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十二、ろくろ首は歴史を語る 二
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一時は秀吉の後継者とされた秀次は、秀頼が生まれてからすぐ、むりやり切腹させられている。さらには、彼の妻妾もその子達も、家老に至るまで数十人が連座させられて処刑された。
「秀家は、これは八岐大蛇の邪気が為したに違いないと考え、慌てて封印を戻しました。しかし、それは完全ではなかったのです。やがて関ケ原の戦いが起こり、秀家は負けて八丈島へ流されました。後から秀家の領地にやってきた小早川秀秋は、八岐大蛇の毒気に少しずつ当てられていきました」
それが、大谷吉継の祟りと誤解されたのは無理もない。秀秋からすれば、そちらの方がはるかに身に覚えがあることだ。ちなみに、秀秋は子孫を残さないまま若死にし、小早川家は断絶している。
「秀秋は呪い殺されましたが、死後の魂は八岐大蛇の道具と成りはてました。八岐大蛇は秀秋の亡霊を使役してお淀を破滅させ、やりたい放題になるはずでした。しかし、忍びから一連を聞いた家康が、大阪の陣の後、改めて八岐山の封印をかけ直したのです。さらには、良からぬことをする者がでないよう見張りまでおきました」
「その見張りも忍びか」
「はい」
「八岐山が噴火したのは、見張りが殺されるか捕らわれるかしたからか」
「そうです」
「どうしてそうなった」
「田沼意次が経費削減で見張りを減らしたからです。そこで、何者かがついに封印を解きました」
「だからって、そんな簡単に……」
『どうせ何をやってもうまくいかないなら、みんな道連れで木っ端微塵にしてる……なんて人間が、この頃とみに増えてる』
猫又が口を挟んだ。銅吉は、太助や輪快もさることながら、おみなの顔が脳裏に浮かんだ。おみなのような人間が理不尽に苦労させられるくらいなら、自分の力を使って何かを変えよう……否、破壊しようという誘惑。仮にそんな発想が浮かんだとしたら、まさに八岐大蛇がそそのかしそうなことではないか。自分のためか他人のためかの違いはあれ、無責任に破壊を持ちだすことに変わりはない。
変化を求めること自体はいい。把握もできない異常な力を振りまわすのは良くない。
庶民は、異常な力など持っていない。しかし、混沌に対する漠然とした欲求はある。それが何万何十万と束になれば、誰もが把握できない異常な力になり得る。特に、八岐大蛇のような化け物にとっては。
「まさか、求厭が肉欲をやらかしたのも……」
あえて、銅吉は微妙に話をそらした。
「八岐大蛇がそそのかしたかもしれません。八岐大蛇を封印し直さないと、呪いの種は絶えません」
だとしたら、まさに蛇そのものの執念だ。
「それで、おみなちゃんをつきとめてお淀らに知らせたのが八岐大蛇ということか」
「はい」
「八岐大蛇が諸悪の根源だとして、どうしてここの近くにお淀と秀秋の墓石があるんだ」
「百年ほど前、外道修験者が、いざというときに江戸を滅ぼす足がかりのために建てました。八岐大蛇の力を中継ぎできます」
「化粧地蔵もか」
「そうです。化粧を施しているのは現在の外道修験者です」
「そこまでして、どうしてお江戸を滅ぼそうとする」
「江戸だけではありません。江戸はほんの手始めです。日ノ本全てを滅ぼしたいのです。自分が素戔嗚尊に退治されてから後に栄えた事どもは、何であれ憎くてたまらないのです」
銅吉は、言葉を失った。怨念にも程というものがある。
「とにかく、異常な事態が起きたのだから、御公儀が然るべくお取りはからいになるだろう」
「田沼意次にも、嫡子の意知にも、幕閣の誰だろうと関心がありません」
「どうしてだ」
ここまでくると、銅吉は叫びだしたくなってきた。
「銭にならないからです」
「放っておけば銭もくそもなくなるんだぞ」
「彼らからすれば、八岐大蛇の封印など、二百年ほど前の戯作くらいです」
ろくろ首の台詞の最後は、銅吉に当てつけたのではないだろう。彼とて、いちいちそんなことで怒りはしない。怒りとは別に、そんなはずはないと反論しかけて、はたと口を閉じた。
輪快から聞いた話が、心に一言一言のしかかってきたからだ。当然ながら、輪快もあからさまなご政道批判はしていない。しかし、輪快から薫陶を受けた銅吉としては、言外の意を充分に感じとっていた。
「ならば、どうしてお前達は人間の味方をするんだ」
「あやかしの側でも、八岐大蛇のような手あいは人間でいうヤクザのようなものだからです」
