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第三章 マルストア領へ
EP 32
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楽園のギルドと海神の影
シレーナ島の冒険者ギルドは、帝都のそれとは全く違う、開放的な空気に満ちていた。潮風が吹き抜ける大きな窓、壁には巨大な魚の骨や美しい珊瑚が飾られ、酒の匂いに混じって、ほのかに海の香りがする。
「くぅ~……。やっぱり、この空気は良いな。落ち着く」
久しぶりに感じる、冒険者たちの熱気と期待が入り混じった独特の雰囲気に、勇太は満足げに息を吸い込んだ。
「そうですね~。なんだか、懐かしい感じがします」
「ええ、少しだけ、昔に戻ったみたいね」
キャルルとリーシャは、そう言いながら、当然のように勇太の両腕に自分の腕を絡める。ギルドの喧騒の中、三人が醸し出す甘いオーラは、少しばかり浮いていた。
その光景から意図的に目をそらし、一人の竜人が、受付カウンターへとズンズンと突き進んでいく。
「よう、ねぇちゃん! この島で一番、飛びっきり強え魔物の討伐依頼を出しな!」
イグニスの、あまりに単刀直入で威圧的な物言いに、受付嬢は「ひっ」と小さな悲鳴を上げた。
「か、畏まりました! それでしたら……ここ数ヶ月、この海域の船を多数沈め、漁師たちを悩ませている、大海蛇(クラーケン)の討伐依頼などは如何でしょうか……?」
「クラーケン、か。巨大なイカみたいな魔物だったな」
勇太の呟きに、リーシャが即座に分析を加える。
「だとすれば、戦場は海の上ね。船の手配はどうなっているのかしら?」
「は、はい! 討伐依頼を受けられる方には、ギルドで特別に強化した討伐船を御用意します!」
受付嬢の言葉に、勇太はニヤリと笑った。
「よし、決まりだ。やろうぜ、クラーケン退治!」
その言葉に、誰よりも嬉しそうな顔をしたのは、この依頼を持ってきたイグニスだった。
「ククク……面白い! 最高じゃねえか! 俺様の斧でズタズタに斬り裂いて、今夜の酒のつまみにしてやるぜ!」
もはや、新婚旅行の甘い雰囲気はどこへやら。
かつての冒険者パーティー「ホープ・クローバーズ」の血が、再び騒ぎ始めていた。一行は、伝説の海獣を討伐すべく、受付嬢から受け取った羊皮紙を手に、意気揚々と港へと向かうのだった。
シレーナ島の冒険者ギルドは、帝都のそれとは全く違う、開放的な空気に満ちていた。潮風が吹き抜ける大きな窓、壁には巨大な魚の骨や美しい珊瑚が飾られ、酒の匂いに混じって、ほのかに海の香りがする。
「くぅ~……。やっぱり、この空気は良いな。落ち着く」
久しぶりに感じる、冒険者たちの熱気と期待が入り混じった独特の雰囲気に、勇太は満足げに息を吸い込んだ。
「そうですね~。なんだか、懐かしい感じがします」
「ええ、少しだけ、昔に戻ったみたいね」
キャルルとリーシャは、そう言いながら、当然のように勇太の両腕に自分の腕を絡める。ギルドの喧騒の中、三人が醸し出す甘いオーラは、少しばかり浮いていた。
その光景から意図的に目をそらし、一人の竜人が、受付カウンターへとズンズンと突き進んでいく。
「よう、ねぇちゃん! この島で一番、飛びっきり強え魔物の討伐依頼を出しな!」
イグニスの、あまりに単刀直入で威圧的な物言いに、受付嬢は「ひっ」と小さな悲鳴を上げた。
「か、畏まりました! それでしたら……ここ数ヶ月、この海域の船を多数沈め、漁師たちを悩ませている、大海蛇(クラーケン)の討伐依頼などは如何でしょうか……?」
「クラーケン、か。巨大なイカみたいな魔物だったな」
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「だとすれば、戦場は海の上ね。船の手配はどうなっているのかしら?」
「は、はい! 討伐依頼を受けられる方には、ギルドで特別に強化した討伐船を御用意します!」
受付嬢の言葉に、勇太はニヤリと笑った。
「よし、決まりだ。やろうぜ、クラーケン退治!」
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「ククク……面白い! 最高じゃねえか! 俺様の斧でズタズタに斬り裂いて、今夜の酒のつまみにしてやるぜ!」
もはや、新婚旅行の甘い雰囲気はどこへやら。
かつての冒険者パーティー「ホープ・クローバーズ」の血が、再び騒ぎ始めていた。一行は、伝説の海獣を討伐すべく、受付嬢から受け取った羊皮紙を手に、意気揚々と港へと向かうのだった。
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