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三十三、決着 一
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そこから先は、後から思いだすのに苦労するほど目まぐるしく事が進んだ。
少なくとも最初の一手は、打ちあわせを完璧に実行した。上坪と銅吉は膝を地につけたままそろって顔を上げ、同時に、銅吉の手で行李が開けられた。
中間頭の亀丸こと三槌屋の忍びは、銅吉達を一瞬でそれと認識はした。しかし、上坪は丸腰であり、殺気がない。
極めつけは、行李から跳ねた猫又だった。上坪に向けた注意が、殺気のなさに空振りとなり、猫又こそが本命と認識するまでにわずかな隙ができた。
忍びは、手足どころか、まばたきすら終わる前に首筋を猫又に噛みちぎられた。血の泡を吐きつつ、忍びは仰向けに倒れた。さらに二、三回、傷口から滝のように血を流してから、ぴくりとも動かなくなった。
上坪も、ある意味で忍び以上に仰天している。何も知らされないで、銅吉の策に命を預けたとはいえ。犬ならともかく、猫が人を……それも、手練れの忍びを倒すとは。
「お前達。良くもぬけぬけとこのような場まで」
台詞からして、喋っているのはお淀だ。ということはつまり、肉体的には意次の妻となる。
もっとも、予測に違わず、意次の妻からお淀は抜けでてきた。忍びが死んだことはこれで確定となった。
すぐに襲いかかろうとした猫又だが、お淀から解放されたことで正気を取りもどした意次の妻が、忍びの死体を見て金切り声を上げた。そればかりか気絶して倒れた。猫又は、いきなり絶叫されたせいで不覚にも気が動転し、ついで、倒れた意次の妻の下敷きになった。
「おほほほほほほ。ずいぶんとのろまな化け猫だこと。しばらくそうしておれ」
お淀は、亡霊の姿のまま、屋敷の奥へ消えようとした。さらに、意次の妻の悲鳴を聞きつけ、数名の侍が血相を変えてやってきた。猫又は、やっと這いでてきたところだ。
その時。田沼家……と、上坪……からすれば、怪異と呼ぶべきか、奇跡と呼ぶべきか。とにかく余りにも常軌を逸した事態が起きた。
「こ、これはいかに」
「銭だ。銭が降っている」
田沼家の侍達が驚き慌てるのも無理はない。屋敷の天井という天井から、大判小判がざあざあと、大雨よろしく降りしきった。
「こ、こんな……こんな仕打ち……が……。おのれっ。おのれっ、銅吉ーっ。武士ですらない……卑しい下郎がっ。わらわの……わらわの志……秀頼……ぎゃあああぁぁぁーっ」
侍達は、銭に当たっても平気だが、お淀は少しずつ身体が削れていった。まるで、棒の表面に彫刻刀を滑らせるかのように、お淀は欠落していった。お淀の断末魔は、田沼家の侍達にも見聞きできているはずなのに、銭に気を取られて何の注意も向けてない。
断末魔と引きかえに、完全にお淀が消滅すると、銭が降ってくるのも終わった。その頃には、屋敷中の人々が夢中になって銭を拾っていた。
銅吉は、自分の筆に忍びの血を浸した。次に、勝手口の壁を、平仮名でやまたのおろちとなるよう書きつけた。これで、諸悪の根源も改めて封印されるよう手配がつくだろう。銭による大騒ぎのさなかとあっては、屋敷の人間で銅吉の行為に気づいた者は誰もいなかった。
猫又はその場で姿を消した。銅吉は、上坪とともに田沼家を辞した。怪しまれないよう、走りたいのを必死に我慢しながら。
門で、番をつとめる侍達に会釈し、二人は神田橋御門を後にした。慎重にも、城が完全に視界から消えるまで一言も口を開かず、歩幅も変えなかった。
「お前の秘策、しかと見届けた」
潮騒がはっきりと聞こえるようになってから、ようやく上坪は話しかけてきた。
「ありがとうございます」
徹頭徹尾、不平一つ口にせず、余計な質問もせず、種明かしも要求しない。そんな上坪が協力してくれたからこそうまくいった。娘のためだからといえばそれまでだが、浪人とはいえ世が世なら出身藩の家老になっていてもおかしくないほど優秀な人物である。度量の面でも一流というほかなかった。
それだけに、おみなが目覚める姿をまっさきに確かめたいだろう。
「後は三槌屋だな」
「上坪さん、それなんですが」
潮騒とカモメの鳴き声がかすかにたなびく道すがら、銅吉は持ちかけた。
「どうした」
「私一人で、行かせて下さい」
傲慢横柄と取られても反論できない主張だ。さりながら、妥協できない主張でもある。