「じゃあ、お前や猫又は堅気なのか」
「おかしな表現ですが、まぁ、そんなところです」
「素戔嗚尊はどうして死に損ないの八岐大蛇を放っているんだ」
「八岐大蛇が完全に復活すれば、この世に降臨します。でも、そうなれば、八岐大蛇は必死になって暴れまわります。素戔嗚尊も、地上の人間達が多少死のうが傷つこうが気にしてはいられません」
「多少って……どのくらい」
「千万人は下らないかと」
日ノ本全体で、三千万人の人々がいる。座して眺められる話ではない。
「どうして八岐大蛇が完全に復活するまで、のんびり待ってるんだ」
「素戔嗚尊は嵐の神です。日ノ本に来ただけで、何ヶ月も土砂降りの暴風雨がやまなくなります」
「融通の効かない神様だな」
「神様とはそもそも、融通が効かないものです。でも、あやかしにだって、やりたい放題な輩を止めようとする者はいます」
ろくろ首が、とたんに人間臭く思えてきた。それに、ろくろ首は猫又のように突きはなした物のいい方はしない。そこも、事態を掴む手助けになった。
「こういっちゃ何だが、ここまで大きな呪いなら、鬼でも仏様でも助けにきてくれればいいじゃないか」
「悪人が増えすぎて、鬼は地獄で大忙しです。困っている人が増えすぎて、仏はこの世で大忙しです。だから、私達あやかしに委ねられました」
悪人も困っている人も、人間が人間に……自分自身への仕うちも含めて……何事かを為した結果として生じる。これもまた、因果応報だ。
「八岐大蛇だかお淀だかは、おみなちゃんをどうしたいんだ」
「お淀が肉体を取りもどすための依代となります」
「何がどう、御公儀の転覆になる」
「おみなを田沼家に奉公させます。そして、|田沼意知の側女とします。あとは、意知をおみなから操らせます」
「おみなが墓場にいったのは、お淀に呼ばれたからか」
「そうです」
「なら、あの影は……」
「影っ」
『影っ』
ろくろ首と猫又は、同時に彼を質した。
「おみなちゃんにかぶさっていた、腰巻姿の影だよ」
『お前、どうしてそんな大事なことを黙ってた』
猫又が、くわっと口を開けた。
「お、俺自身に影がついてたんじゃないし。三槌屋さんにもあったけど」
「三槌屋っ」
『三槌屋っ』
また異口同音だ。
『わざとか。わざと黙っていたのか』
『ち、違う。聞かれなかったからだ』
最初から、一方的にいいたいことだけいう猫又につきつめられるのは心外という他ない。
「影のことが分かっていれば、もっと早く手が打てたのです」
ろくろ首が、自身の傷があった辺りをなでた。
「そりゃ、黙ってて悪かった。でもな、俺だって力は尽くしてる」
弁明しつつ、銅吉は自らのうかつさを恥じいった。あやかし達に振りまわされてばかりとはいえ、伝えようと思えばできたことだ。
『それはお淀の影だ。本人そのものじゃないけど、おみなも三槌屋も最初からお淀に目をつけられてたってことだ。まあ、仕方ない。断っておくけど、間違っても三槌屋にのこのこ顔を出すなよ』
版元に何かあったら、いくら作品を書いても意味がない。そこを見こして、猫又は釘を刺した。銅吉だけで事態をどうこうできない以上、黙って受けいれる他ない。
「三槌屋さんは、お淀とどうつながっているんだ」
受けいれるなら受けいれるで、せめて事実関係を明確にしておきたかった。
「何ともいえません。私達の力は、おみなちゃんを助けてお淀や秀秋と戦うだけで限界です」
ろくろ首が、申し訳なさにうなだれた。
「一通りは分かったよ。おみなちゃんのために命がけで戦ってくれて、それもありがたい」
個人的な感情はさておき、まず銅吉は頭を下げた。そこでふと気づいた。
「そっちこそ、あやかしのくせにおみなちゃんや三槌屋さんの影を気づけなかったのか」
「私は、隠り世から来てすぐに、おみなちゃんを助けねばなりませんでしたから。その時には、影はなかったです」
『ではお前は』
銅吉の逆追及に、猫又は、すました顔で右前脚を上げた。そして耳をかいた。
『おいっ、無視するな』
『あやかしだからって全能じゃないし』
耳をかきながら、猫又はいった。
「こいつ……」
「銅吉さん、小判をありがとうございます。それで、今後のことですが」
ろくろ首が素早く割って入った。
「う、うん」
「とりあえず、ここでご厄介になりたいです」
「ここ」
ここ、とはまさに銅吉の自宅を指す。
「はい。墓地にも松森寺にも近いですし。それに」
「それに」
この上まだあるのか、と銅吉は身構えた。
『狭くてろくな調度品がなくて人間の好みそうなぜいたくができないところがうってつけだ』
