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仕事復帰
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ようやく体力も回復し、仕事に戻ることが出来た。私が居ない時でも団員の皆が料理や掃除も交代でこなしてくれるけれど、やっぱり私も黒騎士団の役に立ちたいのだ。
でも……これからは妊娠や育児があるから、仕事はだいぶ出来なくなっちゃうよね。
朝、キッチンに立ちながらぼーっとしてしまっていた私に、ヴェルくんが心配そうに声をかける。
「サキさん、何か考え事でもありましたか?」
「えっとね、これからは色々あるからお仕事が長い期間出来なくなるでしょ?私も自分のことで精一杯になっちゃうから」
「それは当たり前です!サキさんの体が一番なんですから、仕事のことは気にしないでください」
「うん!ちゃんと気をつけるよ。出来る時に出来るとこまで頑張ろうと思って」
そう言うと、彼はホッとした様子で頷いてくれた。
そんな話をして朝食も出来上がり、ヴェルくんと夫たちも揃って美味しく頂いた。
皆を見送ったところで、ヨルアノくんが走って食堂にやって来た。
私の姿を見つけて慌てたように駆けてくる。
「サキさん!」
「ヨルアノくん、久しぶり!」
「お、お久しぶりです……」
少し息を整えた彼は顔を上げる。
「サキさんずっと休んどりましたけど、大丈夫でしたか……?なんや大きい病気とか……」
「ううん!ちょっと体調が悪かっただけで、ほとんど元気だったんだけど……夫たちが心配してくれて」
「それなら良かったです……。ちょっと前までヴェルストリアも隊長も本当に切羽詰まった顔しとって……誰も話しかけれんかって……」
そうだったんだ……。
ずっと私の事を気にかけながらも仕事はしなくちゃいけなくて、きっと何度も何度も様子を見に来てくれていたんだ。
申し訳ない気持ちもあるけれど、それ程までに彼らに想われて愛されているのがやっぱり嬉しかった。
「絶対サキさんになんかあったって思って……もう……」
「ヨルアノくん……」
しゃがみこんで大きく息を吐いた彼も、相当私を心配してくれていたのだろう。
「ありがとう……。あの……実はね、二日くらい意識が無かったみたいなの」
「えっ……」
「今は本当に何ともないんだけど、それで……流石にお仕事には来れなくて」
正直に事実を言うのは余計な事だと分かっていたが、ここまで心配してくれるのに誤魔化して話すのがどうにも辛かった。
「夫たちには言わないでね、多分怒られちゃうから」
「はい……。良かった……いうんは違いますけど……また起こらんといいですね……」
「うん……でも、もう大丈夫って思うんだ」
あの夢を見て私はまた前を向けた。大切なきっかけの一つだったと思うから。
この指輪が……向こうの世界と私を繋いでくれている気がする。これまでの出来事や行動が全て繋がって今があるのだと実感した。
「ヨルアノくん、ご飯食べる?まだギリギリ残ってるよ」
「……はい!間に合って良かったー、朝ごはん抜きはキツいですから」
「そうだよね、ご飯無い時はどうしてるの?」
「缶詰ばっかです!」
「やっぱり野菜が無いなぁ……」
団員たちが料理を頑張ってくれることを願って、寮で過ごす一日が始まった。
「サキさん、体調とか大丈夫でしたか……?」
「はい!ご心配おかけしました」
すれ違う皆に声をかけてもらって、やっぱりこの温かい場所に居たいと強く思う。
掃除も終えたところで、しばらく行けなかった裏庭の様子が心配で早歩きで向かう。
しかし以前と変わらず、花壇は綺麗に整えられた状態だった。
「あ、この花咲き始めてる!」
この一週間の間にちょうど目に見える成長をしていたようだ。
お花育て始めたのも私なのに……お世話出来なくなっちゃうなぁ……。
「サキ」
「ミスカさん!」
休憩中に会いに来てくれた彼と手を繋ぐ。
「今咲き始めだから来週には満開になると思う」
「ミスカさんがお世話してくださったんですか?」
「ああ。他のやつにやらせたらすぐ枯らしそうだから」
そんなことは無いと思うけど……お花のこと知らないと大変だよね。
「これからもサキが居ない時は代わりにやるから、任せてくれ」
「ありがとうございます……!」
でも、そうなると迷惑かな……。
「あの……ミスカさん」
「どうした」
「お家の方もお花植えたいなって思ったんですけど……」
全部ミスカさんにやらせるのは何だか申し訳ない。
私の気持ちが分かったのか、彼は「気にしなくていい」と微笑んだ。
「花は育てるのも楽しいが、見て楽しむものだ。サキが大変な時も少しは精神的に役に立つだろう」
「ミスカさん……」
優しい彼の好意に甘えることにし、私もそれまでは一緒にお世話をすると言った。
「それで……」
私は少しモジモジしながら彼を見る。
「実は買って欲しいものがあるんですけど……」
「!」
私からの初めての要求に、ミスカさんは平静を装いながらも前のめりに聞いてきた。
「何が欲しいんだ?」
「誕生日にくれた……このジョウロはここで使いたいから自宅用のが別で欲しいんです」
毎回持ってくるのも大変だと思うし、思い出になるものが増えたら嬉しいから。
「ああ、新しいのを買おう。他の道具も揃えたら良い」
「ありがとうございます!」
「せっかくなら一緒に見に行って決めるか?」
「行きたいです!」
彼は心底嬉しかったようで頭を凄い撫でてくれる。私もちゃっかりデートの予定を取り付けることが出来て内心凄いはしゃいでいた。
夕食も張り切って作り団員たちの笑顔に喜んだ後、家に帰ってからそのデートについて話していた。
リビングの定位置……ミスカさんの上に座り、ちょうどラグトさんがやって来て話に加わる。
「え、サキちゃんと先輩町に行くの?俺も行きたい!」
「ラグト……」
「良いですね!また三人でお出かけしたいです!」
「……」
エマさんに会いに行った時はちょっと気持ち的にあれだったから……今度はいっぱいはしゃごう!
