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孫との対面
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今日は初めての遠出も兼ねてリュークのご実家に行くことになった。
「バタバタしてたからあんまり詳しくは言えてないんだ。産まれてすぐに一回手紙送っただけで」
「余計楽しみにしてくれてるかもね」
妊娠中に会うことは出来なかったけど手紙でずっと気を遣ってくれていたから。
「サキちゃん!」
「お義母さん、お久しぶりです!」
家の外で待って出迎えてくれた。
「もう楽しみで心配で……。とりあえず中入って頂戴!」
「お邪魔します!」
リュークに抱っこされたユウは先程ウトウトと寝てしまったのでアンナさんたちは静かにはしゃぐ。
「なんて可愛いの……!初めての孫よ!ジン、ギル!」
「ああ……この子は……」
ジンさんの視線に私とリュークは笑顔で頷く。
「リュークとの子です」
「そうよね!とっても似ているもの!ほら、口元とか」
「はは!本当だな」
ギルさんに肩を叩かれてリュークも誇らしげに自分にそっくりだとアピールしている。
「瞳の色もリュークと同じ金色なんですよ」
「そうなのか!起きているところも見たいな」
両親たちの様子を見てルークくんも興味を持ったみたいで、私は抱っこを代わりしゃがんでユウをルークくんに会わせる。
「お姉ちゃんとお兄ちゃんの子供だよ。ルークくんの甥っ子」
「おいっこ……可愛いね…小さい……」
「ふふ、ルークくんもお兄ちゃんとして面倒見てくれる?」
私がそう言うと目を輝かせる。
「僕もお兄ちゃんになれるの?」
「本当の兄弟じゃないけど、そう思ってくれたら嬉しいな」
「うん……!」
ユウは長男だから、ルークくんがお兄ちゃんとして居てくれたら困った時も頼りやすいと思うんだよね。
しばらくしてユウが起きたので機嫌が良いうちに抱っこをしてもらう。
「懐かしいなぁ……また赤ん坊を抱く日がくるとは」
「ジン、俺にかわってくれ」
「まだ早い」
ユウもおじいちゃんの腕の中では落ち着くようで意外と泣くことも無くおしゃぶりを咥えていた。
「やっぱりサキちゃんにも似ているわ。実は二人の子ができたらとは思っていたの」
「勿論他の夫の方との子も私たちの孫だよ。でもユウを見ると本当に……嬉しく思う」
自分と同じ金色の瞳を見つめ微笑むジンさんの気持ちはよく分かる。
「私は夫たち皆との子がそれぞれ欲しいと思っているので、そうしようと以前から皆と決めていたんです」
「あらそうなの!それでリュークが一番だったってことね」
「へへ、一番上のお兄ちゃん~」
リュークはお家に来てから凄く浮かれてニコニコしてる。
結婚して子供を無事授かれた安心感と喜びを両親に与えることができて、これこそ一番の親孝行というものだろう。
「サキちゃん、本当によく頑張ったわね。孫に会わせてくれてありがとう」
「お義母さん……」
私たちだけじゃなくて周りの大切な人たちも幸せにしてくれる特別な存在。産んでよかったと何度思うことだろうか。
「ありがとうございます……。これからもお世話になります!」
「ええ、喜んで!いくらでも頼っていいのよ、ねぇ二人とも」
「大切な孫の為ならなんでもするよ」
「ああ。こっちこそ世話になってるしな」
その後私たちに食事を振る舞ってくれて、その間ユウの面倒も見てくれた。
流石経験者で、泣き出しても焦ることなく上手くあやしている。
「ユウもお腹空いたか?」
「あ、ミルク出しますね」
「おお、ありがとう。持ち運ぶの大変だよなぁ」
「結構必要な荷物多くて……びっくりしちゃいました。ギルさんはお一人でルークくん連れていくことが多かったですか?」
「俺かジンのどっちかは家に居た方が良いからな。分担は凄い大事だよ」
前にリュークも言ってたもんね、夫たちは協力……って。妻も子供も夫が守って家庭が成り立ってるんだ。最初は有り得ないと思ってたけど、夫が複数いるのも合理的だと今は思う。