「危険だし、どんな必要がある」
「三槌屋さんの手だては全て潰えました。今さら私をどうこうはしないでしょう」
まず、銅吉は身の安全について説明した。
「それに、私をいっぱしの戯作者に仕上げてくれたのは、三槌屋さんなんです。ずいぶんと、生活の面倒も見て頂きました。私が一人で行くことで、三槌屋さんも、ひょっとしたら包みかくさず腹を割って下さるかもしれません」
短くうなり、上坪は足を動かしつつ懐の中で腕を組んだ。
「お前がそこまでいうなら、良かろう。どのみち、俺と輪快殿はおみなの世話でかかりきりになるだろうしな」
言外に、太助や左門次をこれ以上巻きこむなと、上坪は含ませた。
「ありがとうございます」
芯から銅吉は感謝した。
そこからは、二人とも黙って歩いた。
本当は、銅吉も、せめて太助と左門次を先にねぎらって一席設けるくらいなことはしたかった。おたみに首尾を報告したくもあった。
優先順位として、三槌屋への聴取は最先頭にせねばならない。
「ならば、銅吉。ここで別れとなるな」
「はい。大変お世話になりました」
「こちらこそだ。おたみさんとの約束、忘れるなよ」
「もちろんです」
時刻が夕七つ(午後四時頃)になろうかというとき、上坪は松森寺への道を取った。銅吉は三槌屋へ。
神田橋と田沼家であれほどの騒ぎがあったというのに、三槌屋は何事もなかったかのように商売をしていた。
顔なじみの手代に、店主との面会を求めると、露骨に変な顔をされた。無理もない。銅吉は、いまだに三槌屋の手代の格好をしているのだから。のんびり自宅に戻って着替えをしている場合ではなかった。
ともかく話は伝わり、銅吉は速やかに以前と同じ部屋に案内された。
「どうですか、進捗のほどは」
茶の手配を奉公人……おたみではない……に申しつけたかと思ったら、すぐに三槌屋は聞いてきた。銅吉が手代の格好をしているのを、咎めるのはおろか触れさえない。もはや、場は煮つまったも同然だった。
あいかわらず重厚な顎と抑揚に、これまた重々しい藍色の紋付袴が目の前にいる。
三槌屋は何ら変わってない。変わってないからこそ、最後に会ってから二週間かそこらしかたってないのに、二十年も隔たったような気がした。
進捗という言葉は、執筆についての質問である。決して縁起が良いとは限らない。にもかかわらず、銅吉は小指一本びくともしなかった。
「構成がはっきりしたくらいですが、もう結末まで目算が立ちました」
「ふむ。いささか遅れがちですが、銅吉さんがそういうなら待ちましょう」
不自然なほど突然に、会話は断絶した。窓からとぎれとぎれに入ってくる表通りの騒がしさが、どこか遠い世界のようだ。
「この度は、作品のお話より他に、もう一つ申しあげねばならない題材がございます」
銅吉は、口の中が干からびかけるのを自覚しつつ、いよいよ踏みこんだ。
「ほう。何ですかな」
「備前にある、八岐山をご存知ですか」
「はい。八岐大蛇の伝説で知られます」
この程度ではさすがに、三槌屋は、顔色一つ変えない。銅吉とて良く理解している。
「御公儀が、その八岐大蛇を隠密に封印してきたとか」
「ほう」
「ところが、最近になって封印が解かれ、八岐大蛇の手の者が恐れ多くも日ノ本を……」
と、ここで、奉公人が茶を持ってきた。おたみではない。滞りなく三槌屋と銅吉の前に湯のみが出されて、奉公人はそのまま下がった。
「飲まずにお聞き頂きたく存じます」
銅吉は、湯のみに手を伸ばしかけた三槌屋を、鋭く制止した。
「なかなかに……。今日の銅吉さんは、ずいぶんと強気でいらっしゃる」
三槌屋は、湯のみから手を引っこめた。
「その茶、ご自分で始末をつけるおつもりでは」
銅吉は情け容赦ない。この質問は、特別な力やあやかしの類とは無関係だ。お淀らを滅ぼし、休むことなくここまで来ることで、究極に研ぎすまされた集中力のなせる技である。
「見破られましたか」
三槌屋は、小さく笑った。重々しさに崩れはないが、いくさ場で敵に追いつめられた大将もかくやという哀しみが漂いつつあった。もっとも、同情するつもりはない。
「では、八岐山の封印をおよそ百七十年ぶりに解き、ここの近くにある墓場へとお淀や秀秋の亡霊を導いたのは、あなたなのですね」
「左様。良くぞたどりつきました。輪快殿のご賢察ですかな」
「はい」
「そして、猫又を初めとするあやかし達」
「その通りです」
「最後に、あなたの銭霊」
「いつからご存知でしたか」
「銭霊についてなら、最初から。お断り致しますが、輪快殿や他の人々は無関係です。一切漏らしておりません」
少なくとも最初の一手は、打ちあわせを完璧に実行した。上坪と銅吉は膝を地につけたままそろって顔を上げ、同時に、銅吉の手で行李が開けられた。
中間頭の亀丸こと三槌屋の忍びは、銅吉達を一瞬でそれと認識はした。しかし、上坪は丸腰であり、殺気がない。
極めつけは、行李から跳ねた猫又だった。上坪に向けた注意が、殺気のなさに空振りとなり、猫又こそが本命と認識するまでにわずかな隙ができた。
忍びは、手足どころか、まばたきすら終わる前に首筋を猫又に噛みちぎられた。血の泡を吐きつつ、忍びは仰向けに倒れた。さらに二、三回、傷口から滝のように血を流してから、ぴくりとも動かなくなった。
上坪も、ある意味で忍び以上に仰天している。何も知らされないで、銅吉の策に命を預けたとはいえ。犬ならともかく、猫が人を……それも、手練れの忍びを倒すとは。
「お前達。良くもぬけぬけとこのような場まで」
台詞からして、喋っているのはお淀だ。ということはつまり、肉体的には意次の妻となる。
もっとも、予測に違わず、意次の妻からお淀は抜けでてきた。忍びが死んだことはこれで確定となった。
すぐに襲いかかろうとした猫又だが、お淀から解放されたことで正気を取りもどした意次の妻が、忍びの死体を見て金切り声を上げた。そればかりか気絶して倒れた。猫又は、いきなり絶叫されたせいで不覚にも気が動転し、ついで、倒れた意次の妻の下敷きになった。
「おほほほほほほ。ずいぶんとのろまな化け猫だこと。しばらくそうしておれ」
お淀は、亡霊の姿のまま、屋敷の奥へ消えようとした。さらに、意次の妻の悲鳴を聞きつけ、数名の侍が血相を変えてやってきた。猫又は、やっと這いでてきたところだ。
その時。田沼家……と、上坪……からすれば、怪異と呼ぶべきか、奇跡と呼ぶべきか。とにかく余りにも常軌を逸した事態が起きた。
「こ、これはいかに」
「銭だ。銭が降っている」
田沼家の侍達が驚き慌てるのも無理はない。屋敷の天井という天井から、大判小判がざあざあと、大雨よろしく降りしきった。
「こ、こんな……こんな仕打ち……が……。おのれっ。おのれっ、銅吉ーっ。武士ですらない……卑しい下郎がっ。わらわの……わらわの志……秀頼……ぎゃあああぁぁぁーっ」
侍達は、銭に当たっても平気だが、お淀は少しずつ身体が削れていった。まるで、棒の表面に彫刻刀を滑らせるかのように、お淀は欠落していった。お淀の断末魔は、田沼家の侍達にも見聞きできているはずなのに、銭に気を取られて何の注意も向けてない。
断末魔と引きかえに、完全にお淀が消滅すると、銭が降ってくるのも終わった。その頃には、屋敷中の人々が夢中になって銭を拾っていた。
銅吉は、自分の筆に忍びの血を浸した。次に、勝手口の壁を、平仮名でやまたのおろちとなるよう書きつけた。これで、諸悪の根源も改めて封印されるよう手配がつくだろう。銭による大騒ぎのさなかとあっては、屋敷の人間で銅吉の行為に気づいた者は誰もいなかった。
猫又はその場で姿を消した。銅吉は、上坪とともに田沼家を辞した。怪しまれないよう、走りたいのを必死に我慢しながら。
門で、番をつとめる侍達に会釈し、二人は神田橋御門を後にした。慎重にも、城が完全に視界から消えるまで一言も口を開かず、歩幅も変えなかった。
「お前の秘策、しかと見届けた」
潮騒がはっきりと聞こえるようになってから、ようやく上坪は話しかけてきた。
「ありがとうございます」
徹頭徹尾、不平一つ口にせず、余計な質問もせず、種明かしも要求しない。そんな上坪が協力してくれたからこそうまくいった。娘のためだからといえばそれまでだが、浪人とはいえ世が世なら出身藩の家老になっていてもおかしくないほど優秀な人物である。度量の面でも一流というほかなかった。
それだけに、おみなが目覚める姿をまっさきに確かめたいだろう。
「後は三槌屋だな」
「上坪さん、それなんですが」
潮騒とカモメの鳴き声がかすかにたなびく道すがら、銅吉は持ちかけた。
「どうした」
「私一人で、行かせて下さい」
傲慢横柄と取られても反論できない主張だ。さりながら、妥協できない主張でもある。
「危険だし、どんな必要がある」
「三槌屋さんの手だては全て潰えました。今さら私をどうこうはしないでしょう」
まず、銅吉は身の安全について説明した。
