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意識と気づき
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「ミアちゃん、元気かー?」
「うぁ」
ミアが産まれてからもヨルアノくんは何度も会いに来てくれて、彼もミアの成長を嬉しそうに見守っていた。
「さっきね、初めて離乳食に挑戦したの!」
「え!もうそんな時期ですか」
「そうそう、ほんの少しだけど食べてくれて」
珍しくハインツさんが離乳食を作り、ミアのモグモグを見て大歓喜してた。
「まー」
「お!ママって言えるんか?」
「あー」
「まだちょっと早いかな?だいぶ声は出てきたけど」
私の膝の上に支えられながら座るミアは、いないいないばあをするヨルアノくんを見てはしゃいでいる。
「今日は機嫌良さそうやなぁ」
「昨日の夜は何回も起きちゃって、ちょっと大変だったけどね」
今は目が覚めてても大人しくしている。ヨルアノくんが居てくれてるお陰かも。
「えっ、夜もサキさんが見てるんですか?」
「夜中も授乳しないといけないの。どうせ起きなきゃいけないから仮眠挟みながらって感じかな」
「それは……大変ですね。ミルクで何とかなるもんやと思うとって……すみません」
「ううん、勿論その方法もあるから、私の意志で勝手にやっているだけ」
ミアが哺乳瓶から飲めるようにもっと色々出来るんだろうけど無理強いはさせたくない。伸び伸びとストレスなく育つ環境にしてあげたい。
「でもサキさんの体調とか……ちょっと心配になってまうんですけど」
「ふふ、ありがとう。夫たちのサポートもあるし今のところは大丈夫だよ」
こんなに心配してくれるの……嬉しいな。それでもやっぱりこれからも続けたい。
「私は……この子の為なら何でもできるから」
「!」
「私たちのもとから巣立つ時までに、出来る限りのことを全部しようって決めたの」
いつか別れる時が来る。その時がいつかは分からないから、一分一秒でも悔いのないように子供たちと過ごしたい。
腕の中で笑うミアを見て私がそう言うと、ポツリと呟きが聞こえた。
「やっぱ好きやなぁ……」
「えっ」
思わず顔を上げると、彼は優しい笑顔で目を細めていた。
あれ……ヨルアノくんって……こんな感じだったっけ……?
出会った頃は元気で明るくて常に精一杯頑張っているいい子……みたいなイメージで。今はそのあどけなさを残しながらも落ち着いた雰囲気を纏っていた。
「…ヨルアノくん……」
「え、あっ……ミアちゃん……本当サキさんのこと大好きですよね。よう懐いとって」
「そう……だね。ユウよりも一緒に居る時間が長いからかな」
ミアのこと……か、ちょっとびっくりしちゃった。他に無いよね、私何だと思ったんだろ……。
「俺は母には相手にされんくって……。羨ましい言うんはあれですけどユウくんもミアちゃんもサキさんに愛されとるから、絶対幸せやなって安心できます」
そうだったんだ……。
話を聞くと女性に触れられなくなったのも母親と色々あったからだそう。
「人生の中で一番近い女性」という存在である母親は、知らずのうちにでも自身に大きな影響を与えるのだろう。
そんな彼の話を聞いてその母親のことがどうしても悪く感じてしまったが、今ここにヨルアノくんが居るということが私は嬉しくてまず産んでくれたことへの感謝は忘れてはいけないなと思った。
ヴェルくんも昔「母のことはもう何も気にしていないし興味もないけれど、お礼を言えたので良かった」と嬉しそうに伝えてくれた。
今日、またヨルアノくんのこと知れて良かったな。
「あ、だいぶ時間経っちゃった。話し込んじゃってごめんね」
「いえ、ミアちゃんも帰らんとですよね」
ヨルアノくんと居るとあっという間に時間が過ぎてしまう。
もうちょっと…話してたいのにな……。
二人で立ち上がると、ふと彼がこちらに目を向けた。
「いつも別れる時……寂しいです」
「!」
ヨルアノくんも……同じように思ってくれてる……。
薄赤色の揺れる瞳に見つめられ、胸がきゅうっと締め付けられるのを感じながら私の顔は真っ赤になった。
「は……なんや…可愛い……」
ヨルアノくんも顔をほんのり赤くし、手を伸ばして私の頬に触れそうになったがそっと戻す。
それが何故か悲しく思えてしまった。
「また会いに来ます」
「う、うん!」
赤くなった顔は戻らないまま彼を見送り、私はこれまでのことを思い返す。
寮の中では何度も私に会いに来てくれて、夫たちが居ない時に傍に居てくれたのはいつもヨルアノくんだった。
明るく純粋で話上手、勉強はちょっと苦手で、でも一生懸命な頑張り屋。
そんな彼を子供っぽいだなんて思っていたけど全くそんなこと無かった。その笑顔の裏にどれだけ私への配慮と気遣いがあったのだろうか。
妊娠中の何ともない日も気分が落ちる日も、ヨルアノくんが居れば楽しく前向きになれた。出産後は子供たちにも心から嬉しそうに接してくれた。
私の感情や出来事をまるで自分のことのように受け止めてくれる彼に、私は知らずの内にずっと支え助けられていたんだ。
意識した途端、彼と過ごした時の出来事が一つずつ鮮明に蘇っていく。
「あー、う?」
「ミア……私……」
ミアを抱きかかえたまま再び椅子に座り込み、ようやく自分の気持ちに気づいた。
