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第一章 プロローグ

■悔い改める俺、せんべい美味い、美人秘書あらわる?

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前回のあらすじ


ハエ⇒人間⇒ハムスター(生後2週間で没予定)
くやしいけどゴマすっちゃうっっ
やっぱりクソハゲだった。


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俺は座布団の上に正座している。
なんかかれこれ2話くらいこの状態だけど。

とりあえずめちゃくちゃ俺は落ち込んでいた。そりゃもうズーンって。
だって来世がわかっていて、しかも記憶チートにも関わらず生後2週間で殺されるんだぜ?
クッソ弱いベルドッグに、たまたま、気づかれる事無くプチッと踏まれちゃうらしい。
そんでもって来来世はそのベルドッグらしいわ。
色々と終わっとる。
ベルドッグがどんなもんか知らんけどたぶん生きるのも大変なんだろうさ。

まぁ、ここまではいいのよ。まだ理解は出来る。


「ガチャは無いでしょ!ガチャは!!」
俺は必死に神に食い下がる。そりゃハムスター生が終わるかどうかの瀬戸際だからな。

「うるっせぇなぁ。お前だけを特別扱い出来るわけねーだろが」
「いやだって神様は神様なんでしょう!?そこんとこ何とか突っ込んでくださいよ!」
もうそれはそれは必死に訴えかける。めちゃくちゃ唾吹き飛ばしてるけど気にしていられない。

「出来れば何とか人間枠にねじ込みでオナシャス!」
「めんどい」
「ほんとお願いします。このとおり、この通りですから!」
神様に祈るように顔の前で両掌を何度も合わせる。
それを見るめっちゃ面倒くさそうに見る神。字面にしたらシュールだな。



その後10分ほど神様の説得を試みるも相変わらず色よい返事は貰えなかった。

「…どうしてもダメなんですね。わかりました、お手間掛けてすいませんでした」
「またそのうちに人間に転生出来るかもしれねーから頑張れや」
「ガチャ次第で?」
「ガチャ次第で」

……クソハゲがっ!

そしてテンプレのように吹っ飛んだ俺だった。



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「そこの扉を出たらお前はそのまま転生する。そして知らん間に生まれて知らん間に死んでまた知らん間に転生だなw」

草生やすんじゃねぇよ。
でも流石に諦めるしかないか…。

もはや白旗ムードだったから思考を抑えるのもやめた。
またデコピンされるかもしれないけど、もうシラネ。
もう正座もとっくにやめている。出された茶を飲みながらせんべいを食ってた。
せんべいが無駄に美味い。
よくよく考えたら、現世最後の食べ物がせんべい…。

「結局ほんとうに暇つぶしだったんすね。まじ性格腐ってる」
「ヌハハwそうだぞ本当にただの暇つぶしだぜwww」
「もうなんでもいいっすわ。次人間に生まれ変わってもクズになってやるからな」
「記憶が無い状態でも、お前は根が腐ってるからクズになるだろうなw」
「うぃーすクズでーす」

やけくそクソくらえハゲが。

「そういや色々と疑問があるんですけど」
「おう、答えられる範囲で答えるてやるぞ」
「ここに来る前に扉が裏側から開けたらドラゴンがいたんですけど」
「あぁ、あれな、ただの映像だぞ」
「あれが映像!?めちゃくちゃリアリティありましたけど」
そうだったの!?映像っぽさゼロ。さすがゴッドクオリティだな。

「実際にある場所を映像で出してるからな。本当に繋がってたら扉燃えてんだろ」
「いやてっきり、そのへんはゴッドクオリティで何とでもなるのかなって」
「何とでもなるがそれはめんどい」
「それは知らんけども」


