8 / 65
第8話 ワンピースは夏の田舎の最強装備
しおりを挟む
釣りの準備を終え、パジャマから半ズボンとTシャツというショタコンルックになった俺はぷひ子とみかちゃんと共に、堤防へ釣りに向かった。
うん。あれだけイキった決意を表明した割には、ばっちりギャルゲーしてるが気にしない。これはギャルゲーではなく、いわば得意先への接待だ。そういう意味では経営SLGともいえる。
俺は三人分の竿とクーラーボックスを持ち、みかちゃんは右手で日傘を持ち、左手をぷひ子とつないでいる。ぷひ子は、余った右手に、エロママンから持たされた昼飯と飲み物の入ったバスケットを持っていた。
「ねえ。ゆう。重くない? 私、竿を何本か持とうか?」
先行していたみかちゃんが、楚々とした仕草でこちらを振り向き、上半身を前に傾けて、俺の顔を覗き込んでくる。
ぷひ子を太陽とするなら、みかちゃんは数年に一度しか現れないスーパームーンのような美少女だった。かわいい系というよりは、切れ長の瞳をした美人系の顔立ちである。
白いワンピースと麦わら帽子を装着し、黒髪ロングを自由に風に遊ばせている。
オタクの田舎に対する集団幻想を具現化したような彼女は、年齢的には主人公の一歳年上で、高校編ではお姉さん兼先輩キャラとして登場、溢れるママみを見せつけてくる。
現時点では俺より背の高いみかちゃんが前傾姿勢になると、色んなところでチラリズムが発生しているが、俺はロリコンではないので全く興奮はしない。
ちなみに、みかちゃんのルートでは、この一見ノーガードで無防備そうな振る舞いは、実は主人公にだけわざと見せて計算ずくで誘惑していたというむっつりスケベ要素が明かされ、当時のオタクは大興奮したとかしないとか。そういえば、一時期くもソラのスレでは、『みかはかみ』とかいう謎の回文が延々とコピペされてたっけ。懐かしい。
「いや、大丈夫。俺、男だし」
俺はぶっきらぼうに答えた。
今なら性差別的役割分業だとSNSが炎上しかねない発言であるが、もちろん、これは俺の意見ではなく、主人公がこういう強がりを言うキャラだからである。実際、結構重い。俺は今七歳だし、そろそろ子どもの運動能力が飛躍的に伸びるゴールデンエイジっぽいから、トレーニングの計画を建てるか。
「そっかー。頑張れ男の子」
みかちゃんが悪戯っぽく微笑んで、お姉さんぶった口調でそう言うと、再び前を向く。
なお、彼女はくもソラの人気投票において、ぷひ子などは瞬殺でブチ抜いて、一位に君臨した。ビジュアルがいいだけでなく、CGの数もキャラクターグッズもぷひ子と同じくらい多く、声優も界隈で人気の人を使ってるからだろう。
明らかに誰か偉い人が贔屓してませんか? というような優遇っぷりだが、主人公の初恋の相手であり、ぷひ子が嫉妬して殺すくらいの魅力的な美少女という設定なので、ある意味キャラ付けとしては正しいのだろうか。
正直、俺は嗜好がマイナー厨なので、ぷひ子よりは好きなキャラだが、それほど惹かれるというタイプでもない。
あっ、ちなみにぷひ子は今、めちゃくちゃダサいオーバーオールを着ている。興味ないけど。
そうこうしている内に釣り場に到着した。
堤防のコンクリートの地面に、ぷひ子、俺、みかちゃんの順に腰かける。
両手に花狙い?
いいえ。フラグ管理です。ぷひ子、みかちゃん、俺の席順だと、ぷひ子の嫉妬ゲージが上昇し、何かの拍子にぷひ子がみかちゃんをぶっ殺しそうで怖い。逆にみかちゃん、ぷひ子、俺の準だと、ただでさえ無駄に上がりやすいぷひ子の好感度ゲージを不用意にカンストしてしまう可能性がある。従ってどちらつかずのこのポジションがベスト。
なお、蝉取りフラグを回収しない状態(みかちゃん生存状態)で、中途半端に納豆女の好感度を上げてぷひ子ルートに突入すると、トゥルーエンドの条件を満たしている時以外は自動的バッドエンド確定なので気をつけなければいけない。
この歩く地雷ぷひぷひ女め。
あ、なお、リアル事故フラグ回避のために、ばっちりライフジャケットも完備してます。
そんなこんなで様々な配慮をしつつ、俺は初心者用のサビキ釣りの竿を、適当に準備し始めた。
うん。あれだけイキった決意を表明した割には、ばっちりギャルゲーしてるが気にしない。これはギャルゲーではなく、いわば得意先への接待だ。そういう意味では経営SLGともいえる。
俺は三人分の竿とクーラーボックスを持ち、みかちゃんは右手で日傘を持ち、左手をぷひ子とつないでいる。ぷひ子は、余った右手に、エロママンから持たされた昼飯と飲み物の入ったバスケットを持っていた。
「ねえ。ゆう。重くない? 私、竿を何本か持とうか?」
先行していたみかちゃんが、楚々とした仕草でこちらを振り向き、上半身を前に傾けて、俺の顔を覗き込んでくる。
ぷひ子を太陽とするなら、みかちゃんは数年に一度しか現れないスーパームーンのような美少女だった。かわいい系というよりは、切れ長の瞳をした美人系の顔立ちである。