私……ヨルアノくんのことが好きなんだ。
「うぁ」
ミアが産まれてからもヨルアノくんは何度も会いに来てくれて、彼もミアの成長を嬉しそうに見守っていた。
「さっきね、初めて離乳食に挑戦したの!」
「え!もうそんな時期ですか」
「そうそう、ほんの少しだけど食べてくれて」
珍しくハインツさんが離乳食を作り、ミアのモグモグを見て大歓喜してた。
「まー」
「お!ママって言えるんか?」
「あー」
「まだちょっと早いかな?だいぶ声は出てきたけど」
私の膝の上に支えられながら座るミアは、いないいないばあをするヨルアノくんを見てはしゃいでいる。
「今日は機嫌良さそうやなぁ」
「昨日の夜は何回も起きちゃって、ちょっと大変だったけどね」
今は目が覚めてても大人しくしている。ヨルアノくんが居てくれてるお陰かも。
「えっ、夜もサキさんが見てるんですか?」
「夜中も授乳しないといけないの。どうせ起きなきゃいけないから仮眠挟みながらって感じかな」
「それは……大変ですね。ミルクで何とかなるもんやと思うとって……すみません」
「ううん、勿論その方法もあるから、私の意志で勝手にやっているだけ」
ミアが哺乳瓶から飲めるようにもっと色々出来るんだろうけど無理強いはさせたくない。伸び伸びとストレスなく育つ環境にしてあげたい。
「でもサキさんの体調とか……ちょっと心配になってまうんですけど」
「ふふ、ありがとう。夫たちのサポートもあるし今のところは大丈夫だよ」
こんなに心配してくれるの……嬉しいな。それでもやっぱりこれからも続けたい。
「私は……この子の為なら何でもできるから」
「!」
「私たちのもとから巣立つ時までに、出来る限りのことを全部しようって決めたの」
いつか別れる時が来る。その時がいつかは分からないから、一分一秒でも悔いのないように子供たちと過ごしたい。
腕の中で笑うミアを見て私がそう言うと、ポツリと呟きが聞こえた。
「やっぱ好きやなぁ……」
「えっ」
思わず顔を上げると、彼は優しい笑顔で目を細めていた。
あれ……ヨルアノくんって……こんな感じだったっけ……?
出会った頃は元気で明るくて常に精一杯頑張っているいい子……みたいなイメージで。今はそのあどけなさを残しながらも落ち着いた雰囲気を纏っていた。
「…ヨルアノくん……」
「え、あっ……ミアちゃん……本当サキさんのこと大好きですよね。よう懐いとって」
「そう……だね。ユウよりも一緒に居る時間が長いからかな」
ミアのこと……か、ちょっとびっくりしちゃった。他に無いよね、私何だと思ったんだろ……。
「俺は母には相手にされんくって……。羨ましい言うんはあれですけどユウくんもミアちゃんもサキさんに愛されとるから、絶対幸せやなって安心できます」
そうだったんだ……。
話を聞くと女性に触れられなくなったのも母親と色々あったからだそう。
「人生の中で一番近い女性」という存在である母親は、知らずのうちにでも自身に大きな影響を与えるのだろう。
そんな彼の話を聞いてその母親のことがどうしても悪く感じてしまったが、今ここにヨルアノくんが居るということが私は嬉しくてまず産んでくれたことへの感謝は忘れてはいけないなと思った。
ヴェルくんも昔「母のことはもう何も気にしていないし興味もないけれど、お礼を言えたので良かった」と嬉しそうに伝えてくれた。
今日、またヨルアノくんのこと知れて良かったな。
「あ、だいぶ時間経っちゃった。話し込んじゃってごめんね」
「いえ、ミアちゃんも帰らんとですよね」
ヨルアノくんと居るとあっという間に時間が過ぎてしまう。
もうちょっと…話してたいのにな……。
二人で立ち上がると、ふと彼がこちらに目を向けた。
「いつも別れる時……寂しいです」
「!」
ヨルアノくんも……同じように思ってくれてる……。
薄赤色の揺れる瞳に見つめられ、胸がきゅうっと締め付けられるのを感じながら私の顔は真っ赤になった。
「は……なんや…可愛い……」
ヨルアノくんも顔をほんのり赤くし、手を伸ばして私の頬に触れそうになったがそっと戻す。
それが何故か悲しく思えてしまった。
「また会いに来ます」
「う、うん!」
赤くなった顔は戻らないまま彼を見送り、私はこれまでのことを思い返す。
寮の中では何度も私に会いに来てくれて、夫たちが居ない時に傍に居てくれたのはいつもヨルアノくんだった。
明るく純粋で話上手、勉強はちょっと苦手で、でも一生懸命な頑張り屋。
そんな彼を子供っぽいだなんて思っていたけど全くそんなこと無かった。その笑顔の裏にどれだけ私への配慮と気遣いがあったのだろうか。
妊娠中の何ともない日も気分が落ちる日も、ヨルアノくんが居れば楽しく前向きになれた。出産後は子供たちにも心から嬉しそうに接してくれた。
私の感情や出来事をまるで自分のことのように受け止めてくれる彼に、私は知らずの内にずっと支え助けられていたんだ。
意識した途端、彼と過ごした時の出来事が一つずつ鮮明に蘇っていく。
「あー、う?」
「ミア……私……」
ミアを抱きかかえたまま再び椅子に座り込み、ようやく自分の気持ちに気づいた。
私……ヨルアノくんのことが好きなんだ。
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