「あ、ベルドッグについて聞きたいんですけど」
「あー、クッソ弱いやつな」
「それですそれです。具体的にどれくらい弱いんです?」
「食物連鎖の一番下だな」

おぅふ…、それは弱い。

「ベルドッグ自体は実はそこまで弱くないんだが、生息地域から離れない習性と生まれた瞬間から首に鈴が付いてるからすぐに敵に見つかる。しかもベルドッグがいる地域は、わかりやすく言えばラスボス一歩手前くらいの場所だな。ベルドッグ単体の強さは始まりの町の次くらいに生息している程度と言えばわかるな?」
「あ…アホじゃないですか。突然変異の進化とか今まで無かったんすか」
「作為的に作られているからな。いわば地域一帯の食物庫のような扱いだな」

そんなんどうしようもないやん。
八方ふさがり間違いなし。

「まじかー、ほんと次に人間生まれる可能性低いしキッツいなぁ。あ、せんべいおかわり欲しいっす」
「お前マジ我慢しなくなったな。ほらよ」
そう言って神が手をかざすとせんべいがまた出てきた。

「いやだってせんべい次いつ食えるかわからないんですよ?今のうちに醤油の味を堪能しとかないと」
「確かに醤油は美味いな。発酵食品をあそこまで昇華させた日本人は偉大だな」
「へー、神様も醤油好きなんすね。なんかめちゃくちゃ美味い料理ばっかり食ってるイメージだわ」
「別に何も食べなくてもいいんだがな。口が寂しいんだよ」
「子供かよ」

そう言って笑う。
あ、なんかちょっと涙出そうだわ。
自分が思っていたよりも現世の生き方に未練が出てきた。
あーーー…今更後悔しても遅いけどこれは辛いわ…。

神様が出してくれたせんべいを口に放り込み勢いよく食べきるとお茶を飲んで姿勢を正した。

「なんか色々と文句ばっかり言ってすいませんでした。今世ではろくな生き方しませんでしたが、また人間に生まれ変わったら今度はちゃんとしようと思います」

それを聞いて神様は少し驚いた顔をしたが、手に持っていた湯呑を置いて真剣な顔で俺をじっと見た。

「まぁお前の生き方はクズだったがそんなに気にするな。何だかんだ言っても小市民レベルだからな。次しっかり頑張れよ。お前なら出来るさ」

その言葉に視界が滲む。神様の言葉には何の根拠も無いが、神様が直々に言ってくれたのだ。
よく考えればこれ程有難い事も無い。

「ほとんどの奴はそのまま転生させるが、たまにこうやって死んだ奴を呼ぶ事がある。悔い改める者もいるが、何も変わらない奴がほとんどだよ。その中でお前はこうやってきちんと己を見つめなおせたんだ。それだけでも十分お前は偉いさ」

当初の威圧的な言動は無くなり、懇々と俺に話しかける神様は、なんだか初めてきちんと神様なんだなと思えた。
両目に溜まった涙を乱暴にぬぐい取ると、俺はゆっくりと神様に頭を下げた。

「本当に貴重な体験をさせてもらって有難うございました。神様とこうやって話せた事は忘れてしまうんだろうけど、神様からそうおっしゃって頂けただけでも俺は幸せですね」

俺の言葉に神様はニコッと笑ってくれる。
あぁ、前歯が金歯なのも神々しく思えてくるな…。

「それじゃ、俺、行きますね!」
そう言って立ち上がる。見送ってくれるのか、神様も扉の前まで付いてきてくれた。
そして神様に向かってもう一度だけ頭を下げた。

「最後になりますが有難うございました。神様も頑張ってください!」
「おう!お前も頑張れよ!また良い事あるさ!」
「はい!頑張ります!有難うございました!」

俺は何度も神様に礼を言いながら来た時と同じように扉を開ける。
「またいつか会えるように頑張りますね!有難うございました!…おっとすいません前見てませんでした」


神様の方を見ながら扉を開けて出ようとして、人にぶつかったみたいだった。
…人にぶつかった?


そこにはスーツをビシッ!と着こなしたメガネクールビューティーな金髪美女が物凄い険しい顔で立っていた…。


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やっと美人秘書登場。
ストーリー進まなさすぎぃ。
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