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第二章 神竜の守護者
EP 79
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最後の扉と、おもちゃの番人
デュラス、フィリア、エルミナの三人は、自分たちの数時間にわたる苦悩を、たった一撃のブレスで過去のものにした神竜アルカの姿を、もはや呆然と見つめるしかなかった。
当のアルカ本人は、「わーい!扉、開いたー!」と、自分の手柄(?)を喜び、開かれた最後のボス部屋へと、とてとてと駆け込んでいく。
「あ、こら!アルカ、待つんだ!」
「危ないですわ、アルカ様!」
三人は、慌ててその後を追った。
しかし、最後の扉の先に広がっていたのは、これまでの禍々しい雰囲気とは全く違う、あまりにもメルヘンチックな光景だった。
そこは、巨大な「おもちゃ箱」の中のような部屋だった。
床はフカフカの絨毯で、壁は積み木でできており、天井からは星や月の飾りが吊るされている。巨大な木馬、お菓子の家、そして、部屋の中央には、一人の少女が住めるほどに巨大で、精巧なドールハウスが鎮座していた。
「わぁ……!」
アルカは、その光景に、瑠璃色の瞳をこれ以上ないほどに輝かせた。
冒険も、戦いも、もはや彼女の頭からは完全に消え去っている。
「おうち……!かわいい、おうち……!」
彼女は、まるで夢の世界に迷い込んだかのように、ふらふらと、その巨大なドールハウスへと吸い寄せられていく。
「――待て、アルカ!何かおかしい!」
デュラスが、そのあまりにも無防備な空間に、強烈な違和感を感じ取り、鋭く警告を発した。
しかし、その声は、もはやアルカの耳には届いていなかった。
彼女の小さな手が、ドールハウスの、精巧に作られた小さな扉に、そっと触れる。
その瞬間だった。
アルカの全身が、優しく、そして抗いようのない、虹色の光に包まれた。
「くふふふふ……」
どこからともなく、キュルリンの楽しげな声が、部屋全体に響き渡る。
「主役(VIP)のための、特別室(VIPルーム)へようこそ、なのであるぞよ!」
「しまった!」
デュラスが叫ぶと同時に、アルカの姿が、光と共に、その場からふっと消え失せた。
「さあ、小さな姫君が、特別なおもちゃ部屋で遊んでいる間、引率者の君たちには、子守役(ベビーシッター)と、遊んでもらおうかのう!」
キュルリンの声が遠ざかると共に、一行が入ってきた扉が、ゴゴゴゴゴ……と音を立てて、固く閉ざされた。
「アルカちゃん!?」
「アルカ様!」
フィリアとエルミナが悲鳴を上げる。
「……やられたな。まんまと、我らが最強の切り札を、引き離されたというわけか」
デュラスは、忌々しげに舌打ちした。
その時、部屋中に散らばっていた積み木や、ブリキの兵隊、古いぬいぐるみたちが、カタカタと音を立てて動き始めた。
それらは、まるで見えざる糸に引かれるかのように、部屋の中央へと集まっていく。
そして、ギシギシ、ガシャガシャと、不気味な音を立てながら、一つの巨大な人型へと、組み上がっていく。
ボタンの目、縫い合わされた口、ちぐはぐな手足。
それは、子供たちの夢の残骸で作り上げられたかのような、巨大で、どこか物悲しい、一体の操り人形だった。
『……オヒメサマ……ノ……オアソビ……ジャマ……サセナイ……』
軋むような声と共に、おもちゃの番人(トイ・ボックス・センチネル)が、その巨大な体をゆっくりと起こした。
その手には、巨大なガラガラ(殴られたら頭蓋骨が砕けそうだ)と、風車(振るう度に鋭い風の刃を放つ)が握られている。
最強の切り札であるアルカを失い、残されたのは、三人だけ。
デュラスは、静かに「夜詠みの魔杖」を構えた。
「……なるほどな。これが、あの妖精の、最後の『悪戯』か」
「でも、あれを倒さないと、アルカちゃんが……!」
フィリアが、弓を引き絞る。
「ええ!マモル様の大切なアルカ様を、取り戻すのです!」
エルミナも、聖なるランスを構え、決意の表情を浮かべた。
神竜のいない、たった三人だけのパーティ。
彼らの、本当の力が、そして、本当の絆が、今、試されようとしていた。
