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第36話 狂人キャラ好きは安易な性癖(2)
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「――あんた誰ぇ?」
アイちゃんはそこで、初めて俺の存在に気が付いたとでもいうように、胡乱な視線を向けてきた。
「俺は成瀬祐樹。『プロフェッサー』の息子で、君たちと同じ因子を持つ者とでも言っておこうかな」
「ふーん。――そういわれてみると、かすかに力の『匂い』がするわねぇ。でも、男でスキュラの構成員なんて聞いたことが……。あ、もしかして、あんたが噂の『ミケ』かしらぁ?」
アイちゃんは、俺に近づくと、犬のようにスンスンと鼻を鳴らして言った。
「知らないけど、それは多分、別人だよ。俺は、病気の治療のためにちょっと因子を埋め込まれただけのほぼ一般人さ。ソフィアや君みたいな強者ではないよ」
正確には強者になれる可能性はあるけど、俺はなるつもりないからね。
「そうよねぇ。『ミケ』がこんなに弱そうなやつだったら、興ざめだわぁ」
アイちゃんは納得したように頷いてそう言うと、俺からスッと離れていった。
ちなみに、『ミケ』は続編の主人公くんのことである。俺やアイちゃんたちのようなママンに人工で作られたまがい物ではなく、『天然』で呪いの力を使えるスーパーマンだ。
なお、ミケのあだ名は、三毛猫のオスがめっちゃレアであることに由来する。ラノベでいえば、インフィニッ〇・ストラト〇のワンサマー、ゲームでいえばサ〇ラ大戦の大神さんみたいなもんだね。
「君の言う通り、俺は実戦では君を満足させられないと思うけど、それでも、スキュラ以上の環境は用意できると思うよ。君の願いは、とにかく強くなるこだろう? 今よりもっと。誰よりもずっと」
「ふーん、要はあんたが、今よりアタシを強くしてくれるって訳ぇ? 今まさに弱くされたところなんですけどぉ?」
「何事もやりすぎはよくないよ。筋トレと同じで、休息もトレーニングの内さ。でも、今回の件で、俺には母とは違うタイプの力があることはわかってもらえただろう? 母は科学的なアプローチしかできなかったけど、俺は呪術学的な方法も使える。君は今回の儀式に不満みたいだけど、このままいったら、その内自我が保てなくなることくらい、察しがついてるだろ? いくら強くなっても、強くなったことを実感できないほど心が壊れたら、意味がないと思わない?」
「そうねぇ……。それでも弱い負け犬のまま死ぬよりは、強い狂犬の方がいいけれどぉ――」
「でも、どうせなら、狂犬より、闘犬のチャンピオンの方がいいよね」
俺はアイちゃんの先を継ぐように言った。
「へぇ……。少しは話せるみたいじゃない。それで、どうアタシをしつけてくれるのかしらぁ」
アイちゃんは舌なめずりする煽情的な仕草をして、俺をねめつける。
「とりあえず与えられるのは、新しい兵装とトレーニング。敵は、とりあえずは地元のヤクザくらいかな」
「ヤクザねえ……。ショボいけど、味気ないロボットを相手にするよりはマシかしら」
「でしょ? ついでに言うと、俺が上に行くほどに、君も強い敵と戦えるはずだよ。有力な政治家に、ヒドラの護衛がついているのは君も知ってるだろ? 俺が上に昇って相応の権力を手にすると行くと、自然とそういう相手と利害関係がぶつかることになるからね。俺は、今はまだ弱いけどさ。これでも、向上心はあるつもりだ」
「それはそれは。夢物語のような話ねぇ」
「そうだよ。でも、君もヒドラでもないし、ダイヤのような天才でもないんだろう。俺ぐらいのパートナーが組むにはちょうどいいと思わないか?」
「言ってくれるじゃなぃ。気に入ったわぁー。アンタが私を楽しませてくれる間は、従ってあげてもいいわよぉ。マスターぁ?」
