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覚悟(ヨルアノ)
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サキさんの傍に居れたらと何度も思った。その度に苦しくなって何度も諦めようとした。
自分から会いに行かなければいい。たまにすれ違って挨拶するくらいが仲間としてのちょうどいい距離感だから……少しずつ変えていこう。
ようやくそう思い始めたのはミアちゃんも産まれだいぶ経った頃だった。
「ハインツさん、離乳食作るの久しぶりだったからだいぶ時間かかっちゃって、最初一人でやってたんだけど途中から私も手出しちゃった」
「団長もそんなことあるんですね……」
「ふふ、仕事中はキリッとしてるんだけど家だとね。結婚するまではずっと気を張っていたと思うから、私たちが安心できる場所になれて嬉しいなって」
夫たち、そして子供たち。サキさんは彼らを想って微笑んだ。
「私は……この子の為なら何でもできるから」
「!」
自身の覚悟をはっきりと言葉に表した彼女の強さに心がグッと惹かれた。
「やっぱ好きやなぁ……」
「……ヨルアノくん……」
思わず零れた自分の言葉に気づき慌てて誤魔化す。
何言うとんねん俺……サキさん困らせたらあかんやろ。
「俺は母には相手にされんくって……。羨ましい言うんはあれですけどユウくんもミアちゃんもサキさんに愛されとるから、絶対幸せやなって安心できます」
ついそんなことを言い、俺の昔のことまで話してしまった。
ただ一人、母にだけ愛されなかったという俺の苦しみは他の人から見ればちっぽけなものだろう。黒騎士団にはもっと辛い思いをしてきた人たちが沢山居る。
「親は自分で選べんし、産んでその子が醜かったら親が責任取ってくれる訳でもないんですよね。ここにはそういう…親のことで苦しんで今も悩んどる人居るって聞くから……。いや、暗い話してすみません!余計なことまで口がペラペラと……俺お喋りで……」
真剣な表情で話を聞いてくれていたサキさんは、苦笑いした俺を見て優しく笑いかける。
「親は自分で選べないし苦しい思いをすることもある。もしその人たちのせいで命が失われてしまったらどうしようもないけど、ある程度大きくなったら一人で色々出来るようになるでしょう?そこからの人生は幸せな時が必ず訪れると思うの」
「幸せな時……?」
「ヨルアノくんはラグトさんとの出会いがあってこの黒騎士団に来たんだよね。今は幸せ?」
「めっちゃ幸せです!」
憧れの人と一緒に仕事をして強くなって、皆の役に立てている。そして何よりサキさんに出会えた。
「それはヨルアノくんが黒騎士団に入ろうって決めて行動したから得た幸せだよ」
「!」
「幸せが急に降ってくることもあるかもしれない。……私みたいに。でも何でもはそんな上手くいかないから、何か行動してみて出来事を起こしてから幸せは手に入る。それには努力が必要だけど、黒騎士団の皆はそうやってここまで来たんだと思う。努力が出来る人たちだから」
「サキさん……」
「勿論ヨルアノくんもね。これからもっと幸せになれるよ!」
そう言ったサキさんは何よりも美しく輝いて見えた。
幸せは行動して得るもの。それなら俺がするべきことはただ一つだけ。
断られてもいい。その後気まずくなるかもしれないなんて気にしない。そうならないように努力すればいい。
四年、サキさんを想い続けて諦めきれずにいた恋をもう一度伝える覚悟を決めた。
自分から会いに行かなければいい。たまにすれ違って挨拶するくらいが仲間としてのちょうどいい距離感だから……少しずつ変えていこう。
ようやくそう思い始めたのはミアちゃんも産まれだいぶ経った頃だった。
「ハインツさん、離乳食作るの久しぶりだったからだいぶ時間かかっちゃって、最初一人でやってたんだけど途中から私も手出しちゃった」
「団長もそんなことあるんですね……」
「ふふ、仕事中はキリッとしてるんだけど家だとね。結婚するまではずっと気を張っていたと思うから、私たちが安心できる場所になれて嬉しいなって」
夫たち、そして子供たち。サキさんは彼らを想って微笑んだ。
「私は……この子の為なら何でもできるから」
「!」
自身の覚悟をはっきりと言葉に表した彼女の強さに心がグッと惹かれた。
「やっぱ好きやなぁ……」
「……ヨルアノくん……」
思わず零れた自分の言葉に気づき慌てて誤魔化す。
何言うとんねん俺……サキさん困らせたらあかんやろ。
「俺は母には相手にされんくって……。羨ましい言うんはあれですけどユウくんもミアちゃんもサキさんに愛されとるから、絶対幸せやなって安心できます」
ついそんなことを言い、俺の昔のことまで話してしまった。
ただ一人、母にだけ愛されなかったという俺の苦しみは他の人から見ればちっぽけなものだろう。黒騎士団にはもっと辛い思いをしてきた人たちが沢山居る。
「親は自分で選べんし、産んでその子が醜かったら親が責任取ってくれる訳でもないんですよね。ここにはそういう…親のことで苦しんで今も悩んどる人居るって聞くから……。いや、暗い話してすみません!余計なことまで口がペラペラと……俺お喋りで……」
真剣な表情で話を聞いてくれていたサキさんは、苦笑いした俺を見て優しく笑いかける。
「親は自分で選べないし苦しい思いをすることもある。もしその人たちのせいで命が失われてしまったらどうしようもないけど、ある程度大きくなったら一人で色々出来るようになるでしょう?そこからの人生は幸せな時が必ず訪れると思うの」
「幸せな時……?」
「ヨルアノくんはラグトさんとの出会いがあってこの黒騎士団に来たんだよね。今は幸せ?」
「めっちゃ幸せです!」
憧れの人と一緒に仕事をして強くなって、皆の役に立てている。そして何よりサキさんに出会えた。
「それはヨルアノくんが黒騎士団に入ろうって決めて行動したから得た幸せだよ」
「!」
「幸せが急に降ってくることもあるかもしれない。……私みたいに。でも何でもはそんな上手くいかないから、何か行動してみて出来事を起こしてから幸せは手に入る。それには努力が必要だけど、黒騎士団の皆はそうやってここまで来たんだと思う。努力が出来る人たちだから」
「サキさん……」
「勿論ヨルアノくんもね。これからもっと幸せになれるよ!」
そう言ったサキさんは何よりも美しく輝いて見えた。
幸せは行動して得るもの。それなら俺がするべきことはただ一つだけ。
断られてもいい。その後気まずくなるかもしれないなんて気にしない。そうならないように努力すればいい。
四年、サキさんを想い続けて諦めきれずにいた恋をもう一度伝える覚悟を決めた。
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