『海自一佐(50)、昭和10年のダメ記者に転生。イージス艦長の未来知識(チート)で、敗戦ルートを完全粉砕します』

月神世一

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EP 25

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挟撃の「鉄」
米第五艦隊旗艦「インディアナポリス」。
レイモンド・スプルーアンス大将は、艦橋で凍りついていた。
「……報告を繰り返せ」
「……司令、ですからは! 第一次攻撃隊は、全滅! いや、全滅どころか……!」
通信士官は、恐怖に引きつった顔で叫んだ。
「敵の新型戦闘機に、一方的に『狩られ』ました! 生き残った者の報告では、敵は我々の位置を完全に把握し、我々の射撃は奴らに効かなかった、と!」
「馬鹿な!」
航空参謀が血相を変える。
「我々のヘルキャットが? 零戦ではない、別の機体だと?」
「まるで『空飛ぶ戦車』だったそうです!」
スプルーアンスは、脳をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
ミッドウェーで空母を失い、パナマで足を奪われ、ロスアラモスで心臓を抉られた。
そして、この一年半で、日本は「技術」において、米国を完全に凌駕していた。
「(あの『悪魔』だ……)」
キング提督が危惧していた、日本海軍に潜む「何か」が、またしても我々の二手三手先を読んでいた。
「司令! 第二次攻撃隊の準備を!」
「待て! 焦るな! ……まずい」
スプルーアンスが、最悪の可能性に気付いた、その時だった。
「レーダーに感あり!」
「方位2-7-0! 西! サイパンとは逆方向です!」
「何だと!?」
「距離4-0-0! 数は……測り切れません! 日本の、別の機動部隊です!」
サイパン地下司令部CIC。
坂上真一は、その報告を聞き、静かに頷いた。
「……入ったな、小沢艦隊が」
ミッドウェーで温存された「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」、そして新型空母「大鳳」。
日本が誇る最強の機動部隊が、米艦隊の索敵網の遥か外――「アウトレンジ」から、全攻撃隊を発進させたのだ。
「小沢艦隊の攻撃隊が、敵防空網を突破するまで、あと30分」
坂上は、マイクを握った。
「マリアナ基地航空隊、第二次攻撃隊、発進!」
「目標、米第五艦隊!」
米艦隊上空。
スプルーアンスは、絶望的な「挟撃」を悟った。
東からは、マリアナの基地から発進した、坂上直属の「紫電改」と、技術ドーピングされた長距離攻撃機(一式陸攻・改)の編隊。
西からは、小沢艦隊から発進した、ミッドウェーの英雄たちが乗る「零戦・改」と「天山」艦攻の編隊。
空は、二方向から迫る、日の丸によって完全に覆い尽くされた。
「迎撃! 迎撃!」
エセックス級空母から、残ったヘルキャットがスクランブル発進する。
だが、坂上の「システム」は、そこまで読んでいた。
「マリアナCICより、小沢艦隊攻撃隊へ!」
坂上は、自らの「目(電探)」で捉えた敵迎撃機の座標を、リアルタイムで小沢隊に送り続けていた。
「敵CAP、貴隊の左翼30に接近! 高度差、マイナス500!」
「(聞こえるか、坂上大佐!)」
小沢艦隊の攻撃隊長は、神の「託宣」を受け取り、ニヤリと笑った。
「(全てお見通しだ!)」
日本軍攻撃隊は、米軍の迎撃を、まるで未来を予知しているかのように完璧にかわし、米空母群の直上に到達した。
「突入!」
ズドドドドドド!!!
「空母『エセックス』、被弾!」
「『バンカー・ヒル』、飛行甲板大破!」
「『ワスプ』、魚雷命中! 傾斜!」
マリアナの「盾」と、機動部隊の「槍」。
坂上が一年半かけて構築した、この完璧な「挟撃システム」の前に、人類史上最大を誇った米第五艦隊は、文字通り「溶けて」いった。
サイパンCIC。
赤い光点(敵機)が消え、今や青い光点(米艦船)が、地図盤から次々へと消えていく。
「米艦隊、壊滅状態!」
「空母のうち、8隻沈黙! 4隻大破!」
「残存艦艇、マリアナへの上陸を断念! 東方へ……敗走を始まります!」
「「「うおおおおおおおおお!!」」」
CICの将兵たちは、勝鬨を上げ、涙を流して抱き合った。
ミッドウェーを遥かに上回る、文字通りの「決戦」の勝利だった。
坂上は、椅子に深く沈み込み、この二年で初めて、心の底から息を吐いた。
コーヒーキャンディの缶は、空になっていた。
(……勝った)
(B-29の発進基地は、失われた)
(核の脅威も、消えた)
(米海軍の主力は、二度にわたって壊滅した)
彼は、マイクを握った。相手は、柱島の山本五十六だ。
「長官。……坂上です」
「……(息をのむ音)」
「『鉄槌』は、下されました。敵艦隊は、敗走中です」
電話の向こうで、山本が、長く、長く息を吐く音がした。
「……坂上君」
「はい」
「これ以上、戦う必要は、あるか?」
坂上は、静かに答えた。
「いいえ。……これより、戦争を『終わらせる』フェーズに移行します」
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