武器使いの成り上がり〜石ころから始める異世界無双譚〜〜社畜、女神に愛され最強の二刀流&投擲使いに覚醒す〜

月神世一

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EP 7

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風を纏う刃、蜘蛛の糸
​翌朝。
リュウは、まだ肌に残る悪夢の感触を振り払うように身を起こした。
​「ステータス」
​【ステータス】
名前:リュウ
レベル:3
HP:9/9 (+2)
力:8 (+2)
素早さ:7 (+1)
知力:6 (+1)
スキル:武器使い、投石術 Lv.B、短剣術 Lv.C (NEW!)
​「やっぱりだ。『短剣術』が追加されてる!」
​リュウは拳を握りしめた。
昨夜の悪夢。ドラゴンの鱗に弾かれた石ころ。あの無力感は、もう味わいたくない。
近接戦闘もこなせる新たな「牙」が必要だ。
​「よし、武器屋に行こう!」
​商人マルコから貰った報酬袋はずっしりと重い。
リュウは顔を洗い、身支度を整えて宿を出た。
​「リュウ様! おはようございます!」
​宿の前には、朝陽を背負ったセーラが待っていた。
亜麻色の髪がキラキラと輝き、その笑顔は一発で眠気を吹き飛ばすほどの破壊力を持っている。
​「おはよう、セーラさん。……あの、武器屋に行きたいんだけど、いい店知ってる?」
​「もちろんですわ! 職人通りの『鍛冶屋のブル』がおすすめです。店主は少し無愛想ですけど、腕は街一番ですよ!」
​「案内してくれる?」
​「はい! 喜んで!」
​朝のアルクスの街を、美少女シスターと並んで歩く。
すれ違う人々が振り返るほどの可憐な案内人に導かれ、リュウは職人通りへと足を踏み入れた。
​カンッ、カンッ、カンッ――。
リズミカルな金属音が響く一角。
煤けたレンガ造りの店の前に、『槌と金床』の看板が揺れている。
​「ここですわ」
​扉を開けると、熱気と鉄の匂いが鼻孔をくすぐった。
壁一面に飾られた剣、槍、斧。床に積まれた鎧や盾。
男の子なら誰でもワクワクする、まさに「武器の宝庫」だ。
​「いらっしゃい。冷やかしなら帰んな」
​奥から現れたのは、筋肉の鎧を纏ったような巨漢の男。
汗と煤にまみれた赤ら顔。彼が店主のブルだろう。
​「短剣を探してるんです。軽くて、丈夫なやつを」
​リュウが用件を伝えると、ブルは鋭い眼光でリュウを一瞥し、鼻を鳴らした。
​「ふん、坊主にはデカい剣より、小回りの効くモンがお似合いか。……ちょっと待ってな」
​ブルは棚から一振りの短剣を取り出し、カウンターに放った。
鞘はない。剥き身の刃が、鈍い銀色の光を放っている。
​「名は『疾風(はやて)』。その名の通り、風のように軽く、切れ味はカミソリ並みだ。素早い野郎に人気がある」
​リュウは恐る恐る、その柄を握った。
​――ドクン。
​心臓が跳ねた。
冷たい金属の感触と共に、脳内に膨大な情報が流れ込んでくる。
​(分かる……!)
​重心の位置。斬撃の軌道。突き刺す角度。回避からのカウンター。
まるで何十年も使い込んだ愛刀のように、この短剣の「全て」が手に取るように理解できる。
これがスキル『武器使い』の真骨頂。
武器を手にした瞬間、その性能を100%引き出す「達人」へと変貌するのだ。
​「これにします」
​リュウは即答した。迷う余地などない。
この『疾風』は、俺のためにある。
​「……ほう、即決か。いい目をしてやがる」
​ブルがニヤリと笑う。
​「それと、ブルさん。この短剣に結べるような、丈夫で長い紐ってありますか? できれば伸縮性のあるやつが欲しいんですけど」
​「紐だぁ? 何に使う気だ?」
​「投げたり、回収したり、トリッキーに使いたいんです」
​リュウの言葉に、ブルは目を丸くし、それから楽しそうに笑った。
​「へっ、面白ぇことを言う坊主だ。……ああ、あるぜ。とっておきのがな」
​ブルが奥から取り出したのは、小さな木枠に巻かれた極細の糸だった。
​「『魔蜘蛛(アラクネ)の糸』だ。髪の毛より細いが、鋼鉄より強靭で、ゴムみたいによく伸びる。ただし、値は張るぞ?」
​「買います」
​リュウは金貨を支払った。
決して安くはない買い物だが、投資に見合う価値はある。
​「まいどあり! 坊主、いい武器を手に入れたな。大事にしなよ」
​「はい! ありがとうございます!」
​店を出たリュウの腰には、真新しい革鞘に収まった『疾風』と、グリップに結ばれた『魔蜘蛛の糸』。
近距離用の斬撃武器でありながら、投擲による中距離攻撃、そして糸を使った回収まで可能な、リュウ専用の特殊装備の完成だ。
​「リュウ様、とてもお似合いですわ! まるで最初から持っていたみたい」
​セーラが嬉しそうに手を合わせる。
​「ありがとう、セーラさん。こいつのおかげで、もっと強くなれそうだ」
​リュウは腰の短剣を軽く叩いた。
石ころだけだった昨日の俺とは違う。
今の俺には、風のような刃と、変幻自在の糸がある。
​「さあ、次はギルドだ。いよいよ冒険者デビューといこうか!」
​新たな牙を手に入れた若き冒険者と、彼を導く美しき聖女。
二人の足取りは軽く、未来への希望に満ちていた。
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