美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

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離乳食

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 夜の営みが再開されてから、一日が経つのが体感的に速くなった気がする。
 起きてる時間は増えているはずなのに何故だろうか。

「ユウももうすぐ六か月かぁ……」
「早いですね……」
「ああ、いつの間にかこんなに大きくなって」

 私はミスカさんとヴェルくんと共に、ハイハイするユウを和やかに見守っていた。
 ダークブロンド色の髪も量が増えて、金色の瞳はパッチリ開いている。
 そして、時々こちらを向いてニコッと笑ってくれるのだ。

「リュークそっくり!」
「本当ですよね。将来リュークさんが二人になるかも……」
「それは大変そうだなぁ……」

 そう言いながらもやっぱり楽しみなのだけれど。

「もうそろそろ離乳食始める頃だよね」
「少しずつ食べさせてみましょうか」

 食べさせる前に、まずはちゃんと作れるようにならねば。
 早速やってみようということで、ユウはミスカさんに任せて、私はヴェルくんとキッチンに立った。

「野菜を細かく切って……」
「芋を蒸かして……」

 ノートを見ながら二人で分担して作っていく。

「裏ごしするの大変だ……」
「そっち変わりますよ」
「ありがとう!こっちはパンだよね?」
「はい、まだしばらく煮込まないと」

 いつも彼と二人でお料理してたのでそれなりに手際よくこなし、一時間かけて出来上がった。
 まずは大人たちが味見する。

「とろとろだね」
「美味しいかと言われると微妙ですが、素材の味ですね」

 芋、パン、という味の液体……。米が無いからお粥は作れないんだよね。

「野菜のは彩も合って良い感じ!」
「離乳食に慣れてきたらこっちですね」

 ユウを椅子に座らせて、子供用の小さなエプロンをつける。

「エプロン姿が可愛すぎる……!」
「可愛いです……!」
「可愛い……」

 親三人の賞賛を浴びても気にすることなくドンと座っていらっしゃる。

「うーぁ」
「ユウ、初めてのご飯だぞ」
「口開けて?」

 ヴェルくんが差し出したスプーンを、ユウは手で握ってしまった。

「ユウ……それはおもちゃじゃなくて……」
「あっ」
「「……」」

 テーブルにベチャッと落ちた芋になんだか哀愁を感じる。
 これが育児……離乳食か……。
 私はサッと布巾で拭きとった。

「お腹空いてないんですかね……」

 しょんぼりしたヴェルくんに代わってミスカさんがあげてみる。

「お、食べたか」
「モグモグしてる!」

 私は嬉しくなって隣のヴェルくんの肩をバシバシ叩く。

「サキさん……お茶も飲ませてみましょう」
「あ、ごめんね」

 初めてのお茶もあげてみたけれど……。

「あぁっ、口からこぼれてる……」
「新しい布巾……ミスカさん、ありがとうございます」

 彼から受け取ったもので優しく口元を拭くが、どうも機嫌を損ねてしまったみたいだ。

「色々やりすぎちゃったかな……ごめんね」

 わんわん泣くユウを抱えてソファに座り、結局母乳で落ち着いた。

「また少しずつやっていきましょう」
「そうだね。ユウと一緒のご飯食べるの楽しみだな」
「はい!」

 ふふ、お母さんのご飯美味しいって言ってくれるかな?

「サキ、寒いから肩にかけて」
「ありがとうございます」

 私の肩にブランケットをかけて、ミスカさんが温めるように横から抱きしめてくれる。

「僕もくっつきたいです」
「ヴェルくんあったかい~」

 両側からの温もりに包まれながら、私は腕の中の温もりを手でそっと撫でた。
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