上機嫌に尻尾を揺らしながら、猫又がようやく語った。銅吉からすればろくな内容ではない。
「それは悪口だろ」
つい、心で思うだけでなく、本当に口にして喋った。
「秀家は、これは八岐大蛇の邪気が為したに違いないと考え、慌てて封印を戻しました。しかし、それは完全ではなかったのです。やがて関ケ原の戦いが起こり、秀家は負けて八丈島へ流されました。後から秀家の領地にやってきた小早川秀秋は、八岐大蛇の毒気に少しずつ当てられていきました」
それが、大谷吉継の祟りと誤解されたのは無理もない。秀秋からすれば、そちらの方がはるかに身に覚えがあることだ。ちなみに、秀秋は子孫を残さないまま若死にし、小早川家は断絶している。
「秀秋は呪い殺されましたが、死後の魂は八岐大蛇の道具と成りはてました。八岐大蛇は秀秋の亡霊を使役してお淀を破滅させ、やりたい放題になるはずでした。しかし、忍びから一連を聞いた家康が、大阪の陣の後、改めて八岐山の封印をかけ直したのです。さらには、良からぬことをする者がでないよう見張りまでおきました」
「その見張りも忍びか」
「はい」
「八岐山が噴火したのは、見張りが殺されるか捕らわれるかしたからか」
「そうです」
「どうしてそうなった」
「田沼意次が経費削減で見張りを減らしたからです。そこで、何者かがついに封印を解きました」
「だからって、そんな簡単に……」
『どうせ何をやってもうまくいかないなら、みんな道連れで木っ端微塵にしてる……なんて人間が、この頃とみに増えてる』
猫又が口を挟んだ。銅吉は、太助や輪快もさることながら、おみなの顔が脳裏に浮かんだ。おみなのような人間が理不尽に苦労させられるくらいなら、自分の力を使って何かを変えよう……否、破壊しようという誘惑。仮にそんな発想が浮かんだとしたら、まさに八岐大蛇がそそのかしそうなことではないか。自分のためか他人のためかの違いはあれ、無責任に破壊を持ちだすことに変わりはない。
変化を求めること自体はいい。把握もできない異常な力を振りまわすのは良くない。
庶民は、異常な力など持っていない。しかし、混沌に対する漠然とした欲求はある。それが何万何十万と束になれば、誰もが把握できない異常な力になり得る。特に、八岐大蛇のような化け物にとっては。
「まさか、求厭が肉欲をやらかしたのも……」
あえて、銅吉は微妙に話をそらした。
「八岐大蛇がそそのかしたかもしれません。八岐大蛇を封印し直さないと、呪いの種は絶えません」
だとしたら、まさに蛇そのものの執念だ。
「それで、おみなちゃんをつきとめてお淀らに知らせたのが八岐大蛇ということか」
「はい」
「八岐大蛇が諸悪の根源だとして、どうしてここの近くにお淀と秀秋の墓石があるんだ」
「百年ほど前、外道修験者が、いざというときに江戸を滅ぼす足がかりのために建てました。八岐大蛇の力を中継ぎできます」
「化粧地蔵もか」
「そうです。化粧を施しているのは現在の外道修験者です」
「そこまでして、どうしてお江戸を滅ぼそうとする」
「江戸だけではありません。江戸はほんの手始めです。日ノ本全てを滅ぼしたいのです。自分が素戔嗚尊に退治されてから後に栄えた事どもは、何であれ憎くてたまらないのです」
銅吉は、言葉を失った。怨念にも程というものがある。
「とにかく、異常な事態が起きたのだから、御公儀が然るべくお取りはからいになるだろう」
「田沼意次にも、嫡子の意知にも、幕閣の誰だろうと関心がありません」
「どうしてだ」
ここまでくると、銅吉は叫びだしたくなってきた。
「銭にならないからです」
「放っておけば銭もくそもなくなるんだぞ」
「彼らからすれば、八岐大蛇の封印など、二百年ほど前の戯作くらいです」
ろくろ首の台詞の最後は、銅吉に当てつけたのではないだろう。彼とて、いちいちそんなことで怒りはしない。怒りとは別に、そんなはずはないと反論しかけて、はたと口を閉じた。
輪快から聞いた話が、心に一言一言のしかかってきたからだ。当然ながら、輪快もあからさまなご政道批判はしていない。しかし、輪快から薫陶を受けた銅吉としては、言外の意を充分に感じとっていた。
「ならば、どうしてお前達は人間の味方をするんだ」
「あやかしの側でも、八岐大蛇のような手あいは人間でいうヤクザのようなものだからです」
「じゃあ、お前や猫又は堅気なのか」
「おかしな表現ですが、まぁ、そんなところです」
「素戔嗚尊はどうして死に損ないの八岐大蛇を放っているんだ」