おもちゃの番人が、そのボタンの瞳を、ギョロリと、三人の侵入者へと向けた。
デュラス、フィリア、エルミナの三人は、自分たちの数時間にわたる苦悩を、たった一撃のブレスで過去のものにした神竜アルカの姿を、もはや呆然と見つめるしかなかった。
当のアルカ本人は、「わーい!扉、開いたー!」と、自分の手柄(?)を喜び、開かれた最後のボス部屋へと、とてとてと駆け込んでいく。
「あ、こら!アルカ、待つんだ!」
「危ないですわ、アルカ様!」
三人は、慌ててその後を追った。
しかし、最後の扉の先に広がっていたのは、これまでの禍々しい雰囲気とは全く違う、あまりにもメルヘンチックな光景だった。
そこは、巨大な「おもちゃ箱」の中のような部屋だった。
床はフカフカの絨毯で、壁は積み木でできており、天井からは星や月の飾りが吊るされている。巨大な木馬、お菓子の家、そして、部屋の中央には、一人の少女が住めるほどに巨大で、精巧なドールハウスが鎮座していた。
「わぁ……!」
アルカは、その光景に、瑠璃色の瞳をこれ以上ないほどに輝かせた。
冒険も、戦いも、もはや彼女の頭からは完全に消え去っている。
「おうち……!かわいい、おうち……!」
彼女は、まるで夢の世界に迷い込んだかのように、ふらふらと、その巨大なドールハウスへと吸い寄せられていく。
「――待て、アルカ!何かおかしい!」
デュラスが、そのあまりにも無防備な空間に、強烈な違和感を感じ取り、鋭く警告を発した。
しかし、その声は、もはやアルカの耳には届いていなかった。
彼女の小さな手が、ドールハウスの、精巧に作られた小さな扉に、そっと触れる。
その瞬間だった。
アルカの全身が、優しく、そして抗いようのない、虹色の光に包まれた。
「くふふふふ……」
どこからともなく、キュルリンの楽しげな声が、部屋全体に響き渡る。
「主役(VIP)のための、特別室(VIPルーム)へようこそ、なのであるぞよ!」
「しまった!」
デュラスが叫ぶと同時に、アルカの姿が、光と共に、その場からふっと消え失せた。
「さあ、小さな姫君が、特別なおもちゃ部屋で遊んでいる間、引率者の君たちには、子守役(ベビーシッター)と、遊んでもらおうかのう!」
キュルリンの声が遠ざかると共に、一行が入ってきた扉が、ゴゴゴゴゴ……と音を立てて、固く閉ざされた。
「アルカちゃん!?」
「アルカ様!」
フィリアとエルミナが悲鳴を上げる。
「……やられたな。まんまと、我らが最強の切り札を、引き離されたというわけか」
デュラスは、忌々しげに舌打ちした。
その時、部屋中に散らばっていた積み木や、ブリキの兵隊、古いぬいぐるみたちが、カタカタと音を立てて動き始めた。
それらは、まるで見えざる糸に引かれるかのように、部屋の中央へと集まっていく。
そして、ギシギシ、ガシャガシャと、不気味な音を立てながら、一つの巨大な人型へと、組み上がっていく。
ボタンの目、縫い合わされた口、ちぐはぐな手足。
それは、子供たちの夢の残骸で作り上げられたかのような、巨大で、どこか物悲しい、一体の操り人形だった。
『……オヒメサマ……ノ……オアソビ……ジャマ……サセナイ……』
軋むような声と共に、おもちゃの番人(トイ・ボックス・センチネル)が、その巨大な体をゆっくりと起こした。
その手には、巨大なガラガラ(殴られたら頭蓋骨が砕けそうだ)と、風車(振るう度に鋭い風の刃を放つ)が握られている。
最強の切り札であるアルカを失い、残されたのは、三人だけ。
デュラスは、静かに「夜詠みの魔杖」を構えた。
「……なるほどな。これが、あの妖精の、最後の『悪戯』か」
「でも、あれを倒さないと、アルカちゃんが……!」
フィリアが、弓を引き絞る。
「ええ!マモル様の大切なアルカ様を、取り戻すのです!」
エルミナも、聖なるランスを構え、決意の表情を浮かべた。
神竜のいない、たった三人だけのパーティ。
彼らの、本当の力が、そして、本当の絆が、今、試されようとしていた。
おもちゃの番人が、そのボタンの瞳を、ギョロリと、三人の侵入者へと向けた。
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