「ミスカさん、楽しみですね!」
「……ああ」
「ちなみにどこ行くの?」
……どこだろう?
後ろに居る彼を見る。
「前と同じ店で良ければサロディーアにある。他の道具も大体は揃うはずだ」
「じゃあそこに行きましょう!」
「俺サロディーア久しぶりだなぁ、楽しみ!」
ワクワクした様子のラグトさんに笑顔で頷く。
「いい町ですよね!一部を除いて」
「一部を除いてな」
「……え、何を除いてるんすか」
「どこにでも変な奴は居るってことだ」
そうそう、どこに行っても声をかけられる。
リュークとミスカさんと行った時も帰りに二人くらいから……あっ、でも……。
「ラグトさんとデートした時は声かけられなかった……」
「そうなのか?」
「確かにそうだったね」
これはもしかして……!
「やっぱりイチャイチャが大事なんですね!」
「「!?」」
「……どうしてそうなった、サキ。……いや、言い出したのは俺たちだが」
「ラグトさんと一緒の時が一番イチャイチャしてた気がします!」
ハイテンションでラグトさんにベタベタくっついてたから。
「え!嬉しい……あ、先輩……目が怖い……」
「サキ、イチャイチャしよう」
「はい!……え、あれ、今ですか?」
「今もだ」
抱えられてしまったのでお話は中断になり、私はラグトさんに手を振る。
「おやすみなさい」
「おやすみー」
部屋に二人きりで、寝るまでいっぱいイチャイチャした。
でも……これからは妊娠や育児があるから、仕事はだいぶ出来なくなっちゃうよね。
朝、キッチンに立ちながらぼーっとしてしまっていた私に、ヴェルくんが心配そうに声をかける。
「サキさん、何か考え事でもありましたか?」
「えっとね、これからは色々あるからお仕事が長い期間出来なくなるでしょ?私も自分のことで精一杯になっちゃうから」
「それは当たり前です!サキさんの体が一番なんですから、仕事のことは気にしないでください」
「うん!ちゃんと気をつけるよ。出来る時に出来るとこまで頑張ろうと思って」
そう言うと、彼はホッとした様子で頷いてくれた。
そんな話をして朝食も出来上がり、ヴェルくんと夫たちも揃って美味しく頂いた。
皆を見送ったところで、ヨルアノくんが走って食堂にやって来た。
私の姿を見つけて慌てたように駆けてくる。
「サキさん!」
「ヨルアノくん、久しぶり!」
「お、お久しぶりです……」
少し息を整えた彼は顔を上げる。
「サキさんずっと休んどりましたけど、大丈夫でしたか……?なんや大きい病気とか……」
「ううん!ちょっと体調が悪かっただけで、ほとんど元気だったんだけど……夫たちが心配してくれて」
「それなら良かったです……。ちょっと前までヴェルストリアも隊長も本当に切羽詰まった顔しとって……誰も話しかけれんかって……」
そうだったんだ……。
ずっと私の事を気にかけながらも仕事はしなくちゃいけなくて、きっと何度も何度も様子を見に来てくれていたんだ。
申し訳ない気持ちもあるけれど、それ程までに彼らに想われて愛されているのがやっぱり嬉しかった。
「絶対サキさんになんかあったって思って……もう……」
「ヨルアノくん……」
しゃがみこんで大きく息を吐いた彼も、相当私を心配してくれていたのだろう。
「ありがとう……。あの……実はね、二日くらい意識が無かったみたいなの」
「えっ……」
「今は本当に何ともないんだけど、それで……流石にお仕事には来れなくて」
正直に事実を言うのは余計な事だと分かっていたが、ここまで心配してくれるのに誤魔化して話すのがどうにも辛かった。
「夫たちには言わないでね、多分怒られちゃうから」
「はい……。良かった……いうんは違いますけど……また起こらんといいですね……」
「うん……でも、もう大丈夫って思うんだ」
あの夢を見て私はまた前を向けた。大切なきっかけの一つだったと思うから。
この指輪が……向こうの世界と私を繋いでくれている気がする。これまでの出来事や行動が全て繋がって今があるのだと実感した。
「ヨルアノくん、ご飯食べる?まだギリギリ残ってるよ」
「……はい!間に合って良かったー、朝ごはん抜きはキツいですから」
「そうだよね、ご飯無い時はどうしてるの?」
「缶詰ばっかです!」
「やっぱり野菜が無いなぁ……」
団員たちが料理を頑張ってくれることを願って、寮で過ごす一日が始まった。
