14 / 209
サキとの出会い(ミスカ)
しおりを挟む
天使……か……?
背中に羽が見える。慌てて目を擦ると羽は無くなったが、とても美しい女性がそこに居た。
今まで女に興味を持ったことはなかった。醜い容姿で産まれた俺を見ず父たちと過ごす母も俺にとっては必要ない存在で、女だからと優遇されちやほやされている町の女は綺麗だと思えず魅力さえも感じなかった。
背がどんどん伸びてガタイが良くなっていく俺を周りは怖がり蔑んだが、どうせ関わりもない赤の他人だ。何を言われても構わないと思っていた。
森にいた天使……女性はサキと言うらしい。
俺たちを見た時も怖がってる様子は無く驚いたのだが、俺が背負うとなった時も断らず嫌がることもなく身体を預けてくれた。
小さく細身で柔らかく、心配になるほど軽い。そして声を抑えて泣く彼女は震えていた。
「ありがとうございます。重かったですよね」
そう無理して笑うサキに俺は気の利いた言葉の一つもかけることが出来なかった。震える身体の感触と肩に一粒落ちた彼女の涙。
どうしてか胸がとても苦しくなった。
翌朝部屋から出てきたサキを見て一瞬息が止まる。明るい朝日に照らされた艶やかな黒髪、ぱっちりとした大きな黒い瞳、そして……スラリとシャツからのびる白い脚。
!!?
彼女は全く気にしてないようだったが、流石にあのままだと心臓に悪すぎる。何故かモヤモヤしたというのもあるが、それが団長とリュークに見せたくないという気持ちなのだと、その時は気づかなかった。
「ミスカ隊長、荷物が届きました。確認お願いします」
「ああ、今行く。……時間がかかるからもう少し後に運んでくれ」
「了解です」
今回はサキの為に用意した荷物も届いている。サキが住むということになって、何が必要になるのか全く分からなかった俺は、ログさんと相談しながらもとりあえず……言われた物は全部買ってしまった。
行商人のログさんは昔馴染みで信頼出来る人だ。これからも頻繁に来るから紹介しておいたほうがいいだろうと、サキも一緒に来てもらうことにした。
二人で歩いている間も会話は無い。今まで女性に無関心だったおかげで話題も見つからずどうしたものかと悩んでいると、どこからが「キュー」という音が聞こえた。動物の鳴き声かと思い不意に辺りを見渡すと、サキが顔を真っ赤にして手で腹を抑えていた。
腹の……音……?可愛い人は腹の音も可愛いのか?それは反則だろう…。
不意打ちをくらい思わず顔を背ける。
なんとか平静を取り戻したが、サキはどうやらよっぽど恥ずかしかったようで焦っているのがまた可愛くて顔が緩んでしまった。
ログさんから荷物を受け取り運ぼうとしたところでサキに容姿について聞かれた。驚いた様子を見るにサキの世界では黒髪も黒目も普通のことなのだろうか。
「私……変ですか?」
心配そうにこちらを見るサキに慌てて伝える。少し恥ずかしいことも言ったが事実だから仕方ない。
サキは俺にそんなことを言われても嫌な顔なんかしないで、むしろすごい照れていた。
やっぱり赤くなった彼女は可愛かった。
女には興味無かったはずなのに、出会ってからサキには新しい感情ばかり湧いてくる。
初めて見た時はその容姿に驚き、それで気になってしまっているだけだと思っていた。しかしサキと接していくうちに彼女の魅力は内面なのだと気づいていく。
「私は食事を作るお仕事をいただけて、こんなに沢山の人が楽しみにしてくれているのがとても嬉しいです」
「気軽に接してください」
あの時、食堂に来た騎士たちにそう言って彼女は優しく笑いかけた。それがサキの本心であることはその場にいた全員に伝わった。
それから黒騎士団全体の雰囲気が明るくなった。女性に対して少なからず不信感を抱いてる団員たちが彼女を受け入れるようになったのは、彼女が誠実だからだ。この人なら信じられると安心出来る。
俺もその内の一人だからな。
サキの内面の美しさに気づいてからは、更に天使に見えるし、少し会話をしただけで浮かれてしまう。笑顔も照れている顔もずっと眺めていたい。
本当に、どうしようも無いな。まさか自分がこんな感情を持つことになるとは。
思わず笑いが込み上げる。
俺はサキが好きだ。好きになるのは必然だった。恋というのはとても幸せものなのだな。
しかしいつかは訪れる。この気持ちとの別れか、サキとの本当の別れか、どちらかは必ず。それも必然だ。
分かってる、分かっているから……。
今はまだ幸せに浸かっていたい。
背中に羽が見える。慌てて目を擦ると羽は無くなったが、とても美しい女性がそこに居た。
今まで女に興味を持ったことはなかった。醜い容姿で産まれた俺を見ず父たちと過ごす母も俺にとっては必要ない存在で、女だからと優遇されちやほやされている町の女は綺麗だと思えず魅力さえも感じなかった。
背がどんどん伸びてガタイが良くなっていく俺を周りは怖がり蔑んだが、どうせ関わりもない赤の他人だ。何を言われても構わないと思っていた。
森にいた天使……女性はサキと言うらしい。
俺たちを見た時も怖がってる様子は無く驚いたのだが、俺が背負うとなった時も断らず嫌がることもなく身体を預けてくれた。
小さく細身で柔らかく、心配になるほど軽い。そして声を抑えて泣く彼女は震えていた。
「ありがとうございます。重かったですよね」
そう無理して笑うサキに俺は気の利いた言葉の一つもかけることが出来なかった。震える身体の感触と肩に一粒落ちた彼女の涙。
どうしてか胸がとても苦しくなった。
翌朝部屋から出てきたサキを見て一瞬息が止まる。明るい朝日に照らされた艶やかな黒髪、ぱっちりとした大きな黒い瞳、そして……スラリとシャツからのびる白い脚。
!!?
