異世界転生×ユニークスキル 地球ショッピングで無双する!?【感謝!第四章 大陸への戦火 開幕!】

月神世一

文字の大きさ
31 / 221

EP 31

しおりを挟む
水晶の巨亀と絶望の淵


凶暴化した動物たちを鎮静させ、異変の核心へと迫る勇太たち四人。リーシャの案内と勇太の分析を頼りに「囁きの森」のさらに奥深くへと進むと、周囲の様相は一変した。木々はねじくれ、地面を覆う光る苔は絨毯のように広がり、不気味な青白い光が森全体を支配している。空気は重く淀み、魔力が異常なほど濃密に渦巻いているのを感じた。


やがて彼らは、森の開けた場所にたどり着いた。そこは、巨大な洞窟の入り口のようになっており、その奥からは、ひときわ強い光と、全ての異変の元凶と思しき禍々しい気配が漂ってくる。光る苔は、この洞窟を中心に広がっているようだ。


「ここが……異変の中心みたいね」


リーシャが杖を握りしめ、警戒を強める。


その時だった。洞窟の暗がりから、ズシン、ズシン、という重い地響きと共に、巨大な影が姿を現した。


それは、山と見紛うばかりの巨体を持つ亀型のモンスターだった。だが、その甲羅は通常の亀とは違い、無数の水晶や宝石のような結晶体でびっしりと覆われ、光る苔の青白い光を乱反射させて、妖しくも美しく輝いている。頭部や四肢も硬質な結晶に覆われ、その瞳は冷たい宝石のような光を放っていた。


「な、なんだ……あれは……!?」


イグニスが、戦斧を構えながらも息をのむ。


「クリスタルタートル……古文書で読んだことがあるわ。非常に硬い甲羅を持ち、結晶を操る強力な魔物よ!」


リーシャが緊張した面持ちで告げた。


クリスタルタートルは、ゆっくりと、しかし確実に勇太たちに狙いを定め、その巨大な口を開いた。


「来るぞ! 全員、散開!」


勇太の叫びと同時に、クリスタルタートルは結晶質の鋭い棘を、まるで散弾のように周囲にまき散らした!


「くっ!」


イグニスが大盾で棘を防ぎ、キャルルは俊敏な動きでそれを回避する。勇太も薙刀で数本を弾き飛ばすが、その威力は凄まじく、腕が痺れた。リーシャは魔法障壁を展開し、身を守る。


「こんなところで立ち止まってられるかよ!」


イグニスが雄叫びを上げ、戦斧をクリスタルタートルの脚部に叩きつける。だが、ガキン!という硬質な音と共に、戦斧は弾かれ、分厚い結晶の装甲にはほとんど傷一つついていない。


「硬かてえっ!?」


「月影流・穿虚脚せんきょきゃく!」


キャルルが、目にも留まらぬ速さでゴーレムの側面から連続蹴りを叩き込むが、これもまた効果は薄い。逆に、タートルの回転に合わせて振り回された尻尾の一撃が、キャルルの体を掠めた。


「きゃあ!」


「キャルルさん!」


勇太が駆け寄ろうとするが、タートルは新たな攻撃を仕掛けてくる。地面から鋭い結晶の柱が突き出し、行く手を阻んだ。


「フレイムストーム!」


リーシャが強力な範囲攻撃魔法を放つが、炎はクリスタルタートルの甲羅の上で虚しく踊るだけで、表面が少し煤ける程度だ。


「ダメだわ、魔法もほとんど通じない……! あの結晶の甲羅が、魔力すらも拡散させているのよ!」


圧倒的な防御力と、多彩な結晶質の攻撃。これまでの敵とは明らかに格が違う。


勇太は薙刀で応戦しつつ、「地球ショッピング」のボードを脳裏に展開する。


(こいつを倒すには……銃じゃ歯が立たないかもしれない。もっと強力な……対物ライフル? いや、ポイントが……爆薬か? でも、どうやって設置する?)


思考を巡らせる間にも、戦況は悪化していく。イグニスの大盾にはヒビが入り始め、キャルルも結晶の破片で腕を負傷している。リーシャのMPも、効果の薄い魔法を連発したせいで消耗が激しい。


「くそっ……どうすれば……!」


勇太が打開策を見出せないでいると、クリスタルタートルが、その巨大な頭部をゆっくりと持ち上げ、口の中に眩い光を収束させ始めた。


(まずい、何か強力なブレスが来る……!)


「リーシャさん、防御魔法を!」


「もう魔法力が……!」


リーシャの顔に絶望の色が浮かぶ。


「俺が止める!」


イグニスが、最後の力を振り絞るように、砕けかけた大盾を構え、タートルの前に立ちはだかった。


そして、クリスタルタートルの口から、全てを貫くような純粋なエネルギーの奔流が放たれた――!


「イグニスさーーーーん!!」


キャルルの悲痛な叫びが、森に木霊した。


勇太は、なすすべもなく、その絶望的な光景を見つめるしかなかった。


次回へ続く――。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

異世界で家をつくります~異世界転移したサラリーマン、念動力で街をつくってスローライフ~

ヘッドホン侍
ファンタジー
◆異世界転移したサラリーマンがサンドボックスゲームのような魔法を使って、家をつくったり街をつくったりしながら、マイペースなスローライフを送っていたらいつの間にか世界を救います◆ ーーブラック企業戦士のマコトは気が付くと異世界の森にいた。しかし、使える魔法といえば念動力のような魔法だけ。戦うことにはめっぽう向いてない。なんとか森でサバイバルしているうちに第一異世界人と出会う。それもちょうどモンスターに襲われているときに、女の子に助けられて。普通逆じゃないのー!と凹むマコトであったが、彼は知らない。守るにはめっぽう強い能力であったことを。 ※「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...