転生×召喚 ~職業は魔王らしいです~

黒羽 晃

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三章 「どうだっていい」

34話

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 俺たちが王都ムラサメに来てからそろそろ七日ほどが経つ。その間に何をしていたのかと言えば、『特に何もしていない』だった。
 訓練や情報収集などの細かい事ならばやってはいたが、逆に言えばそれ以外はやっていない。リリスとは宿以外ではそれぞれ自由行動をとることにしていたので、リリスの動向も本人の口から聞いた事以外は知らない。
 ケレンもほとんどの時間をギルドの依頼をこなすことに費やしていたため、この一週間で俺たちが揃う事は無かった。
 しかし今、俺たち三人は闘技場の前で一堂に会していた。別に示し合わせた訳では無く、互いの自由行動中にたまたま行き先が重なったのだ。

「よう、ケレン。久しぶりだな。お前は来ると思ってたよ」

「おう、この大イベントは見逃す手は無いからな。むしろお前らが来てなかったらどうしてくれようかと思っていた」

「ええ。なんと言っても英雄の試合ですからね。大会に出るかもしれない方ですから、観ておかないと」

 そう。ここで俺たちが揃ったのは偶然でも何でもなく、英雄がこの闘技場で試合を行うからだ。
 冗談で無く旅団一個程度の戦力を単体で有すると言う【英雄】。もしや戦うかもしれないとなれば、その戦いぶりを観ておかぬ訳にはいかない。

「それなりに余裕を持って来たはずなんですけど、もう観客席は満員みたいですね」

 しかしまあ、リリスの言う通り、闘技場の観客席は全て埋まっている。立ち見席もほぼ隙間の無い程になっているらしく、もう入らないと警備員に止められた観客が騒いでいた。暴動にならないのは、その警備員が冒険者だからだろうか。
 ケレンが苦笑いをしながら言う。

「英雄の戦闘を生で見られる機会なんて、王国民ですら無いからな。更に他国の者らが観に来るとなったら、仕方ないってもんだ」

「まあ、そうだな。残念だが、俺たちは中継の方を観ようか」

 そうですね。とリリスも同意を示し、俺たちは闘技場の前から移動して各地に設置された大画面を見られる位置まで行く。
 聞くには、その大画面は初代国王が造らせたものらしい。闘技場の観戦がここまでの興行になる事を見越しての事だとすれば、その初代国王には先見の明があったと言う事なのだと。
 そもそも、この国の文化は初代国王の手によって作り出されたものらしい。建物や服飾の特徴も、すべてが初代の頃の国王一人の発想から生まれたらしいのだ。

「……やっぱり、地球人だよな、初代国王」

 道中、シデンに来てから約一週の間、幾度となく思った事を思わず溢してしまう。

「何か言いましたか? エンマさん」

「いや、なんでもない」

 隣を歩いていたリリスには聞こえていたらしい。追求するように訊いてきた。
 俺は適当に誤魔化すと、少しだけ歩調を速める。
 そうしている間にも目につく、王都の中の現代地球の面影を残す品々。これから観に行く大画面…スクリーンもそうだ。
 例えるならば映画。大衆の視線を集めるように設置されたそれは、地球の娯楽を強く思い出させた。

「今の王にも、会ってみないとな…」

 ついつい、小声で思考が漏れてしまう。

「何か言いましたか? エンマさん」

「いや、なんでもない」

 それを聞いたリリスが聞き返し、先ほどと同じやりとりを繰り返して。
 俺たちは大画面の前にたどり着いた。
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