白いワンピースと麦わら帽子を装着し、黒髪ロングを自由に風に遊ばせている。
オタクの田舎に対する集団幻想を具現化したような彼女は、年齢的には主人公の一歳年上で、高校編ではお姉さん兼先輩キャラとして登場、溢れるママみを見せつけてくる。
現時点では俺より背の高いみかちゃんが前傾姿勢になると、色んなところでチラリズムが発生しているが、俺はロリコンではないので全く興奮はしない。
ちなみに、みかちゃんのルートでは、この一見ノーガードで無防備そうな振る舞いは、実は主人公にだけわざと見せて計算ずくで誘惑していたというむっつりスケベ要素が明かされ、当時のオタクは大興奮したとかしないとか。そういえば、一時期くもソラのスレでは、『みかはかみ』とかいう謎の回文が延々とコピペされてたっけ。懐かしい。
「いや、大丈夫。俺、男だし」
俺はぶっきらぼうに答えた。
今なら性差別的役割分業だとSNSが炎上しかねない発言であるが、もちろん、これは俺の意見ではなく、主人公がこういう強がりを言うキャラだからである。実際、結構重い。俺は今七歳だし、そろそろ子どもの運動能力が飛躍的に伸びるゴールデンエイジっぽいから、トレーニングの計画を建てるか。
「そっかー。頑張れ男の子」
みかちゃんが悪戯っぽく微笑んで、お姉さんぶった口調でそう言うと、再び前を向く。
なお、彼女はくもソラの人気投票において、ぷひ子などは瞬殺でブチ抜いて、一位に君臨した。ビジュアルがいいだけでなく、CGの数もキャラクターグッズもぷひ子と同じくらい多く、声優も界隈で人気の人を使ってるからだろう。
明らかに誰か偉い人が贔屓してませんか? というような優遇っぷりだが、主人公の初恋の相手であり、ぷひ子が嫉妬して殺すくらいの魅力的な美少女という設定なので、ある意味キャラ付けとしては正しいのだろうか。
正直、俺は嗜好がマイナー厨なので、ぷひ子よりは好きなキャラだが、それほど惹かれるというタイプでもない。
あっ、ちなみにぷひ子は今、めちゃくちゃダサいオーバーオールを着ている。興味ないけど。
そうこうしている内に釣り場に到着した。
堤防のコンクリートの地面に、ぷひ子、俺、みかちゃんの順に腰かける。
両手に花狙い?
いいえ。フラグ管理です。ぷひ子、みかちゃん、俺の席順だと、ぷひ子の嫉妬ゲージが上昇し、何かの拍子にぷひ子がみかちゃんをぶっ殺しそうで怖い。逆にみかちゃん、ぷひ子、俺の準だと、ただでさえ無駄に上がりやすいぷひ子の好感度ゲージを不用意にカンストしてしまう可能性がある。従ってどちらつかずのこのポジションがベスト。
なお、蝉取りフラグを回収しない状態(みかちゃん生存状態)で、中途半端に納豆女の好感度を上げてぷひ子ルートに突入すると、トゥルーエンドの条件を満たしている時以外は自動的バッドエンド確定なので気をつけなければいけない。
この歩く地雷ぷひぷひ女め。
あ、なお、リアル事故フラグ回避のために、ばっちりライフジャケットも完備してます。
そんなこんなで様々な配慮をしつつ、俺は初心者用のサビキ釣りの竿を、適当に準備し始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
付きまとう聖女様は、貧乏貴族の僕にだけ甘すぎる〜人生相談がきっかけで日常がカオスに。でも、モテたい願望が強すぎて、つい……〜
咲月ねむと
ファンタジー
この乙女ゲーの世界に転生してからというもの毎日教会に通い詰めている。アランという貧乏貴族の三男に生まれた俺は、何を目指し、何を糧にして生きていけばいいのか分からない。
そんな人生のアドバイスをもらうため教会に通っているのだが……。
「アランくん。今日も来てくれたのね」
そう優しく語り掛けてくれるのは、頼れる聖女リリシア様だ。人々の悩みを静かに聞き入れ、的確なアドバイスをくれる美人聖女様だと人気だ。
そんな彼女だが、なぜか俺が相談するといつも様子が変になる。アドバイスはくれるのだがそのアドバイス自体が問題でどうも自己主張が強すぎるのだ。
「お母様のプレゼントは何を買えばいい?」
と相談すれば、
「ネックレスをプレゼントするのはどう? でもね私は結婚指輪が欲しいの」などという発言が飛び出すのだ。意味が分からない。
そして俺もようやく一人暮らしを始める歳になった。王都にある学園に通い始めたのだが、教会本部にそれはもう美人な聖女が赴任してきたとか。
興味本位で俺は教会本部に人生相談をお願いした。担当になった人物というのが、またもやリリシアさんで…………。
ようやく俺は気づいたんだ。
リリシアさんに付きまとわれていること、この頻繁に相談する関係が実は異常だったということに。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる