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三十、逃げた先 二
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おたみなら、ぎりぎり全てを彼女一人でやりおおせる可能性がある。ただし、バレればクビどころではない。事と次第によっては、裏長屋一同が厳しい詮議に会う。
「いうまでもなく、本人が何か手助けを所望したなら、いくらでも行う」
上坪はつけ加えた。
「お話は良くわかりました。ただ、一晩考えさせて下さい」
猫又が、どのくらいな情報を入手するのか。まずはそれを知ってからでも遅くない。即答は愚というものだった。
「まことにもっとも。お前抜きで話を進めたこと、申し訳ない」
「いえ、とんでもない。ご苦衷拝察します」
「痛みいる。では」
三人は、銅吉の元を去った。
がらんと空白になった室内を、銅吉はぼんやりと見渡した。風呂敷包みが置いてあり、今さらながらに太助と左門次が持って帰ってくれたと理解した。
いちいち中身を改める気にもなれず、あれほど飲みたかった水さえ飲む気になれず、ただただ寝ころがって暮れていく夕陽に身を任せた。
こんな時は、少しで良いから一人でいる時間が必要だ。
どこの大名がお淀や忍びにかかわっているかわかったとして、自分には何ができるのだろう。せめて三槌屋なら、何かできるのだろうか。それは、自分の衣食住の保証が脅かされることにならないのだろうか。
輪快、上坪、太助といった人々の顔が、心に浮かんでは消え、最後におたみのそれが頭を占めた。
『帰ったぞ』
天窓から、ひょいと顔を出し、猫又が声をかけた。
『ああ、お帰り』
反射的にそう答えてから、ふと気づいた。いつも下らないいたずらに振りまわされているのに、今回こそは人並みな挨拶の交換になった。
猫又は、天窓から飛びおり、宙でくるっと一回転してから床に立った。
『ろくろ首、青女房も』
『お邪魔します』
猫又の呼びかけに応じて、二人も姿を現した。
「な、何だよ、改まって」
『ふざけた態度を取っている場合じゃなくなった』
真面目くさって、猫又は答えた。
『おいおい、どの口が……』
『田沼意次。お淀と忍びは、田沼意次の屋敷にいる』
猫又は、一気に結論を放った。
『な、何ーっ』
銭の力で日ノ本全てを切り盛りする男。もはや将軍を通りこし、実質的な独裁者ですらある。
『お淀は、まだ傷が癒えてない。しかし、忍びと力をあわせれば、あたし達でも勝ち目は覚束ない』
『人間ならなおさら不可能だ』
『方策がないではない』
『ど、どんな』
『田沼意次の妻。彼女に、お淀は取りついている。そこから意次を操るつもりだろう』
『奥方の魂はどうなったんだ』
『本来なら殺されねばならないが、忍びが八岐大蛇の力を使って手を貸している。つまり、奥方の肉体に本人の魂とお淀のそれがむりやり同居している』
『同居……。なら、おみなちゃんはもう安全なのか』
『とはいかない。あくまで、お淀からすれば非常手段だから。つまり、お淀にとっては不本意な状況になるね。同時に、まだおみなちゃんを利用できる可能性がある。と、お淀が考えているところに隙がある』
『隙とは……』
『萎んだ希望にいつまでもしがみつくと、根本を誤るってこと』
『もっとこう、具体的に教えてくれ』
『忍びは、田沼家の中間頭として働いている』
前置きぬきで、猫又はまさに具体的な話を始めた。中間とは、武士階級と下男のまさに中間に位置する。武士ではない奉公人の中では、高い地位にある。中間頭はその取りまとめ役である。
『それの、どこがどう方策になる』
『まず忍びをお前達の手で倒せ。そうすれば、忍びの術が解けてお淀は強制的に意知の妻の肉体から出てくる。それを、あたしがやる』
やるとは、無論、とどめを刺すということだ。お淀が一時的に、例えば備前にでも退却したら、追撃のしようがない。おみなを操る計画に、お淀がこだわっているからこそ、奇襲ができる。
『田沼様が残っていたら、また同じようなことが起きるじゃないか』
『田沼家は、ダシにされているだけだ。本来の黒幕は別個にいる。墓場でお淀が示しただろう』
『み……三槌屋さんか』
『これでつながった』
あとは二つ仕事が残っている。忍びの始末……難事ながら、理屈そのものは単純だ。もう一つは、三槌屋が田沼家とかかわる事実を、あやかしの手を経ずに輪快や上坪達が納得するよう持っていく。つまり、結局はおたみか上坪かにそれをさせざるを得ない。
いや。自らの秘密を輪快達にぶちまけ、後は猫又達に丸投げすれば手間はかからないではないか。あやかし達が、人間を超越した力で忍びを倒すなり三槌屋を成敗してくれたら天下泰平だ。
その手は、どうしても取りたくない。
お淀は銅吉を半あやかしと罵った。修羅場のこととて、輪快達は特にこだわったり追及したりはしていない。ただの悪口くらいにしか捉えてないのだろう。
銅吉は、自分を人間だと考えているし、それを揺らがせるつもりは今後とも一切ない。あやかし達への丸投げは、そんな自分の尊厳を失わせてしまう。
一方で、彼が自分の人間性を保とうとすれば、おたみや上坪、否、裏長屋の面々に多大な危険を背負わせかねない。
ほんの一瞬、青女房が自分の魂を抜いてくれたら、と銅吉は思った。猫又が、残った肉体を食べるのだろうし、銅吉はこの上なく『安全』となる。八岐大蛇云々だけでなく、卑俗な衣食住に汲々とせずにすむ。いつまで続くのか、あるいは続けさせられるのかは天のみぞ知るが。
そんな夢想は、あっという間に終わった。銅吉は人間、まごうことなき人間である。答えは一つしかなかった。
『明日の晩、おたみさんに、三槌屋と田沼家のつながりをはっきりさせる証拠を見つけるよう頼む。その上で、俺と上坪さんが田沼家を訪問する。忍びは田沼家の中で倒す。お淀は任せていいんだな』
『もちろん。でも、あんた達を助ける余裕はない』
『こっちもだ。成功しようがすまいが、切り刻まれてなますにされるだろう』
銅吉は、覚悟を決めた。そんな事態が起きれば、田沼家は三槌屋を切りすてるのは明白だ。間違いなく、あらゆる責任を三槌屋に押しつけるだろう。秀秋に加え、お淀も忍びも失った三槌屋は破滅するしかない。そのあと八岐大蛇をどうするかは、いくら公儀でも重い腰を上げるしかない。
上坪も、おたみにだけ危険を負わせるのは武士としての良心に恥じるところがあるだろう。むしろ、銅吉の策に喜んで乗るのは、充分に予想がつく。
『良し。こっちはあんた達にあわせて動くから』
『それで頼む』
あやかし達は、いっせいに消えた。誰も銅吉をからかわなかった。
またしても一人になった銅吉に、疲労が重くのしかかった。悪霊との対決から神田橋御門までの往復、あやかし達への死を覚悟した決意表明をいっぺんに体験したとあっては当然だろう。
布団を敷くのもおっくうだが、風邪でも引いたら本末転倒となる。身体の節々を励まして、寝床を作ってから潜りこんだ。
翌朝。
明け六つに、銅吉が起きて外に出ると、上坪達三人も路地に出てきた。他に人はいない。
「私にやらせて下さい」
三人を前に、はっきりと銅吉はいった。おたみは自分が説得するという意味だ。
三人とも、黙ってうなずいた。
「おはようございます」
おたみが家から出てきた。
四人で口をそろえて挨拶を返しつつ、銅吉は、この場で説得を始めたい誘惑に耐えねばならなかった。あくまで、第三者に聞かれる恐れのないよう、かつ、じっくり話ができる場でなさねばならない。
「おたみさん」
それやこれやを踏まえつつ声をかけた。
「はい」
「今晩、お仕事が明けたら、大事なお話があります。少しでいいので、時間を取って頂けませんか」
ここで、上坪が、さりげなく太助と左門次に目配せした。三人は、そろって退場した。
「はい、かまいません。何でしたら、ご飯でも食べていきますか」
「はい……いえ、その。ご飯はいらないです」
「そうですか。でも、お腹が減ったのならご遠慮なく」
「お、恐れいります」
銅吉は深々と頭を下げた。我ながら大袈裟すぎる態度だった。しかし、背丈も体格もずっと勝っているはずの彼よりも、おたみの方がはるかに堂々としていた。
ようやく、回れ右して帰宅した。心臓が早鐘のように鳴りひびき、台所で水を何杯も飲んでようやく落ちついた。
夕方までは時間がある。思いのこしのないようにしたい。その考えに至ったとき、ようやくにも、執筆意欲が湧いてきた。一日で全てが書けるわけがないものの、どんな構成でどう描くのかは後から後から言葉が浮かんできて尽きることがなかった。
「いうまでもなく、本人が何か手助けを所望したなら、いくらでも行う」
上坪はつけ加えた。
「お話は良くわかりました。ただ、一晩考えさせて下さい」
猫又が、どのくらいな情報を入手するのか。まずはそれを知ってからでも遅くない。即答は愚というものだった。
「まことにもっとも。お前抜きで話を進めたこと、申し訳ない」
「いえ、とんでもない。ご苦衷拝察します」
「痛みいる。では」
三人は、銅吉の元を去った。
がらんと空白になった室内を、銅吉はぼんやりと見渡した。風呂敷包みが置いてあり、今さらながらに太助と左門次が持って帰ってくれたと理解した。
いちいち中身を改める気にもなれず、あれほど飲みたかった水さえ飲む気になれず、ただただ寝ころがって暮れていく夕陽に身を任せた。
こんな時は、少しで良いから一人でいる時間が必要だ。
どこの大名がお淀や忍びにかかわっているかわかったとして、自分には何ができるのだろう。せめて三槌屋なら、何かできるのだろうか。それは、自分の衣食住の保証が脅かされることにならないのだろうか。
輪快、上坪、太助といった人々の顔が、心に浮かんでは消え、最後におたみのそれが頭を占めた。
『帰ったぞ』
天窓から、ひょいと顔を出し、猫又が声をかけた。
『ああ、お帰り』
反射的にそう答えてから、ふと気づいた。いつも下らないいたずらに振りまわされているのに、今回こそは人並みな挨拶の交換になった。
猫又は、天窓から飛びおり、宙でくるっと一回転してから床に立った。
『ろくろ首、青女房も』
『お邪魔します』
猫又の呼びかけに応じて、二人も姿を現した。
「な、何だよ、改まって」
『ふざけた態度を取っている場合じゃなくなった』
真面目くさって、猫又は答えた。
『おいおい、どの口が……』
『田沼意次。お淀と忍びは、田沼意次の屋敷にいる』
猫又は、一気に結論を放った。
『な、何ーっ』
銭の力で日ノ本全てを切り盛りする男。もはや将軍を通りこし、実質的な独裁者ですらある。
『お淀は、まだ傷が癒えてない。しかし、忍びと力をあわせれば、あたし達でも勝ち目は覚束ない』
『人間ならなおさら不可能だ』
『方策がないではない』
『ど、どんな』
『田沼意次の妻。彼女に、お淀は取りついている。そこから意次を操るつもりだろう』
『奥方の魂はどうなったんだ』
『本来なら殺されねばならないが、忍びが八岐大蛇の力を使って手を貸している。つまり、奥方の肉体に本人の魂とお淀のそれがむりやり同居している』
『同居……。なら、おみなちゃんはもう安全なのか』
『とはいかない。あくまで、お淀からすれば非常手段だから。つまり、お淀にとっては不本意な状況になるね。同時に、まだおみなちゃんを利用できる可能性がある。と、お淀が考えているところに隙がある』
『隙とは……』
『萎んだ希望にいつまでもしがみつくと、根本を誤るってこと』
『もっとこう、具体的に教えてくれ』
『忍びは、田沼家の中間頭として働いている』
前置きぬきで、猫又はまさに具体的な話を始めた。中間とは、武士階級と下男のまさに中間に位置する。武士ではない奉公人の中では、高い地位にある。中間頭はその取りまとめ役である。
『それの、どこがどう方策になる』
『まず忍びをお前達の手で倒せ。そうすれば、忍びの術が解けてお淀は強制的に意知の妻の肉体から出てくる。それを、あたしがやる』
やるとは、無論、とどめを刺すということだ。お淀が一時的に、例えば備前にでも退却したら、追撃のしようがない。おみなを操る計画に、お淀がこだわっているからこそ、奇襲ができる。
『田沼様が残っていたら、また同じようなことが起きるじゃないか』
『田沼家は、ダシにされているだけだ。本来の黒幕は別個にいる。墓場でお淀が示しただろう』
『み……三槌屋さんか』
『これでつながった』
あとは二つ仕事が残っている。忍びの始末……難事ながら、理屈そのものは単純だ。もう一つは、三槌屋が田沼家とかかわる事実を、あやかしの手を経ずに輪快や上坪達が納得するよう持っていく。つまり、結局はおたみか上坪かにそれをさせざるを得ない。
いや。自らの秘密を輪快達にぶちまけ、後は猫又達に丸投げすれば手間はかからないではないか。あやかし達が、人間を超越した力で忍びを倒すなり三槌屋を成敗してくれたら天下泰平だ。
その手は、どうしても取りたくない。
お淀は銅吉を半あやかしと罵った。修羅場のこととて、輪快達は特にこだわったり追及したりはしていない。ただの悪口くらいにしか捉えてないのだろう。
銅吉は、自分を人間だと考えているし、それを揺らがせるつもりは今後とも一切ない。あやかし達への丸投げは、そんな自分の尊厳を失わせてしまう。
一方で、彼が自分の人間性を保とうとすれば、おたみや上坪、否、裏長屋の面々に多大な危険を背負わせかねない。
ほんの一瞬、青女房が自分の魂を抜いてくれたら、と銅吉は思った。猫又が、残った肉体を食べるのだろうし、銅吉はこの上なく『安全』となる。八岐大蛇云々だけでなく、卑俗な衣食住に汲々とせずにすむ。いつまで続くのか、あるいは続けさせられるのかは天のみぞ知るが。
そんな夢想は、あっという間に終わった。銅吉は人間、まごうことなき人間である。答えは一つしかなかった。
『明日の晩、おたみさんに、三槌屋と田沼家のつながりをはっきりさせる証拠を見つけるよう頼む。その上で、俺と上坪さんが田沼家を訪問する。忍びは田沼家の中で倒す。お淀は任せていいんだな』
『もちろん。でも、あんた達を助ける余裕はない』
『こっちもだ。成功しようがすまいが、切り刻まれてなますにされるだろう』
銅吉は、覚悟を決めた。そんな事態が起きれば、田沼家は三槌屋を切りすてるのは明白だ。間違いなく、あらゆる責任を三槌屋に押しつけるだろう。秀秋に加え、お淀も忍びも失った三槌屋は破滅するしかない。そのあと八岐大蛇をどうするかは、いくら公儀でも重い腰を上げるしかない。
上坪も、おたみにだけ危険を負わせるのは武士としての良心に恥じるところがあるだろう。むしろ、銅吉の策に喜んで乗るのは、充分に予想がつく。
『良し。こっちはあんた達にあわせて動くから』
『それで頼む』
あやかし達は、いっせいに消えた。誰も銅吉をからかわなかった。
またしても一人になった銅吉に、疲労が重くのしかかった。悪霊との対決から神田橋御門までの往復、あやかし達への死を覚悟した決意表明をいっぺんに体験したとあっては当然だろう。
布団を敷くのもおっくうだが、風邪でも引いたら本末転倒となる。身体の節々を励まして、寝床を作ってから潜りこんだ。
翌朝。
明け六つに、銅吉が起きて外に出ると、上坪達三人も路地に出てきた。他に人はいない。
「私にやらせて下さい」
三人を前に、はっきりと銅吉はいった。おたみは自分が説得するという意味だ。
三人とも、黙ってうなずいた。
「おはようございます」
おたみが家から出てきた。
四人で口をそろえて挨拶を返しつつ、銅吉は、この場で説得を始めたい誘惑に耐えねばならなかった。あくまで、第三者に聞かれる恐れのないよう、かつ、じっくり話ができる場でなさねばならない。
「おたみさん」
それやこれやを踏まえつつ声をかけた。
「はい」
「今晩、お仕事が明けたら、大事なお話があります。少しでいいので、時間を取って頂けませんか」
ここで、上坪が、さりげなく太助と左門次に目配せした。三人は、そろって退場した。
「はい、かまいません。何でしたら、ご飯でも食べていきますか」
「はい……いえ、その。ご飯はいらないです」
「そうですか。でも、お腹が減ったのならご遠慮なく」
「お、恐れいります」
銅吉は深々と頭を下げた。我ながら大袈裟すぎる態度だった。しかし、背丈も体格もずっと勝っているはずの彼よりも、おたみの方がはるかに堂々としていた。
ようやく、回れ右して帰宅した。心臓が早鐘のように鳴りひびき、台所で水を何杯も飲んでようやく落ちついた。
夕方までは時間がある。思いのこしのないようにしたい。その考えに至ったとき、ようやくにも、執筆意欲が湧いてきた。一日で全てが書けるわけがないものの、どんな構成でどう描くのかは後から後から言葉が浮かんできて尽きることがなかった。
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