真!異世界転生×ユニークスキル 【地球ショッピング】で無双する!?

月神世一

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EP 3

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結成祝いは波乱の予感~キャルルの奢りと不穏な空気~
 ルミナス帝国の国境沿いにある街、『バルダー』。
 高い石壁に囲まれたその街に、奇妙な四人組が到着した。
 ジャージ姿の人間(優太)、片足を包帯で巻いた兎耳の少女(キャルル)、上半身裸のマッチョな竜人(イグニス)、そして土汚れのついたドレスを着たエルフ(ルナ)。
 衛兵は明らかに怪訝な顔をしたが、優太が「医学の心得がある旅の者だ」と説明し、キャルルの傷の縫合痕を見せると、驚きと共に通行許可を出してくれた。この世界でも医術者は貴重らしい。
 街の中は活気に満ちていた。
 石畳の道を馬車が行き交い、露店からは香ばしい串焼きの匂いが漂ってくる。
「うおおおお! いい匂いだ! 肉だ、肉が焼ける匂いだ!」
 イグニスが鼻をヒクヒクさせ、よだれを垂らしながら叫ぶ。
 ルナは興味津々にキョロキョロと周囲を見回している。
「まあ、これが人間の街……。森とは随分違いますのね。あら、あそこの石像、形が悪いですわ。私が直してあげましょうか?」
「やめろ、絶対にするな」
 優太はルナの杖を掴んで制止しつつ、大きなため息をついた。
 これからどうするべきか。金はない。宿もない。あるのはトラブルメーカーだけだ。
 その時、キャルルが優太の服の裾をキュッと引っ張った。
「あの、優太さん! 私、提案があるんです!」
 キャルルは兎耳をピンと立て、満面の笑みを浮かべていた。
「今日は私たちが出会って、パーティを結成した記念すべき日ですよね?」
「まあ、そうなる……のか?」
「はい! ですから、お祝いをしましょう! ここは私が奢っちゃいます!」
 キャルルは腰に下げた革袋(財布)をポンと叩いた。
 逃亡資金として持ってきた金があるらしい。
「いや、でもキャルル。お前もこれからの生活があるだろ? 俺たちなんかに使ってる場合じゃ……」
「いいんです! 優太さんは命の恩人ですし、イグニスさんとルナさんも仲間ですから! それに……私、誰かとご飯を食べるなんて久しぶりで……」
 少し寂しそうに微笑むキャルルを見て、優太は断る言葉を飲み込んだ。
 彼女はずっと一人で逃げてきたのだ。
「……分かった。じゃあ、お言葉に甘えるよ。でも無理はするなよ?」
「はいっ! 任せてください!」
 ◇
 キャルルが案内したのは、裏路地にある『銀の猫亭』という大衆酒場だった。
 木の扉を開けると、昼間から飲んだくれている冒険者たちの喧噪と、酒と料理の熱気が押し寄せてくる。
「空いてる席は……あそこだな」
 四人は奥のテーブル席に陣取った。
 木製の椅子がギシギシと鳴る。特にイグニスが座ると、椅子が悲鳴を上げているようだった。
「ご注文は?」
 エプロン姿の給仕の女性がやってくる。
 その瞬間、イグニスがテーブルを叩いた。
「この店の肉料理、全部だ! あと一番でかい酒!」
「え?」
 給仕が固まる。キャルルも固まる。
「お、おいイグニス、全部って……」
「おう! 腹が減って背中と腹がくっつきそうなんだよ! 足りなかったらお代わりするからな!」
 イグニスは悪びれもなく言い放つ。
 ルナもメニュー(文字は読めないようだが)を優雅に指差した。
「私は新鮮な果物と、お野菜のサラダを山盛りで。あと、この世界樹の雫(エール)という飲み物も頂けるかしら?」
「あ、あの……」
 キャルルの顔から血の気が引いていくのが、優太にははっきりと見えた。
 彼女が想定していたのは、質素な定食と一杯のドリンク程度だったはずだ。だが、イグニスの注文だけで予算オーバーは確定している。
(……まずいな)
 優太は自分の分の水だけを頼み、状況を計算した。
 イグニスの食欲は底なしだ。このままでは確実に食い逃げになる。
 止めるべきか? いや、今さら「金がない」と言えば、イグニスが暴れるかもしれないし、キャルルのメンツも丸潰れだ。
 料理が運ばれてきた。
 骨付き肉の山、山盛りのサラダ、樽のようなジョッキ。
「いただきまーーす!!」
 イグニスが肉にかぶりつく。骨ごと砕く音が響く。
 ルナも上品だが猛烈なスピードでサラダを消していく。
「お、美味しい……です……ね……」
 キャルルは引きつった笑みを浮かべ、スープをスプーンで掬(すく)っている。その手は震えていた。彼女は今、頭の中で残金の計算をしているのだろう。そして絶望的な答えが出ているはずだ。
 優太は頭を抱えた。
 どうする。どうやって切り抜ける。俺の腕時計を売るか? いや、こんな下町の酒場で正当な価値がつくとは思えない。
 ふと、優太は視線を感じた。
 隣のテーブルだ。
(……なんだ?)
 そこには、この騒がしい酒場には不釣り合いな人物がいた。
 フードを目深に被っているが、隙間から見える横顔は驚くほど整っている。妙齢の美女だ。
 彼女は一人で、高そうなワインボトルを何本も空けていた。
 優太と目が合うと、彼女はニヤリと口角を上げた気がした。
 その纏(まと)っている雰囲気は、ただの酔っ払いではない。もっと得体の知れない、圧倒的なオーラ。
(関わっちゃいけないタイプだ……)
 優太の直感が警鐘を鳴らす。
 だが、運命は彼に平穏な食事など許してくれなかった。
「ぷはぁー! お姉ちゃん! お会計!」
 隣の美女が、豪快に空のボトルを置いて手を挙げた。
 そして懐を探り――動きを止めた。
「…………あれ?」
 美女の顔色が、青ざめていく。
 優太の隣で、キャルルが青ざめているのとシンクロするように。
 波乱の予感が、酒場に充満し始めていた
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