。
最悪、自分の身を盾にしてでも――!
「にゃっはー!!」
回転するように飛び込んできた巨大な斧が、その爪を叩き折った。
キラキラと宙を舞うその破片越しに、エトはその姿を見た。
「――スゥちゃん!」
「……間に、合った、わね……」
リーシャは魔法を解除すると同時に、膝をついた。
エトは慌てて、その体を抱きとめる。
「って、ことは……」
「エト、その位置を、動かないで。」
その声を追うように、複数の矢が走る。
襲い掛かる準備をしていた亡霊は、それを躱すために上空へ逃げた。
「マイアちゃん……!」
マイアは弓を構えながら、素早い身のこなしで、二人の傍に滑り込んだ。
「……良く、気づいてくれたわ。マイア。」
「リーシャの広域魔法があっての事です。流石、なのですよ。」
エトの助力で、どうにか立ち上がったリーシャは、マイアと笑顔を交わした。
リーシャが地上スレスレに放ったのは、威力度外視の、超広範囲な風魔法。
それをマイアの目で感知し、発生源を辿り、合流する。
『魔力の消費が激しい上、リーシャからマイアに対してしか使えない。まず使うことはないと思うが、今回の相手は魔物の群れだ。音も光も使わずに、確実に合流したいケースがあるかもしれないからな。』
それが、ロルフからの提案。
まさか、こんな状況で使うとは、本人も思ってもみなかっただろう。
そうした四人が息をつく暇もなく、二体の亡霊が横並びに現れる。
「どえええ?! よく見たら、二匹いるのだ?!」
「……なんとなく、予想はしてたわ。そっちにも居たのね。」
「はい。こちらは一体、氷の針を飛ばす遠距離攻撃が主体のようです。」
「こっちも一体、氷の爪での近接攻撃主体よ。タイプが違うわね。」
「れ、冷静だね、二人とも……あはは。」
リーシャとマイアは背を合わせ、杖と弓を構えた。
その一歩手前で、エトとスゥは左右に立ち、双剣と戦斧を構える。
「まあ、向こうは二匹で、こっちは四人だから……こっちのが強いのだ!」
「いや、あのね、比率は変わってない――」
そう言いかけて、リーシャは口を止め、代わりにふっと笑った。
「いいえ、そうね。私たちのほうが――強いわ。」
武器を構えて立つ四人は、それぞれの心の底から湧き上がる力を、確かに感じていた。
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