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第96話 失われた武器①
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マーガレットと別れた後、ロルフたち一行は馬車で移動を再開し、目的地の一つであるクルトン村にたどり着いていた。
ここは鉱山の近くにできた小さな村で、発掘が活発だったときはずいぶんと賑わっていたそうだが、現在は閑散としている。
どうも無理な採掘の結果大きな事故を起こしてしまい、それ以来事業を大幅に縮小しているのだそうだ。
そういった事情から途中で閉じられた廃坑がいくつもあるのだが、そこに魔物が住みついてしまい、それぞれ駆除依頼が出されている。
しかし洞窟での戦闘は敬遠するパーティーも多く、鉱山の立地の悪さも相まって、受注率は良くない。
そこで遠征の道すがら、溜まっているクエストを一気にさらってしまおうというわけだ。
「ふ……っ!」
エトは大きなムカデの魔物の体節に剣を差し込み、それを支点にしてくるりと背に飛び乗った。
「『ライトニング』!」
節々から雷光が漏れ、魔物はしばし痙攣した後、地面に倒れ伏した。
しかしそのすぐ後ろから被さるように、もう一体のヨロイムカデが襲い掛かる。
「リーシャちゃん!」
「オッケー。そのまま、動かないで。」
リーシャが横なぎに杖を構えると、そこに結びつけられた三つの布紐が、踊るように揺れた。
流れるようにその一つを掴み、引き解く。
「開杖+1――『ファイアボルト』!!」
杖から巨大な火の玉が放たれ、それは弧を描くようにエトを避けると、背後の魔物の正面で破裂し、まとわりつくように燃え上がった。
ギイイ、というような悲鳴がしばらく響き、最終的にはこちらも地面に崩れ落ちた。
「ふぅ、討伐完了ね。」
「うん、やったね!」
エトはぴょいと魔物から飛び降りるとリーシャに駆け寄り、笑顔でハイタッチした。
その様子を離れて見ていたロルフも表情を緩め、うんと頷いた。
ヨロイムカデは、硬い殻を持つ魔物だ。
本来であれば魔法は効きづらい相手だが、実は熱への耐性自体は低い。高出力の炎魔法で周囲を覆えば、蒸し焼きの要領で倒すことができるのだ。
とはいえ、高出力の魔法を同位置に留めておくのは、容易ではない。それを可能としているのが、リーシャの杖、霊杖『ミストルティン』の力だ。
「よくやったな、リーシャ。出力変更直後でも、完璧な魔法操作だったぞ。」
「ま、まあね。一つまでなら、もう余裕よ。」
リーシャはふいっと顔をそむけて、地面に杖を突き立てた。
残った二本の布紐が、ふわりと揺れる。
特殊な霊木から切り出されたこの杖は、魔力との親和性が極めて高い。そのため通常の杖より遥かに長く、高出力の魔法を放ち続けることが可能なのだ。
とはいえ、そのまま使えば魔力量の多いリーシャとて、すぐに魔力が尽きてしまう。
そこで考案したのが、外付けの魔導回路で出力に制限をかける方式だ。
杖に取り付けられた布紐にはそれぞれ出力制限の回路が付与されており、戦闘中それらを取り外すことで、出力を段階的に解放できるというわけだ。
もっとも、制限がかかっている分同出力の杖より威力が落ちてしまうし、固定出力に比べ魔法の操作も難しくなる。さらに一度外してしまった回路は整備しなおさなければ戻せないため、戦闘中は出力を上げることしかできない。
欠点も少なくない杖だが、それでもリーシャがこれを使うのは、本人の強い希望からだ。
親代わりでもあり、目標でもあったマーガレットの杖。
本人にも、思うところがあるのだろう。
「ふふ。じゃあ、あと二つだね。」
「魔力も安定してましたし、きっとリーシャならスグですね。」
「あ、アンタたちねぇ……」
いたずらに笑うエトとマイアに、リーシャは顔を赤くした。
まあ、ここまで使いこなすのも早すぎるくらいなのだが、もはや口には出すまい。
エトも件の魔剣を完璧にコントロールできているようだし、彼女たちの適応力の高さには毎度驚かされるばかりだ。
