武器使いの成り上がり〜石ころから始める異世界無双譚〜〜社畜、女神に愛され最強の二刀流&投擲使いに覚醒す〜

月神世一

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EP 8

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冒険者証と、神託の少女
​武器屋を後にしたリュウとセーラは、再び冒険者ギルドの扉を開けた。
​ガヤガヤガヤ……!
​相変わらずの熱気だ。
だが、腰に『疾風』を帯びた今のリュウには、昨日とは違う景色に見えた。
自分も、この荒々しくも自由な世界の一員になるのだ。
​「リュウ様、あちらの窓口が空いていますわ」
​セーラに導かれ、受付カウンターへ。
対応してくれたのは、栗色の髪を束ねた愛想の良い受付嬢だった。
​「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょう?」
​「冒険者登録をお願いしたいんです」
​「かしこまりました。では、こちらの用紙にご記入をお願いします」
​渡された羊皮紙と羽ペン。
リュウはスラスラと名前を書こうとして、出身地の欄でピタリと手が止まった。
​(ヤバい……『日本』なんて書けないし、『東京都』なんて論外だ)
​冷や汗が背中を伝う。
受付嬢の笑顔が、「早く書いてください」という無言の圧力に変わる。
​(ええい、ままよ!)
​リュウは記憶にある森の近くの廃村の名を、もっともらしく記入した。
バレたら「記憶喪失」で押し通すしかない。
​「スキルは……『武器使い』、ですか?」
​受付嬢が書類を見て首を傾げる。
​「はい。どんな武器でもそれなりに扱える、というスキルでして」
​「珍しいですね……。特定の武器に特化したスキルはよく聞きますが、万能型とは。承知しました」
​少し訝しげだったが、手続きは進んだ。
しばらくして、一枚の木製のプレートが渡される。
​「リュウ様、こちらが冒険者カードになります。ランクは特例により『D』からのスタートです」
​「えっ、Dから? 一番下のFからじゃなくて?」
​「はい。先日、門前で商隊を救った件が報告されております。ゴブリンの群れを単独で、しかも無傷で撃退した実力を考慮させていただきました」
​(なるほど、マルコさんが報告してくれてたのか。ありがたい)
​「おめでとうございます、リュウ様!」
​隣でセーラが拍手をしてくれる。
リュウは少し照れくさそうに、カードの感触を確かめた。
焼き印された『D』の文字と、自分の名前。
これが、この世界での身分証明書であり、自由へのパスポートだ。
​「あの……リュウ様」
​ギルドの説明が一通り終わったあと、セーラが少しもじもじしながら切り出した。
頬がほんのりと朱に染まっている。
​「その、大変厚かましいお願いなのですが……もしよろしければ、わたくしとパーティーを組んでいただけないでしょうか?」
​「えっ? 俺と、セーラさんが?」
​予想外の提案に驚くリュウ。
​「はい。わたくし、攻撃魔法は使えませんが、回復魔法と支援魔法には自信があります。きっとリュウ様のお役に立てるはずです」
​セーラは一歩踏み出し、真剣な眼差しでリュウを見つめた。
​「それに……実は今朝、お祈りの最中に女神様から神託があったのです。『東方より来たりし若者を導き、助けなさい』と」
​「女神様が……?」
​リュウの脳裏に、あの白い空間で出会った女神の姿が蘇る。
(あの女神様、アフターケアまで完璧かよ……)
リュウは内心で感謝した。
​「それに……わたくし自身も、リュウ様の戦うお姿を見て……その、お慕い申しておりましたので……」
​最後の方は、蚊の鳴くような声だった。
だが、その潤んだ瞳は嘘をついていない。
​断る理由なんて、どこにもなかった。
回復役(ヒーラー)はパーティーの生命線だ。
それに何より、こんなに可愛くて献身的な女の子と一緒に冒険できるなんて、男として断る選択肢はない。
​「俺でよければ、ぜひ。一緒にやろう、セーラさん」
​リュウが手を差し出すと、セーラは花が咲いたような満面の笑みで、その手を握り返した。
​「はいっ! 嬉しいです、リュウ様!」
​柔らかくて温かい手のひら。
こうして、元社畜のリュウは、最初の、そして最高のパートナーを手に入れた。
​ソロでのサバイバルは終わりを告げ、ここから先は二人三脚。
攻撃役(アタッカー)と回復役(ヒーラー)。
バランスの取れたパーティーが、アルクスの街で産声を上げた。
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