アイちゃんは全く敬意の籠ってないトーンで、俺をそう呼んだ。
アイちゃんはそこで、初めて俺の存在に気が付いたとでもいうように、胡乱な視線を向けてきた。
「俺は成瀬祐樹。『プロフェッサー』の息子で、君たちと同じ因子を持つ者とでも言っておこうかな」
「ふーん。――そういわれてみると、かすかに力の『匂い』がするわねぇ。でも、男でスキュラの構成員なんて聞いたことが……。あ、もしかして、あんたが噂の『ミケ』かしらぁ?」
アイちゃんは、俺に近づくと、犬のようにスンスンと鼻を鳴らして言った。
「知らないけど、それは多分、別人だよ。俺は、病気の治療のためにちょっと因子を埋め込まれただけのほぼ一般人さ。ソフィアや君みたいな強者ではないよ」
正確には強者になれる可能性はあるけど、俺はなるつもりないからね。
「そうよねぇ。『ミケ』がこんなに弱そうなやつだったら、興ざめだわぁ」
アイちゃんは納得したように頷いてそう言うと、俺からスッと離れていった。
ちなみに、『ミケ』は続編の主人公くんのことである。俺やアイちゃんたちのようなママンに人工で作られたまがい物ではなく、『天然』で呪いの力を使えるスーパーマンだ。
なお、ミケのあだ名は、三毛猫のオスがめっちゃレアであることに由来する。ラノベでいえば、インフィニッ〇・ストラト〇のワンサマー、ゲームでいえばサ〇ラ大戦の大神さんみたいなもんだね。
「君の言う通り、俺は実戦では君を満足させられないと思うけど、それでも、スキュラ以上の環境は用意できると思うよ。君の願いは、とにかく強くなるこだろう? 今よりもっと。誰よりもずっと」
「ふーん、要はあんたが、今よりアタシを強くしてくれるって訳ぇ? 今まさに弱くされたところなんですけどぉ?」
「何事もやりすぎはよくないよ。筋トレと同じで、休息もトレーニングの内さ。でも、今回の件で、俺には母とは違うタイプの力があることはわかってもらえただろう? 母は科学的なアプローチしかできなかったけど、俺は呪術学的な方法も使える。君は今回の儀式に不満みたいだけど、このままいったら、その内自我が保てなくなることくらい、察しがついてるだろ? いくら強くなっても、強くなったことを実感できないほど心が壊れたら、意味がないと思わない?」
「そうねぇ……。それでも弱い負け犬のまま死ぬよりは、強い狂犬の方がいいけれどぉ――」
「でも、どうせなら、狂犬より、闘犬のチャンピオンの方がいいよね」
俺はアイちゃんの先を継ぐように言った。
「へぇ……。少しは話せるみたいじゃない。それで、どうアタシをしつけてくれるのかしらぁ」
アイちゃんは舌なめずりする煽情的な仕草をして、俺をねめつける。
「とりあえず与えられるのは、新しい兵装とトレーニング。敵は、とりあえずは地元のヤクザくらいかな」
「ヤクザねえ……。ショボいけど、味気ないロボットを相手にするよりはマシかしら」
「でしょ? ついでに言うと、俺が上に行くほどに、君も強い敵と戦えるはずだよ。有力な政治家に、ヒドラの護衛がついているのは君も知ってるだろ? 俺が上に昇って相応の権力を手にすると行くと、自然とそういう相手と利害関係がぶつかることになるからね。俺は、今はまだ弱いけどさ。これでも、向上心はあるつもりだ」
「それはそれは。夢物語のような話ねぇ」
「そうだよ。でも、君もヒドラでもないし、ダイヤのような天才でもないんだろう。俺ぐらいのパートナーが組むにはちょうどいいと思わないか?」
「言ってくれるじゃなぃ。気に入ったわぁー。アンタが私を楽しませてくれる間は、従ってあげてもいいわよぉ。マスターぁ?」
アイちゃんは全く敬意の籠ってないトーンで、俺をそう呼んだ。
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