「サキさん、体調とか大丈夫でしたか……?」
「はい!ご心配おかけしました」
すれ違う皆に声をかけてもらって、やっぱりこの温かい場所に居たいと強く思う。
掃除も終えたところで、しばらく行けなかった裏庭の様子が心配で早歩きで向かう。
しかし以前と変わらず、花壇は綺麗に整えられた状態だった。
「あ、この花咲き始めてる!」
この一週間の間にちょうど目に見える成長をしていたようだ。
お花育て始めたのも私なのに……お世話出来なくなっちゃうなぁ……。
「サキ」
「ミスカさん!」
休憩中に会いに来てくれた彼と手を繋ぐ。
「今咲き始めだから来週には満開になると思う」
「ミスカさんがお世話してくださったんですか?」
「ああ。他のやつにやらせたらすぐ枯らしそうだから」
そんなことは無いと思うけど……お花のこと知らないと大変だよね。
「これからもサキが居ない時は代わりにやるから、任せてくれ」
「ありがとうございます……!」
でも、そうなると迷惑かな……。
「あの……ミスカさん」
「どうした」
「お家の方もお花植えたいなって思ったんですけど……」
全部ミスカさんにやらせるのは何だか申し訳ない。
私の気持ちが分かったのか、彼は「気にしなくていい」と微笑んだ。
「花は育てるのも楽しいが、見て楽しむものだ。サキが大変な時も少しは精神的に役に立つだろう」
「ミスカさん……」
優しい彼の好意に甘えることにし、私もそれまでは一緒にお世話をすると言った。
「それで……」
私は少しモジモジしながら彼を見る。
「実は買って欲しいものがあるんですけど……」
「!」
私からの初めての要求に、ミスカさんは平静を装いながらも前のめりに聞いてきた。
「何が欲しいんだ?」
「誕生日にくれた……このジョウロはここで使いたいから自宅用のが別で欲しいんです」
毎回持ってくるのも大変だと思うし、思い出になるものが増えたら嬉しいから。
「ああ、新しいのを買おう。他の道具も揃えたら良い」
「ありがとうございます!」
「せっかくなら一緒に見に行って決めるか?」
「行きたいです!」
彼は心底嬉しかったようで頭を凄い撫でてくれる。私もちゃっかりデートの予定を取り付けることが出来て内心凄いはしゃいでいた。
夕食も張り切って作り団員たちの笑顔に喜んだ後、家に帰ってからそのデートについて話していた。
リビングの定位置……ミスカさんの上に座り、ちょうどラグトさんがやって来て話に加わる。
「え、サキちゃんと先輩町に行くの?俺も行きたい!」
「ラグト……」
「良いですね!また三人でお出かけしたいです!」
「……」
エマさんに会いに行った時はちょっと気持ち的にあれだったから……今度はいっぱいはしゃごう!
「ミスカさん、楽しみですね!」
「……ああ」
「ちなみにどこ行くの?」
……どこだろう?
後ろに居る彼を見る。
「前と同じ店で良ければサロディーアにある。他の道具も大体は揃うはずだ」
「じゃあそこに行きましょう!」
「俺サロディーア久しぶりだなぁ、楽しみ!」
ワクワクした様子のラグトさんに笑顔で頷く。
「いい町ですよね!一部を除いて」
「一部を除いてな」
「……え、何を除いてるんすか」
「どこにでも変な奴は居るってことだ」
そうそう、どこに行っても声をかけられる。
リュークとミスカさんと行った時も帰りに二人くらいから……あっ、でも……。
「ラグトさんとデートした時は声かけられなかった……」
「そうなのか?」
「確かにそうだったね」
これはもしかして……!
「やっぱりイチャイチャが大事なんですね!」
「「!?」」
「……どうしてそうなった、サキ。……いや、言い出したのは俺たちだが」
「ラグトさんと一緒の時が一番イチャイチャしてた気がします!」
ハイテンションでラグトさんにベタベタくっついてたから。
「え!嬉しい……あ、先輩……目が怖い……」
「サキ、イチャイチャしよう」
「はい!……え、あれ、今ですか?」
「今もだ」
抱えられてしまったのでお話は中断になり、私はラグトさんに手を振る。
「おやすみなさい」
「おやすみー」
部屋に二人きりで、寝るまでいっぱいイチャイチャした。
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