「さて、そろそろ日が落ちるから、一度宿に戻ろうか。」
「あれ、もうそんなに時間、たってたんですね。」
「洞窟の中は感覚狂うわね……やっぱり。」
「キュイ!」
いつの間にやら剣から出てきたシロも、エトの頭に止まって、元気に一鳴きした。
皆が談笑しながら帰路を進む中、最後尾でスゥだけが、少し不満げな顔をしていた。
「……むぅ。」
スゥは自分の武器に目を落として、小さく唸った。
+++
宿に戻ったあと、スゥは一人外に出て、斧で素振りをしていた。
今回の敵は、硬い殻のある魔物だったから、本来なら自分の得意な相手のはずだった。
でも、ロルフに「エトとリーシャの武器を試したいから、危うくなるまでは控えていてくれ」と言われていたので、そしてちっとも危うくならなかったから、自分には出番がなかったのだ。
そもそも、わざわざ控えなくたって、動きの素早いエトや、魔法で攻撃できるリーシャには追いつけない。
それで硬い敵も倒せてしまったら、なんだか自分の役割が取られたみたいで、どうにも――もやもやした気持ちになったのだ。
「……にゃあっ!」
最後にすくいあげるように大振りして、スゥはそのまま仰向けに倒れた。
首を横に倒して、手にしている斧を見る。
「みんな、凄いのだ。スゥも新しい武器があれば、もっと強くなるのだ……?」
そうしていたら、ふいに宿の扉が開いて、エトたちが出てきた。
「あ、スゥちゃん、いたいた。」
「ちょっとスゥ、何してんのよ。ご飯食べに行くわよ?」
「んむっ……、了解なのだ!」
スゥはぴょんと跳び起きて、斧を宿の壁に立てかけると、皆の元に走った。
もやもやした気持ちは、たいてい美味しいものを食べれば治るものだ。
「あれ、スゥちゃん、汗だくだね。」
「特訓でもしてたのですか?」
「にゃはは、そんな感じなのだ!」
「ちょっと、土くらい払っときなさいよ、しょうがないわねぇ……」
いつものように和気あいあいと話しながら、四人は村の食堂へと歩いていった。
皆が去ったあと、一人の男が宿の前を通った。
その男はふいに足を止めると、首をひねった。
「ん……? なんでこれが、こんなとこにあんだ?」
彼は壁に立てかけられた斧を持ち上げると、肩に担ぎ、どこかへ歩いて行った。
ここは鉱山の近くにできた小さな村で、発掘が活発だったときはずいぶんと賑わっていたそうだが、現在は閑散としている。
どうも無理な採掘の結果大きな事故を起こしてしまい、それ以来事業を大幅に縮小しているのだそうだ。
そういった事情から途中で閉じられた廃坑がいくつもあるのだが、そこに魔物が住みついてしまい、それぞれ駆除依頼が出されている。
しかし洞窟での戦闘は敬遠するパーティーも多く、鉱山の立地の悪さも相まって、受注率は良くない。
そこで遠征の道すがら、溜まっているクエストを一気にさらってしまおうというわけだ。
「ふ……っ!」
エトは大きなムカデの魔物の体節に剣を差し込み、それを支点にしてくるりと背に飛び乗った。
「『ライトニング』!」
節々から雷光が漏れ、魔物はしばし痙攣した後、地面に倒れ伏した。
しかしそのすぐ後ろから被さるように、もう一体のヨロイムカデが襲い掛かる。
「リーシャちゃん!」
「オッケー。そのまま、動かないで。」
リーシャが横なぎに杖を構えると、そこに結びつけられた三つの布紐が、踊るように揺れた。
流れるようにその一つを掴み、引き解く。
「開杖+1――『ファイアボルト』!!」
杖から巨大な火の玉が放たれ、それは弧を描くようにエトを避けると、背後の魔物の正面で破裂し、まとわりつくように燃え上がった。
ギイイ、というような悲鳴がしばらく響き、最終的にはこちらも地面に崩れ落ちた。
「ふぅ、討伐完了ね。」
「うん、やったね!」
エトはぴょいと魔物から飛び降りるとリーシャに駆け寄り、笑顔でハイタッチした。
その様子を離れて見ていたロルフも表情を緩め、うんと頷いた。
ヨロイムカデは、硬い殻を持つ魔物だ。
本来であれば魔法は効きづらい相手だが、実は熱への耐性自体は低い。高出力の炎魔法で周囲を覆えば、蒸し焼きの要領で倒すことができるのだ。