「お姉ちゃん!パズル出来たの、もう三回もやったんだ」
「本当!遅くなっちゃってごめんね、見せてくれる?」
「うん!」
二階に上がりルークくんの部屋にお邪魔する。
「わぁ……思ったより大きい……!」
「最初はちょっとずつやって一週間かかったんだ」
「これは大変だよ……。お姉ちゃんこんな難しいの出来ないな」
「へへ~」
「絵も凄く綺麗!こうしてパズルで見ると全然違うね」
「だよね!」
久しぶりに会ったルークくんは以前より少し背が伸びてしっかりしているように見える。
「ルークくんは今何歳だっけ?」
「九歳だよ!」
「え、もうそんなに……早いなぁ……」
ユウが九歳になったら……その時には私たちはどんな暮らしをしてるのかな。
まだまだ先のことに思えてしまうけど、ユウが産まれてもう半年と考えたらあっという間かもしれない。
「この前お父さんに料理教わったんだ!昨日のご飯は僕が作ったんだよ!」
「え、全部!凄いね!でも怪我はしないように気を付けてね」
「大丈夫!こうやって手を丸めて包丁当てて……」
子供に教えなければいけないこともいっぱいある。親の大切な役割だ。
これからのユウの成長がより一層楽しみになった。
「ユウ、おじいちゃんとおばあちゃんに会えて嬉しいね」
「あーぅ」
「本当可愛いわぁ……。お話出来るようになるのが楽しみね。三人とも来てくれてありがとう」
「はい!お邪魔しました」
ユウはルンルン嬉しそうなリュークに抱かれ、遠くなっていくアンナさんたちの姿をじっと見ていた。
「やっと顔見せれて良かった!ユウありがと~!」
「ん」
「可愛い~!」
「ふふ、今日はユウ大人しかったね。お義父さんたちのお陰で」
「ねー。俺もあんなふうに世話されてたんだと思うとなんか不思議」
私も……お母さんたちに会わせたかったな。
「サキ?」
「……今日は一緒にユウお風呂に入れよっか!」
「うん!」
夜、遠出で疲れてぐっすり眠る子供を左手で撫で、遠くに居る家族が私たちを見守ってくれていることを願った。
「バタバタしてたからあんまり詳しくは言えてないんだ。産まれてすぐに一回手紙送っただけで」
「余計楽しみにしてくれてるかもね」
妊娠中に会うことは出来なかったけど手紙でずっと気を遣ってくれていたから。
「サキちゃん!」
「お義母さん、お久しぶりです!」
家の外で待って出迎えてくれた。
「もう楽しみで心配で……。とりあえず中入って頂戴!」
「お邪魔します!」
リュークに抱っこされたユウは先程ウトウトと寝てしまったのでアンナさんたちは静かにはしゃぐ。
「なんて可愛いの……!初めての孫よ!ジン、ギル!」
「ああ……この子は……」
ジンさんの視線に私とリュークは笑顔で頷く。
「リュークとの子です」
「そうよね!とっても似ているもの!ほら、口元とか」
「はは!本当だな」
ギルさんに肩を叩かれてリュークも誇らしげに自分にそっくりだとアピールしている。
「瞳の色もリュークと同じ金色なんですよ」
「そうなのか!起きているところも見たいな」
両親たちの様子を見てルークくんも興味を持ったみたいで、私は抱っこを代わりしゃがんでユウをルークくんに会わせる。
「お姉ちゃんとお兄ちゃんの子供だよ。ルークくんの甥っ子」
「おいっこ……可愛いね…小さい……」
「ふふ、ルークくんもお兄ちゃんとして面倒見てくれる?」
私がそう言うと目を輝かせる。
「僕もお兄ちゃんになれるの?」
「本当の兄弟じゃないけど、そう思ってくれたら嬉しいな」
「うん……!」
ユウは長男だから、ルークくんがお兄ちゃんとして居てくれたら困った時も頼りやすいと思うんだよね。
しばらくしてユウが起きたので機嫌が良いうちに抱っこをしてもらう。
「懐かしいなぁ……また赤ん坊を抱く日がくるとは」
「ジン、俺にかわってくれ」
「まだ早い」
ユウもおじいちゃんの腕の中では落ち着くようで意外と泣くことも無くおしゃぶりを咥えていた。