「それに、私をいっぱしの戯作者に仕上げてくれたのは、三槌屋さんなんです。ずいぶんと、生活の面倒も見て頂きました。私が一人で行くことで、三槌屋さんも、ひょっとしたら包みかくさず腹を割って下さるかもしれません」
短くうなり、上坪は足を動かしつつ懐の中で腕を組んだ。
「お前がそこまでいうなら、良かろう。どのみち、俺と輪快殿はおみなの世話でかかりきりになるだろうしな」
言外に、太助や左門次をこれ以上巻きこむなと、上坪は含ませた。
「ありがとうございます」
芯から銅吉は感謝した。
そこからは、二人とも黙って歩いた。
本当は、銅吉も、せめて太助と左門次を先にねぎらって一席設けるくらいなことはしたかった。おたみに首尾を報告したくもあった。
優先順位として、三槌屋への聴取は最先頭にせねばならない。
「ならば、銅吉。ここで別れとなるな」
「はい。大変お世話になりました」
「こちらこそだ。おたみさんとの約束、忘れるなよ」
「もちろんです」
時刻が夕七つ(午後四時頃)になろうかというとき、上坪は松森寺への道を取った。銅吉は三槌屋へ。
神田橋と田沼家であれほどの騒ぎがあったというのに、三槌屋は何事もなかったかのように商売をしていた。
顔なじみの手代に、店主との面会を求めると、露骨に変な顔をされた。無理もない。銅吉は、いまだに三槌屋の手代の格好をしているのだから。のんびり自宅に戻って着替えをしている場合ではなかった。
ともかく話は伝わり、銅吉は速やかに以前と同じ部屋に案内された。
「どうですか、進捗のほどは」
茶の手配を奉公人……おたみではない……に申しつけたかと思ったら、すぐに三槌屋は聞いてきた。銅吉が手代の格好をしているのを、咎めるのはおろか触れさえない。もはや、場は煮つまったも同然だった。
あいかわらず重厚な顎と抑揚に、これまた重々しい藍色の紋付袴が目の前にいる。
三槌屋は何ら変わってない。変わってないからこそ、最後に会ってから二週間かそこらしかたってないのに、二十年も隔たったような気がした。
進捗という言葉は、執筆についての質問である。決して縁起が良いとは限らない。にもかかわらず、銅吉は小指一本びくともしなかった。
「構成がはっきりしたくらいですが、もう結末まで目算が立ちました」
「ふむ。いささか遅れがちですが、銅吉さんがそういうなら待ちましょう」
不自然なほど突然に、会話は断絶した。窓からとぎれとぎれに入ってくる表通りの騒がしさが、どこか遠い世界のようだ。
「この度は、作品のお話より他に、もう一つ申しあげねばならない題材がございます」
銅吉は、口の中が干からびかけるのを自覚しつつ、いよいよ踏みこんだ。
「ほう。何ですかな」
「備前にある、八岐山をご存知ですか」
「はい。八岐大蛇の伝説で知られます」
この程度ではさすがに、三槌屋は、顔色一つ変えない。銅吉とて良く理解している。
「御公儀が、その八岐大蛇を隠密に封印してきたとか」
「ほう」
「ところが、最近になって封印が解かれ、八岐大蛇の手の者が恐れ多くも日ノ本を……」
と、ここで、奉公人が茶を持ってきた。おたみではない。滞りなく三槌屋と銅吉の前に湯のみが出されて、奉公人はそのまま下がった。
「飲まずにお聞き頂きたく存じます」
銅吉は、湯のみに手を伸ばしかけた三槌屋を、鋭く制止した。
「なかなかに……。今日の銅吉さんは、ずいぶんと強気でいらっしゃる」
三槌屋は、湯のみから手を引っこめた。
「その茶、ご自分で始末をつけるおつもりでは」
銅吉は情け容赦ない。この質問は、特別な力やあやかしの類とは無関係だ。お淀らを滅ぼし、休むことなくここまで来ることで、究極に研ぎすまされた集中力のなせる技である。
「見破られましたか」
三槌屋は、小さく笑った。重々しさに崩れはないが、いくさ場で敵に追いつめられた大将もかくやという哀しみが漂いつつあった。もっとも、同情するつもりはない。
「では、八岐山の封印をおよそ百七十年ぶりに解き、ここの近くにある墓場へとお淀や秀秋の亡霊を導いたのは、あなたなのですね」
「左様。良くぞたどりつきました。輪快殿のご賢察ですかな」
「はい」
「そして、猫又を初めとするあやかし達」
「その通りです」
「最後に、あなたの銭霊」
「いつからご存知でしたか」
「銭霊についてなら、最初から。お断り致しますが、輪快殿や他の人々は無関係です。一切漏らしておりません」
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