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第一章 プロローグ

■ハエと真面目系クズとハムスター

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前回のあらすじ

暴かれる俺。
黒歴史ぃ…。
真面目系クズだろ?

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コホン、と咳払いをし、髪を見据える。

「神様が、冗談が好きな事はこれまでのやり取りで分かりました」
「どこをどう理解してそうなったのか知らんがな」

うるっせぇ。

「んんっ!まぁまぁまぁ、俺も大人ですからね。色々と察しますよ。」
「…はぁ?」
「なんだかんだ言って、本当は、異世界転生して世界を救え…とかなんでしょう?」
「ただの暇つぶしって言ってんだろ鳥頭」

ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!
コーーーケコッコォォォォォォーー!!!!!!
 
「だ…だって意味わからないじゃないすか!」
「何がだよ。」
「何の為に異世界転生するんですか!意味わからんすよ!イミフ!イミフ!」

神がチッ、と舌打ちした。
その音にちょっと、ビクっ!とする俺。
完全に調子こいた。脇汗やばいかも。

「異世界転生とか言うからおかしいんだろーが。ただの輪廻転生と言えば普通だろ。そもそもお前如きに救ってもらわなくても何かあれば自分でやっとるわバカタレ」

一周回ってまた腹立ってきたわ。
それならそれでさっさと輪廻転生させればいいじゃないか!
俺の人生を青春を弄びやがって!
「そもそも全部お前がやった事だがな」
「おっしゃる通りですよねぇ~」

クソッ、ついついゴマを摺ってしまった。社会人スキルのばかっ。

「ちなみにこのまま輪廻転生させたら、来世はハムスターだな」
「ハムスター!?まさかの動物!?」

夢のくるくる生活来るか!?
愛玩されちゃううぅ!!

「なんで人間限定なんだよ。そりゃ生き物全てに転生する可能性あるだろうが。ちなみにお前の前世はハエだったぞ」

「ハエ⇒人間⇒ハムスターですか!?落差激しすぎない!?」
「運よく人間に生まれ変わってクズに生きて死んだからな。ビッグチャンスを棒に振った形だな。ドンマイ。」
「…ちなみに次に人間に転生するのはいつになるんでしょうか」
「今のところ予定はない」
「死ぬ前に聞きたかった言葉!!」

今聞いても何の意味もないっすよぉ…。
まぁ来世のハムスターはまだマシなのか、なぁ。ハエは無いよなぁハエは。
ハムスターの寿命とかどれくらいなんだろ。そんなに長生きするイメージ無いけど。
飼ったことないし。

「ちなみにファンタジーと魔法の世界に転生だ。良かったじゃないか。お前そういうの好きなんだろ?」
「魔法!…まぁ好きですけど、まさかのハムスターか…。ハムスターでも魔法とか使えるんですか?あと、人語とか使えたりとか…?」
「おう、中にはそういった突然変異も出たりするわな。もちろん定番のギルドや王国・帝国とか色々あるぞ。あ、奴隷もあるな。お前は特別に記憶を持ったまま転生させてやる」
「最低からのスタートか…。でも記憶があるならなんとかなるかな…?」
「とはいえ、お前が記憶を取り戻す前に死ぬけどなw」
「えぇ!?じゃあ意味ないじゃないですか!」
「生後2週間でたまたま近くを歩いていたクッソ弱いベルドッグに踏まれてお陀仏だ」
「死因まで言われた!しかも生後2週間!クッソ弱いやつにやられちゃうのかよ!」
「ハムスターの次はベルドッグに転生だな」
「来来世まで教えられたの!?しかも前世の死因かよぉ!!」
「ゴチャゴチャうるっせぇなぁ。もう決まってんだから仕方ないだろーが」

もう決まってる、その言葉に違和感を感じた。今目の前にいるのは神だ。自分でも言っているように全知全能なのだろう。
そんな神がすでに決まっていると言う。神より上がいる、という事…?

「…ちなみにどういった経緯で決まってるんでしょうか…?」
俺の言葉に神はニヤリとほくそ笑む。


「ガチャだ」

あ、やっぱりこいつクソハゲだ。
と思った瞬間、デコピンされてまたしても俺は吹っ飛んだ。





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