美醜逆転の異世界で騎士様たちに愛される

志季彩夜

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交流

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「ここは食堂だよ。ミアも大きくなったらここで一緒に食べたいね」
「んーあ」

 ミアを抱えながら寮内を歩いていると、二人の団員が声をかけてくれる。

「サキさん、お久しぶりです!」
「あ、お久しぶりです!三番隊の皆さん昨日帰ってこられたんですよね。お疲れさまでした」
「ありがとうございます!もう早くミアちゃん見たくて……全員うずうずしてましたよ……」

 先週初めてミアを黒騎士団寮に連れて行き皆にお披露目した。
 女の子が産まれたということで驚きと喜びで皆が沸き立っていたのをよく覚えている。
 ミアに会う度、皆可愛い可愛い言ってて何かアイドルみたいになんだよね…。
 三番隊の人たちはその日ちょうど遠征に行っていて今日が初対面ということだ。

「めっちゃ可愛い!」
「目の色は水色…ですかね?」
「はい!ミスカさんとの子なんです」
「リーダーの……!後で祝いに行こうぜ!」
「そうだな!」

 お祝い……ふふ、ミスカさん凄く嬉しいだろうなぁ。
 
「昨日お父さん帰ってきたね。私たちもお家でお疲れさま会しよっか」
「うー…」
「あ、そろそろお腹空いたかな」

 階段を登りトイレに行く。
 ミアは哺乳瓶からだと飲んでくれない。色々試しはしたが結局私が居ればあげれるので今のところは私がミアにつきっきりで居るようにしている。
 ユウと遊ぶ時間が減ってしまったのが申し訳ないけど、どうやら少し前から剣術ごっこにハマっているそうでお父さんたちとずっと遊んでいるのだ。
 布を巻いた柔らかい棒をぺちぺち振っている様子の何と可愛いことか。わざとやられたふりをする夫たちも可愛くて、庭でのそんな様子を私は家からニコニコ眺めているのだった。

「飲めた?お腹いっぱい?」
「げぷっ」
「ふふ、満足そう」

 おむつも履き替えお散歩を再開したところで夫が来てくれた。

「ヴェルくん!」
「サキさん、抱っこ代わります」
「ありがとう」

 ミアを彼に任せて二人で並んで歩く。

「明日王都に行くんだったよね?」
「はい。朝早くから出るので、すみませんがお願いします」
「了解!」

 ヴェルくんのお父さん、シュージルさんに会いに行くらしい。戦争の件でせっかく再会できたので定期的に顔を合わせて近況報告しているそう。私は一度だけお会いしたけれど妊娠してからはなかなか機会が無かった。
 とても穏やかな落ち着いた人で、見た目はヴェルくんとはあまり似ていないように思えたけれど、隣に並ぶと何となく分かる感じだった。
 大まかにしか聞いていないけれど、ルーシャの王族からは離縁してなんと王宮で働いているそう。ルーシャは戦後から今でもアルデンの支配下にあるのでシュージルさんはその管理の一部を任されている。
 ルーシャのことをよく理解している元内部の人を雇うというのは大胆ではあるが合理的だろう。流石王様。

「お義父さんにも子供たち会わせたいけどね」
「ええ、孫が出来たと知った時は今まで見たこと無い程嬉しそうにしていましたから」

 やっぱりシュージルさんはヴェルくんのことをとても大切に思ってくれている。その子供の子だからこその喜びだろう。
 二人の間には長年の負い目や複雑な感情による溝があった。しかし親と子としてこれからもっと親交を深めていける。祖父と孫としての良い関係も是非築いていって欲しい。

「ちょっと遠いけどお家の方に来てもらえないかな?」
「そうですね!まだ子が小さくても会えますし、一度話してみます」

 ヴェルくんも自分の家族を紹介したいと笑顔で頷いた。

「そういえば今度アンナさんたちもまた来てくれるの」
「リュークさんのご両親ですか。ミアが産まれてからは初めてですもんね」
「うん!手紙送ったらすぐに返ってきて」

 自分たちの子供同然のミスカさんの子も産まれてきてくれて、嬉しすぎて待ちきれないから見に行く!と言ってくれた。あと今回はシオンさんも一緒に来てくれるのでとても賑やかになるだろう。

「あれ、ミア寝ちゃった?」
「ふふ、ぐっすりですね」

 ミアの寝顔を愛おしそうに見つめるヴェルくんに私も笑みが零れる。

「そろそろ帰ろっか」
「はい。今日の夕食は僕が作りますよ」
「ありがとう!何にするの?」
「なんだと思いますか?」
「うーん…ポテトサラダ?」
「じゃあそれにしましょう」
「決まってなかったの!?」

 これからの楽しみは沢山の人と会うこと…もあるんだな。
 あの時頑張って良かったと思える日が必ず来るのだと、今まさに実感することが出来た。
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