とはいえ、高出力の魔法を同位置に留めておくのは、容易ではない。それを可能としているのが、リーシャの杖、霊杖『ミストルティン』の力だ。
「よくやったな、リーシャ。出力変更直後でも、完璧な魔法操作だったぞ。」
「ま、まあね。一つまでなら、もう余裕よ。」
リーシャはふいっと顔をそむけて、地面に杖を突き立てた。
残った二本の布紐が、ふわりと揺れる。
特殊な霊木から切り出されたこの杖は、魔力との親和性が極めて高い。そのため通常の杖より遥かに長く、高出力の魔法を放ち続けることが可能なのだ。
とはいえ、そのまま使えば魔力量の多いリーシャとて、すぐに魔力が尽きてしまう。
そこで考案したのが、外付けの魔導回路で出力に制限をかける方式だ。
杖に取り付けられた布紐にはそれぞれ出力制限の回路が付与されており、戦闘中それらを取り外すことで、出力を段階的に解放できるというわけだ。
もっとも、制限がかかっている分同出力の杖より威力が落ちてしまうし、固定出力に比べ魔法の操作も難しくなる。さらに一度外してしまった回路は整備しなおさなければ戻せないため、戦闘中は出力を上げることしかできない。
欠点も少なくない杖だが、それでもリーシャがこれを使うのは、本人の強い希望からだ。
親代わりでもあり、目標でもあったマーガレットの杖。
本人にも、思うところがあるのだろう。
「ふふ。じゃあ、あと二つだね。」
「魔力も安定してましたし、きっとリーシャならスグですね。」
「あ、アンタたちねぇ……」
いたずらに笑うエトとマイアに、リーシャは顔を赤くした。
まあ、ここまで使いこなすのも早すぎるくらいなのだが、もはや口には出すまい。
エトも件の魔剣を完璧にコントロールできているようだし、彼女たちの適応力の高さには毎度驚かされるばかりだ。
「さて、そろそろ日が落ちるから、一度宿に戻ろうか。」
「あれ、もうそんなに時間、たってたんですね。」
「洞窟の中は感覚狂うわね……やっぱり。」
「キュイ!」
いつの間にやら剣から出てきたシロも、エトの頭に止まって、元気に一鳴きした。
皆が談笑しながら帰路を進む中、最後尾でスゥだけが、少し不満げな顔をしていた。
「……むぅ。」
スゥは自分の武器に目を落として、小さく唸った。
+++
宿に戻ったあと、スゥは一人外に出て、斧で素振りをしていた。
今回の敵は、硬い殻のある魔物だったから、本来なら自分の得意な相手のはずだった。
でも、ロルフに「エトとリーシャの武器を試したいから、危うくなるまでは控えていてくれ」と言われていたので、そしてちっとも危うくならなかったから、自分には出番がなかったのだ。
そもそも、わざわざ控えなくたって、動きの素早いエトや、魔法で攻撃できるリーシャには追いつけない。
それで硬い敵も倒せてしまったら、なんだか自分の役割が取られたみたいで、どうにも――もやもやした気持ちになったのだ。
「……にゃあっ!」
最後にすくいあげるように大振りして、スゥはそのまま仰向けに倒れた。
首を横に倒して、手にしている斧を見る。
「みんな、凄いのだ。スゥも新しい武器があれば、もっと強くなるのだ……?」
そうしていたら、ふいに宿の扉が開いて、エトたちが出てきた。
「あ、スゥちゃん、いたいた。」
「ちょっとスゥ、何してんのよ。ご飯食べに行くわよ?」
「んむっ……、了解なのだ!」
スゥはぴょんと跳び起きて、斧を宿の壁に立てかけると、皆の元に走った。
もやもやした気持ちは、たいてい美味しいものを食べれば治るものだ。
「あれ、スゥちゃん、汗だくだね。」
「特訓でもしてたのですか?」
「にゃはは、そんな感じなのだ!」
「ちょっと、土くらい払っときなさいよ、しょうがないわねぇ……」
いつものように和気あいあいと話しながら、四人は村の食堂へと歩いていった。
皆が去ったあと、一人の男が宿の前を通った。
その男はふいに足を止めると、首をひねった。
「ん……? なんでこれが、こんなとこにあんだ?」
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