彼女は全く気にしてないようだったが、流石にあのままだと心臓に悪すぎる。何故かモヤモヤしたというのもあるが、それが団長とリュークに見せたくないという気持ちなのだと、その時は気づかなかった。
「ミスカ隊長、荷物が届きました。確認お願いします」
「ああ、今行く。……時間がかかるからもう少し後に運んでくれ」
「了解です」
今回はサキの為に用意した荷物も届いている。サキが住むということになって、何が必要になるのか全く分からなかった俺は、ログさんと相談しながらもとりあえず……言われた物は全部買ってしまった。
行商人のログさんは昔馴染みで信頼出来る人だ。これからも頻繁に来るから紹介しておいたほうがいいだろうと、サキも一緒に来てもらうことにした。
二人で歩いている間も会話は無い。今まで女性に無関心だったおかげで話題も見つからずどうしたものかと悩んでいると、どこからが「キュー」という音が聞こえた。動物の鳴き声かと思い不意に辺りを見渡すと、サキが顔を真っ赤にして手で腹を抑えていた。
腹の……音……?可愛い人は腹の音も可愛いのか?それは反則だろう…。
不意打ちをくらい思わず顔を背ける。
なんとか平静を取り戻したが、サキはどうやらよっぽど恥ずかしかったようで焦っているのがまた可愛くて顔が緩んでしまった。
ログさんから荷物を受け取り運ぼうとしたところでサキに容姿について聞かれた。驚いた様子を見るにサキの世界では黒髪も黒目も普通のことなのだろうか。
「私……変ですか?」
心配そうにこちらを見るサキに慌てて伝える。少し恥ずかしいことも言ったが事実だから仕方ない。
サキは俺にそんなことを言われても嫌な顔なんかしないで、むしろすごい照れていた。
やっぱり赤くなった彼女は可愛かった。
女には興味無かったはずなのに、出会ってからサキには新しい感情ばかり湧いてくる。
初めて見た時はその容姿に驚き、それで気になってしまっているだけだと思っていた。しかしサキと接していくうちに彼女の魅力は内面なのだと気づいていく。
「私は食事を作るお仕事をいただけて、こんなに沢山の人が楽しみにしてくれているのがとても嬉しいです」
「気軽に接してください」
あの時、食堂に来た騎士たちにそう言って彼女は優しく笑いかけた。それがサキの本心であることはその場にいた全員に伝わった。
それから黒騎士団全体の雰囲気が明るくなった。女性に対して少なからず不信感を抱いてる団員たちが彼女を受け入れるようになったのは、彼女が誠実だからだ。この人なら信じられると安心出来る。
俺もその内の一人だからな。
サキの内面の美しさに気づいてからは、更に天使に見えるし、少し会話をしただけで浮かれてしまう。笑顔も照れている顔もずっと眺めていたい。
本当に、どうしようも無いな。まさか自分がこんな感情を持つことになるとは。
思わず笑いが込み上げる。
俺はサキが好きだ。好きになるのは必然だった。恋というのはとても幸せものなのだな。
しかしいつかは訪れる。この気持ちとの別れか、サキとの本当の別れか、どちらかは必ず。それも必然だ。
分かってる、分かっているから……。
今はまだ幸せに浸かっていたい。
499
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
女性が少ない世界に転生した控えめ伯爵令嬢、なぜか五人の婚約候補に選ばれて少しずつ恋を知っていきます
ノッポ
恋愛
女性が極端に少ない異世界に転生した私は、気づけば伯爵令嬢になっていた。
前世は日本で普通に生きていたせいか、貴族令嬢らしい強気な振る舞いがどうしても苦手。
社交界デビューを迎えても、「どうして私が選ばれるの?」と戸惑うばかりだった。
けれど今年デビューする高位令嬢はわずか三人。
家同士の思惑も重なり、騎士団長家の息子、宰相子息、魔術師団長の息子、幼なじみの侯爵子息、そして英雄騎士――
五人の若きエリートとのお見合いが次々と始まってしまう。
遠慮がちで控えめな性格は、この世界では珍しく、気づけば少しずつ距離を縮めていく彼ら。
異世界での恋愛に戸惑う日々。けれど出会いを重ねるたびに、私は少しずつ変わっていく――。
女性希少世界で、自分の幸せを選べるようになるまでの逆ハーレム恋愛ファンタジー。
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました
大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる