118 / 200
真っ直ぐに
しおりを挟む
「サキさん!」
「ヨルアノくん」
勢いよく走ってきたヨルアノくんは私の前でストップする。
今日も何かあったのかな。
「今お時間良いですか?」
「うん!」
チラッと周りを見て誰も居ないことを確認してから、ヨルアノくんは真剣な顔で口を開いた。
「俺、サキさんのことが好きです!」
「……えっ!?」
何の前置きも無しに唐突に告白され、一瞬聞き間違えかと思った。
「好き……って……え?そういう…好き?」
「はい、恋愛的な好きです」
未だ驚きは消えないがヨルアノくんの真っ直ぐな瞳は揺らぐことなく私を見ていて、嘘や冗談なんかでは無いと確信する。
「サキさん、俺と付き合ってください」
ヨルアノくんのことは私も好きだと思う。でもそれは仲間として、人としての好意。
「気持ちは嬉しいけど……私はヨルアノくんにそういう好きは持っていないの。だからお付き合いは出来ません、ごめんなさい」
「そうですか……」
少し寂しそうに笑う彼に私は何て声をかけたら良いんだろう。
「私……」
「あ、ヴェルストリア来たん?」
「え?」
ヨルアノくんが言う通り、扉の所に息を切らしたヴェルくんが立っていた。
「まさかもう告白終わったの……?」
「うん」
「そ、そんなあっさり……」
ヴェルくんは告白のことを知っていたようで、何だかガックリしているのかホッとしているのか分からない。
ヴェルくんを見ていたヨルアノくんは私に向き直りニコッと笑う。
「サキさんありがとうございます。俺もサキさんみたいに人を笑顔に出来るよう頑張りますんで、これからもよろしくお願いします!」
「ヨルアノくん……。気持ちを伝えてくれてありがとう!こちらこそよろしくね」
ヨルアノくんが手を差し出したので私もまた返そうとすると、間にヴェルくんが入り込む。
「ちょ、最後に握手くらいさせてや!」
「もう諦めたんでしょ!?」
「付き合うんは望まんでも初恋はそう簡単に捨てきれんねん!」
「捨てきれるまでサキさんと話す時は2m離れて」
「なんやその縛り!」
ポカンとする私の目の前で二人の子供っぽい言い争いは続く。
私さっき告白されて振ったはずなのに雰囲気全然無いな……。
展開が速すぎてよく分からなくなってきた。
でも二人がこんなに仲良くなっていたなんて。それが凄く嬉しくてつい笑ってしまう。
「ふふ、ヴェルくん良かったね」
「!」
「ヨルアノくん、ヴェルくんのことよろしくね」
「はい!」
私はヨルアノくんの想いには応えられないけど、それでも真っ直ぐに伝えてくれたことが嬉しかった。
彼が黒騎士団に入ってきてくれて良かったと改めて思ったのだった。
「ヨルアノくん」
勢いよく走ってきたヨルアノくんは私の前でストップする。
今日も何かあったのかな。
「今お時間良いですか?」
「うん!」
チラッと周りを見て誰も居ないことを確認してから、ヨルアノくんは真剣な顔で口を開いた。
「俺、サキさんのことが好きです!」
「……えっ!?」
何の前置きも無しに唐突に告白され、一瞬聞き間違えかと思った。
「好き……って……え?そういう…好き?」
「はい、恋愛的な好きです」
未だ驚きは消えないがヨルアノくんの真っ直ぐな瞳は揺らぐことなく私を見ていて、嘘や冗談なんかでは無いと確信する。
「サキさん、俺と付き合ってください」
ヨルアノくんのことは私も好きだと思う。でもそれは仲間として、人としての好意。
「気持ちは嬉しいけど……私はヨルアノくんにそういう好きは持っていないの。だからお付き合いは出来ません、ごめんなさい」
「そうですか……」
少し寂しそうに笑う彼に私は何て声をかけたら良いんだろう。
「私……」
「あ、ヴェルストリア来たん?」
「え?」
ヨルアノくんが言う通り、扉の所に息を切らしたヴェルくんが立っていた。
「まさかもう告白終わったの……?」
「うん」
「そ、そんなあっさり……」
ヴェルくんは告白のことを知っていたようで、何だかガックリしているのかホッとしているのか分からない。
ヴェルくんを見ていたヨルアノくんは私に向き直りニコッと笑う。
「サキさんありがとうございます。俺もサキさんみたいに人を笑顔に出来るよう頑張りますんで、これからもよろしくお願いします!」
「ヨルアノくん……。気持ちを伝えてくれてありがとう!こちらこそよろしくね」
ヨルアノくんが手を差し出したので私もまた返そうとすると、間にヴェルくんが入り込む。
「ちょ、最後に握手くらいさせてや!」
「もう諦めたんでしょ!?」
「付き合うんは望まんでも初恋はそう簡単に捨てきれんねん!」
「捨てきれるまでサキさんと話す時は2m離れて」
「なんやその縛り!」
ポカンとする私の目の前で二人の子供っぽい言い争いは続く。
私さっき告白されて振ったはずなのに雰囲気全然無いな……。
展開が速すぎてよく分からなくなってきた。
でも二人がこんなに仲良くなっていたなんて。それが凄く嬉しくてつい笑ってしまう。
「ふふ、ヴェルくん良かったね」
「!」
「ヨルアノくん、ヴェルくんのことよろしくね」
「はい!」
私はヨルアノくんの想いには応えられないけど、それでも真っ直ぐに伝えてくれたことが嬉しかった。
彼が黒騎士団に入ってきてくれて良かったと改めて思ったのだった。
103
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜
具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです
転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!?
肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!?
その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。
そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。
前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、
「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。
「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」
己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、
結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──!
「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」
でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……!
アホの子が無自覚に世界を救う、
価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!
転生先は男女比50:1の世界!?
4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。
「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」
デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・
どうなる!?学園生活!!
私が美女??美醜逆転世界に転移した私
鍋
恋愛
私の名前は如月美夕。
27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。
私は都内で独り暮らし。
風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。
転移した世界は美醜逆転??
こんな地味な丸顔が絶世の美女。
私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。
このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。
※ゆるゆるな設定です
※ご都合主義
※感想欄はほとんど公開してます。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハーレム異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーレムです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける
朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。
お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン
絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。
「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」
「えっ!? ええぇぇえええ!!!」
この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる