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十三、亡霊の世迷言 一
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「私達からすれば、あまり広くて豪華なお宅は寄りつきにくいので……。できれば、潰れかけのあばら家のようなところが……」
ろくろ首が、右のびんにかかった髪を右手ですきながらいった。
「二人そろっていいたい放題だな」
『疲れただろうし、今日は、晩飯はいらない』
猫又が、いかにも寛大な態度だといわんばかりに指示した。
「私達、今晩は留守にしますから」
「勝手にしろ。何ならもどってこなくてもいいよ」
『おみなちゃんのことで協力しあわないといけないだろ』
猫又が、ずけずけと銅吉の急所をついた。
「ああ、そうそう」
ろくろ首が、天井へむけて少しだけ首を伸ばした。
「も、もう終わりじゃないのか」
「今夜は、絶対に家から出ないで下さいね。悪霊がうろつくかもしれませんから。あと、悪霊は、自分のいいなりにさせる人間には首筋に手形をつけます。ふつうの人間には見えませんが、あなたなら見えます」
「そういうことは早く教えておくれよ」
『だから、今教えた』
猫又が揚げ足を取って混ぜかえした。
「もし手形がついても、あなたの力でだした小判を当てたら、消えて力を失います」
それは、これまでの話と同じくらい重要だった。ろくろ首の治療といい、銅吉は自分の出来ることがどんどん広がっていくのを実感せざるを得なかった。一概には喜べないにしても。
「ここでも銭か」
『わかりやすくていいじゃないの』
猫又はいちいち一言多い。
「ああもう、とにかく出なきゃいいんだろ、出なきゃ。どのみち、ぼつぼつ仕事にかからないといけないんだ。今夜はもういないっていうんなら、さっさと出てった出てった」
半ばやけくそ気味に銅吉が促すと、ろくろ首も猫又も、そろってかき消すようにいなくなった。
昼下がりの四畳半に、がらんとした室内が銅吉を押しつつんだ。急に静かになると……今までが今までだけに……かえって不穏な雰囲気が濃くなったような気がしてくる。それを紛らわせるためにも、執筆にかからねばならなかった。
三槌屋に報告した通りの物語は、実際に墓場を訪ねたかいあって、すらすらと書きはじめられた。基本的な筋に変更はないが、本物の猫又と丁々発止のやり取りをしたおかげで、毛並みや爪の硬さまで想像できるようになった。
暗くなり、どうにも字が読めなくなるまで時間が進んだ。行灯をつけて書きつづけてもいいが、明日にでもおみなを救う手だてが整うかもしれない。温存できる体力はなるべく温存するのが賢明だろう。
自分で自分の肩を叩きながら、筆を置いた直後、何者かが戸を叩いた。ろくろ首の忠告が頭をよぎる。
未知の訪問者はますます激しく戸を叩き、割れ目を作らんばかりとなった。このままでは、寝ようが書こうがやかましくてしようがない。隣近所にも迷惑がかかる。舌打ちしたくなるのを我慢しながら、戸口に近づいた。
「どなたです」
「上坪だ。おみなのことで話がある」
理屈は分かるし、上坪の声ではある。しかし、彼がこんな乱暴なやり方をするとはとうてい思えない。太助ならともかく。
一方で、浪人といえども上坪は武士である。上坪は、決してそれをひけらかして威張るような人間ではないが、娘のことで思いつめていても不思議はない。となれば、あとあと面倒な事態になってもおかしくなかった。
「今開けますから、静かにして下さい」
業腹なのをどうにか押しかくし、玄関に降りて戸閉まり用の棒を外した。
「良くぞ開けてくれた。では入る」
戸を開けるまでの上坪の声と、似ても似つかぬ抑揚で宣言したのは、狩衣姿の武士だった。烏帽子こそかぶっているが、真っ青な顔をしており手がひっきりなしに震えている。太助と変わらないくらいの年齢のようだが、ぞっとする陰鬱さが全身から漂っていた。何よりも。一見無気力そうな印象を受ける、落ちくぼんだ両目……白目が黄色く濁っている……からは、無秩序にその場限りの愉悦にだけ浸る人生を送ってきた者特有の、負の衝動が現れたり引っこんだりしていた。
しかも、彼一人ではない。半歩後ろには、腰巻をまとった中年の女性もいた。具体的には、三槌屋くらいの歳だろうか。こちらは狩衣の武士よりもはるかに整った目鼻で、伸ばした髪が腰まで届いている。きめの細かい首筋や手の白い肌は、かえってしわの寄りかけた顔よりも、若々しさを見せつけているようにさえ思えた。
狩衣の武士は、銅吉をぞんざいに手で押しのけ、勝手に上がった。一応、わらじを脱ぎはしたものの、失礼を通りこしてもはや犯罪である。銅吉が二の句を告げられないでいると、腰巻の女性も武士と同じようにした。
「あんたら、一体……」
「まず戸を閉めよ。うぬにとって体裁が悪かろう」
狩衣の武士が、立ったまま、横柄にも命じた。
上坪がこんな場面に置かれたなら、刀を抜いて斬り捨てたところだ。不幸にも銅吉は筆しか構えられない。だから、少なくとも今のところは聞きいれるほかなかった。騒ぎを聞きつけて、上坪だけならともかく、太助や左門次まで駆けつけたら収拾のしようがない。
「良し。では、平伏せよ」
いよいよもって許し難い。しかし、逆らいようがない。
玄関で、銅吉は平伏した。鑑みるに、銅吉はお辞儀や礼はしても平伏などしたことがなかった。平伏せねばならないような高い位の人間など、そもそも裏長屋の住民の生活圏と重なるはずがない。身分の上下はもちろんあるが、半ば奇跡的に、銅吉は寛大で理解のある人々に恵まれていた。
それらは、もはや過去の事実となってしまった。
「銅吉とやら申したな。お前に、もったいなくもこちらのお方からお話がある。本来なら、わしの家来から伝えてもまだ余りがでるくらいだ。それを、押して直にお伝えになられるそうだ。心して聞け」
狩衣の主張は、何から何まで自分勝手なこと甚だしい。しかも、いつ自分の名前を知ったのか、銅吉の方こそ先に聞きたい。さりながら、まずは相手の本音を知るのが先決ではある。
「分かったか」
狩衣の念押しに、戸締まり棒でも投げつけてやりたくなった。仮にそうするなら、一歩後ずさらねばならない。ここで余計な身動きをするのは、どう考えても愚策だった。
「はい」
一言だけ、銅吉は返事をした。
「うむ」
狩衣はうなずいた。
「銅吉とやら。あやかしどもと手を切り、そなたの力をわらわやわらわに味方する者どものために用いよ。さもなくば、恐ろしい責苦がそなたを滅ぼすであろう」
腰巻の女もまた、狩衣とどっこいどっこいの高慢さだった。聞いているだけでも、甲高い、高圧という言葉そのものの発音であり抑揚だ。
あやかしどもというからには、ろくろ首や猫又について知っているのだろう。さらには、銅吉の力もわかってかいる。それを踏まえて彼女らを裏切れとの要求は、自分らの正体をさらしたも同然だ。
責苦が何なのかは知る由もないが、ここで唯々諾々とうなずくのは馬鹿げている。いや、馬鹿を通りこして人の道を踏みはずしている。
この二人に逆らって、即座に殺されることはありえるだろうか。両方とも走りにくい格好だが、一目散に逃げても木戸が閉まっている。のんびり事情を説明できるはずもない。
猫又達が忠告していたのに、戸を開けたのが悪いといえば悪い。しかしどのみち、あのまま無視していたら裏長屋の他の人々に嫌がらせでもしかねなかったろう。
「おい、返事はまだか」
狩衣が、しびれを切らした。
「まず、お名前を頂戴しとうございます」
銅吉は、平伏したまま口にした。とうに察しはついているが、相手にちゃんと名乗らせるのが先決だ。
「下民の分際で僣越にも……」
「良い良い。これからわらわの為に働くのじゃ。褒美として名を教えてやっても良かろう」
「ははっ」
刀を鳴らさんばかりにいきり散らした狩衣に対し、腰巻はいかにも度量の広さを示している……と、自賛せんばかりの口調だった。
「良いか。かしこくもわらわは、織田信長公の姪にして太閤殿下の妻、淀こと織田茶々である」
「そして、わしは太閤様の連枝、備前国岡山城主の金吾中納言こと小早川秀詮。秀秋から秀詮に改名した」
平伏したまま、銅吉は失笑しかけた。まさしく、予想ずばりではある。つまり、この二人は亡霊だ。亡霊であっても自らの意志で銅吉を家来にしようとするのなら、妄執は妄執でもいっそ立派だろう。そうではなく、ただ八岐大蛇の使い走りになっていて、その使い走りという立場も理解できてない。ついでながら、足があるのも意外だった。もっとも、あれは円山応挙の画によることで、応挙自身が本物の亡霊を目にしたことなどあるわけがない。
それはさておき。
武門の嘘は武略とはいえ、秀秋の裏切りはあまりにも醜悪すぎた。大御所こと家康が、秀秋の裏切りを誘ったことそのものは特におかしくない。それは、武略の範疇だ。秀秋は、仮に応じるなら、関ケ原に至る前に実行するべきだった。それなら、わざわざ大谷吉継の呪いなどに怯えなくとも良かっただろう。その呪いもただの誤解で、当人の思いこみを利用した八岐大蛇の毒にすぎない。つまるところ、秀秋は出処進退を誤ったとしかいいようがない。
ろくろ首が、右のびんにかかった髪を右手ですきながらいった。
「二人そろっていいたい放題だな」
『疲れただろうし、今日は、晩飯はいらない』
猫又が、いかにも寛大な態度だといわんばかりに指示した。
「私達、今晩は留守にしますから」
「勝手にしろ。何ならもどってこなくてもいいよ」
『おみなちゃんのことで協力しあわないといけないだろ』
猫又が、ずけずけと銅吉の急所をついた。
「ああ、そうそう」
ろくろ首が、天井へむけて少しだけ首を伸ばした。
「も、もう終わりじゃないのか」
「今夜は、絶対に家から出ないで下さいね。悪霊がうろつくかもしれませんから。あと、悪霊は、自分のいいなりにさせる人間には首筋に手形をつけます。ふつうの人間には見えませんが、あなたなら見えます」
「そういうことは早く教えておくれよ」
『だから、今教えた』
猫又が揚げ足を取って混ぜかえした。
「もし手形がついても、あなたの力でだした小判を当てたら、消えて力を失います」
それは、これまでの話と同じくらい重要だった。ろくろ首の治療といい、銅吉は自分の出来ることがどんどん広がっていくのを実感せざるを得なかった。一概には喜べないにしても。
「ここでも銭か」
『わかりやすくていいじゃないの』
猫又はいちいち一言多い。
「ああもう、とにかく出なきゃいいんだろ、出なきゃ。どのみち、ぼつぼつ仕事にかからないといけないんだ。今夜はもういないっていうんなら、さっさと出てった出てった」
半ばやけくそ気味に銅吉が促すと、ろくろ首も猫又も、そろってかき消すようにいなくなった。
昼下がりの四畳半に、がらんとした室内が銅吉を押しつつんだ。急に静かになると……今までが今までだけに……かえって不穏な雰囲気が濃くなったような気がしてくる。それを紛らわせるためにも、執筆にかからねばならなかった。
三槌屋に報告した通りの物語は、実際に墓場を訪ねたかいあって、すらすらと書きはじめられた。基本的な筋に変更はないが、本物の猫又と丁々発止のやり取りをしたおかげで、毛並みや爪の硬さまで想像できるようになった。
暗くなり、どうにも字が読めなくなるまで時間が進んだ。行灯をつけて書きつづけてもいいが、明日にでもおみなを救う手だてが整うかもしれない。温存できる体力はなるべく温存するのが賢明だろう。
自分で自分の肩を叩きながら、筆を置いた直後、何者かが戸を叩いた。ろくろ首の忠告が頭をよぎる。
未知の訪問者はますます激しく戸を叩き、割れ目を作らんばかりとなった。このままでは、寝ようが書こうがやかましくてしようがない。隣近所にも迷惑がかかる。舌打ちしたくなるのを我慢しながら、戸口に近づいた。
「どなたです」
「上坪だ。おみなのことで話がある」
理屈は分かるし、上坪の声ではある。しかし、彼がこんな乱暴なやり方をするとはとうてい思えない。太助ならともかく。
一方で、浪人といえども上坪は武士である。上坪は、決してそれをひけらかして威張るような人間ではないが、娘のことで思いつめていても不思議はない。となれば、あとあと面倒な事態になってもおかしくなかった。
「今開けますから、静かにして下さい」
業腹なのをどうにか押しかくし、玄関に降りて戸閉まり用の棒を外した。
「良くぞ開けてくれた。では入る」
戸を開けるまでの上坪の声と、似ても似つかぬ抑揚で宣言したのは、狩衣姿の武士だった。烏帽子こそかぶっているが、真っ青な顔をしており手がひっきりなしに震えている。太助と変わらないくらいの年齢のようだが、ぞっとする陰鬱さが全身から漂っていた。何よりも。一見無気力そうな印象を受ける、落ちくぼんだ両目……白目が黄色く濁っている……からは、無秩序にその場限りの愉悦にだけ浸る人生を送ってきた者特有の、負の衝動が現れたり引っこんだりしていた。
しかも、彼一人ではない。半歩後ろには、腰巻をまとった中年の女性もいた。具体的には、三槌屋くらいの歳だろうか。こちらは狩衣の武士よりもはるかに整った目鼻で、伸ばした髪が腰まで届いている。きめの細かい首筋や手の白い肌は、かえってしわの寄りかけた顔よりも、若々しさを見せつけているようにさえ思えた。
狩衣の武士は、銅吉をぞんざいに手で押しのけ、勝手に上がった。一応、わらじを脱ぎはしたものの、失礼を通りこしてもはや犯罪である。銅吉が二の句を告げられないでいると、腰巻の女性も武士と同じようにした。
「あんたら、一体……」
「まず戸を閉めよ。うぬにとって体裁が悪かろう」
狩衣の武士が、立ったまま、横柄にも命じた。
上坪がこんな場面に置かれたなら、刀を抜いて斬り捨てたところだ。不幸にも銅吉は筆しか構えられない。だから、少なくとも今のところは聞きいれるほかなかった。騒ぎを聞きつけて、上坪だけならともかく、太助や左門次まで駆けつけたら収拾のしようがない。
「良し。では、平伏せよ」
いよいよもって許し難い。しかし、逆らいようがない。
玄関で、銅吉は平伏した。鑑みるに、銅吉はお辞儀や礼はしても平伏などしたことがなかった。平伏せねばならないような高い位の人間など、そもそも裏長屋の住民の生活圏と重なるはずがない。身分の上下はもちろんあるが、半ば奇跡的に、銅吉は寛大で理解のある人々に恵まれていた。
それらは、もはや過去の事実となってしまった。
「銅吉とやら申したな。お前に、もったいなくもこちらのお方からお話がある。本来なら、わしの家来から伝えてもまだ余りがでるくらいだ。それを、押して直にお伝えになられるそうだ。心して聞け」
狩衣の主張は、何から何まで自分勝手なこと甚だしい。しかも、いつ自分の名前を知ったのか、銅吉の方こそ先に聞きたい。さりながら、まずは相手の本音を知るのが先決ではある。
「分かったか」
狩衣の念押しに、戸締まり棒でも投げつけてやりたくなった。仮にそうするなら、一歩後ずさらねばならない。ここで余計な身動きをするのは、どう考えても愚策だった。
「はい」
一言だけ、銅吉は返事をした。
「うむ」
狩衣はうなずいた。
「銅吉とやら。あやかしどもと手を切り、そなたの力をわらわやわらわに味方する者どものために用いよ。さもなくば、恐ろしい責苦がそなたを滅ぼすであろう」
腰巻の女もまた、狩衣とどっこいどっこいの高慢さだった。聞いているだけでも、甲高い、高圧という言葉そのものの発音であり抑揚だ。
あやかしどもというからには、ろくろ首や猫又について知っているのだろう。さらには、銅吉の力もわかってかいる。それを踏まえて彼女らを裏切れとの要求は、自分らの正体をさらしたも同然だ。
責苦が何なのかは知る由もないが、ここで唯々諾々とうなずくのは馬鹿げている。いや、馬鹿を通りこして人の道を踏みはずしている。
この二人に逆らって、即座に殺されることはありえるだろうか。両方とも走りにくい格好だが、一目散に逃げても木戸が閉まっている。のんびり事情を説明できるはずもない。
猫又達が忠告していたのに、戸を開けたのが悪いといえば悪い。しかしどのみち、あのまま無視していたら裏長屋の他の人々に嫌がらせでもしかねなかったろう。
「おい、返事はまだか」
狩衣が、しびれを切らした。
「まず、お名前を頂戴しとうございます」
銅吉は、平伏したまま口にした。とうに察しはついているが、相手にちゃんと名乗らせるのが先決だ。
「下民の分際で僣越にも……」
「良い良い。これからわらわの為に働くのじゃ。褒美として名を教えてやっても良かろう」
「ははっ」
刀を鳴らさんばかりにいきり散らした狩衣に対し、腰巻はいかにも度量の広さを示している……と、自賛せんばかりの口調だった。
「良いか。かしこくもわらわは、織田信長公の姪にして太閤殿下の妻、淀こと織田茶々である」
「そして、わしは太閤様の連枝、備前国岡山城主の金吾中納言こと小早川秀詮。秀秋から秀詮に改名した」
平伏したまま、銅吉は失笑しかけた。まさしく、予想ずばりではある。つまり、この二人は亡霊だ。亡霊であっても自らの意志で銅吉を家来にしようとするのなら、妄執は妄執でもいっそ立派だろう。そうではなく、ただ八岐大蛇の使い走りになっていて、その使い走りという立場も理解できてない。ついでながら、足があるのも意外だった。もっとも、あれは円山応挙の画によることで、応挙自身が本物の亡霊を目にしたことなどあるわけがない。
それはさておき。
武門の嘘は武略とはいえ、秀秋の裏切りはあまりにも醜悪すぎた。大御所こと家康が、秀秋の裏切りを誘ったことそのものは特におかしくない。それは、武略の範疇だ。秀秋は、仮に応じるなら、関ケ原に至る前に実行するべきだった。それなら、わざわざ大谷吉継の呪いなどに怯えなくとも良かっただろう。その呪いもただの誤解で、当人の思いこみを利用した八岐大蛇の毒にすぎない。つまるところ、秀秋は出処進退を誤ったとしかいいようがない。
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