美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

慣れない育児

　退院して一週間、未だ慣れないお世話に毎日皆で奮闘している。

「ユウ可愛いね～」
「可愛いな」

　長男でリュークの子は「ユウ」と名付けられた。
　私と同じような日本っぽい呼び方が良かったんだって。

「そっと！そっとだよ！」
「分かっている」

　ミスカさんが抱っこをするのをリュークが心配そうに見ている。

「また泣き出しちゃった！今度はなんだろ…」
「おむつはさっき替えたが…」

　オロオロする彼らからユウを受け取り母乳を飲ませると泣き止んだ。

「ありがと…」
「お腹空いてなくても咥えてると落ち着くんだって」
「今お腹は空いてなかったのかな？」
「ううん、凄い飲んでる……」
「いっぱい飲むんだねぇ……」

　二、三時間に一回はあげるので私は基本リビングに座っている。夜中も母乳をあげるので時々昼寝もしたりして。

「ただいまー！」
「ラグトさん、おかえりなさい」

　午前の仕事を終えたラグトさんが帰ってきてただいまのキスをくれる。

「リュークさん交代っすよ」
「仕事行きたくないー！」

　リュークは嘆きながら仕事へ向かっていった。

「ヴェルストリアは？」
「ついさっき起きてお仕事に行きました」
「そっか。今日から交代だから、夜は俺に任せてね」
「お願いします」

　夜は一人が必ず見ている状態で、二人が交代で世話をしている。
　先週はヴェルくんとミスカさんで、今週からはラグトさんとハインツさんだ。
　五人で上手くやりくりしているようでとても助かる。

「先輩、俺も抱っこしていいすか」
「ああ」

　ラグトさんはユウを腕の中に収めニコニコしている。

「マジで可愛い…目元サキちゃんにそっくりじゃない？」
「そうですか？」
「瞳の色も金色だからリュークの子だと分かるが、顔立ちはサキ寄りだと思う」
「ふふ…嬉しいです」

　私の子供…。ようやく私は母になれたのだとこの愛おしい我が子を見て実感する。
　勿論出産が終わりでは無いので、私はこれからこの子にとって良い母になれるよう努力していかなければならない。
　子供の時は親は大きな存在でカッコよく逞しく見えたけれど、その裏では今の私たちのように慌てたり焦ったりして必死に子育てをしていたのだ。その中で親は親として成長していく。

「あ、すやすや寝てる。そろそろベッドに…」

　ベビーベッドにそっと寝かそうとして、また泣き出してしまう。

「ごめんね！？嫌だよね！抱っこがいいよね！」
「何かおもちゃで…」

　まだまだドタバタは続く。