「やっぱりサキちゃんにも似ているわ。実は二人の子ができたらとは思っていたの」
「勿論他の夫の方との子も私たちの孫だよ。でもユウを見ると本当に……嬉しく思う」
自分と同じ金色の瞳を見つめ微笑むジンさんの気持ちはよく分かる。
「私は夫たち皆との子がそれぞれ欲しいと思っているので、そうしようと以前から皆と決めていたんです」
「あらそうなの!それでリュークが一番だったってことね」
「へへ、一番上のお兄ちゃん~」
リュークはお家に来てから凄く浮かれてニコニコしてる。
結婚して子供を無事授かれた安心感と喜びを両親に与えることができて、これこそ一番の親孝行というものだろう。
「サキちゃん、本当によく頑張ったわね。孫に会わせてくれてありがとう」
「お義母さん……」
私たちだけじゃなくて周りの大切な人たちも幸せにしてくれる特別な存在。産んでよかったと何度思うことだろうか。
「ありがとうございます……。これからもお世話になります!」
「ええ、喜んで!いくらでも頼っていいのよ、ねぇ二人とも」
「大切な孫の為ならなんでもするよ」
「ああ。こっちこそ世話になってるしな」
その後私たちに食事を振る舞ってくれて、その間ユウの面倒も見てくれた。
流石経験者で、泣き出しても焦ることなく上手くあやしている。
「ユウもお腹空いたか?」
「あ、ミルク出しますね」
「おお、ありがとう。持ち運ぶの大変だよなぁ」
「結構必要な荷物多くて……びっくりしちゃいました。ギルさんはお一人でルークくん連れていくことが多かったですか?」
「俺かジンのどっちかは家に居た方が良いからな。分担は凄い大事だよ」
前にリュークも言ってたもんね、夫たちは協力……って。妻も子供も夫が守って家庭が成り立ってるんだ。最初は有り得ないと思ってたけど、夫が複数いるのも合理的だと今は思う。
「お姉ちゃん!パズル出来たの、もう三回もやったんだ」
「本当!遅くなっちゃってごめんね、見せてくれる?」
「うん!」
二階に上がりルークくんの部屋にお邪魔する。
「わぁ……思ったより大きい……!」
「最初はちょっとずつやって一週間かかったんだ」
「これは大変だよ……。お姉ちゃんこんな難しいの出来ないな」
「へへ~」
「絵も凄く綺麗!こうしてパズルで見ると全然違うね」
「だよね!」
久しぶりに会ったルークくんは以前より少し背が伸びてしっかりしているように見える。
「ルークくんは今何歳だっけ?」
「九歳だよ!」
「え、もうそんなに……早いなぁ……」
ユウが九歳になったら……その時には私たちはどんな暮らしをしてるのかな。
まだまだ先のことに思えてしまうけど、ユウが産まれてもう半年と考えたらあっという間かもしれない。
「この前お父さんに料理教わったんだ!昨日のご飯は僕が作ったんだよ!」
「え、全部!凄いね!でも怪我はしないように気を付けてね」
「大丈夫!こうやって手を丸めて包丁当てて……」
子供に教えなければいけないこともいっぱいある。親の大切な役割だ。
これからのユウの成長がより一層楽しみになった。
「ユウ、おじいちゃんとおばあちゃんに会えて嬉しいね」
「あーぅ」
「本当可愛いわぁ……。お話出来るようになるのが楽しみね。三人とも来てくれてありがとう」
「はい!お邪魔しました」
ユウはルンルン嬉しそうなリュークに抱かれ、遠くなっていくアンナさんたちの姿をじっと見ていた。
「やっと顔見せれて良かった!ユウありがと~!」
「ん」
「可愛い~!」
「ふふ、今日はユウ大人しかったね。お義父さんたちのお陰で」
「ねー。俺もあんなふうに世話されてたんだと思うとなんか不思議」
私も……お母さんたちに会わせたかったな。
「サキ?」
「……今日は一緒にユウお風呂に入れよっか!」
「うん!」
夜、遠出で疲れてぐっすり眠る子供を左手で撫で、遠くに居る家族が私たちを見守ってくれていることを願った。
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