灰かぶりの王子様

おおいししおり

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エピローグ

***

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 吸血鬼兄弟、御用達の唯一無二の使用人エラ。
 彼は人間と言う種族ながら、灰色の王子たちから異様に愛されている。

「エラ、こちらを向いてください」
「アッシュ、様……?」

 主君にとって、愛しい彼の首元には緋色のリボンが巻き付かれていた。



「……ふふ、そう良い子です。他でも無い、私だけを見てください。目移りなんて絶対に許しませんよ。もし、したのなら――」


 誰よりも執念深い、アッシュ=スティング。
 強欲で、一途な愛を与え続ける青年はリボンの端にキスをひとつ落とす。人殺しは厭わない、その身がどんなに穢れようとも、彼は貫く。弟を完全消滅させたとしても。


「おい、俺を目の前にして余所見とはいい度胸だ。罰として今日は付き合え」
「っ、グレイ様……」

 左手首に自分のものだ、と噛む。それは、マーキングの如く不器用な彼の不出来な約束事。


「……いつもより何十倍も激しくシてやるから、覚悟しとけよ? あんたが壊れるまで、ずっと啼かせてやる」

 素直に告げるのが苦手な、グレイ=スティング。
 野心家だが、時より見せる優しさの面影をエラは僅かに知っている。完璧な兄から大事なものを奪う為なら強引な手法だって厭わない。兄の劣化と陰口を叩かれようとも、彼は貫く。自分の意思と戦ったとしても。



 これは世界でたった一人、都市伝説の正体を知ることが許された人間――エラの愛と憎しみの物語。
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