「八岐大蛇が完全に復活すれば、この世に降臨します。でも、そうなれば、八岐大蛇は必死になって暴れまわります。素戔嗚尊も、地上の人間達が多少死のうが傷つこうが気にしてはいられません」
「多少って……どのくらい」
「千万人は下らないかと」
日ノ本全体で、三千万人の人々がいる。座して眺められる話ではない。
「どうして八岐大蛇が完全に復活するまで、のんびり待ってるんだ」
「素戔嗚尊は嵐の神です。日ノ本に来ただけで、何ヶ月も土砂降りの暴風雨がやまなくなります」
「融通の効かない神様だな」
「神様とはそもそも、融通が効かないものです。でも、あやかしにだって、やりたい放題な輩を止めようとする者はいます」
ろくろ首が、とたんに人間臭く思えてきた。それに、ろくろ首は猫又のように突きはなした物のいい方はしない。そこも、事態を掴む手助けになった。
「こういっちゃ何だが、ここまで大きな呪いなら、鬼でも仏様でも助けにきてくれればいいじゃないか」
「悪人が増えすぎて、鬼は地獄で大忙しです。困っている人が増えすぎて、仏はこの世で大忙しです。だから、私達あやかしに委ねられました」
悪人も困っている人も、人間が人間に……自分自身への仕うちも含めて……何事かを為した結果として生じる。これもまた、因果応報だ。
「八岐大蛇だかお淀だかは、おみなちゃんをどうしたいんだ」
「お淀が肉体を取りもどすための依代となります」
「何がどう、御公儀の転覆になる」
「おみなを田沼家に奉公させます。そして、|田沼意知の側女とします。あとは、意知をおみなから操らせます」
「おみなが墓場にいったのは、お淀に呼ばれたからか」
「そうです」
「なら、あの影は……」
「影っ」
『影っ』
ろくろ首と猫又は、同時に彼を質した。
「おみなちゃんにかぶさっていた、腰巻姿の影だよ」
『お前、どうしてそんな大事なことを黙ってた』
猫又が、くわっと口を開けた。
「お、俺自身に影がついてたんじゃないし。三槌屋さんにもあったけど」
「三槌屋っ」
『三槌屋っ』
また異口同音だ。
『わざとか。わざと黙っていたのか』
『ち、違う。聞かれなかったからだ』
最初から、一方的にいいたいことだけいう猫又につきつめられるのは心外という他ない。
「影のことが分かっていれば、もっと早く手が打てたのです」
ろくろ首が、自身の傷があった辺りをなでた。
「そりゃ、黙ってて悪かった。でもな、俺だって力は尽くしてる」
弁明しつつ、銅吉は自らのうかつさを恥じいった。あやかし達に振りまわされてばかりとはいえ、伝えようと思えばできたことだ。
『それはお淀の影だ。本人そのものじゃないけど、おみなも三槌屋も最初からお淀に目をつけられてたってことだ。まあ、仕方ない。断っておくけど、間違っても三槌屋にのこのこ顔を出すなよ』
版元に何かあったら、いくら作品を書いても意味がない。そこを見こして、猫又は釘を刺した。銅吉だけで事態をどうこうできない以上、黙って受けいれる他ない。
「三槌屋さんは、お淀とどうつながっているんだ」
受けいれるなら受けいれるで、せめて事実関係を明確にしておきたかった。
「何ともいえません。私達の力は、おみなちゃんを助けてお淀や秀秋と戦うだけで限界です」
ろくろ首が、申し訳なさにうなだれた。
「一通りは分かったよ。おみなちゃんのために命がけで戦ってくれて、それもありがたい」
個人的な感情はさておき、まず銅吉は頭を下げた。そこでふと気づいた。
「そっちこそ、あやかしのくせにおみなちゃんや三槌屋さんの影を気づけなかったのか」
「私は、隠り世から来てすぐに、おみなちゃんを助けねばなりませんでしたから。その時には、影はなかったです」
『ではお前は』
銅吉の逆追及に、猫又は、すました顔で右前脚を上げた。そして耳をかいた。
『おいっ、無視するな』
『あやかしだからって全能じゃないし』
耳をかきながら、猫又はいった。
「こいつ……」
「銅吉さん、小判をありがとうございます。それで、今後のことですが」
ろくろ首が素早く割って入った。
「う、うん」
「とりあえず、ここでご厄介になりたいです」
「ここ」
ここ、とはまさに銅吉の自宅を指す。
「はい。墓地にも松森寺にも近いですし。それに」
「それに」
この上まだあるのか、と銅吉は身構えた。
『狭くてろくな調度品がなくて人間の好みそうなぜいたくができないところがうってつけだ』
上機嫌に尻尾を揺らしながら、猫又がようやく語った。銅吉からすればろくな内容ではない。
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