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EP 21
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乙女の鼻血と、破られた誓い
予選バトルロイヤルが終了し、熱狂冷めやらぬ闘技場の貴賓席。
そこへ、銀色の髪をなびかせて、勝者であるミーナが駆け上がってきた。
「飛鳥! レオナ様! ガエン様!」
息一つ切らさず、傷一つ負っていない。
ミーナは満面の笑みで、尻尾を千切れんばかりに振っている。
「見てました!? 私の華麗な動き! ……約束通り、誰も傷つけずに勝ちましたよ!」
褒めて褒めて、と言わんばかりに身を乗り出す彼女に、レオナは満足げに頷いた。
「あぁ。見事であったぞ。流石は余の自慢の親衛隊だ」
「うむ。あれほどの体術があれば、我が軍も安泰よのぉ」
ガエン将軍も豪快に笑い、そしてニヤリと意味深な視線を向けた。
「武勇は申し分なし。あとは……良き婿を見つけねばな」
「えっ!? ガ、ガエン様ったら! そ、そんな、私はまだ……」
ミーナは狼狽えながら、チラチラと横目で飛鳥の方を見た。
(……飛鳥がその気になってくれれば、私はいつでも……)
そんな乙女の熱視線に気づいているのかいないのか、飛鳥はゆったりと立ち上がり、ミーナに歩み寄った。
「ミーナさん。御活躍、おめでとうございます。素晴らしい演舞でした」
「あ、ありがとう飛鳥! 飛鳥が見ててくれたから、私……!」
ミーナが喜び勇んで顔を上げた、その時。
「おや?」
飛鳥がふと足を止めた。
そして、自然な動作で懐から清潔なハンカチを取り出した。
「口に、汚れが付いていますよ。……土埃でしょうか」
飛鳥の顔が、すっと近づいた。
整った顔立ちが、視界いっぱいに広がる。ふわりと香る、抹茶と白檀の優雅な香り。
「え?」
思考が停止するミーナ。
飛鳥の手が優しく伸び、ハンカチ越しにミーナの口元を拭った。
陶器を愛でるような、丁寧で優しい手つき。
「……っ!!」
ミーナの心臓が早鐘を打った。
戦場での緊張感など比ではない。憧れの男性に至近距離で、子供扱いのように世話を焼かれている。
「は、はわわ……飛鳥……な、何すん……の……」
カァァァァッ!
ミーナの顔が、熟れたトマトのように真っ赤に染まった。
湯気が出そうなほどの赤面。
許容量(キャパシティ)を超えた興奮は、行き場を失い――。
ツーッ。
鼻から、鮮やかな紅い液体が垂れた。
「あらあら」
飛鳥は少しも動じず、口元を拭いていたハンカチを、スッと鼻の方へずらした。
「興奮してしまったようですね。……はい、上を向いて」
「ふごっ!?」
手際よく鼻血を押さえられるミーナ。
せっかく真っ白なハンカチが、みるみる赤く染まっていく。
「も、もう……! 飛鳥のバカ~……!」
ミーナはハンカチを押さえられたまま、情けなさと恥ずかしさで涙目になった。
「あんなに頑張って……相手の血は一滴も出さなかったのに……! 血なんて、見せたく無かったのにぃぃぃ!」
「ふふ、自分の血ならノーカウントですよ」
「そういう問題じゃないんだぞー!」
その微笑ましい光景に、レオナとガエンは大笑いし、会場の観客たちも「副隊長、愛い奴よのぉ」と温かい拍手を送るのであった。
予選バトルロイヤルが終了し、熱狂冷めやらぬ闘技場の貴賓席。
そこへ、銀色の髪をなびかせて、勝者であるミーナが駆け上がってきた。
「飛鳥! レオナ様! ガエン様!」
息一つ切らさず、傷一つ負っていない。
ミーナは満面の笑みで、尻尾を千切れんばかりに振っている。
「見てました!? 私の華麗な動き! ……約束通り、誰も傷つけずに勝ちましたよ!」
褒めて褒めて、と言わんばかりに身を乗り出す彼女に、レオナは満足げに頷いた。
「あぁ。見事であったぞ。流石は余の自慢の親衛隊だ」
「うむ。あれほどの体術があれば、我が軍も安泰よのぉ」
ガエン将軍も豪快に笑い、そしてニヤリと意味深な視線を向けた。
「武勇は申し分なし。あとは……良き婿を見つけねばな」
「えっ!? ガ、ガエン様ったら! そ、そんな、私はまだ……」
ミーナは狼狽えながら、チラチラと横目で飛鳥の方を見た。
(……飛鳥がその気になってくれれば、私はいつでも……)
そんな乙女の熱視線に気づいているのかいないのか、飛鳥はゆったりと立ち上がり、ミーナに歩み寄った。
「ミーナさん。御活躍、おめでとうございます。素晴らしい演舞でした」
「あ、ありがとう飛鳥! 飛鳥が見ててくれたから、私……!」
ミーナが喜び勇んで顔を上げた、その時。
「おや?」
飛鳥がふと足を止めた。
そして、自然な動作で懐から清潔なハンカチを取り出した。
「口に、汚れが付いていますよ。……土埃でしょうか」
飛鳥の顔が、すっと近づいた。
整った顔立ちが、視界いっぱいに広がる。ふわりと香る、抹茶と白檀の優雅な香り。
「え?」
思考が停止するミーナ。
飛鳥の手が優しく伸び、ハンカチ越しにミーナの口元を拭った。
陶器を愛でるような、丁寧で優しい手つき。
「……っ!!」
ミーナの心臓が早鐘を打った。
戦場での緊張感など比ではない。憧れの男性に至近距離で、子供扱いのように世話を焼かれている。
「は、はわわ……飛鳥……な、何すん……の……」
カァァァァッ!
ミーナの顔が、熟れたトマトのように真っ赤に染まった。
湯気が出そうなほどの赤面。
許容量(キャパシティ)を超えた興奮は、行き場を失い――。
ツーッ。
鼻から、鮮やかな紅い液体が垂れた。
「あらあら」
飛鳥は少しも動じず、口元を拭いていたハンカチを、スッと鼻の方へずらした。
「興奮してしまったようですね。……はい、上を向いて」
「ふごっ!?」
手際よく鼻血を押さえられるミーナ。
せっかく真っ白なハンカチが、みるみる赤く染まっていく。
「も、もう……! 飛鳥のバカ~……!」
ミーナはハンカチを押さえられたまま、情けなさと恥ずかしさで涙目になった。
「あんなに頑張って……相手の血は一滴も出さなかったのに……! 血なんて、見せたく無かったのにぃぃぃ!」
「ふふ、自分の血ならノーカウントですよ」
「そういう問題じゃないんだぞー!」
その微笑ましい光景に、レオナとガエンは大笑いし、会場の観客たちも「副隊長、愛い奴よのぉ」と温かい拍手を送るのであった。
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