武器使いの成り上がり〜石ころから始める異世界無双譚〜〜社畜、女神に愛され最強の二刀流&投擲使いに覚醒す〜

月神世一

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EP 10

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緊急依頼(エマージェンシークエスト)
​ギルドの依頼掲示板の前。
リュウは腕組みをして唸っていた。
​「薬草採取に、ドブ掃除、迷子のペット探し……か」
​初心者向けの依頼(クエスト)は、どれも地味で報酬も安い。
安全に経験を積むならこれが正解だと分かっている。
だが、リュウの心はもっと「熱い」ものを求めていた。
​「リュウ様、こちらはどうでしょう?」
​セーラが指差したのは、『巨大イノシシの討伐』。
報酬は銀貨5枚。魅力的だが……。
​「うーん……今の装備だと、ちょっと荷が重いかな。イノシシの突進はオーク並みの威力って書いてあったし」
​「そうですわよね……。無理は禁物ですものね」
​二人が頭を悩ませていた、その時だった。
​バンッ!!
​重厚な扉が乱暴に開け放たれ、一人の男が転がり込んできた。
泥だらけの服、血走った目。ただならぬ様子に、喧騒が一瞬で静まり返る。
​「た、助けてくれぇぇぇッ!!」
​男の絶叫がホールに響き渡った。
​「ゴブリンだ! ゴブリンの群れが、村を襲ってる! 畑も家畜もめちゃくちゃだ! このままじゃ女子供まで……!」
​空気が凍りつく。
周囲の冒険者たちも顔を見合わせるが、すぐには動かない。
「群れ」という言葉がネックなのだ。ゴブリンは単体なら雑魚だが、集団戦術をとるゴブリンは熟練者でも手を焼く。報酬とリスクが見合うか、計算しているのだ。
​(くそっ、誰も動かないのか!?)
​リュウは男の目を見た。
そこにあるのは、底知れぬ絶望と恐怖。
助けを乞う、必死の叫び。
​――体が、勝手に動いていた。
​「俺たちがやる!」
​リュウは人垣を割り、カウンターへ進み出た。
周囲の冒険者たちが驚いたように道を空ける。
​「D級冒険者のリュウだ! その依頼、俺たちが受ける!」
​「リュウ様!」
​セーラも慌てて駆け寄り、しかしその顔には迷いのない決意を浮かべて隣に並んだ。
​受付嬢は驚いた表情を浮かべたが、すぐにプロの顔に戻った。
​「……承知いたしました! 緊急依頼(エマージェンシークエスト)、『ミルラ村の防衛およびゴブリンの殲滅』です。報酬はギルドより金貨5枚が支払われます」
​「金貨5枚……!」
​破格の報酬だ。それだけ危険度が高いということ。
受付嬢は真剣な眼差しで忠告を付け加えた。
​「リュウ様、セーラ様。ゴブリンの群れは非常に危険です。特にリーダー格がいる場合、統率された動きを見せることがあります。……どうか、ご無事で」
​「ああ、任せてくれ」
​リュウは力強く頷き、まだ震えている村人の肩に手を置いた。
​「おい、アンタ。もう大丈夫だ。俺たちが必ず村を守る」
​「あ、ありがてぇ……! ありがてぇ……!」
​男が涙を流して崩れ落ちる。
​「行くぞ、セーラ!」
「はい、リュウ様!」
​ギルド中の視線を背に、二人は風のように駆け出した。
初めての依頼がいきなりの緊急事態。
だが、恐怖はない。
あるのは、「やってやる」という燃えるような闘志だけ。
​リュウとセーラ。
結成したばかりのパーティーが、最初の試練へと挑む。
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